Special

Billboard Japan 2020年上半期チャート発表 Official髭男dismが【TOP Artists】と【HOT 100】、King Gnuが【HOT Albums】首位に



ランキング2020


 世界的な天災となったコロナウィルス。国内音楽業界もまた大きな影響を受け、2月最終週から始まったライブ開催自粛に続き、小売店や流通がストップして新譜発売も多くが6月以降へ延期となった。これにより、フィジカルからデジタルへ、ヒットを生みだすプラットフォームの移行がこれまで以上に加速し、ヒット曲を生みだす新しいサイクルが急ピッチで整いつつある。激動の時代の始まりを告げた今年度上半期、どのような楽曲がBillboard JAPANチャートを彩ったのか、各チャートをみていこう。

 

※集計期間:2019年11月25日(月)~2020年5月24日(日)

HOT 100

Official髭男dismとKing Gnuの大躍進

 Official髭男dism「Pretender」が、ストリーミング、動画、カラオケで1位となり、2020年上半期JAPAN HOT 100総合首位を獲得した。コンスタントにストリーミングと動画再生指標でのポイントを積み上げる一方で、12月の地上波TV音楽特番での大量露出、特にNHK『紅白歌合戦』でのパフォーマンスがダウンロードを押し上げて新たなファン層を拡大、上半期上位を守り続けた。総合2位には1月にデジタル解禁、2月にフィジカル発売された同「I LOVE…」が、ラジオ、ダウンロード、ルックアップで1位となり、「Pretender」とは総合約2万ポイント差まで急追していて、下半期での逆転なるか、今後の展開に注目だ。総合100位圏内にヒゲダンは9曲を送り込んでおり、昨年度年間首位の米津玄師からヒゲダンへ、マーケットの拡がりが感じられる結果となった。



▲ 「Pretender」MV / Official髭男dism


▲ 「I LOVE...」MV / Official髭男dism


 Official髭男dismとKing Gnuが、アーティスト認知を浸透させていった今年度上半期において、楽曲で認知を拡げた筆頭が総合4位のLiSA「紅蓮華」だ。少年ジャンプ連載からアニメ放映で全国的な人気に火が付いた『鬼滅の刃』主題歌として昨年度から長らくチャートを賑わせ、昨年度年間総合26位から総合4位に大きく順位を上げた。ジャンプ連載は終了したが、下半期にはゲームや映画等での展開が既にアナウンスされており、最近のウィークリー・チャートでは最高位となる総合2位を3度マークするなど、まだまだ期待が持てる展開だ。

 ジャニ―ズ初の同日デビューが大きく注目されたSnow Man「D.D.」とSixTONES「Imitation Rain」は、上半期でみると、「D.D.」が総合6位、「Imitation Rain」が総合9位という結果となった。ストリーミングやダウンロードも未解禁の楽曲で100位圏内にランクインした楽曲はわずか5曲で、いずれもジャニーズ系アーティスト。2月下旬からコロナ禍が音楽業界に直撃、発売延期によるフィジカルでポイントを稼ぐタイプのアーティストが軒並み苦戦を強いられるなか、両楽曲は発売以来累計売上枚数が『D.D.』は957,973枚、『Imitation Rain』は896,415枚(いずれも5月25日時点)と堅調なセールスを続けていて、両アーティストの次作も注目だ。



▲ 「D.D.」MV / Snow Man


▲ 「Imitation Rain」MV / SixTONES


 フィジカルがチャート占有率を大きく減少させる一方で、オーディオと動画ストリーミングからダウンロードなど他指標にも影響を与える楽曲が増え、新人アーティストがチャート上位に食い込む展開が増加傾向だ。YOASOBI「夜に駆ける」(総合25位)、ヨルシカ「ただ君に晴れ」(総合35位)、瑛人「香水」(総合52位)など数多く、特に瑛人「香水」はTiKTokで火が付いて、動画からオーディオ・ストリーミングへとヒットが伝播、他指標にも影響を及ぼしつつあり、米国では顕著となっているヒットのトリガーが、ここ日本でも定着することとなるか、こちらも下半期のヒットのトレンドとして注目したいポイントといえる。

#1


「Pretender」
Official髭男dism



#2


「I LOVE…」
Official髭男dism



#3


「白日」
King Gnu

1

#4「紅蓮華」
LiSA

1

#5「宿命」
Official髭男dism

1

#6「D.D.」
Snow Man

1

#7「イエスタデイ」
Official髭男dism


1

#8「まちがいさがし」
菅田将暉

1

#9「Imitation Rain」
SixTONES

1

#10「マリーゴールド」
あいみょん


Official髭男dism
インタビュー抜粋

「こんなにもたくさんの方が自分たちの音楽を聴いて下さっているという事に感謝の気持ちが溢れています。本当にありがとうございます。」―藤原聡

▲ TOP


HOT Albums

King Gnu『CEREMONY』が総合首位、
Official髭男dism『Traveler』が続く

 2020年度上半期の総合アルバム・チャート“HOT Albums”では、King Gnuの通算3作目のアルバムとなる『CEREMONY』が総合首位を獲得した。

 2020年1月15日にリリースされた同作は、初週に244,976枚を売り上げてCDセールス1位、29,377DLを売り上げてダウンロード1位、そしてPC等によるCD読み取り回数を示すルックアップでも1位と、チャート構成指標すべてでトップをマーク。その後も2020年5月25日付の総合アルバム・チャートまで18週連続でトップ10圏内をキープし続けた。2019年2月22日に配信リリースした「白日」が大きなヒットとなり、その後も8月9日に「飛行艇」、10月11日に「傘」を配信リリース。そして『第70回NHK紅白歌合戦』に出場し、より広く世間に認知されたタイミングでのアルバムリリースであったことも、その後のロングヒットにつながった要因の1つだろう。結果的に上半期累計では、402,011枚でCDセールス1位、73,392DLでダウンロード1位と、セールス2指標で1位を獲得。ルックアップでは惜しくも2位となったが、3位以下には大きくポイント差をつけており、堂々の記録で上半期首位の座に輝くことになった。また、2019年1月16日にリリースされた2作目のアルバム『Sympa』がCDセールスでは40位だったものの、ダウンロードで6位、ルックアップで7位を記録し、総合17位にチャートインしたことからも、いかに2020年度の上半期のKing Gnuに勢いがあったのかが分かるだろう。



▲ 「白日」MV / King Gnu


 続く総合2位を獲得したのは、2019年10月9日にリリースされたOfficial髭男dismのメジャー・ファースト・アルバム『Traveler』だ。こちらもロングヒットを記録している作品であり、リリース以降33週連続トップ10圏内をキープ。上半期累計では178,966枚でCDセールス5位、49,672DLでダウンロード2位と、リリース序盤が集計期間外であるものの高い順位を記録した。そして、ルックアップは集計期間内に通算16週の1位を記録しており、上半期チャートにおいても1位を記録した。ルックアップはレンタル動向も観測できる指標であり、通算16週で1位を記録していることからも、作品の需要が長期的に続いていることがうかがえる結果となった。

 『CEREMONY』に次いでCDセールスで2位を記録したのはBTS『MAP OF THE SOUL : 7』で、売上枚数は262,264枚、総合では3位にチャートインした。一方、ダウンロードで『CEREMONY』、『Traveler』に次いで3位にチャートインしたのは、総合9位のRADWIMPS『天気の子 complete version』で、30,921DLを記録している。リリース後もコンスタントにダウンロードのポイントを獲得しており、リリース以降トップ40をキープしていたことが上半期ダウンロード3位に結びついたことになる。また、CDセールスが32位だったのに対し、ルックアップが19位だったのも特徴的だ。CDセールスよりルックアップの順位が高いのは2020年度上半期の総合アルバム・チャートのトップ10の内、本作と『Traveler』のみだった。5月15日にRADWIMPSが2005年のメジャーデビュー以降にリリースした全作品をストリーミング解禁したこともあり、『天気の子 complete version』も引き続き注目だ。



▲ 「ON」MV / BTS


 新型コロナウイルスによる様々な影響が音楽のシーンにも表れてきており、チャート上でもTikTokで大きな話題となったアーティスト、特にボカロシーンや弾き語りの新人アーティストが上位にチャートインする傾向が強まってきた。今後も大きくカルチャー、そして音楽の世界が変動するであろうその中で、2020年度の年間総合アルバム・チャートはどういったラインナップとなるのか。下半期の動向も引き続き注視していきたい。

#1


『CEREMONY』
King Gnu



#2


『Traveler』
Official髭男dism



#3


『MAP OF THE SOUL : 7』
BTS

1

#4『W trouble』
ジャニーズWEST

1

#5『To-y2』
Kis-My-Ft2

1

#6『Bad Ass Temple Funky Sounds』
Bad Ass Temple

1

#7『Go with the Flow』
木村拓哉


1

#8『RAISE THE FLAG』
三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE

1

#9『天気の子 complete version』
RADWIMPS

1

#10『すとろべりーねくすとっ!』
すとぷり


King Gnu
コメント

「2020年の上半期は『CEREMONY』のリリースにはじまり、LIVEリハーサルも繰り返して、いよいよ初のアリーナツアーを迎える直前のタイミングで新型コロナウイルスの影響が出はじめました。音楽やLIVEに限らず様々な世界での常識や価値観が変わる中で、僕たちの音楽がこんなにも広く求められて、多くの人に届いたことを光栄に思います。」

▲ TOP


TOP Artists

ここでもOfficial髭男dismとKing Gnuの大躍進、
Mrs. GREEN APPLEジワリ前進

 昨年度のあいみょんと米津玄師からOfficial髭男dismとKing Gnuに1位、2位が交代。Official髭男dismとKing Gnuは、JAPAN HOT 100でのパフォーマンスに加え、総合アルバム・チャートJAPAN HOT Albumsでも存在感を発揮、共に総合100位圏内に3タイトルを送り込んだ。とはいえ、あいみょんと米津玄師は総合3位と4位に付けていて、大きく順位を落としたわけではないところをみると、ストリーミングが牽引するコンテンツ市場の多様化に起因する結果と位置付けるべきだろう。特にヒゲダンはラジオ、ダウンロード、ストリーミング、ルックアップ、動画、カラオケで1位となり、6冠を達成。今年度年間でもトップは確実か。



▲ 「宿命(SWEET LOVE SHOWER 2019)」 / Official髭男dism


 また、昨年度年間15位だったMrs. GREEN APPLEが総合7位にジャンプ・アップ。JAPAN HOT 100では「インフェルノ」「青と夏」「僕のこと」など100位圏内に5曲、JAPAN HOT Albumsでは『Attitude』が48位にチャート・インと、こちらもストリーミングが牽引して、3曲に留まった昨年度年間HOT 100のよりも曲数を増加させ、各曲の順位も上げている。



▲ 「インフェルノ」MV / Mrs. GREEN APPLE


 また、JAPAN HOT 100ではSnow Man「D.D.」とSixTONES「Imitation Rain」の後塵を拝し、最高位が「Turning Up」の総合27位に留まった嵐だが、アルバムでは『5×20 All the BEST!! 1999-2019』、楽曲では「Turning Up」「A-RA-SHI : Reborn」「Love so sweet」を総合100位圏内に送り込み、Snow Man(総合8位)SixTONES(同11位)を抑えて総合6位に。特に、満を持して解禁したダウンロードとストリーミングでのポイント積み上げが大きな要因だった。



▲ 「Turning Up」MV / ARASHI


 コロナ禍が一旦の落ち着きをみせ、延期されていたフィジカル・リリースが再開され、リリース・ラッシュが予想される今年度下半期、コンスタントな拡大をみせるデジタル領域による高いチャート占有率がこのまま維持されるか、それともフィジカルの巻き返しによるチャートの変動が起きるのか、激動のBillboard JAPANチャート各々に引き続きご注目頂きたい。

#1


Official髭男dism



#2


King Gnu



#3


あいみょん

#4 米津玄師
#5 BTS
#6 
#7 Mrs. GREEN APPLE
#8 Snow Man
#9 LiSA
#10 back number
#11 SixTONES
#12 TWICE
#13 菅田将暉
#14 RADWIMPS
#15 ONE OK ROCK
#16 乃木坂46
#17 ビリー・アイリッシュ
#18 JO1
#19 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE
#20 ヨルシカ

▲ TOP

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. その他の上半期チャートへ
  3. Next >

関連キーワード

TAG

関連商品