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木村カエラ 『Sync』インタビュー
アルバム『HOCUS POCUS』発売タイミング以来、3年半ぶりのインタビュー。この間には紅白出場、アルバム『8EIGHT8』発売、日本武道館3days公演等々、大きなトピックで盛り沢山だったが、木村カエラはとある違和感を胸に抱え続けていた―――。
「Butterfly」大ヒットによる影響/葛藤、自分らしさを取り戻させてくれた「Sun shower」、そこから生まれた最新アルバム『Sync』、姿を変えていく音楽シーンにおける自身の在り方、将来の夢。彼女はその全てを語った。
みんなが求めているもの。私はちゃんと渡すよ!
--2011年8月 横浜BLITZでのライブを軸として、それ以前と以降で変化したと思う点って何かあったりしますか?
木村カエラ:まずあのときは、やっぱり緊張しましたね。久しぶりのライブだったし、「体力がどこまで戻っているかな?」とか「前より良いもの見せたい」とか、いろんなことを考えました。それと、時間が空いた分だけ「歌いたい」って気持ちがすごく増えていて、伝えたいことがいっぱい貯金されすぎて。いろいろとあった時期だったから「人の力になりたい」と思っていましたし。なので、あのライブぐらいから自分の気持ちをまとめる作業を始めたんです。ただ、そんな中で発表した前アルバム『8EIGHT8』では全てを伝えきれなかったので、今回のアルバム『Sync』まで“自分が伝えたいことを明確にしていく作業”はずっと続いていて。どんな風に自分の内面や考え方が変わってきたのか、そういうこととずっと向き合っていました。
--なるほど。
木村カエラ:なので、変わった面と言ったら、人を勇気付けたいっていう気持ちがより増えている。自分以外の人を大切に想う、外に向いた気持ちが遥かに増えているっていう。
--それは復帰ライブからも感じました。自身でも「最高のライブです」と仰ってましたけど、爆音の中、カエラさんがまるでティンカーベルの如く軽やかにセンターへ駆け寄り、くるりとスカートをなびかせながら回転し、ガンガン拳を振り上げて、更に「get ready!」とシャウトすれば、その瞬間を待ち侘びていたオーディエンスが大歓声を上げる。まるでファンタジーみたいなライブでした。
木村カエラ:その瞬間は全部憶えてる。何日も前から本当に眠れないほど、頭の中でずっとシミュレーションしていて。普段、生活しているときは「ライブまであともうちょっとだ!」って楽しみにしてるんだけど、夜、ベッドの中で自分自身と向き合ったときに、やっぱりライブのことを想像しますよね。どういう流れで始まって、私はここで何を言うんだろう? どういうテンションなんだろう? お客さんは何を求めてるんだろう? でも私は変わっちゃいけないし、以前よりもパワフルになって帰って来なくちゃいけない。そのモチベーションに自分を持っていく状態があの瞬間まで続いていたんです。だからいざステージに出ていくときも「よし、行くぞ」みたいな状態で出ていったし、頭の中で「みんなに届けたいもの。みんなが求めているもの。私はちゃんと渡すよ!」っていう想いでやってました。全部、全力。
--僕、あのライブの帰り、もう幸せ過ぎてふわっふわしちゃって、新高島駅で木村カエラのマネしてくるくる回ってましたからね。「今日のライブは伝説だ、伝説になる」とか言いながら。
木村カエラ:ハッハハハハハハ! ヤバい人じゃないですか!?
--端から見たら危ない人ですよ(笑)。
木村カエラ:でも良いですね! ありがとうございます!
--そのライブから再び全力で走り出した……と言っても、カエラさんってあんまり休業してる感じはなかったんですよね。テレビつけたら出てたし、リリースの間隔もほとんどなかったし、どれだけ働き者なんだ?って観てたんですけど、基本的にじっとしてられない人なんですかね?
木村カエラ:それもあるんですけど、CMに出させてもらったりしていたので、私がずっと動いているように見えたんだと思います。実際には家に居た時間も長かったんですけど、みんなのもとには定期的に何かしら届くよう、スタッフの人たちが考えてやってくれていた。
--その期間には、どんなことを感じたり考えたりしました?
木村カエラ:デビュー当時から休まずに走り続けてきて「休み、欲しいよ」って言ってるぐらいだったんだけど、ずーっと作品を出し続けていた分だけ「自分の中がからっぽになってる」って気付いたので、この期間を有効に使わせてもらおうと思って。ちゃんと自分の為になる時間にしないとなって。
--具体的には「自分の中がからっぽ」ってどういう感覚だったんでしょう?
木村カエラ:アルバム『HOCUS POCUS』を作っていたとき、言葉を生み出すのが大変だったんですよ。書きたいこととか感情はあるんだけど、言葉が出てこない苦しみがあって。で、私は嘘では作品を作れないし、頭で考えて言葉を当てはめていく作業が辛くて辛くて仕方なかったんですよ。本当に「もう書けないよ~!」って毎日泣きそうになってて。実際に出来上がったものは良いアルバムになったんですけど、それを経て休みに入ったときに「あ、あのとき、空っぽだったんだ。今、すっごい言葉が溜まってくるな」ってすぐ気付けた。
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リリース情報
Sync
- 2012/12/19 RELEASE
- 限定盤[COZP-743/4(CD+DVD)]
- 定価:¥3,675(tax in.)
- ≪試聴可能≫
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- 通常盤[COCP-37725(CD)]
- 定価:¥3,150(tax in.)
- ≪試聴可能≫
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
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