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リスナーに寄り添う音楽を―― 「Myra」がヒット中のTani Yuuki 等身大インタビュー



Tani Yuukiインタビュー

 テンポの良いメロディに<愛してるよMyra 腕の中でmy love>と韻を踏んだ歌詞が中高生を中心にヒットし、「Myra」は2020年7月LINE MUSIC月間チャートで見事1位を獲得。再生回数や影響力などを総合的に判断して生成された国内週間楽曲ランキング“TikTok HOT SONG Weekly Ranking”では、8週連続でトップ10をキープするなど、SNSで高い人気を誇っている。今年から音楽ヒットのサイクルとして、TikTokから火が付き、ストリーミングやカラオケで急上昇という流れが確立してきているが、ストリーミングや動画再生など8つの指標を合算したBillboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”でも「Myra」は最高14位、ストリーミング・チャートでは9週にわたってトップ20をキープと、確かな結果も出しており、まさに2020年を代表する1曲になりつつある。

 その「Myra」を作詞・作曲・編曲まで全て手掛けたのがシンガーソングライターのTani Yuukiだ。1998年生まれの現在21歳の若きクリエイターは、WHITEBOXというアカペラグループにも所属し、ソロそしてグループで表情を使い分け、ファンを魅了している。

 「Myra」の勢いそのままに、夏らしいEDMサウンドの新曲「Life is beautiful」を配信リリースしたばかりのTani Yuukiのメディア初インタビューをお届け。ヒットの瞬間や、彼が音楽の道に進んだきっかけ、そして新曲について大いに語ってもらった。

僕と同じような状況の子たちを
元気づける歌を作れたらいいなと思って

――7月1日のサブスク解禁を機に、様々な音楽プラットフォームで急上昇を見せた「Myra」ですが、全国的な認知度が広がっている状況を当時はどう感じていらっしゃいましたか?

Tani Yuuki:バズってる瞬間を僕、見ていたんです。それまで投稿していた動画のいいね数が100とか200とかだったんですけど、いきなり500に増えて、再生回数も1kって出たので「あれ、バズったかも!?」って。そこで一回タブを閉じて、しばらく時間を置いたら結構伸びていきました。そこからたくさんのフォロワー数を持ってらっしゃる方が僕の曲を使ってくれるようになって、それでより徐々に広がっていったと思います。

――TikTokerが使ってくれたことで、よりこの曲が使われるようになったんですね。

Tani Yuuki:最初は女性のTikTokerさんが使ってくれることが多くて、ファンがいっぱいいらっしゃるTikTokerさんが使ってくれたのがすごく大きかったと思ってます。

――TaniさんのTikTokアカウントを見ると、ご自宅で歌われている姿を撮影した投稿がほぼメインですが、TikTokをやり始めたきっかけは何だったんですか?

Tani Yuuki:最初はあまり力を入れてなかったんですが、WHITEBOXのメンバーが動画を投稿し続けてくれたおかげでフォロワーが増えたんです。それをきっかけに、TikTokも頑張れば伸びるかもしれないと思って、キャッチャーな歌を投稿していこうと思って投稿した最初の曲が「Myra」だったんです。数字を伸ばそうと思って、それからは毎日、頻繁に投稿するようになりました。



――Taniさんは、Tani Yuukiとしてのソロ活動もありながらも、WHITEBOXやUNLOVITなど、いろいろなプロジェクトに関わられていますね。今では作詞・作曲・編曲までご自身で全てこなされていますが、小さい頃から音楽活動をされていたんですか?

Tani Yuuki:中学2年生の時に部活でケガをしちゃって、普段の生活ができない時期があって、ちょっと落ち着いた時に、おじいちゃんからもらったアコースティックギターをストレス発散で触ったのが音楽を始めたきっかけでした。そこからギターと歌の練習をして、高校に入ったあとも楽しく続けていたので、この道で行こうと決めて専門学校に行ってオリジナルを作り始めたんです。WHITEBOXを組んだのは高校2年か3年くらいで、そこからしばらく連絡を取ってなかったので、なんだかんだ、ちゃんと動きだしたのは専門学校に入ってからでしたね。

――ピアノは習ってましたか?

Tani Yuuki:いや、ピアノを習ったことなくて、専門に入ってから独学で身に付けました。ギターも独学で、スピッツの「チェリー」で「Fが押さえられない!」って練習して弾けるようになりましたね。

――そうなんですね(笑)。中学校で周りに音楽をやってるお友達はいましたか?

Tani Yuuki:中学校では後輩にちょっといたんですけど、ユニットとかバンド組んだりみたいな子はいなくて、ほぼ一人でやってましたね。

――PC機材を本格的に学んだのも専門学校ですか?

Tani Yuuki:PCは専門を卒業してからで……

――じゃあ、まだ1年ぐらいですね。

Tani Yuuki:DTM(デスクトップミュージック)を始めたのは専門を卒業してからなので、1年ぐらいですね。ずっとパソコンを持ってなくて、WHITEBOXの動画の歌とかはiPadのGarageBandで録ってグループのリーダーであるホワイトくんに送ってました(笑)。専門に行ってた時もそういうコースにいたわけではないので、触りみたいな基本はホワイトくんから教えてもらって、そこからは自分でやりました。

――音楽をやりたいと思った決定的な出来事とかあったんですか? 誰かに歌を褒められたとか、誰かの曲を聴いて、「僕もこの人みたいに歌いたい」って思ったとか?

Tani Yuuki:誰かに影響されたといえば、母の実家におじいちゃんのギターとおじさんの生ドラムがあって、「ギターかドラム、どっちにしようか?」って思った時に、僕、その時にゆずが好きだったので、アコギだったら歌いながら弾けるって思ってアコギを選んだんです。あと、中学生の時に病気で学校に通えなくなっちゃって、成績もボロボロで内申点も足りず、行ける高校がどこにもなくて……勉強もできないし、特にやりたいこともないし、行きたいとこもないし、「今の自分に何が残ってるんだろう?」って考えたときに、「オレ、今音楽しかやってないな」って思ったんです。病気のときって、こう、(心が)すごく腐っちゃうんですよね。僕と同じような状況の子っていっぱいいると思うし、そういう子たちを元気づける歌を作ったり、歌えたらいいなと思って音楽の道に進みました。

――今こうしてたくさんの人に聴かれているので、Taniさんの夢がまさに叶っている時だと思います。私が持っている音楽の感覚とTaniさんのような20代前半の方の感覚はちょっと違うのかと思うんですが、CDを買ったり、レンタルショップに通ったり、毎週音楽番組を観たりする、というようなことをTaniさんはされてましたか?

Tani Yuuki:人生でCDを買ったのは、片手に収まるぐらいの回数しかないですね。でも『Mステ』は毎週観てました。音楽を聞くのは、ほぼストリーミングですね。

――その数少ないCDはどなたの作品なんですか?

Tani Yuuki:RADWIMPSがすごく好きで、一番最近はRADWIMPSの『ANTI ANTI GENERATION』です。あと、小学5~6年の時に、親に連れられて杉山清貴さんのライブに行ったんです。そこで「ひまり」っていうユニットが前座をやられていて、ゆずチックな方たちなんですけど、ライブ会場で買ったひまりさんのCDが、僕が人生で初めて買ったCDです。Yuuki君ってサインも書いてもらったんですよ(笑)。

――(笑)。ゆずチックなアーティストや、そういうジャンルの曲に惹かれやすいんですね。

Tani Yuuki:最初に触った楽器がアコギだったっていうのもあって、結構アコースティックな曲を聞くことが多かったですね。専門に入ってから違うジャンルの子とユニット組んだり、バンドを組んだりして、色々な刺激をもらって、いろんな曲を聞くようになり、作る曲の幅も増えていきました。

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