すぐにフィーリングが合ったよ

－－「Feel Like Makin' Love」は、ニューヨークでレコーディングされたそうですね。

ケイコ：そうです。ラウルと直接会うのは、その時が初めてでした。

ラウル：でもケイコは、単なるシンガーじゃなくてピアノも弾くから、ミュージシャンとしてのハーモニー感というか、アレンジ・センスみたいなものがヴォーカルにもあるんだ。それがいい意味での驚きだったし、すぐにフィーリングが合ったよ。

ケイコ：彼のそういう気持ちが伝染したというか、なんか初めて会った気がしなかったんですよね。緊張したり人見知りしちゃうことが、私はたまにあるんだけど、解きほぐされていく感じで。そういう優しさとあったかさがある人なんです。それから、子供のようにかわいらしいところもあるんですよ（笑）。

ラウル：ハハハ、それはいいね（笑）。

－－曲はケイコさんが選んだのですか？

ケイコ：そうです。最初はバラードも考えていたんですけど、やっぱり彼のギターの素晴らしさを出すには、ちょっとリズミックな曲のほうがいいかなと。それにせっかくデュエットできるんだから、ラヴ・ソングがいいと思ったんですよね。それでイメージがすごく湧いたのが、「Feel Like Makin' Love」だったんですよ。

ラウル：自分でも、すごくうまくいったと思っているんだ。ジャズ的なハーモニーの要素もあるし、ケイコの声にとても合っている曲だよね。彼女の声って、すごく官能的だから。

ケイコ：ハハハハハ。自覚はないですけど（笑）。

ラウル：実際、多くの人が知っている曲だし、リスナーは誰かのマネを聴きたいわけじゃないと思うんだ。そこで大事なのは個性で、ケイコの声にはそれがある。

－－来月にはケイコさんが、ビルボードライブのステージに立ちますね。

ケイコ：はい。今回はスタンダードを堪能していただこうと思っています。その中で、「あ、この曲をケイコ・リーが歌うとこうなるんだ」っていうところも観ていただければと。

ラウル：スタンダードをやるっていうのは、重要だよね。みんなが知っている曲で、そこからどういう旅に連れていくかっていうのは、そのシンガー次第だから。それが自分でも楽しいところで。

ケイコ：うんうん、本当にそう。

－－ちなみにケイコさん、いち男性として見た場合、ラウルはどんな存在ですか？

ケイコ：直接会うのは今日で３回目なんですけど、なんか、国籍こそ違うけど、仲がいい同級生みたいな感じなんです。勝手にめちゃくちゃ親近感を感じています。

ラウル：うん、そうだね。自分もそうだしケイコもそうだと思うんだけど、相手を受け入れる寛容の精神みたいなものがあるんだよね。だからこそ、いいレコーディングができたんだと思うし。

ケイコ：きっと長い付き合いになると思います（笑）。

ラウル：そうなることを願っているよ（笑）。