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神はサイコロを振らない 柳田周作(Vo.)が音楽を作り続ける理由――「神サイの音楽で生かし、生かされている」



神はサイコロを振らないインタビュー

 2020年に「夜永唄」がSNS、ストリーミングを中心にロングヒットを記録し、柳田周作(Vo.)の表情豊かなボーカルと、バンドの持つ世界観が注目され、知名度を大きく上げたロックバンド、神はサイコロを振らないが1stシングル『エーテルの正体』をリリース。「未来永劫」(TVアニメ『ワールドトリガー』2ndシーズンエンディングテーマ」)、「クロノグラフ彗星」(ドラマ『星になりたかった君と』主題歌)を含む本作には、柳田が紡ぎ出す歌を中心にしながら、音楽性・サウンドメイクを進化させ続ける“神サイ”の新たな表現が刻み込まれている。本作『エーテルの正体』とバンドの現状について、柳田に聞いた。

“ライブをやりたい”という
気持ちが強まっていたからこそ生まれた曲

――2020年7月にメジャー第1弾デジタル・シングル「泡沫花火」、11月にデジタルEP『文化的特異点』、そして2021年3月に1stシングル『エーテルの正体』をリリース。メジャー・デビュー以来、順調にリリースが続いてますね。

柳田周作:そうですね。前作のEPを出した後も制作を続けていて、とっておきの4曲が揃ったところで「フィジカルCDを出そう」ということになって。けっこう短いスパンで、間髪入れず作った感じです。

――去年はほとんどライブができなかったと思いますが、制作は継続していたと。

柳田:神サイを結成して5年になるんですけど、去年がいちばん濃厚でした。メンバー、スタッフが一丸になって、必死に食らいついて頑張っていたし、ライブはなかったけど、すごく充実していたと思います。

――今回のシングルにも、神サイの新しい表現が感じられる個性豊かな楽曲が揃っていて。まず1曲目の「未来永劫」はTVアニメ『ワールドトリガー』2ndシーズンのエンディングテーマ。『ワールドトリガー』の主要な3人のキャラクターをイメージして制作されたそうですね。

柳田:はい。原作のマンガも以前からずっと読んでいたし、3人の人間模様を描きたいと思って制作に取り掛かって。でも、気付いたら自分の過去のこともオーバーラップして書いてたんですよ。中学校から仲がいい友達が2人いるんですけど、今でも週2くらいで電話するし、あっちから「神サイの曲、カラオケで歌った」って動画が送られてきたり(笑)。学生の頃は3人で何時間もかけて自転車で海に行ったり、河川敷でヘンなムービー撮ったりしてて。笑いあったり、涙しあったり、ときにはケンカしたり……という青春の日々を書き連ねていたら、『ワールドトリガー』の世界とも自然とリンクしてたんですよね。


――なるほど。バンドに対する感情も重なっているのでは?と思ったのですが。

柳田:ベースの桐木(岳貢/Ba.)も「バンドのことを歌ってるのかと思った」って言ってましたね。確かに神サイも一人一人の光はそんなに強くないし、この4人が一緒になって初めて大きな光になれるという解釈もできるのかな、と。聴く人によっては家族のことを浮かべるかもしれないし、いろんな視点で聴いてもらいたいですね。

――きらびやかな光を想起させるサウンドも、歌詞の世界とリンクしていて。

柳田:そうなんですよね。最初はもっと男くさい、泥くさいロックだったんですよ。でも、歌詞が出来上がるにつれて、懐かしさ、エモーショナルなところと同時に、キラッとした音が欲しいなと思って、サウンドの重心を上げたんです。歌詞が呼ぶほうにアレンジしていって、この形になったというか。

――『ワールドトリガー』のファンのみなさんからの反応はどうでした?

柳田:ネットやSNSとかで見ていると「このバンド知らなかったけど、いい曲」とか「原作をちゃんと読んでる人が書いてる歌詞だ」という意見やメッセージもあって。「こちらこそ、すいません」という感じですけど(笑)、喜んでくれてる人もたくさんいて嬉しかったですね。作って良かったなと思いました。神サイはディープな曲が多かったんですけど、「未来永劫」は前向きというか、優しい歌になった気がしていて。MVでもめっちゃいい顔で歌ってるんですよ(笑)。自然な感じで笑ってるし、映像を観たときに「ひとつ殻を破れたのかな」と思いましたね。

――2曲目の「クロノグラフ彗星」は疾走感のあるアッパーチューン。この今日はドラマ『星になりたかった君と』の主題歌ですね。

柳田:擦り切れるくらいまで台本を読んでから制作に入りました。『星になりたかった君と』は、“主人公の大学生が小さいときに新星を見つけた”というのがポイントになっていて。それを自分たちに置き換えると、同じ夢を見て頑張ってるメンバーとの関係だったり、僕らとファンのみなさんとの関係ともリンクしていたりするのかなと。2020年はライブがほとんどできなくて、ファンのみなさんの声を直接聞くことができなくて。でも、僕は頑張って走り続けていたし、ファンの方もSNSを通してたくさんメッセージを送ってくれたんです。「リリースおめでとう」だったり、「神サイの音楽のおかげで、明日も頑張ろうって思えます」だったり。そうやって繋がれるのはすごく素敵だし、そのことも歌詞に落とし込めたと思います。アレンジに関しては、ライブをイメージしてたんですよ。<Oh Yeah!>というシンガロングのパートもそうだし、ライブの景色を思い浮かべながら音を選んで、アレンジを作っていったので。「ライブをやりたい」という気持ちが強まっていたからこそ生まれた曲ですね。


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