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特撮 『パナギアの恩恵』 インタビュー
特撮 7年ぶりのオリジナルアルバムは明るい詞に哀愁のメロディ
昨年5年ぶりの復活を果たし、超名盤と誉れ高いアルバム『5年後の世界』を発表した特撮が、まさかの新作リリース! 強靭な奏者が腕を揮った圧倒的な音像と、大槻ケンヂ(vo)が描く唯一無二の世界観で、再び音楽ファンを圧倒する。
という訳で今回はオーケンへソロインタビューを敢行。GN'RやももいろクローバーZ、映画にDJ ケミカルなどのあまねく雑談から、自分で受けているというジャケット写真についてまで。サービス精神全開で語ってもらった。
ガンズ・アンド・ローゼズの来日は謎
--2012年は筋肉少女帯としての活動も多かったので、まさか前作『5年後の世界』から1年半で新作が完成するとは思っていませんでした。
大槻ケンヂ:何にも決まってなかったんですよ。そもそも、みんな他のバンドもやったりで忙しいので会うタイミングもないし、パーマネントなバンドって感じでもないじゃないですか。でも、何となくタイミングが合ったんでしょうね。
--今年1月の東名阪ツアーでの手応えが……的な話ではなく?
大槻ケンヂ:それはもちろんだけど、あの……、バンドって意外に自発的に「アルバム出そうよ」って感じでもないんですよね(笑)。インディーズだと違うこともあるけど、例えばメーカーさんの都合とか、そういうことも含めての“タイミングが合った”です。
--でも大槻さんはもちろん、他のメンバーの皆さんも多忙を縫って……
大槻ケンヂ:ナッキー(=NARASAKI / g)は今作のレコーディング中に、ちょうどももクロちゃんの「黒い週末」を作ってましたね。ARIMATSU(dr)はVAMPSとOBLIVION DUSTだけど、とにかくVAMPSが強烈な勢いでライブやってますよね。Zepp Tokyoで13日間とか殆ど連続でやってたりしたんでしょ? 凄いよねぇ。僕とエディ(=三柴理 / key,p)も筋肉少女帯をやってますし!
--そういえばガンズ・アンド・ローゼズが年明けに来日するんですよね。
大槻ケンヂ:立ち見で17,500円、2階席が25,000円でしょ? しかも突然一日だけって……。誰が呼んだんだろう? たぶんアクセル・ローズが日本で見たい所とかがあって、「行くならライブもやりたいんだよね」みたいなことを言ったんじゃないかな~。そんなに儲かるとも思えないし、あれは謎ですよね。だってディナーショーの方が高いでしょ? それに比べたら全然安いし……。
--ガンズのディナーショーっていいですね! ホテルニューオータニとかで。
大槻ケンヂ:まァたまにありますよ、「何だろうコレ?」っていうライブ。大概ね、そういうのってミュージシャンから自発的に動いているケースじゃない場合もあるね(笑)。関係ないけど、昔はロック雑誌のインタビューもリリースタイミングに合わせているとは思ってなかったんですよ。「出稿があるから、広告が載るからなのか……」って知ったのは20代半ばくらいかもしれない(笑)。素直なロックファンだったから。
『5年後の世界』発表以降の傾向
--そういえば筋少でも対バンし、「労働讃歌」では歌詞も提供したももクロちゃんが、遂に紅白出場ですよ!
大槻ケンヂ:僕は1曲しか書いてないですし、ももクロちゃんにも2回しか会ってないんですよ。でも、「労働讃歌」とかナッキーの書いた「ピンキージョーンズ」とかで出てくれたら、親戚が喜びますね。「これ、俺が書いたんだよー」って自慢できますよ(笑)。
--2011年の『5年後の世界』発表以降、若いファンがついてきている感がありますが、音楽の垣根がなくなってきている実感はありますか?
大槻ケンヂ:リスナーっていうのは自分が聴いているものしか聴いていないんですよ。それは確実に言えることで、アニソンを聴いている人はアニソンしか聴いてないし、洋楽なら洋楽だけ、R&Bでもロキノンバンドでも、みんなそうですよね? それが最近ボーダーレスになりつつあって、新しく聴き始めているような気がしています。僕が他のバンドをやっていたり、小説を書いていたり。他のメンバーのアザーワークス、作品からリンクして特撮に辿り着いて、好きになってくれる人もいる。それはウェブ社会の良い所ですよね。
--やっぱり悪い所も目立つ?
大槻ケンヂ:人間の品性はこんだけ低いものなのかって全部開示されちゃったじゃないですか。匿名の書き込みとか。それは革命的に良くないことでしたよね。前に北野誠さんが芸能界から一時期干されちゃった時期があったじゃないですか。彼のラジオ番組はネット社会以前の掲示板の役割をしていたんですけど、……あの番組は僕もよく出てたんですよ。
その役割がネットに淘汰されたというか。ラジオを聴いているリスナー、そしてイベントに来る人のみのクローズっていう建前でやってたんだけど、ウェブが発展してクローズじゃなくなっちゃった。本来クローズドであるべき言動や情報ばかりが拡散して、本当に自分の音楽を発信しようとしている人たちの作品がなかなか拡散しないという現状はもどかしい所ですよね。--それはご自身の音楽で感じる時も?
大槻ケンヂ:と言ってもネットをやらないので、自分の音楽がどういうふうに人々に拡散していっているのか、その流れがわかんないんですよね。みんな今、何でオーケンの音を知ってくれているんだろ?
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Interviewer&Photo:杉岡祐樹
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