BTSの映像作品19タイトルがdTVで独占配信

　2021年の【第63回グラミー賞】で＜最優秀ポップ・デュオ／グループ・パフォーマンス賞＞にノミネートされたBTS。2019年には授賞式にプレゼンターとして参加、韓国アーティストとして初めてグラミー賞のステージに立ち、2020年にはリル・ナズ・Xらとパフォーマンスを披露したが、今回初めての単独パフォーマンスとして楽曲「Dynamite」を披露。世界中で大きな話題となった。

　グラミー賞だけでなく、BTSは2013年のデビュー以来、様々な韓国アーティスト初／アジア圏アーティスト初の快挙を成し遂げてきた。そんな彼らの功績を追うにふさわしい映像作品19タイトルが、2021年3月5日よりdTVで順次独占配信中だ。そのラインナップは、2017年から2020年の3年間にリリースされた映像作品。第1弾は8本のライブ映像と1本のバラエティ番組（全8話）を含む全9タイトルとなっている。

　パッケージ作品と違い、映像配信サービスは好きなときに好きなデバイスで利用できる。dTVはスマートフォン、タブレット、パソコン、テレビにも対応しており、BTSの各タイトルは、何度でも繰り返し視聴可能となっているため、ARMY（BTSファンの総称）が好きな映像をいつでもどこでも気軽に楽しむことができるほか、いまからBTSを追いたい人にも手が出しやすいだろう。同じツアーでも公演によってそれぞれ特色があるため、改めて比べてみるのも面白い。

　この記事ではBTSの軌跡を振り返りながら、全9タイトルの魅力を紐解いていく。

【2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR】

　2016年、BTSは2枚目のアルバム『WINGS』をリリースし、米ビルボードのアルバム・チャート「Billboard 200」において、K-POPアーティストとしては当時最高の26位にランクイン。そんな本作を引っ提げて2017年に開催されたのが、ワールド・ツアー【2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR】。2014年より始まったライブシリーズ3部作のラストという、一つの区切りとなったツアーでもあった。

　その皮切りは、2017年2月18日と19日に韓国・ソウルにある高尺スカイドームで開催された【2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR IN SEOUL】（配信映像はDAY2）。ネオン管のようないくつもの三角形の骨組みが浮き上がり、空中で翼（WING）に変化するという印象的な演出から、大勢のダンサーと共に「Not Today」を披露。出だしから迫力あるパフォーマンスで観客の心を掴み、ワールド・ツアー開幕にふさわしい華やかなステージを繰り広げた公演である。

　ソウル公演から4か月後には、2017年6月20日から22日までさいたまスーパーアリーナ公演【2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR ～Japan Edition～】を開催（配信映像はDAY2）。アルバム『WINGS』のリード曲「血、汗、涙」の日本語バージョンや、毎度おなじみ日本語でのMCも含め、BTSからARMYへの深い愛が込められた。

　さらに、このツアーでは日本初のドーム公演が実現。それが2017年10月14日と15日に京セラドーム大阪で開催された【2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR IN JAPAN ～SPECIAL EDITION～】である（配信映像はDAY2）。「Not Today」が日本語バージョンで披露されるなど、同公演では幕開けから日本だけの演出が見られるのが特徴だ。

　BTSは公演約1か月前、9月に5枚目のミニアルバム『LOVE YOURSELF 承 'Her'』をリリースした。米ビルボード「Billboard 200」にて7位にランクインして、自身が持つK-POPアーティストとしての記録を塗り替えたほか、収録曲「DNA」で米ビルボードのソング・チャート「Billboard Hot 100」に初ランクイン。京セラドーム公演は、この快挙を成し遂げてから初めてのコンサートであり、大ヒット曲「DNA」もライブ初披露された。

　2017年12月8日から10日にかけてまで、再び韓国・ソウルにある高尺スカイドームで開催された凱旋公演【2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR THE FINAL】はツアーファイナルとあって、これまでの【THE WINGS TOUR】各公演とは違った特別なステージとなっている（配信映像はDAY3）。

　オープニング映像では、2013年のデビュー時から抱いてきた苦悩、その先に見つけた希望をメンバーが独白し、ツアー期間中にK-POPアーティストとして初めて受賞した【2017 ビルボード・ミュージック・アワード】＜Top Social Artist＞の映像が流れる。なお、そこで親交を深めたスティーヴ・アオキによる「MIC Drop」リミックスであり、「Billboard Hot 100」28位を獲得したナンバーで、BTSはコンサートの幕を開けることになった。

　セットリスト全体を見ても、BTSが練習生時代に制作した「We Are Bulletproof Pt. 1」から、当時の最新曲まで網羅したセットリストで、それまでのBTSの歴史が凝縮されているかのよう。グローバルな人気が急速に高まってきていた時期に行われた【THE WINGS TOUR】には、BTSが世界に認められるようになるまでの歴史が詰まっていると言えるだろう。

【BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF'】

　2017年の【THE WINGS TOUR】敢行中に『LOVE YOURSELF 承 'Her'』を発表したのち、BTSは2018年に3枚目のアルバム『LOVE YOURSELF 轉 'Tear'』を、そして上記2作品のから抜粋した既存曲に新規曲を追加したリパッケージ・アルバム『LOVE YOURSELF 結 'Answer'』をリリースした。これが＜LOVE YOURSELFシリーズ＞3部作である。

　前述したように、『LOVE YOURSELF 承 'Her'』は米ビルボード「Billboard 200」で7位を記録し、アルバム『LOVE YOURSELF 轉 'Tear'』はついに1位を獲得。これはアジア圏アーティスト初の大記録となった。続く『LOVE YOURSELF 結 'Answer'』も同チャートで1位となり、2作連続1位という快挙を達成。ワールド・ツアー【LOVE YOURSELF】は、その『LOVE YOURSELF 結 'Answer'』リリース直後、2018年から2019年にかけて開催されたものである。

　始まりの地はもちろん韓国。2018年8月25日と26日にソウルオリンピック主競技場で【BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' SEOUL】が開催された（配信映像はDAY2）。野外スタジアムだからこその日暮れはロマンチックで、花火やウォーターキャノンなどの豪華な演出もステージに華を添えた同公演。大きな会場での久しぶりのコンサートとあり、メンバーは緊張していたとのことだが、楽曲「IDOL」をはじめとした『LOVE YOURSELF 結 'Answer'』収録曲を軸とした圧巻のパフォーマンスを見せている。

　そして初の日本ドームツアーが、2018年11月13日と14日に開催された【BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' JAPAN EDITION at 東京ドーム】からスタート（配信映像はDAY2）。東京ドームでのライブは“日本デビュー時からの夢”だったとあり、メンバーは「東京ドーム！」と大声で喜びを表しながら、ファンに感謝を伝える。メドレー部分など日本語バージョンが多く組み込まれたセットリスト、熱の入ったパフォーマンスからも、最高のステージを展開しようという彼らの気持ちが伝わってくる公演だ。

　なお、日本ドームツアーが始まる前には、初のヨーロッパツアーも行っていたBTS。その幕開けとなった2018年10月9日と10日にロンドンのO2アリーナで開催された【BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' LONDON】では、感動的なシーンも多く見られる（配信映像はDAY2）。

　様々な困難もありながらツアーは続き、無事日本ドームツアーを迎えることになったわけだが、そのファイナルは2019年2月16日と17日に開催された【BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF' JAPAN EDITION at 福岡ヤフオク!ドーム】（配信映像はDAY2）。東京ドーム公演とはメドレー部分のセットリストが大きく変わっているほか、ワールド・ツアー自体がフィナーレに近いとあり、メンバーも感慨深げ。この時点では世界的人気を不動のものにしていたBTS。彼らの覚悟と貫禄が【BTS WORLD TOUR 'LOVE YOURSELF'】には収められている。

『BON VOYAGE Season 4』

　2016年にスタートした旅行バラエティ番組『BON VOYAGE』。2019年に制作された第4弾の舞台は、冬のニュージーランドの南島。第1話の会議で、キャンピングカーをメンバー自らが運転し、様々な場所へ向かうことが決定する。体験するのは絶景を楽しめるリュージュ、世界最大の空中ブランコであるネヴィス・スイング、テカポ湖での天体観測、マウント・クックでトレッキング、釣りなど。

　コンサートのMCではメンバーのお茶目な一面も知ることができるが、番組にはステージ上とは違うリラックスしたBTSの素顔が映し出されている。自然体だからこその7人の個性が光っており、彼らの仲の良さは見ている方が思わずにっこりしてしまうほど。なるほど一糸乱れぬ圧巻のパフォーマンスは、メンバー間の信頼と親密な関係の上に成り立っているわけである。世界中のARMYを虜にするBTSの人間性を知ると、コンサートもより楽しめるに違いない。