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back number 『blues』インタビュー

back number 『blues』 インタビュー

哀しみまで知り、それでもまた誰かを好きになる。

清水依与吏(vo,g)が描く憂愁の歌詞世界と、言葉を紡ぐ情感的なメロディで人気急上昇中の3ピースバンド back number。長澤まさみ主演のフジテレビ系土ドラ『高校入試』主題歌「青い春」に続き、満を持して完成させた傑作アルバムを軸としながら、3人の今に迫った。

社会風刺一年生 清水依与吏が描く今

back number - 青い春
▲back number - 青い春

--まず、何といっても10月にリリースしたシングル『青い春』が本当に素晴らしい1曲でした!

清水依与吏:ドラマ主題歌ということでオファーを頂いて、全ての脚本なども見させて頂いていて。イントロの雰囲気や曲のテイストが明確にある中で作れたんですね。タイアップを頂いた作品では、とにかく先方に満足して頂きたいという気持ちがあるので。
昔は“自分の歌いたいことを自分発信でやらなきゃ”みたいな所もあったんですけど、熱意を持っている人たちと一緒に作る手法は嫌じゃないんだなって段々気付いていって。これまでに選んで頂いたタイアップ楽曲も含めて、そういう手応えは感じやすいですね。

--今の日本に対する風刺も含まれている点に驚きました。

清水依与吏:“社会風刺一年生”(笑)。元々、自分から半径何メートルのことを歌う形でやってきたんですけど、その範囲の中にも社会はある。誰かを幸せにしたい、大事にしたいと考えると、環境などにも目がいきますよね? そういう所も少しずつ歌わなければいけない自覚が出てきたのかなって。それにドラマの1話だけを見た上で聴くのと、最終話まで見てから聴くのとでは、捉え方が変化する詞になっているんです。

小島和也(b):恋愛の話だけではないので、広がった印象はありますよね。ただ、依与吏が書いてる歌詞なので、根本で揺るがないものがあり続ける。書かされてる感もないし、芯のある歌だと思いますね。

栗原寿(dr):人生の葛藤や憤りは、誰しもが日常生活の中で感じるものですよね。僕もメンバーですけど、客観的に聴いた時に「そうだよな……」って思わされる言葉がすっと耳に入ってきたので、第一印象から「良い曲だな」って。

--また、シングルとしては初のセルフプロデュースでしたね。

清水依与吏:前作『スーパースター』の時に、セルフプロデュース曲とプロデューサー参加曲とで、それほど優劣なく聴いて頂けた実感もあったんですよ。で、アルバム『blues』の楽曲が全部揃った後に聴き直してみて、「……やっぱりプロデューサーさんのいる曲は凄ぇな」と思い知るという(笑)。

それが音楽に対して一番誠実な形だと思う

--その最新アルバム『blues』では、3曲目の「わたがし」からプロデューサーが参加した楽曲が並びます。

清水依与吏:自分たち的には「やっぱヤラれたな~……」っていう気持ちがありますね(笑)。やっぱりまとめ方が違う! 凄いッス!

小島和也:僕の場合は音作りの面で一番痛感しますね。出すぎず引っ込みすぎない絶妙の音を知っていますよね。「わたがし」はsoundbreakersの大野さんにプロデュースして頂いたんですけど、緻密なフレーズというか「ここでこう動くと歌がこう聴こえる」とか、そういう面で「さすがだな……ッ!」って。

--4曲目「エンディング」のラスト、歌が終わってから寿さんのドラムがフィルインしてくる瞬間の間が完璧だと思いました。

栗原寿:あれは亀田さんの凄い所でしたね!

清水依与吏:亀田さんも凄かったよね~……。それに引き出し方も上手なんですよね。それにビジョンの見え方もはっきりしてるので、……キャリアは嘘を付かないですね。

--また、6曲目「平日のブルース」はシングル『わたがし』のカップリングでした。カップリング曲も名曲揃いのback numberとしては、その選択は悩み所だと思うのですが?

清水依与吏:別に会社の人から言われた訳でもないし、最終的には自分で決めたんですけど今回は難しかったですね。「one room」(シングル『日曜日』収録)と「君の代わり」(シングル『わたがし』収録)は、シングルに入れなければよかったって思うくらい(笑)。……早くB面集出したいッスね!

やっぱりカップリングというのは聴かれ難くはなってしまう。だから自分たちはシングルでもアルバムでも良い曲を入れまくる状況を続けて、自分たちの腕を上げてクオリティを上げる。で、「back numberはシングルのカップリングも全部良いから、常に手に入れていかないと」って思ってもらう。それを続けていくしかないんですよ。差をつけずに1曲1曲一生懸命やって、こうやって言いまくるしかないんです、「全部良いんス! チクショー!」って(笑)。

--そういう意識は、現代のシーンを反映している部分もありますか?

清水依与吏:それが音楽に対して一番誠実な形だと思うんですよね。楽曲の魅力、中身の魅力で売っていく。もちろん、オマケをつけてもいいと思うんですけど、“back numberの存在意義は曲があってこそ”と歯を食いしばって続けて行くことが一番かっこいい。自分たちがかっこいいと思える存在にならなければいけないと思いますね。

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バックナンバー「ブルース」

ブルース

2012/11/21 RELEASE
UMCK-1434 ¥ 3,204(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.青い春
  2. 02.手の鳴る方へ
  3. 03.わたがし
  4. 04.エンディング
  5. 05.日曜日
  6. 06.平日のブルース
  7. 07.笑顔
  8. 08.ささえる人の歌
  9. 09.bird’s sorrow
  10. 10.助演女優症
  11. 11.僕が今できることを
  12. 12.恋

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