最初はメンバーのことが嫌いだった

▲CLIFF EDGE「サヨナラ I Love You feat. jyA-Me」MUSIC CLIP (Short ver.)

－－CLIFF EDGEは日本語で“崖っぷち”という意味ですけど、どうしてこのユニット名に決めたんですか？

JUN：単純に結成当時が崖っぷちだった。あとは“常に背水の陣の気持ちで頑張ろう”という意味も込めています。もともとは、高校の予備校でSHINと出会ったことがきっかけで結成したんです。最初は嫌いでしたけど。

－－え、嫌いだったんですか（笑）？

JUN：もちろん、嫌いでしたよ。カーディガンを腰に巻いてチャラチャラしてんなぁって。

SHIN：俺は（JUNに対して）何でローファーのかかと踏んでるんだ？って思ってました。ちくしょー、俺もやってみようかなって。

JUN：だけど気付けば仲良くなっていて、色々と遊ぶようにもなって、ある時ノリで街のリハーサルスタジオで曲を録音したんです。それを聴いたときに「俺ら超かっけーじゃん！」ってなり、これは至急ユニット名を決めておかないと！ ということでCLIFF EDGEにしたんです。今思えばかなりヒドイ曲でしたけど、そういう大きな勘違いから始まりましたね。縛られることが嫌いで反骨精神たっぷりで、そのくせ将来の夢は何もなくて。そんな当時の崖っぷちの俺らを救ってくれるのは、この1曲なんじゃないかと本気で思ったんです。

聴かれ方が変わっても音楽は音楽として変わらない

－－では、10月10日にリリースしたニューアルバム『CLIFF EDGE』のタイトルにそのユニット名を掲げた理由は？

JUN：いざ蓋を開けてみたら、まさに俺たちの名刺というか、これが今の俺たちにとって最大限の曲たちですって胸を張れる作品になっていたから。今までのアルバムはテーマを掲げて制作してきましたけど、今回はとにかく“いい曲を作ろう”という想いだけで制作したんです。横浜で一軒家を借りてスタジオみたいにしているんですけど、そこでひたすら曲を作って週に一度会社に来てスタッフに聴いてもらって、投票制で残った曲だけをあげていく。それ以外はお蔵入りだし、もちろん該当無しという日が続くこともあった。そういうストイックな審査を潜り抜けてきた精鋭たちだけでアルバムを作ったんです。だから、リリース日も決まってなかったですね。曲が集まったときに出せばいいじゃんって。

－－“いい曲”を作るってかなり難しくないですか？

JUN：当然トンネルに入った時期もありましたね。努力して出来るものでもないし、だからといって努力しないと絶対に出来ないことだし。時間をかけたから良いものが生まれるとも限らないので、きっぱり捨てることも覚えました。

SHIN：歌詞、メロディ、ラップと、制作の段階から幾つもの審査があるんですよね。歌詞やメロはいいけど俺のラップが微妙で止めていた曲もあるし。でも試聴会は待っているから忍耐が必要でしたね。

JUN：とにかく、耳にした人の心が動くような曲じゃないと駄目だと思ったんですよね。音楽の聴かれ方は徐々に変わってきていますけど、音楽は音楽として変わらないじゃないですか。その音楽は感動できるものじゃないと、結局どんなプロモーションをして頂いても人には届かないと思うんですよ。それは泣く感動だけではなくて。

－－何故、今回テーマを掲げずに制作しようと？

JUN：俺たちが一番大切にしていることは言葉だから、テーマがあるとそこに縛られてしまう気がしたんです。曲の作り方も、まずは自分が今伝えたいことを一気に書いて、そこにメロディを付けていくやり方でしたね。

－－また、今作には中村舞子、Lil’B、jyA-Meそれぞれとのコラボ曲も収録されています。アルバムには必ずフィーチャリング曲を収めていますけど、相手は毎回どのようにして決めているんですか？

JUN：仲良くなって「一緒に曲やりたいね」「じゃあどんな曲にする？」という流れが多いですけど、今回は曲が出来たあとに「誰にする？」って話し合って決めました。俺たちの音楽は、自分たちで歌った方がいい曲と、女の子が歌った方がいい曲の2パターン出来るんですよ。ただ、中村舞子ちゃんに関しては、もう何回もコラボしていますけど、「U ＆ me ～幸せのカタチ～ feat. 中村舞子」を制作している初期の段階で、これは舞子ちゃんに合うなって勝手に想像していました。

このシーン全体を盛り上げていきたい

▲CLIFF EDGE / Believe ～夢のカケラ～ 【押忍!! 豪炎高校應援團】

－－毎回アルバムにフィーチャリング曲を収録している理由などはあるんですか？

JUN：フィーチャリングは流行りものだと思われがちですけど、大きな話をすれば、このシーン全体を盛り上げていきたいという気持ちが昔からあるんです。素敵なアーティストが大勢いる中で、それぞれ音楽スタイルも得意分野も違うけど、届けたいモノは一緒だったりする。一緒に歌うことで、それを俺たちとはまた別の形で届けてくれたらいいなって思うんです。

DJ GEORGIA：ただ単に声を入れてもらうだけではなくて、2人とも（JUNとSHIN）コラボする相手の人間性を知ったうえで、その人の良さを出そうと意識しながら曲を作る。それは昔から変ってないですね。

－－今後コラボしてみたいアーティストはいます？

JUN：歌だけじゃなくて楽器の人とか。日本人以外も考えたりしますね。

－－また、リード曲「誓い」は大きな愛を歌ったラブソングになっていますけど、この曲はどんな想いを込めて制作したんでしょう？

SHIN：恋人同士って傷つけ合ったり喜び合ったりしていく中で、徐々に相性が合ってくるものだと思うんです。自分の価値観とかを“変える”のではなくて少しずつ“合わせていく”。そうすると、最初は見た目で好きになったけど、徐々に顔とか関係なくただ“君がいるだけでいい”と思えるようになると思うんです。その瞬間を描きたかったんですよね。一緒に笑い合えるだけでいいよって思えた瞬間を。あとは、みんな「好き」とか「愛している」とかちゃんと伝えろよってことですね。恋人だけじゃなくて友達や家族に対しても。俺は言い過ぎて「うるさい、分かった」って言われるタイプですから。

DJ GEORGIA：毎回アルバムを出すたびに自分たちの成長を感じることができるんですけど、今回一番それを強く感じた曲が「誓い」ですね。2人（JUNとSHIN）はこの1年“人の心に届くものって何ぞや”みたいなものを真剣に掘り下げていて。その象徴が「誓い」だと僕は思うんです。

崖っぷちの状況は常にある

－－もともとCLIFF EDGEの曲にはラブソングが多いですけど、それは何でですかね？

JUN：僕らは楽しい空間をより楽しくしたり、笑顔の人を更に笑顔にするような音楽は苦手な方で、どこかに泣きというか、涙だったり苦労だったりが含まれているんです。躓いたり悩んだりしている人に対して、何かしらの心の支えというか、“少しでも前向きになれる音楽を届けることができたら”という気持ちで歌っている。もしかしたら「何で自分だけこんなに辛いんだ」って思っている人がいるかもしれないけど、俺らも同じような体験をしてきて、俺らはこうやって潜り抜けてきたよっていう道しるべというか。そういう意味を持ったラブソングが多いかもしれないです。色っぽい感じのラブソングとは違うものですね。

SHIN：CLIFF EDGEを続けて12年経ちますけど、メンバー内でもめたこともありましたし、苦労したこともあった。その度に乗り越えてきて、それを歌にしているだけなんですよね。

JUN：ただ、崖っぷちの状況は常にあるよね。「もう崖っぷちじゃないですね」とか言ってくださる方もいますけど、常に何かしらある。それは誰もがそうだと思いますけど、常に進んで行く以上問題は出てくる。

－－「Forever Love」はCLIFF EDGE初のウエディングソングになっていますけど、結婚について歌おうと思ったきっかけは年齢なども関係しているんですか？

JUN：“自分がもし結婚したら”という気持ちで曲を書いたのは初めてなんですけど…どうなんですかね。沢山ラブソングを書いてきて、恋愛の一つの節目である結婚について書いたことがないと気付いたからかも。ただ、そこに気付いたきっかけは周りが結婚していっている現状があるのかもしれない。

SHIN：（以前は）ぼんやりしていたよね、結婚に関して。でも最近になって周りの仲間たちが結婚していってリアルになってきた。結婚をしていない自分にとって、最上の愛はここだなって思いますね。

自分のやりたい放題、大暴れできた曲

▲CLIFF EDGE / 5th Album「CLIFF EDGE」

－－「100万回のメリークリスマス」はユニット初のクリスマスソングになっています。

JUN：最初はメロディもゆっくりなバラードだったんですけど、これをどうしていこうかな？って考えている中で、世界のトレンドの音を熟知しているGEORGIAに投げたんです。そしたら予想以上のもので返ってきて、すげぇなぁって思いましたね。それこそさっき言っていた成長を感じた。

DJ GEORGIA：スウェーデンとか美メロ大国にある4つ打ちって、日本でもイケるんじゃないかっていうところでこういうアレンジになりましたね。泣きながら踊れるというか。もともと踊らす曲が好きっていうのがありますけど、僕はこの1年エレクトロサウンドとか、そういう4つ打ちについて掘り下げていて。僕なりの試行錯誤がつぎ込まれていますね。自分が興奮できるものを作りたいという想いもあったので、楽しかったです。その分、思ったものを音に出来るまでの苦労もありましたけど。

－－今回skitもいい味を出していますよね。

DJ GEORGIA：「Million KISS ～skit～」は自分のやりたい放題、大暴れできた曲ですね。もう一つの「With… ～skit～」は、その前に収録しているアゲアゲナンバー「“お” やってる !? ライダー」からお口直しして、次のバラード曲「君のために… ～You’re the only one Pt.4～」へすんなり入りこめるように。コース料理のスプリッツァーみたいな意味で入れてあります。可愛らしい曲調でリラックス出来ると思うので、寝る前にも聴いてほしいですね。

JUN：俺らは言葉が大切と言いつつ、サウンドをほったらかしにしているつもりは全くないし、一音一音大事にしている。そこもアルバムには必ず入れたいので、skitは必須ですね。ファッションや音楽って流行も大事だと思うんですよ。普遍的なものにトレンドを入れておくと、分かる人には分かるし、そうじゃない人でも「何か分からないけどいいね」ってなりますし。制作側のエゴかもしれないですけど、そういう想いは常に持っていますね。

蝶野正洋さんが「いい曲だな」って褒めてくれた

－－では、今回のアルバムは自分たちでどんな1枚になったと思いますか？

DJ GEORGIA：金太郎飴です。どこから切ってもちゃんとCLIFF EDGEの顔が出てくるぞっていう。（スタッフたちが笑う中）みんな笑ってますけど、結構本気で言ってます。

－－（笑）。JUNさんとSHINさんはどうですか？

JUN：楽曲はもちろんMUSIC CLIP（初回盤の付属DVDに収録）でも色々な一面を見せることができたと思います。「誓い」では壮大な自然の中でラブソングを情熱的に歌っていて、振り付け教則ビデオにもなっている「KISS ! KISS !! KISS !!!」では俺らがホストに扮していて。あと「Believe ～夢のカケラ～」に関しては蝶野正洋さんにも出演してもらっていますし。

－－蝶野さんとはもともと知り合いだったんですか？

JUN：去年の夏、福島の復興支援イベントでお会いしたとき、挨拶をしたらとても気さくな方で。「NO LIMIT ～勇気をキミに～」という俺たちの曲があるんですけど、「あれはいいね。いい曲だよ」って褒めてくださって、電話番号を交換させて頂いたんです。この前も急に電話があって何だろう？と思ったら「「Believe ～夢のカケラ～」はいい曲だなぁ」って（笑）。それだけのために電話をくれたんですよ。これからライブとかでも色々と絡んでいけるかもしれないので、楽しみにしていてください。

－－最後に、今後CLIFF EDGEはどうなっていくんでしょう？

JUN：音楽業界が不況と言われていますけど、手に入れ方が変わっているだけで、音楽を聴かなくなっているわけではないと思うんですよ。それに対して悔しい部分がないと言ったら嘘になりますけど、まずはライブを大事にしたいですね。だから主催イベントも続けていきたいし、色々なアイディアを出してチャレンジしていきたい。あと、武道館でライブがしたいですね。小さい街のリハーサルスタジオから始まったユニットが、そんなでっかい舞台に立てるようになるっていう、夢が実現するまでのストーリーをみんなに見せたい。