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ビルボードジャパン 年間ランキング2020発表~【HOT 100】はYOASOBI「夜に駆ける」、【HOT Albums】は米津玄師『STRAY SHEEP』が獲得

ランキング2020


 【ビルボードジャパン 年間チャート2020】が決定。世界中が新型コロナウイルスの感染流行という、未曾有の危機に襲われた2020年。音楽業界にとっても非常に苦しい1年となったが、そんな中でも従来の地上波発信型、メディア・ミックス型、音楽フェス発信型に加え、TikTokとYouTube、SNS、ストリーミングによるヒットのパターンが日本でも確立されるという新しい動きも見られた。

 総合ソングチャート【HOT 100】、総合アルバム・チャート【HOT Albums】、さらに【HOT 100】と【HOT Albums】のポイントを合算したアーティスト・ランキング【TOP Artists】など、各種チャートを解説とともに発表する。

※集計期間:2019年11月25日(月)~2020年11月22日(日)

HOT 100

YOASOBI「夜に駆ける」史上初のCDリリースなしで年間総合首位を獲得

 2020年年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、YOASOBIの「夜に駆ける」が総合首位を獲得した。年間チャート発表開始以来、初めてシングル盤をリリースしていない楽曲が総合1位となった。



▲ 「夜に駆ける」MV / YOASOBI


 「夜に駆ける」はTikTokでのバズが誘因となり、3月頃からストリーミングと動画再生でポイントが急上昇してHOT 100にチャートインを果たした。続いて5月「ハルジオン」、7月「たぶん」、9月「群青」の連続デジタルリリースが高ポイント維持に大きく寄与したことに加え、アーティスト自身からのSNSでの発信やYouTube人気プログラム『THE HOME TAKE』での歌唱など、ネットの積極的な活用による後押しも効果を発揮、上半期首位のOfficial髭男dismの「Pretender」を10月に累計ポイントで逆転した。1位となったストリーミング指標では既報通り2.7億再生を突破、同じく1位の動画再生では1億再生を突破と、総合首位に大きく貢献した。

 Official髭男dismの「Pretender」は、上半期首位から惜しくも2位となった。Official髭男dismは、100位圏内に11曲(昨年は6曲)を送り込み、「Pretender」を代表とする楽曲先行の認知の拡大からアーティストへの認知拡大へとフェーズが移行、着実にファン層を拡大した。3位のLiSA「紅蓮華」は昨年末の音楽特番での露出を皮切りに、今年を通じて全国的に盛り上がった『鬼滅の刃』ブームと共にコンスタントにポイントを積み上げ、昨年26位から大きくジャンプアップした。10月リリースの『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の主題歌「炎」は早くも総合9位に登場しており、来年も訴求力は維持されるだろう。



▲ 「Pretender」MV / Official髭男dism


 全くの無名から大きく躍進した瑛人の「香水」は総合6位に。こちらもTikTokで4月頃からバズが起き、ストリーミングと動画再生が牽引して高ポイントを維持した。コロナ禍の影響に伴うカラオケ指標データの取得休止から明けた7月にカラオケ1位となり、その後10月最終週に「紅蓮華」に奪還されるまで14週連続1位を守った。YouTubeでの歌ってみた動画が多数投稿されたことからも、今年歌ってみたくなる楽曲のひとつとなった。



▲ 「香水」MV / 瑛人


 コロナ禍により、2月下旬のライブの中止や延期に始まって、音楽業界も非常に苦しい状況が続いている。そのなかで今年は、従来の地上波発信型、メディア・ミックス型、音楽フェス発信型に加え、TikTokとYouTube、SNS、ストリーミングが連動して新しいヒットが生み出されるパターンが日本でも確立された。ストリーミング市場の拡大と定着に伴い、これらのヒット・パターンが加速することは確実で、来る2021年度は、新人を多数輩出した今年度チャート以上に、メジャー、インディー問わず新たなアーティストの登場が期待される。

#1


「夜に駆ける」
YOASOBI



#2


「Pretender」
Official髭男dism



#3


「紅蓮華」
LiSA

1

#4「I LOVE...」
Official髭男dism

1

#5「白日」
King Gnu

1

#6「香水」
瑛人

1

#7「宿命」
Official髭男dism


1

#8「マリーゴールド」
あいみょん

1

#9「炎」
LiSA

1

#10「裸の心」
あいみょん



インタビュー抜粋

「とても嬉しいです。もちろんたくさんの方に届いてくれたらいいなという気持ちで作りましたけど、まさかそこまで聴いていただける楽曲になるとは思ってもみなかったので。自分の予想をはるかに超えてくれました」ーAyase
「年間チャートは1年間の集大成だと思うので、本当に多くの方の耳に「夜に駆ける」を届けられたことが実感できて嬉しいです。上位に入った最初の頃は正直、一時的な盛り上がりかもなとも思っていたので、ずっとチャートインし続けてくれて驚きました」ーikura

▲ TOP


HOT Albums

米津玄師『STRAY SHEEP』が3冠で堂々の首位

 2020年年間Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“HOT Albums”で、米津玄師の『STRAY SHEEP』が1位を獲得した。

 2020年8月にリリースされた米津玄師『STRAY SHEEP』は、12月4日現在で、CDセールスで147万枚、ダウンロードで18万DLを突破。CDセールス、ダウンロード、ルックアップ(PCへのCD読み取り回数)の3指標すべてで1位を記録した。これは、CDセールス、ダウンロード、ルックアップの3指標による年間総合アルバム・チャートの発表を開始した2015年以降、初めてのこととなる。



▲ 米津玄師 5th Album「STRAY SHEEP」クロスフェード


 また、年間総合アルバム・チャートだけでなく、年間ダウンロード・アルバム・チャートおよび年間アルバム・セールス・チャートでも1位を獲得し、合わせて3冠獲得を達成した。アルバム3部門の制覇は、Billboard JAPANが年間ランキングでダウンロード・アルバム・チャートの発表を始めた2017年以降で初となる。

 2017年以降、本チャートでは安室奈美恵『Finally』(2017年と2018年で1位)や嵐『5×20 All the BEST!! 1999-2019』(2019年1位)といったベスト・アルバムが1位を獲得してきたが、2020年はベスト盤ではない『STRAY SHEEP』が獲得することになった。これは、2016年の宇多田ヒカル『Fantome』以来となる。さらに、トップ10を見てみてもベスト盤はチャートインしていない結果となった(最も上位のベスト盤は、15位のJUJU『YOUR STORY』)。

 ベスト盤というヒット曲が収録されていることが明確な作品はセールスに繋がりやすく、これまでも年間チャートでは上位に来ることが多かった。しかしここ数年はストリーミング・サービスの浸透もあり、今どの曲がヒットしているのかが世間的に認知されるようになってきた。そして、そのヒットした曲がアルバムに収録されていることが認知されるとセールスに繋がるといった流れが出来あがりつつあることが、このトップ10を見ると分かるだろう。『STRAY SHEEP』に収録されている「Lemon」や「馬と鹿」、「感電」もさることながら、2位のKing Gnuの『CEREMONY』に収録される「白日」や「Teenager Forever」、「飛行艇」、2020年で活動を休止することも影響にあるものの、3位の『This is 嵐』に収録の「カイト」や「BRAVE」、「Turning Up」、4位のBTS『MAP OF THE SOUL : 7 ~ THE JOURNEY ~』に収録の「Stay Gold」、「Boy With Luv -Japanese ver.-」、5位のOfficial髭男dismの『Traveler』に収録の「Pretender」、「宿命」などといった曲がその最たる例といえる。



▲ King Gnu 3rd ALBUM 「CEREMONY」Teaser Movie

 2位の『CEREMONY』、5位の『Traveler』、8位のあいみょん『おいしいパスタがあると聞いて』など、2018年や2019年にストリーミングでヒットしたアーティストがアルバムというフォーマットで結果を出した2020年の本チャート。しかし、2020年はストリーミングのみならず、TikTokやYouTubeなどのヒットが目立った年だった。そこで話題となったアーティストは現状、楽曲がヒットしている状況と言えるだろう。「香水」でヒットした瑛人が2021年1月1日に1stオリジナル・アルバム『すっからかん』をリリースするが、そのようなアーティストが2021年、アルバムという形でどのような結果を残すのか、早くも注目だ。

#1


『STRAY SHEEP』
米津玄師



#2


『CEREMONY』
King Gnu



#3


『This is 嵐』

1

#4『MAP OF THE SOUL : 7 ~ THE JOURNEY ~』
BTS

1

#5『Traveler』
Official髭男dism

1

#6『L&』
King & Prince

1

#7『Make you happy』
NiziU


1

#8『おいしいパスタがあると聞いて』
あいみょん

1

#9『24H』
SEVENTEEN

1

#10『MAP OF THE SOUL : 7』
BTS



インタビュー抜粋

「これだけたくさんの人に自分の音楽が聴かれるようになったことが不思議です。今はただ感謝の気持ちを伝えたいです」ー米津玄師

▲ TOP


TOP Artists

Official髭男dismが上半期に続き総合首位

 2020年年間Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“TOP Artists”で、上半期に引き続きOfficial髭男dismが総合首位を獲得した。

 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”では、Official髭男dismは100位以内に11曲、全順位では32曲がチャートインし、総合アルバム・チャート“HOT Albums”では、100位以内に3タイトル、全順位では8タイトルが合算対象となった。HOT 100の11曲のうち、8曲が2019年または2020年にリリースされた楽曲で、HOT Albumsでは3タイトルのうち2タイトルがそれに該当する。2019年以降、大きく飛躍を遂げたことが窺える結果だ。



▲ 「I LOVE...」MV / Official髭男dism


 では同2位の米津玄師と3位のKing Gnuの場合はどうだろうか。米津玄師の場合、HOT 100では100位以内に4曲、全順位では42曲がチャートイン。HOT Albumsでは100位内に3タイトル、全順位では6タイトルが合算対象と、ヒゲダンと異なりHOT 100での合算対象曲が非常に多い。HOT 100での5曲のうち、2019年または2020年にリリースされた楽曲は3曲、HOT Albumsでは、3タイトルのうち1タイトルが該当。今回の総合2位は8月にリリースされた『STRAY SHEEP』がフィジカル、デジタル共に売れ続けていることが大きいとはいえ、2018年より以前にリリースされた楽曲またはアルバムもまた訴求力を維持している。

 またKing Gnuの場合、HOT 100では5曲、全順位では31曲で、その内25曲が2019年もしくは2020年にリリースされている。HOT Albumsでは、100位以内に3タイトル全てがチャートインしていて、うち1タイトルの『Tokyo Rendez-Vous』のみ2017年リリースとなる。ヒゲダン同様に2019年以降に飛躍していることが分かる。



▲ 「白日」MV / King Gnu


 これらから、楽曲がヒットし、続いてアーティストが認知されていくのがフロントラインの王道パターンとすれば、米津玄師はアーティストとしての認知が進み、ニュー・アルバムが大ヒットというプロセスを辿っていて、Official髭男dismとKing Gnuは、共にアーティスト認知のフェーズに既にあり、来るべきニュー・アルバムの大ヒットが期待される状況にある。

 このパターンに則って、前年39位から7位にジャンプアップしたLiSAを見てみよう。LiSA名義のみに絞ると、HOT 100では、100位以内に2曲、全順位で25曲が合算対象で、この2年でリリースされた楽曲はそのなかで17曲。HOT Albumsでは、100位以内に1タイトル、合算対象では3タイトルで、うち1タイトルが2020年リリースで、他は2018年リリースのベスト盤だった。これらから、楽曲認知のフェーズを過ぎて、ヒゲダンやKing Gnu同様に次のニュー・アルバムの大ヒットが期待される状況にLiSAがあることがチャートからも明らかだ。

 ではHOT 100で首位を獲得し、当チャート8位に初登場したYOASOBIとなると、HOT 100の100位圏内には4曲、全順位では7曲、全て2020年リリースまたは2021年リリース予定で、アルバムはまだリリースされていない。とすると楽曲認知からアーティスト認知へのプロセスにあることが分かる。では同10位(前年15位)のMrs. GREEN APPLEではどうか。HOT 100の100位圏内には5曲、全順位では28曲、この2年でリリースされた楽曲は12曲。HOT Albumsでは100位圏内には2タイトル、全順位では5タイトルで、100位圏内の2タイトルが共にこの2年でリリースされている。これらから、Mrs. GREEN APPLEはアーティストの認知のフェーズにあり、アルバムをコンスタントにヒットさせるアーティスト・パワーを既に備えていることがわかる。

 このように、YOASOBIのような新人、Mrs. GREEN APPLEに代表される中堅、米津玄師のようなフロントラインなどなど、それぞれのフェーズにあるアーティストが入り乱れるチャートとなった2020年。他指標に影響し得る総合ポイント牽引のトリガーとなったストリーミングがコンテンツ・マーケット全体を押し上げつつあり、ますます活性化の兆しが見えてきた。コロナ禍によりライブ・マーケットの縮小が余儀なくされる今日からアフター・コロナへ向けて、ヒット・チャートを賑わせる多様なアーティスト達がライブ・シーンを再び盛り上げる明日がきっと来ることだろう。

#1


Official髭男dism



#2


米津玄師



#3


King Gnu

#4 あいみょん
#5 BTS
#6 
#7 LiSA
#8 YOASOBI
#9 TWICE
#10 Mrs. GREEN APPLE
#11 SixTONES
#12 Snow Man
#13 back number
#14 ヨルシカ
#15 NiziU
#16 菅田将暉
#17 瑛人
#18 JO1
#19 ONE OK ROCK
#20 King & Prince



インタビュー抜粋

「自分たちの音楽を1曲だけでなく、いくつもを沢山の方が聞いてくださっている事が本当に嬉しいです。感謝の気持ちを胸に、さらなる楽曲制作に励んでいこうと思います」ーOfficial髭男dism

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