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Novel Core × Hina (from FAKY) インタビュー

インタビュー

 19歳のラッパーNovel Coreが、ABEMAの恋愛リアリティー番組『月とオオカミちゃんには騙されない』で共演したFAKYのHinaをフィーチャーしたデジタル・セカンドシングル「天気雨 feat. Hina (from FAKY)」をリリースする。

 TINYVOICE PRODUCTIONのUTAをプロデュースに迎えた本作は、「天気雨」という曲タイトルが示すように、人の心の中にある相容れない思いのようなところにフォーカスした「別れの曲」。ラップではなく全編「メロディを歌う」ことにチャレンジしたNovel Coreにとっても、FAKYというグループを離れてソロ・アーティストとしてフィーチャーされたHinaにとっても、新境地となる作品であることは間違いない。

 そこで今回Billboard Japanでは、Novel CoreとHinaの対談を敢行。「天気雨」のユニークな制作過程を始め、お互いのアーティストとしての印象などざっくばらんに語り合ってもらった。

アーティストとしての、それぞれの印象は?

ーーそもそもコアさんとHinaさんの出会いは、ABEMAの恋愛リアリティー番組『月とオオカミちゃんには騙されない』(以下『オオカミちゃん』)に出演したことがきっかけであり、「half-moon」も『オオカミちゃん』での共演から生まれた楽曲でしたよね。お二人はお互いのことを、アーティストとしてどんなふうに見ていますか?

Novel Core:人って誰しもポジティブな面とネガティブ面の両方を持っていると思うんですけど、僕とかはポジティブな面をすごく前に押し出そうとするクセがあって。弱い部分が見せられなくて、かえって辛くなることがよくあるんですよね。でもHinaはちゃんと両方の感情を受け入れているし、それゆえの芯の強さがある人だなといつも思っています。おそらく「自分の弱さ」みたいなものと向き合う時間も、僕より全然長いんじゃないかなと。そこがHinaのアーティストとしての強みでもあるのだろうなと思っていますね……って、4つ年上の先輩に偉そうにすみません(笑)。

Hina:あははは(笑)。私自身はソロで音楽活動をしたことがないし、ステージにはいつも誰か他のメンバーがいてくれる。自分で曲を作ったこともないので、そういうこと全て自分一人でやっているコアにはリスペクトの気持ちしかないです。あと、頭思考がすごく柔らかいので、いつもすごいなあと思っていますね。

Novel Core:そういった経緯もあり、FAKYが今年2月にリリースした「half-moon」の別アレンジ曲に、僕がフィーチャリング・アーティストとして参加したタイミングで僕の方からも「Hinaをフィーチャリングさせて欲しい」という思いがあって。実はその頃からオファーさせていただいていたんです。

ーーHinaさんにとっては、今回のようにソロ名義でフィーチャーされるのも初めてですよね?

Hina:そうなんです。コアにオファーをもらってからずっと楽しみにしてきました。これまでは「グループとして伝えたいこと」をメインに表現活動をしてきたんですけど、今回はソロで参加させてもらったので、この1年間に自分が感じてきたことをストレートに歌詞に落とし込むことが出来ました。もちろん「half-moon」も濃密なコラボだったのですが、今回もまたすごく濃い経験をさせてもらいましたね。

ーー「天気雨」という曲タイトルが示すように、人の心の中にある相容れない思いのようなところにフォーカスした歌詞になっていますよね。

Novel Core:自分が思っていることと、実際にその場面で必要になってくる選択が食い違うことが、これまでの人生で何度もあって。例えば、すごく笑顔だけど心では泣いていたり、大切なものだからこそ突き放す必要があったり。そんなことをテーマに、いつか曲を書いてみたいと思っていたので、今回それがようやく叶った形ですね。

 もうひとつ、Hinaと僕だからこそ書ける歌詞にしたいなと。"FAKYのHina"ではなく"Hina"と向き合う曲を作りたかった。さっきおっしゃっていただいたように、僕らがそもそも出会ったのは去年の冬、『月とオオカミちゃんには騙されない』という番組内だったし、そもそもあの番組に出演しなければ、僕ら出会っていなかったかもしれない。今、こうやって一緒にインタビューを受けたりしていなかったと思うと、やっぱりあの番組での体験は貴重だったし、それを改めて「今の気持ち」で書き起こしておきたかったんです。そして、去年の冬を完結させるものにしたかった。

Hina:とりあえずお互いに、最近思っていることや近況などをラフに話そうとなって。2人とも去年の冬以降環境がガラッと変わったし、自分が思っている自分の像と、みんなが思っている自分の像がたまに一致していないと感じる時もあったりして、そういうところでお互いが抱えているモヤモヤみたいなものを、歌詞として表現できたのは良かったなと思っています。

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「天気雨」の制作過程について

Novel Core:歌詞も今回、すごく特殊な方法で作っているんですよ。僕は、Hinaが不定期に投稿しているnote(https://note.com/hina_faky)の文章がすごく好きで。TwitterやInstagramなどで見せている「FAKYのHina」としての一面とはまた違う、彼女の一番「素」の部分がそのまま出ているような気がするんですよね。改行の仕方には感情の起伏のようなものを感じるし、そこに並んでいる言葉たちはとても生々しくてリアル。その感じをこの曲に反映させたいということを、割と早い段階でHinaには伝えました。「ここ最近、思っていることを、noteに投稿するような気持ちで送って欲しい」と。

 実際に歌詞を書いたのは僕ですが、Hinaからもらった文章をほぼそのまま使ったところもあります。特にHinaが歌う部分のリリックに関しては、そのメモが元になっているところが多いですね。

Hina:コアにはたくさんの文章を送ったんですけど、その中で一番言いたかったことや、一番大事にしたかったところをそのまま使ってくれていたので、歌詞を読んだときには「ああ、本当にちゃんとわかって、汲み取ってくれているんだな」と思ってすごく嬉しかった。もし、私が一人で歌詞を書いたとしても、こんなふうには完成させられなかったと思う。

ーーある意味、Hinaさんのプロデュースをしている感じでもありますね。

Novel Core:ああ、なるほど。Hinaにはいつか作詞をしてみて欲しいと、今回のコラボで改めて強く思いました。Hinaにしかない言葉を持っているし、しかもそれは、多くの人が心の奥底に持っている感情みたいなものとも繋がっていると思うんです。noteも、Hina自身の感情を書き殴ったものなのに、決して独りよがりじゃなかったし。歌詞でも何でもいいんですけど、Hinaにはこれからもどんどん発信していってほしい……って、何目線だよ?という感じですが。

Hina:あははは! いやいや、頑張ります。今回一緒にやってみて、コアは人を否定することが本当になくて感銘を受けました。私が送った文章や、曲タイトルの意見に対しても、「いやいや、それは」みたいなこと言われたことが一度もないんですよね。まずは受け止めてくれて、そこからさらに良いものを提示してくれる。スタッフさんとの会話を聞いていても、「それは違います」「それは嫌です」みたいに、否定からは絶対になくて。誰に対してもそう振る舞えるのって、できそうでできないことだと思うので。

ーーこの曲のトラックはどのように作っていきましたか?

Novel Core:今回、「half-moon」のトラックも手掛けてくださったUTAさんにお願いしました。曲の持つイメージを伝えるために、まずは僕の頭の中にある映像のイメージ、朝でも夜でもない「夕暮れ」の光景を説明して、そこからサウンドに落とし込んでもらっています。そんな抽象的なリクエストだったにも関わらず、UTAさんから送ってもらったトラックが本当にイメージ通りだったので本当に驚きました。「ギターが印象的に鳴っているトラックにしてほしい」とも伝えたのですが、メインのギターの感じも求めていた通りだったし、ドロップの部分で音像がバーっと広がっていくのも、僕が思い描いていた映像のイメージがそのままサウンドになったようでした。

ーー今回Coreさんはラップではなくメロディを歌いきることも、最初の段階から決めていた?

Novel Core:決めていました。今回、シンガーとしての一面をクローズアップした曲にしたいという思いがあって。これまでやってこなかった試みだったのですが、UTAさんにディレクションしてもらいながら頑張りました。本職がラッパーなので、ものすごく大変でしたが(笑)。

Hina:コアはシンガーでもあると思うよ?

Novel Core:いやいや(笑)、コーラスとかこんなに重ねたことなかったし……。実はこの曲、聴き取れるか聴き取れないかくらいの音量で、隠し味的に重ねているコーラスが結構あるんですよ。それらも全て歌って重ねていったので、かなり苦戦しました。しかも今回、Novel Coreとしては初の日本語タイトルだったし、歌詞も基本的には日本語オンリーでいこうと思ったんです。英語の言い回しや響きに「逃げ」ず、歌詞のテーマをストレートに伝えたかったというのもありました。新しいことにチャレンジすること自体は大好きなので、Hinaとの作詞も、UTAさんとのトラックメイキングも、どちらも楽しく刺激的な体験でしたね。

Hina:私も今回、FAKYでのボーカルスタイルとは差別化させたかったので、最初コアに伝えたのは「歌い上げるボーカルではなく、語りかけるようなボーカルにしたい」ということでした。最近、FAKYでも「ダーリン」という曲で、歌録りの時にボーカルブースの電気を消して、椅子に座って語りかけるように歌ったんですけど、それが個人的にすごくしっくりきたんです。「天気雨」のボーカル録りにもきっと向いているやり方だと思ったんですけど、そういう私からの要望をコアもUTAさんもしっかり汲み取ってくださって。今回、一人ということで最初は不安な気持ちもあったのですが、プリプロに入る段階では全て払拭されていました。

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歌詞の中で、それぞれが大切にしているフレーズとは

ーーこの曲の歌詞の中で、お二人が大切にしているフレーズはどこですか?

Novel Core:僕が大切にしているのは、“失う前に手放そうとするのが 僕の悪い癖”という、楽曲のテーマにも関わってくるフレーズですね。というのも僕自身、これまで恋愛に限らず人と向き合うときに、それが尊いものになり過ぎてしまうことを怖がるところがあって。これは母親に指摘されて初めて自覚したのですが、失ったときに傷つくくらいならって、最初から壁を作ってしまうんですよね。

ーーコアさんのそういう考え方に、何か決定的な影響を与えるような大きな出来事が過去にあったのでしょうか。

Novel Core:幼い頃に両親が離婚したり、それがきっかけで転校したりしたので、一つひとつの出会いや別れがトラウマみたいになっているのかもしれないですね。「大切なものを、大切だと思い過ぎないようにしよう」と、人に対してもモノに対しても考えるように決めたというか。

 大切なものが増えるのって怖いじゃないですか。増えれば増えるだけ責任も伴うし、あとで失うことも多くなる。いずれにせよ必ずいつか失うことになるものだから、それを恐れていた自分がずっとどこかにいるんです。

ーーそれは、今も続いている感覚ですか?

Novel Core:メジャーデビューして、スタッフさんが増えて、新しい人たちとたくさん出会い、楽しく幸せに音楽が出来るようになってからは、大切なものを「大切だ」と言い切れるようになってきました。「大切なものだから守らなきゃ」という気持ちも最近は働くようになったので、だからこそこのタイミングで書けた歌詞だったのかもしれない。このフレーズが「天気雨」のメインテーマになることを素直に入れられたのは、19年間の人生に一つピリオドを打って、前に進めた証拠だと思っています。

ーーHinaさんが大切にしているフレーズは?

Hina:私は“いつも言いたい事は言えない事で 聞いてほしい声は聞こえないのに”というフレーズ。これは、私がコアに送ったテキストの中にあった言葉で、コアはそのまま歌詞として使ってくれたんです。

 こういうアンビバレントな気持ちって、誰もが様々な場面で感じていることなのかなと。特にここ数年はSNSが広がって、誰もが自分を表現したり発信したりする機会がすごく増えたましたが、それと同時に心の中で一番言いたいことを、気軽にツイートできなかったりすると思うし、そこのギャップで自分は悩むことも多いんです。きっと、多くの人が同じような気持ちを抱えているのではないか?と。そういう思いを抱きながら書いたフレーズなので、これからも大切にしていきたいです。

ーーいつかライブでも披露して欲しい曲ですよね。

Novel Core:やるならちゃんとやりたいんですよ。ここまで作詞作曲はもちろんMV撮影にもこだわって、僕たちが伝えたいことをギュッと凝縮した曲なので、それを何となくやってしまうのはもったいないと思ったんです。もちろん、ライブはすぐにはできないかもしれないけど、自分のツアーとか、演出や照明、セットなど込みで僕自身がちゃんと関われるステージで披露したいと思っています。その際は再度、Hinaさんにオファーさせていただきますのでぜひともよろしくお願いします!(笑)

Hina:お待ちしてます(笑)。

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