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サンボマスター 『ラブソング』 インタビュー
もう声は君には届かない 奇跡がおきるなら もう一度 もう一度だけ―――。今はもうそこにいない"美しすぎた人"へ贈る、バンド史上初のバラードシングル『ラブソング』。これまでのサンボマスターと一線を画す、優しきその音楽に込めた想いを3人にじっくりと語ってもらった。
ピアノの弾き語りで出そうと思っていた
--7月の渋谷CLUB QUATTROでの公演を観させて頂きましたが【君を守って 君を愛して ライブもやって】は自分たちにとってどんなツアーになりましたか?
山口隆:面白かったですね。ケガ人が出るとかそういうことも全くなかったし、いつもそうならないようには言ってるんですけど。ケガしちゃつまらないですからね、本当に。で、新しくライブに来てくれる人も増えて、更には新曲のウケが良くて。それは嬉しかった。特に『世界をかえさせておくれよ』はウケてましたね。ほんと、みんなが楽しそうでよかった。僕ら的にも真剣に爆発できましたし。
--あと、残念ながら観れなかったんですけど、個人的に一番興味のあった【ティッシュタイム.49 ~放課後の性春レコ発Vol.2~】。オナニーマシーンとのイベントはどんな内容になりましたか?
山口隆:イノマーさんと会うのは久々だったんですけど、相変わらずでしたね。イノマーさんだけはほんとにもう……最高でした。ライブ前に久々にメールでやり取りしたんですけど、やっぱり最後には「よろしく○○○○○」って書いていましたよ。
--(笑)。
木内泰史:オノチンさんも相変わらず本番5分前は怖かったしね。
山口隆:怖かった。
木内泰史:本番5分前まで来なくて、俺らのライブ良かったって言ってました。
山口隆:俺のこと見て「お!サンボマスターだ!」って言ってましたよ(笑)。あと、打ち上げにすげぇたくさんの人がいらっしゃって「すげぇな、イノマーさん。いっぱい知り合い増えたんだなぁ。大人になったなぁ」って思って、それで「イノマーさん、あの人たちはどういう関係の方々なんですか?」って聞いたら、「知らない」って。
--(笑)。
木内泰史:スタッフもみんな「知らない」って言ってて。誰だったんだ?っていう。
山口隆:なんで知らねぇ人がそんなにいっぱいいるんだ?と思って(笑)。でもすげぇ良かったですよ。ラママでライブやるのも久々だったし。もうね、ギュウギュウ過ぎてモッシュ&ダイブできないぐらいだったんですよ。逆に安全でよかった(笑)。
--また、今年のサンボマスターのライブを観ていていつも思うのが『君を守って 君を愛して』『世界をかえさせておくれよ』『ラブソング』といった新曲がとにかく良くて。
山口隆:嬉しいですね。さっきも言いましたけど、ウケが良いですからね。『君を守って 君を愛して』は夜中に書いたラブレターみたいなもんなんですけど、夜中に書いたラブレターって朝見ると恥ずかしいって言うじゃないですか。でも夜中のうちに出した方が良いと思って出したヤツだから、ライブで歌うときは恥ずかしいからワァ~!ってやろうと思って。ただ、1回だけやらなかったライブがあったんです。福島のフェスだったんですけど、時間があんまりなかったんですよね。そしたら福島は僕の故郷だから友達が来てて、そいつが「俺の甥っ子は『君を守って 君を愛して』を楽しみで来たのに、なんでそれをやんないんだ」って言ってくれて。そいつは怒ってるつもりだけど、俺にはその言葉がすげぇ嬉しくって。「あ~、やっぱりこういう歌詞って、世の中に対して恥ずかしいと思わずに書くに限るなぁ」って思いましたね。だから勇気付けられましたよ、すごく。
ラママのときも『I love you & I hate the world』っていう新曲をやったんですけど、そのライブが終わってイノマーさんとかと喋ってて、夜中の1時ぐらいに外に出たら待っててくれる若者がいるんですよ。男だったんですけど「俺、今日山口さんのほっぺに2回チューしたんです!」とか訳分かんないこと言ってて(笑)。でもそういう奴が新曲を憶えててくれるんですよね。「I love you & I hateとか言って、愛したい、憎いとか歌ってるヤツ、すげぇ良かったです」って。そういうのが力にはなりますからね。本当にひとりふたりの声なんですけどね、でもそれが非常に励みになったりしますよ。それは若い人だろうがオッサンだろうが関係なく。
--近藤さんは今年のサンボマスターのライブにどんな印象を持たれていますか?
近藤洋一:今年はライブの本数が少ない分、1本1本に濃さがあるんですよね。だからイベントとかも1本1本堪能しながらライブができてる。
山口隆:昔は「ライブやってダメだったら死のう!」って言ってやってたんですよね。いや、死ぬとか軽々しく言うのはよくないことは分かってるけど、でも本当に思ってたんですよ。でも近ちゃんが途中で言ったんだよね、「これじゃないんじゃないか」「そればっかりでやるのは違うんじゃないか」って。それは言ってもらって良かったなと思って。で、今年は「ダメだったら死のう!」なんて思わなくても、ワァ~!って爆発しながら1本1本ライブができているので、それが嬉しい。あと、今年の渋谷CLUB QUATTROで憶えているのが、皆さんが2回か3回アンコールをして下さったんですよね。だけどあそこでまたやったら、今までやった爆発がちょっと落ちる気がしたんですよ、さすがに。それはいかんと思って。質が低いライブをせっかく来て下さった方に見せる訳にはいかないから、それで結局は押し止まったんですけどね。そうやって1本1本に対して厳しくできたことは良かったなぁって思ってます。
--で、その今年のライブの中でも新鮮かつ胸にグッと来たのが『ラブソング』で。何故にここに来てこうしたバラードを打ち出すことになったのか、改めて聞かせてもらえますか?
山口隆:「失った人に歌いたかった」っていう想いが1番にあったんです。生き別れ、死に別れがいっぱいあったから。公の人ともプライベートの人とも。その人に向けて歌いたいと思って。で、1年以上前から歌ってるんですけど、そうするとどんどん増えていくじゃないですか。別れる人が。それで歌詞もどんどん変わっていって。で、この曲はまず近ちゃんと木内が「良い」って言ってくれて、皆さんも「良い」って言ってくれて、どんどんこの曲が伸びていったと言ったらおかしいですけど、レコーディングを実は4,5回ぐらいしてるんですよ。最初は『ソウル・コア』ってタイトルで、ハードコアとソウルを足したみたいな曲にしたかったんですね。でも「歌詞を美しくしたい」とか思ううちにだんだん変わっていって、今回の形に落ち着く前はピアノの弾き語りで出そうと思っていたんですよ。ギターもベースもドラムもなしで。とにかく美しくやりたかったから。魂に歌うって言ったら偉そうですけどね、別れてしまった魂に呼びかけるっていうか、そういう風にしたいなと思って。
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Interviewer:平賀哲雄
ラブソング/世界をかえさせておくれよ
2009/11/18 RELEASE
SRCL-7157 ¥ 1,282(税込)
Disc01
- 01.ラブソング
- 02.世界をかえさせておくれよ
- 03.ラブソング (Instrumental)
- 04.世界をかえさせておくれよ (Instrumental)
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