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凛として時雨 『abnormalize』インタビュー

凛として時雨 『abnormalize』 インタビュー

あの最高傑作を超え、凛として時雨が2年ぶり新作

現在のロックシーンで最強の呼び声も高い孤高のバンド 凛として時雨が、2年ぶりの新作としてシングル『abnormalize』をリリースする。そして今回、夏にソロ名義“TK from 凛として時雨”として、2012年のミュージックシーンに於ける最高傑作とも言える作品を発表したTK(vo,g)を招き、超絶プレイヤーたちとの共演を経て挑む時雨の今を訊いた。

TK from 凛として時雨『flowering』の凄味

TK from 凛として時雨 『haze (short version)』
▲TK from 凛として時雨 『haze (short version)』

--アルバム『flowering』で、ドラムにBOBOさん(※1)、ベースに日向秀和さん(※2)という最高峰のプレイヤーと共演して感じたことは?

TK:基本はデモを作ってからレコーディングに入ったんですけれども、あの人たちはある意味、本当に極めている部分があって、それゆえの緩さがある。デモをガチガチに再現するというより、「ココはこうでもいいんじゃない?」って、小さい箱へ詰め込んだモノに余白を足してくれるような感じで僕の音楽に入ってきてくれて。今まで時雨では「デモ通り再現しなきゃ自分の世界が崩れちゃう」みたいなことを凄く意識していたので、自分のイメージしてなかった自分の世界っていう感覚は初めてでしたね。

--殆どの楽曲で各プレイヤーが超絶的な演奏を披露していました。

TK:緊張感はありましたね。話している時は和やかなんですけど、ストレートなロックよりも複雑な曲だったりはするので、本当に集中力を持って臨まないと曲に呑み込まれるというか(笑)。それはライブの時もそうでしたね。そもそもライブを想定してないレコーディングを経て、「実はライブもやることになりました」だったので(笑)、僕も含めて緊張感が尋常じゃなかったです。

--初回盤のDVDに収録されていたスタジオライブも、とにかく凄かったです。ライブなのに観客がいない。空間の共有を目的としていない記録物という意味では、クラシック音楽の作品に近い形態とも感じました。

TK:スタジオに入った瞬間の緊張感、張り詰め方が異常というか(笑)。曲間もしんとしているし、次の曲への準備だったり気持ちの切り替えだったりでおのずとそうなるというか。DVDという媒介を通しても、あの緊張感は伝わるんじゃないかと思いますね。
無観客のスタジオライブは過去にもやったことがあるんですけど、今回はもうちょっと違うベクトルで映像を出してみたいと思って。いつもライブでお世話になっている照明の方にお願いして、視覚から何から全部、自分の曲に染めたんですよね。本当に異様な空間ではありましたね。

--今、音楽で表現できる究極の1つだと確信しましたよ。

TK:例えば譜面をめくるとかエフェクトを切り替えるとか、ライブでは見られない部分も映し出されている。ライブでは出せない距離と、もっと遠い距離の両方が混在している。ドキュメンタリーな部分があるのに、ライブでもある。さっき言ったようなクラシックに通じる緊張感なのかな、っていうのはライブを観ていた人にも言われましたね。

だからそれは必要なストレスみたいな感じ

TK from 凛として時雨 『studio live trailer』
▲TK from 凛として時雨 『studio live trailer』

--『flowering』を完成させた手応えは相当にあったのでは?

TK:きっかけは割とふわっとしてたんですけどね。時雨のツアーの後、中野くん(ピエール中野 / dr)の足の状態があまり良くなかったりもして、無理をすればそのまま突っ走れたと思うんですけど、大事を取って半年間期間を空けようと。その間に作品を作れたらと曲を貯め始めたんです。

だから(制作期間は)レコーディングを含めて3か月くらいでしたね。似ている部分もありつつ時雨ではできない音楽、と自分の中で明確に分かれているのでインスピレーションが湧いてくるのは早いというか。ライブの再現性も考えないで作れたので、そこのストレスはまったくなかったですし。

--では、改めて凛として時雨というバンドに戻る上でのモチベーションというのは?

TK:時雨に関しては、思い描いている音をどうやって3人でアウトプットするか、という所が最重要点だと思うので。広げすぎていた自分の絵を、如何にソリッドにするかを考えなければいけない。凄く大変なことなんですけれども、それをやれるからこそ時雨の鋭さ、ギリギリのアブなさみたいなモノが出てくると思う。だからそれは必要なストレスみたいな感じですね。やっぱり時雨に関してはライブバンドでいたいと思いますし、そこがソロとの一番の違いですかね。

--そうした環境が揃っている現状を、恵まれていると思いますか?

TK:全てを時雨の中で表現しようとすると、やっぱり違うものになってしまう瞬間があるような気がするし、それで出せないことのストレスの方が大きいというか。時雨で表現したいことを大切にしすぎて、できないことも出てきてしまう。ソロのようなアウトプットがあることによって、時雨は時雨をやろうと向き合えますよね。

--ただ当然時雨の……

TK:ハードルは上がりますよね(笑)。全てを再現できてプラスアルファで乗り越えていくメンバーがいるプロジェクトから、3人になった。やっぱり「どうしよう?」と思う部分はソロより多いし、だからこそ2人に対して化学反応を求めるというか。ただ、3人でしかできないことを凄く欲するという点では、大変ではあるけれども今までよりも高め合っていけるのかなって。

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凛として時雨「abnormalize」

abnormalize

2012/11/14 RELEASE
AICL-2451 ¥ 1,100(税込)

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Disc01
  1. 01.abnormalize
  2. 02.make up syndrome

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