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Perfumeが語る、“過去と現在”の心境が重なりループするシングル『Time Warp』と未来の1ページをめくるドキドキ感
今年で結成20周年、メジャーデビュー15周年を迎えたPerfumeが、アニバーサリーイヤーを締めくくる企画「Perfume 15th&20th anniv with you all」Vol. 2として、約2年半ぶりのニュー・シングル『Time Warp』を9月16日にリリースした。タイトル曲「Time Warp」、カップリングの「再生」共に、その歌詞からはPerfumeとプロデューサーの中田ヤスタカが駆け抜けてきた月日や現在の心境をうかがい知ることができる。また、親しみやすく明るいポップなメロディとサウンドにPerfumeの原点へ思いを馳せ、自分が過ごしてきた月日と重ね合わせるファンも多いのではないだろうか。
「Time Warp」と「再生」についてはもちろん、昨年行われた4度目のワールドツアー、世界中にその名を広めた【Coachella 2019】初出演、全国4大ドームツアー【Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed”】で立った久しぶりの東京ドームのステージのこと等々。アニバーサリーイヤーを迎え新たな一歩を踏み出す3人に、ロングインタビューで思う存分語ってもらった。
ファンの人たちとの思い出、新しい出会い
すごく良い1年でした
――2019年9月に結成20周年とメジャーデビュー15周年に突入、いよいよアニバーサリーイヤー最終章を迎えてのニュー・シングル『Time Warp』がリリースとなります。タイトルに時間という言葉が入りましたが、この1年間の時間を振り返ってみてどんな思いをもっていらっしゃいますか?
のっち:メジャーデビュー15周年のタイミングで、ずっと出してこなかったベスト・アルバムを出したんですけど、それが私たちにとってすごく大きなことだったと思います。それと同時にサブスクで全曲の配信を始めたこともあって、昔Perfumeを聴いていたとか、CDを聴いてみたいけど買えないみたいな若い子たちにも聴いてもらえるようになって。そこで、自分たちとファンの人たちの思い出だったりとか新しい出会いがあったし、すごく良い1年でした。
かしゆか:そのベスト・アルバムを出すにあたって、自分たちが今まで出してきた曲を全部振り返ってラインナップを見て、どの曲を入れるかをみんなで決めたんですけど、どの曲も全部カッコよくて。「どれも外すには惜しい」と思えるのはすごく誇らしいなって思いました。その中でも52曲に絞ったんですけど、さらに周年のドームツアーをするときに、セットリスト用にまた曲を絞ることになって、結構大変でした。どの曲も精一杯選んだ曲だから、「自分たちで決められない!」ってなって(笑)。ファンの方からいただいたリクエストを元に作ったライブだったので、本当にみなさんと一緒に自分たちの周年をお祝いできて、感謝祭みたいな気持ちですごく充実した年でしたね。色んな過去を振り返って、どの過去も自分たちが精いっぱいやってきて、カッコいいものを作ってきたんだなっていうのと同時に、その楽曲を中田(ヤスタカ)さんが全部リマスタリングしてくださったことも大きかったです。今まで過去のライブだとどうしても音源の差とか、10年前の音と現在の音だとやっぱり機材も違うしクオリティにバラつきがあって相性とかも気にしていたんです。今回リマスタリングしてもらったおかげで全部関係なく自由にセットリストが組めるようになったのは大きかったですね。
あ~ちゃん:周年に入る前にも色んなことをやらせてもらって、周年に入ってからもベスト・アルバムを出してドームツアーをやらせてもらって。自分たちのことを考えたり、まわりの人たちのことを思い出したりとか、自分たちの歴史を振り返ったりする機会がすごくたくさんあったんですけど、自分たちがこれまでやってきたことはすべて無駄じゃなく全部が必要だったことで、そしてそのすべては“それぞれの愛”だなぁと思うんです。そこにみんながかけてくれた思いとか、時間とか、そういうことをこれからも信じて欲しいし、私たちのことを信じてくれる人たちに自分のことを信じて欲しいし、「信じていて良かったな」って思ってもらえるような新しい挑戦や、それを誇りに思うようなPerfumeの活動を常にやってこられているなって。私たちは中田さんに全部の曲を書いてもらってますけど、いただいている曲が毎回毎回、本当にカッコよくて。自分たちの曲なんですけど、振り返れば振り返るほど、「わ~! マジでカッコいいなあ!」って、本当に心の底から思っているので。そういうプロデューサーに出会えたことにも本当に感謝していますし、これからもやっていけるんだなっていう喜びがあった1年でした。
――みなさんそれぞれが、客観的なPerfumeのファンでもある?
あ~ちゃん:そういうところはあるかもしれないですね。自分たちであるようで、たくさんの人たちが私たちを「どうやったら面白いかな? こんなことをやったらもっと新しい一面が見せられるんじゃないかな?」と、それぞれが思う“Perfume像”的なものを持ち寄って、Perfumeというものを更新してくれるので。ステージには私たち3人で立っているけど、でもそこには何百人もの力と才能と思いが詰まっていると思います。自分たちだけじゃなくてみんなで作っているという感覚があるので、そういう客観的な思いというのはあるかもしれないです。
――「Perfume “Challenger” MUSIC VIDEO PLAN CONTEST」では、そうした“Perfume像”への愛や思い入れが世界中の人々から集まりましたね(11歳の小学生Hirotoさんの『つながり~過去を超え・今を生き・未来を創る~無限の可能性を秘めた僕らはチャレンジャー』がグランプリを受賞、映像化された)。
あ~ちゃん:本当に素晴らしかったです。どの人のアイディアもやりたいって思っちゃって。でもやっぱり、あのHiroto君のプレゼンは、今思い出しても涙が込み上げてくるぐらい、アツいものでしたね。「こんな若い子が、自分たちを通して才能を開花させる瞬間を目撃できるんだ!?」みたいな。そのアイディアの元になっているのが「Perfumeが好きだから、Perfumeをこうさせたいからこう思った」という気持ちなのが、改めてすごいなって思いました。自分たちがまさかそんな存在になれているなんて。それは企画をやろうと思ったとき以上の自分たちの収穫でしたし、めちゃくちゃやりがいのあるイベントでした。
――Hirotoさんのグランプリ受賞は、3人の意見が最初から一致していたものだったんですか?
のっち:早かったよね?
あ~ちゃん:うん、早かった。
かしゆか:その場に関(和亮)監督と振り付けのMIKIKO先生もいたんですけど、5人満場一致でHiroto君に票が入ってましたね。
あ~ちゃん:みんな、「私はHiroto君と誰々ですかね~」「僕はHirotoと誰々かな~」みたいな。「それ、もうHiroto君ですよね!?」ってなりました(笑)。あれはなんだろうな〜心を突き刺すプレゼン力かな。
のっち:色んな年代の人が応募してくれて、大人の方のアイディアは最後に作品になったときが見えていて。起承転結はできていたりとか、ストーリーは関さんにお任せしますとか、アイディアは自分のものだけど作品はやっぱり監督が作るものという意識を持っている人もいたんです。でもHiroto君は若いから、若い子が考えるものがちゃんと作品に落とし込めるかということを関さんは考えていて。「それを関さんはどう作るんだろう?」という好奇心はありました。
かしゆか:いろんな人が応募してくれた中で、Perfumeに対する思いの馳せ方にみなさん共通する部分があって、選ぶのがすごく難しかったんですけど、その中でもHiroto君は熱意というか言葉の力がすごくて。他にも一桁台の年齢の女の子とかいたし、様々な年齢の人がいたんですけど、その中でもHiroto君は用意した言葉をちゃんと読もうというよりは、その読んだ言葉の先の思いを伝えたいという思いが溢れていて。すごく熱意を感じたし、その先の世界を見てみたいなっていう気持ちに動かされたことが大きかったです。
――そういう、年齢とかにこだわらずに良いものを柔軟に受け入れる姿勢に、Perfumeがデビューからここまで活躍の幅を広げてきた理由の一端を見ることができる気がします。
あ~ちゃん:そう言ってもらえるのはすごくありがたいですね。言ってもらえたこととか、自分たちに期待してくれることとかが、本当に嬉しいんですよ。インディーズ時代とか、挨拶すら返してもらえない、まだ偉い人たちの視野にも入れていない自分たち――期待さえしてもらえないような、そういう感覚がまだこびりついていて。そのときの思いを忘れることができないので、期待していただけるということが、どれほどの喜びかということを、Hiroto君のときにもめちゃくちゃ感じましたね。自分たちを通して「こういうことがやりたいんです!」っていう1人の思いとかを実現させたいって思う、Perfumeの根底にあるファンサービスな心がモノを言うんですよねー…「尽くしたいなぁ〜」みたいなそんな思いがあるんだと思います。
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リリース情報
シングル『Time Warp』
- 2020/9/16 RELEASE
- <完全生産限定盤(CD+DVD+スペシャルパッケージ+スペシャルグッズ“特製カセットテープ”)>
- UPCP-9026 2,627円(tax out.)
- <初回限定盤(CD+DVD)>
- UPCP-9027 1,818円(tax out.)
- ※初回限定盤終了後、DVD無しの通常盤に切り替わります。
- <通常盤(CD)>
- UPCP-5012 1,343円(tax out.)
- ※初回限定盤終了後の出荷となります。
ライブ情報
Perfume初のオンラインフェス!
【“P.O.P.”(Perufme Online Present)Festival】
- 2020年9月21日(月・祝)開場12:00 / 開演13:30(予定) Perfume-popfes.jp
- #prfmPOPFes
関連リンク
Perfume 公式サイト
Perfume レーベル公式サイト
取材・文:岡本貴之
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