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サンボマスター 『きみのためにつよくなりたい』インタビュー
前代未聞、全編ラブソングのロックンロールアルバム『きみのためにつよくなりたい』完成。手垢の付いた初期衝動を投げ捨て、愛おしい“きみのためにつよくなりたい”その初期衝動をロックンロールに昇華する。実にサンボマスターらしい発想のもと、他では聴けない、実にヒップでポップでエモーショナルな“愛”に溢れたアルバムが誕生した。どのような経緯と想いによってこのような音楽を創造したのか、3人が語る。
3人が友達になったときの感覚から全然変わってない
--ご報告遅くなってしまったんですが、毎年ウチのサイトでは各部門ごとにその年のMVPを決める特集を展開していまして、2009年の男性グループ部門のMVPにサンボマスターを選ばせて頂きました。
山口隆:マジっすか!? すげぇ!
木内泰史:めちゃくちゃ嬉しいな、それ!
--選考理由は編集部一同「『ラブソング』は良い曲だ」と思ったからなんですけど、喜びのコメントをお願い致します(笑)。
山口隆:ブログに上げますよ!ブログとツイッターに!
近藤洋一:MVPですよ。久々じゃないですか、MVP。嬉しいな。
木内泰史:マリーナ・ヴィクトリー・プログラムですよ。
一同:(爆笑)
近藤洋一:おめぇ、何でもマリーンズにするんじゃねーよ。
木内泰史:応援団の名前。
--(笑)。『ラブソング』は多方面から高い評価を得たんじゃないですか。ロックバンドがあそこまで綺麗なバラードを発表すること自体、事件だったと思いますし。
山口隆:あれはヤバかったですよ。GOING UNDER GROUNDの松本素生くんはいろんなところで「『ラブソング』が良い」って言ってくれて。ホフ・ディランのワタナベイビーさんも留守電で「曲が良かったです」って入れてくれていましたね。あと、ラジオ越しで聞いたんですけど、平井堅さんが褒めて下さったのも嬉しかったです。さすがは平井堅だと思いましたよ。
木内泰史:地元の友達とかも一緒に飲んだりしてて「あの曲、すごく良かったよ」ってやたら言うんですよ。いやぁ~、嬉しいなと思って。あと、ウチの母親が「すごく良かった」って。
山口隆:俺の母親も「ああいう曲だったら分かる」みたいな、生意気なこと言ってましたよ。
木内泰史:「これ、良いじゃない。山ちゃん、良いじゃない」って(笑)。
山口隆:「ああいう曲ばっかりやったら?」みたいなことも言ってましたよ。「おまえの作った環境が息子をこうさせたんだよ、息子をパンクにさせたんだ……」とそのときは思いましたけど。カレーライス食いながら。母親の作った(笑)。
--あと、今年は結成10周年になるみたいですね。
山口隆:10周年は周りの人に言われるまで気付かなかったですね、正直。で、10周年の方々が今年多いので、来年辺りに言おうかなと思って。
木内泰史:取っておこうかなと思って。3年後ぐらいに「10周年」って言おうかなって(笑)。
山口隆:まぁでも10年やった実感はないですね。バンドの危機もなかったし、楽しいままここまで来たので、特に感慨もないです。もちろん、これで生活できている嬉しさはありますけどね。
--ベタな質問ですけど、結成当時に思い描いていたロックバンドにしっかりなれていますか?
山口隆:それはもう思い描いていた感じどころじゃないですね。
木内泰史:10年前に思い描いていたのは、皆さんの前に出すというよりも、自分たちの中でやりたいことをきっちり消化してやる。っていうことが一番の目標だったから、そういう意味で言ったら完全に思い描いていた通り、出来てると思います。
山口隆:でもまさかこうやって取材を受けるようになるとは思っていなかったですよ。プロ意識っていうのもあんまり持ったことがないんですよね。持たなきゃいけないんでしょうけど。
--10年間の中でいろんな変化はあったと思うんですが、自分たちの中ではどこが変わったと思いますか?
山口隆:存在を認めて頂いたっていうことですかね。ロックが好きな皆さん、或いはそれ以外の皆さんに認めて頂いた。これが一番デカいんじゃないですか。そこは全然違う。一応サンボマスターと言えば「知ってる」ってなりますからね。それは有難いなって思います。10年前では考えられなかった。
--では、逆に変わらなかったところは?
山口隆:曲の作り方とか、この3人の感じは変わってないですかね。関係性は変わらない。あと、ツアーをやっていても車で泊まらなくなりました。
木内泰史:あと、近ちゃんが映画(「ソラニン」)に出るとは思わなかった。それはビックリ。
近藤洋一:まぁでもその映画の役も大学6年生ですからね。
木内泰史:ややドキュメント。
近藤洋一:8割方ドキュメント。
山口隆:でも映画で褒められてるんだよ。
近藤洋一:俺、映画に出て、一番ビックリしたのは「ベース巧いですね」って言われたこと。
--(笑)。
近藤洋一:素人の人に。まぁでもそれでバンドに興味を持って「サンボマスター聴いてみよう」って思ってくれたらいいなって。だから僕らに関わってくる世の中というものが変わってきたんだと思う。僕らは根本的にはそんなに変わった印象のないまま来てますね。大学生で3人が友達になったときの感覚から全然変わってない。
山口隆:ほんと、何度も言うようですけど、木内が俺に敬語使ったの、会ってから30分だけですからね。インタビューとか読むと「山ちゃん、やれよ!」とか言ってますけど、俺からしたら「おまえ、年下で入ってきてるからな!」ってところもあって。
木内泰史:あの30分は損した。
山口隆:(笑)。僕はあの30分が一番幸せでした。
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Interviewer:平賀哲雄
きみのためにつよくなりたい
2010/04/21 RELEASE
SRCL-7270 ¥ 3,204(税込)
Disc01
- 01.ラブソング
- 02.あなたといきたい
- 03.できっこないを やらなくちゃ
- 04.世界をかえさせておくれよ (きみのためにつよくなりたいバージョン)
- 05.僕の好きな君に
- 06.愛とは 愛とは
- 07.君を守って 君を愛して (きみのためにつよくなりたいバージョン)
- 08.アイ ウォン チュー
- 09.スローなディスコにしてくれ
- 10.I love you & I hate the world
- 11.傘にさせてくれ
- 12.きみはともしび
- 13.新しく光れ
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