人生最大の夢の一つだったアジアツアー

－－昨年は何度もYahoo！トピックを賑わせる活躍でしたね。

中川翔子：最近、ブログの内容がそのままニュースになるっていう現象があって。始めた当初、まだそういう流れがなかった頃にブログが記事になったことがあって、会社の人にめっちゃ怒られたことがあるんですよ（笑）。

－－ただ、デビュー10周年だった2012年は実際に色々ありました。

中川翔子：前半と後半でこんなに印象が変わるものなのかって思うくらい、ジェットコースターみたいな1年でした。そもそも2012年は運が良くないってゲッターズ飯田さんから言われてたんですよ、特に2月と8月が最悪だと。確かにその時期はもの凄い落ち込んでいましたね。

1月に祖母が亡くなって、歌いたい方向性とか、続けて行くためにはどうすればいいのかとか、ライブもたくさんあるから凄く心配だとか、色々ネガティブに悩んで……。何とか無事に乗り切れたと思えるような1年にすることが目標だったんですけど、11月の【ギザ10べすと!! 中川翔子の音返し（^ω^）】ファイナル公演が終わった時には、「我がギザ10に一片の悔いなし!! ギザ10を倒した！」って自然に口をついて出てました！ “ギザ10”つまりそれは“ギザ充実”のことだったと。

－－特に夏には、初のアジアツアーがありましたしね。

中川翔子：国際問題とかもあって凄いシビアな状況だったし、開催の選択は難しかったんですけど、香港も台湾も上海も優しく受け入れてくれたんです。もちろんシンガポールもですけど、報道で見たことだけでは人の心は分からないんだなって。実際に触れ合って、アニメソングという歌の力で国境も言葉も性別も全て超えて、一瞬で笑顔になれる。魔法みたいだなって！ やっぱり無謀すぎる挑戦だったとも思うんですけれども、一生の宝物になりましたね！

－－そんなアジアツアーの模様は、昨年12月26日にリリースされたBlu-ray＆DVD『UCHI-LIVE, SOTO-LIVE!!』に収められました。

中川翔子：私の仕事をしていく中で形になるもの、生きた証を残したいって想いの結晶として、人生最大の夢の一つだったアジアツアーと香港公演が作品になるのは、凄く幸せなことですね。

“独り24時間テレビ”で号泣

－－しかもDISC1には、秋に開催したホールツアーの模様も収録されています。

中川翔子：秋から怒涛のホールツアー、Zeppツアーと続いたんですけど、夏には『nsum －中川翔子がうたってみた！－』のリリース記念で“独り24時間テレビ”というのもあったんですね。ずっと握手会を続けるイベントだったんですけど、あれが本当にツラくって（笑）。仕事をしながら「もう辞めよう……」って本気で思っちゃうくらいで、放送中に号泣しちゃったんです……。

－－確かにあの時の中川さんは、見ていて心配になりました。

中川翔子：配信されっぱなしというのは恐ろしいですね。次に24時間生をやるなら、家で猫と一緒にひたすらゲームをやるとか。途中でお寿司を頼むとか、料理しだすとか。アニメ観ながらみんなで実況するとか。そういう緩いのじゃなきゃ絶対にやりたくないです！（笑） CDを買ってもらった訳ですから本当に申し訳なくて……。

－－ただ、友だちや先輩の芸能人がたくさん駆けつけてくれましたね。

中川翔子：皆さん、気持ちだけで来て下さったんですよ。『ウチくる!?』でも共演して頂いている中山秀征さんには、2012年は本当に助けて頂きましたね。この間も下仁田ネギとリンゴをくれたんですよ！ あったかいですねぇ、優しいです（しみじみ）。

－－話を『UCHI-LIVE, SOTO-LIVE!!』に戻しますが、DISC1に収められているのは5年ぶりの渋谷公会堂公演です。

中川翔子：5年前に初めてコンサートをした会場で、しかも父が立ったこともある舞台っていう色んなアニバーサリーが重なった気がします。こんなに落ち着いて、「楽しまなければもったいない」って気持ちで歌えたのが面白かったです。不思議と空と繋がることができるというか、守られているような安心感の中で歌うことができた1日だったなって。凄く残しておきたい瞬間が2枚組になったのは嬉しいですね。

高い栄養ドリンクを飲んでみたらめちゃめちゃ効いた

－－そういえば秋から冬にかけて、ホールツアーの直後にZeppツアーが始まるハードスケジュールがありましたね。

中川翔子：直後のZeppツアーが全然違う内容で、ホールツアーをやっている最中から練習が始まってたんです。合間にバラエティの収録なども入っていたから脳が混乱しちゃって、またしても挫けそうになりました（笑）。
渋谷公会堂公演の翌日が北海道での日帰りロケで、1日中カピバラの檻の掃除をして身体がバキバキなのに、翌日朝から名古屋に行って……。体力とメンタルに自信が持てなくて、きしめんを食べながら号泣して（笑）。よく泣いた1年ですね。
ただ、そういう時でもアジアツアーの経験と、ギザ10という言葉をもったいなくしちゃいけない！って想いがいつも蘇ってきてくれた。本当にみんなの力ですね。……あと、ボロボロな時に高い栄養ドリンクを飲んでみたらめちゃめちゃ効いたので、ツアーではむしろ伸び伸び歌えました（笑）。

－－最後は滋養強壮だったと（笑）。確かにZepp DiverCity TOKYOでのライブが終わった後の中川さんは、今までにはない凛とした表情をしていましたよね。

中川翔子：今年はライブがいっぱいあって怖かったんですけど、全てが確かな経験値になったと思います。ただ、ずっとライブラッシュだったから、終わった今は毎日が凄く幸せですね。やりたくないと思っていたことが楽しくなってきたというか、運気を上げようと始めた料理や裁縫が楽しくなったんですよ！
ライブ前は本も読めないしゲームもできないし、何をやっても集中できないんです。だから今、こうやってアニメ観まくってゲームしまくって本読みまくって、猫とゴロゴロして（笑）。お仕事をこなしつつなんですけど、やっぱり趣味と仕事が両立できるこのバランスが非常に楽しいですね！

子どもたちの心を動かせるようなアニソン歌いになる

－－そんな中、1月9日にはゲストボーカル音源や未CD音源などを集めたミニアルバム『UCHI-SHIGOTO, SOTO-SHIGOTO!!』がリリースされました。

中川翔子：ご依頼頂いた歌たちなんですけど、見事にバラバラですよね（笑）。ロックがあればかわいらしい曲もあって、恋の歌からアカペラまでとカオスなんですけど、それも中川翔子らしいというか。
以前、有吉（弘行）さんにあだ名をつけてもらえなくて、「見る人によって違うから、お前は“ギザ”でいいよもう」って言われちゃったんですけど（笑）、今はポジティブに捉えていますね。例えば曲ごとに歌声が変わってしまうこととか、昔はもっとパンチが欲しいと悩んでいたんですけど、最近は曲ごとに変わるのも楽しいなって！

－－ご自身のフィールド以外で歌い続けてきた歴史で1枚作れるというのも凄いことですよね。

中川翔子：2012年は意外に自分の新曲が少なかったと思いきや、これだけ歌っていたのが驚きですね。6曲目の「あるこう」はアニメ『ふるさと再生 日本の昔ばなし』のエンディングなんですけど、ますだおかだの増田（英彦）さんの娘さんはこの曲を大好きなんだそうです。大好きすぎてピアノで弾き語りすることを覚えて、私を“昔ばなしのおねえさん”って言ってくれてるみたいで。
私の大きな夢の一つに、子どもたちの心を動かせるようなアニソン歌いになるっていうのがあるんですけど、増田さんと娘さんにはその実現を見せて頂いてます。親バカですまんなーって言うんですけど、すっごーーーく嬉しかったです！

－－そういえばZeppツアーの時、衣装プレゼントが小さい女の子に当たりましたよね？

中川翔子：偶然、ツアーを通してバランスよく男子女子ちびっこと当たったんですけど、あんな小さい頃からライブに来るって凄いと思います。連れて来てあげられるお母さんも素敵だと思うし、その子からしたら良い経験ですよね。
大人になっても消えない思い出。それをもし誰かに与えられることができたら嬉しいなって思うんですけど、「どうせ自分なんか……」ってネガティブにやっていたらできないことだとも思うので、もっと頑張っていきたいって思える宝物をたくさん見つけましたね！

－－幼少期から憧れてきた人や存在からの影響が現在の中川さんを作った訳ですが、今の中川さんはそうした影響を与える側になっています。

中川翔子：なりたいけど、の“けど”が出てきてしまう性格なんですけど、“なりたい！”で止めたいと思います！

－－もうなれていると思いますよ？

中川翔子：いや、そこはまだまだ……。歌うって簡単じゃないから、もっと機会が欲しいです。でも、本当に毎日の色んなお仕事があって、ブログがあって猫といる時間、趣味の時間……、全部があっての歌だと思うので、全てを大事にしながら好きなことを増やしていきたいと思います！

恋の歌とロックは本当に歌いたかった

－－また、2曲目の「甘宿り feat.中川翔子 / DECO＊27」は、中川さんのオリジナルにはないテイストですよね。

中川翔子：恋の歌は本当に歌いたかったので、この曲も大きな出会いですね。なので来年からの目標としては、やりたいものを徹底的に追いかけつつ、良い曲を歌いたいし作詞もしたい！ 年下の子たち、平成生まれの子たちがライブに来てくれるような歌手になりたいですね。

－－3曲目には「ペガサス幻想ver.Ω / MAKE-UP feat.中川翔子」が収録されていますが、同曲が主題歌のアニメ『聖闘士星矢Ω』では城戸沙織役の声優も担当しています。

中川翔子：本当にすごーくすごーく嬉しいです！ 東映アニメで、「ペガサス幻想」という昔からカラオケで何度も歌ってきた楽曲を歌えて、しかもアテナの声まで……。びっくりですね！ 嬉しかったです！ 映画『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ』でケルディオの声をやらせて頂いたりとか、2012年も宝物がいっぱい増えました。

－－そういう意味では、Blu-ray＆DVD『UCHI-LIVE, SOTO-LIVE!!』とミニアルバム『UCHI-SHIGOTO, SOTO-SHIGOTO!!』、面白い2作が連続でリリースされたんですね。

中川翔子：アジアツアーとホールツアーの2本立てとか、ソニー所属なのにソニー以外で歌いまくった曲を集めたミニアルバムがソニーから出たりとか（笑）。それがアリな感じになってきたのが面白いし嬉しいし、これからもドンドンやりたいと思っていたら、この前TRFさんのトリビュートにも呼んで頂いたんです。
私以外は皆さんavexの方で（笑）、何かすいませんなんですけど呼んで頂けるのが嬉しいですよね。これからも何だかよく分からない存在でありつつ、中川翔子らしさを濃くしていきたいですね。

第一章が終わって、次からまた新たな章が始まる

－－それにしても中川さんは、本当に特殊な歌手になってきましたよね。

中川翔子：結果的になんですけど、アニソンカバーとかもやってきて良かったと思いましたし、持ち歌たちも味わいが出てきたし。今、色んな気持ちが未来に向いているというか。

－－その未来となる今年の誕生日には、舞浜アンフィシアターでの2DAYS公演が決まりました。

中川翔子：夢の国でやれるのは凄く嬉しいですね、はい！ 『塔の上のラプンツェル』でラプンツェルの声優をやれたことは末代まで幸せだと思えることなので、その喜びを噛み締めながら特別な、その場所ならではのライブをしたいと思います！

－－あと最後にもう一つ。先日のブログでびっくりしたんですけど柳さんが……

中川翔子：そうなんです、デビューからずっと担当してくれていた柳さんがソニーを離れることになったんです。私も柳さんも次があるとか何も考えてない所からスタートして、手探りだけど確かな何かを見つけながらの日々の中で、あれよあれよとやってきて……。柳さんも次のステージに飛び立たれるということで、何かが変わっていく第一章が終わって、次からまた新たな章が始まるんだなって思いますね。

－－今年は新しい中川翔子が見られそうですね。

中川翔子：不思議と楽しみしかないというか、別に去年が厄年だった訳でもないのに厄が抜けた感があります（笑）。今までになかったことをいっぱいやってみたいし、やりたいことをやってやる年にしたいですね。
猫カフェもやりたいし、ロックも歌いたいし、作詞もしたいし、アニメの歌も歌いたいし、また香港でもライブしたいし、絵とか文とか形になるものを残したいし。女子なので時間が限られてるんですよ、毎年！