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<インタビュー>川崎鷹也が他者に想いを分ける理由、歌い手としてのルーツに迫る
2018年に発表した楽曲「魔法の絨毯」がTikTokでバイラル・ヒットして以降、そのハスキーな歌声と切実なまでにリアルを綴る歌詞が支持を集めるシンガー・ソングライター、川崎鷹也。1月15日には“卒業”をモチーフにした最新シングル「サクラウサギ」をリリースし、コロナ禍によってコミュニケーションの在り方が変容しかけている現代にあって、多くの若者たちが各々の想いをその歌に重ねている。そもそも彼が自分自身のリアルとして、愛情や感謝といった想いを歌にのせ、他者に届ける理由とは? 「サクラウサギ」に込められた願いやシンガー・ソングライターとしてのルーツから、その在り方に迫る。
人に恵まれているなと自分でも思う
――2020年夏頃からTikTokを中心に注目を集め始めた「魔法の絨毯」は、最近だとBillboard JAPANの新人チャート“Heatseekers Songs”で5回の首位を獲得するなど、ますます社会的な知名度を広げています。この曲のヒットによって、周囲の環境はどのように変わりましたか?
地元の友達や親戚から連絡をたくさんもらうようになりました。もちろん彼らも僕が音楽をやっていることは知っていたけど、世間的に有名なアーティストというわけでもなかったし、みんなもどう連絡していいか分からなかったと思うんですよね。でも、「魔法の絨毯」が広まったことをきっかけに「俺の友達がお前のことを知っていたよ」とか、そういう連絡くれる人がすごく増えて。あとは、街で歩いているときに声を掛けてもらったり。色々変わりましたね。僕自身はそんなに変わってないんですけど、周りの反応だったりが。
川崎鷹也-魔法の絨毯【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
――昨年11月には務めていた会社を辞められたんですよね。音楽一本で生きていきたいという気持ちはサラリーマン時代からずっと持っていたのですか?
そうです。僕が働いていた会社はクリエイティブなことを大事にしているというか、音楽やカルチャーを重んじていた会社だったので、むしろ僕の考え方を尊重してくれていたし、ライブがある日だと「働いている場合じゃない。行ってこい!」と言ってくれるところで。面接のときも「音楽をやっているので、そのためにも人間性を育てて、成長できたらいいなと思っています」みたいなことを言ったら、「面白いね」って。
――素晴らしい会社じゃないですか。
上司に「なんで僕のこと採用してくれたんですか?」と聞いたら、「面接で音楽の話しかしなかったの、お前しかいないよ。そんな人はほかにいなかったから」って(笑)。同僚や先輩後輩も僕が音楽をやっていることは知っていたし、早く売れてほしいと応援してくれていたので、ありがたい環境で働かせてもらっていたなと思います。
――友人や家族から職場の方たちまで、身近な人たちもサポートしてくれていたんですね。
もう本当に、それに尽きますね。人に恵まれているなと自分でも思うし、みんな心の底から応援してくれていて。会社で同僚の夢を本気で応援してくれる人なんて、なかなかいないと思うんです。
――ところで、SNSで知名度を広げた川崎さんから見て、TikTokというアプリの面白さはどんなところにあると思いますか?
皆さんけっこうコメントしてくれるんですよね。本当に率直な感想を送ってくれるというか。だからこそ、いいものとそうでないものがはっきりする。自分で楽曲を発表していく中でも、いい曲ができたなと思ったら、ポジティブなコメントもたくさんいただけるし、そうでもないかなと思うときは、コメントもそこまでな感じだし。そういうのが顕著に表れていて、良くも悪くもリアルな反応をいただけるのは、TikTokのいいところですね。TwitterやInstagramとはまた違う空気のある媒体だなと思います。
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