Special

K-POPファンも韓流好きも必見 人気韓国ドラマを支えるOSTとは?



top

 BTSやBLACKPINKといったK-POP勢の躍進、映画・ドラマといったMADE IN KOREAの映像作品の人気ぶりが、この2020年は大きく注目された。『愛の不時着』と『梨泰院クラス』を筆頭に、ストーリーやキャラクター、はたまた演者に惹きつけられ、ステイホーム期間中に韓国ドラマにハマったという声が続出し、多くのメディアでも取り上げられた。今年の【ユーキャン新語・流行語大賞】には“愛の不時着”がトップ10に選出されている。

 視聴者の心を掴んでやまない韓国ドラマには、日本とは違い、1話のなかに何曲ものOST(いわゆる劇中歌)が登場するのだが、このOSTがかなりの大役を担っている。著名アーティストが歌っていることもそうだが、キャラクターの心情や情景とリンクするため、ドラマ終了後もその世界観に浸れるところが人気の理由の一つと言える。

 12月16日には、この空前の韓流ブームをさらに盛り上げるOST集『We ラブ 韓ドラ -OSTヒッツ・コレクション-』が発売(リリース日は人気俳優パク・ソジュンの誕生日でもある)。人気ドラマの中から選りすぐりの楽曲をコンパイルしたこの作品のリリースを記念して、本作のスーパーバイザーで、ライナーノーツも担当した今泉圭姫子氏にOSTの役割について、詳しく解説してもらった。

第4次韓流ブーム到来!
全国に笑いと涙とときめきを届けた韓国ドラマ

 【第63回グラミー賞】のノミネートが発表になった。多くの期待に応えるかのように、全米No.1という快挙を成し遂げた「Dynamite」で、BTSが<最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞>にノミネートされた。韓国エンターテインメントの勢いは止まらない。2020年は、映画『パラサイト 半地下の家族』が、世界の映画賞を総なめしたことから始まった。そして、ついには<アカデミー賞最優秀作品賞>に輝いている。韓国は、国策として韓国文化、芸術を世界へ輸出することに力を注いでいる。しかし、いきなり脚光を浴びたわけではない。音楽の世界を例にするなら、アーティストたちは毎年のように海外ツアーを試み、言葉の壁を乗り越え、小さなライブハウスからアリーナ会場へとキャパシティを広げ、段階を踏んで世界進出を企ててきた。その方法論は、至ってシンプルだ。それが結果として、2020年の快挙につながったという訳だ。BTSだけでなくBLACKPINK、MONSTA X、SuperM、NCT 127等もそういったアーティストたちだ。


▲BTS「Dynamite」


▲BLACKPINK「How You Like That」

 韓国エンターテインメントの成功は、音楽、映画だけに限らない(これからは文学だと言う説もある)。以前から、韓国ドラマも世界制覇を遂げた文化の一つとして知られている。今では、主演俳優がキャスティングされた時点で、そのドラマの世界への輸出が決まってしまうぐらいだ。内容を疎(おろそ)かにしているわけではない。人気俳優陣が熟知して選んだ脚本なら、作品も間違いないだろうという信頼性が、ドラマ人気に繋がっている。

 2020年、世界を襲ったパンデミック“新型コロナ”の影響で、私たちはステイホームを余儀なくされた。精神的な不安は、まだ続いている。そんな中、何よりも心の拠り所となったのが、韓国ドラマだ。最近では衛星放送だけでなく、Netflixをはじめとする会員制のストリーミング・サービスで、韓国ドラマはより身近なものになった。2月に韓国で放映終了後、すぐに全話がNetflixで世界の韓国ドラマ・ファンに届けられたヒョンビン、ソン・イェジンのトップスター主演による『愛の不時着』は、そういったストリーミング・サービスが中心となる新しい時代に生まれた大ヒット作となった。これを第4次韓流ブームと言う。

 『愛の不時着』は、いわば現代版ロミオとジュリエット。叶わぬ愛と知りつつ、惹かれあう二人が、多くの壁を乗り越えて愛を貫く。しかし、このドラマの魅力は、悲しみ、苦しみだけではない。北朝鮮の軍人役となったヒョンビンのスタイルのカッコよさ、ソン・イェジン演じる財閥のお嬢さんの駆け引きのない素直な生き方、北で生活する村の人々との交流、ヒョンビンの部下である軍人との絆など、楽しいラブコメの要素もふんだんに折り込まれ、そんな粋な場面が、心を和ませてくれたのだ。このドラマは、ステイホームでストレスが溜まっていた私たちに、笑いと胸キュンの楽しみを同時に与えてくれた。そして、ストーリーの力とその場面場面に流れる音楽が、ドラマ全体を盛り上げたのだ。

 韓国ドラマの魅力は、音楽、歌声が見事にドラマとマッチしたOST楽曲の存在によるものが大きい。今や韓国ドラマには欠かせない、大切な要素の一つとなっている。『愛の不時着』にも、数多くの名曲がドラマを彩った。ペク・イェリンが歌う「Here I Am Again」は、イントロを聴いただけで、その場面が目に浮かび、歌声が聴こえてくるとヒョンビンとソン・イェジンが見つめ合うシーンがすぐに想像できる。音楽のマジックがなせる技だ。


▲ペク・イェリン「Here I Am Again」(『愛の不時着』より)

 2020年を象徴する韓国ドラマの1つに、今や若手俳優No.1のパク・ソジュン主演の『梨泰院クラス』がある。若者が挫折から這い上がり、亡くなった父親の生き様を手本に、起業家として成功していく姿を描いた物語。恋愛パートはほぼ無いが、だからこそパク・ソジュン演じるパク・セロイの一途な姿に胸が打たれるのだ。純粋を絵に描いたようなセロイの生き方は、見ているものを奮い立たせてくれた。そのバックに流れたGahoの「はじまり」は、ドラマを離れた日常でも、私たちの歩く歩幅を力強くさせ、しっかり前を向いて進んでいこう、とメッセージする人生の応援歌になった。


▲Gaho「はじまり」(『梨泰院クラス』より)

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. EXO、MAMAMOO、Red Velvet…
    人気シンガーが勢ぞろい
  3. Next >

関連キーワード

TAG