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KAMIJO 三部作第二弾シングル『Symbol of The Dragon』リリース記念インタビュー



KAMIJOインタビュー

 今年でアーティスト活動25周年を迎えるKAMIJO。近年は声優を起用した物語仕立てのライブを行うなど、様々な挑戦を行っている。そんな彼が2月26日にリリースする『Symbol of The Dragon』は、三部作シングルの第二弾であり、彼の綴る物語『Persona Grata』に登場するナポレオンの不屈なる魂を描いている。その一方で、社会に偏在する様々な理不尽と対面せざるをえない私たちに対してのメッセージソングでもある意欲作だ。本作に込めた想いを訊いたロングインタビューをお届けする。

――最初に、三部作“PERSONA”の第二弾作品であるシングル『Symbol of The Dragon』への想いを聞かせてください。

KAMIJO:僕の作品は歴史上の人物をモチーフにすることが多いんです。今回はナポレオンがモチーフになっていて、彼は歴史の中で偉大な英雄とされていて、僕の作品の中でも英雄として登場しますが、そこで理不尽な目に遭ってしまうんです。

――KAMIJOさんのライブで発表されている、『Persona Grata』の物語の上のナポレオンは、闇の組織の手によって200年の間、幽閉されていたとのことで。

KAMIJO:はい、その彼の生き方を通して、我々が壁にぶつかった時、どうあるべきかを描こうと思いました。現代社会の中で、自分のいる会社だったり、学校あるいは家族だったりと、人間関係の中では様々な場面で理不尽に感じることもあると思います。
 ですから、この『Symbol of The Dragon』は、ナポレオンという歴史上の人物をモチーフにして、僕の物語のワンシーンを描いたものではあるのですが、僕のことを知らない、いち音楽ファンの方々にも、ご自身の視点で聴いていただけたら嬉しいですね。

――KAMIJOさんご自身も、今の現代社会において理不尽を感じることというのはありますか?

KAMIJO:それは常に感じていますね。例えば仕事においても……、誰かが喜んでくれたら誰かが喜べない状況になることもありますし。僕は幸いにして、そういう経験は少ないのですが、音楽業界の中では、アーティストがどこか妥協しなければならなかった時代もあったんですよね。アーティストに限らず、そんな経験は誰しもがあると思うので、そこで「戦う」ことが、今回の一番大きなテーマになっています。


――そのテーマとナポレオンのストーリーとキャラクターが、リンクしたということですね。

KAMIJO:ナポレオンが作り出したナポレオン法典によって、「個人の権利」という概念が世に広まった面もあります。現在日本は民主主義社会ですし、その中で「個人」というものは、とても尊重されている。この三部作 “PERSONA”シリーズは、「個人」に焦点を当てているんです。話が大きくなってしまうんですけど、この現代社会の中で人間一人一人が、個人として、どうあるべきか。その想いを曲に込めることができたという手応えがあります。

――サウンドは、映画やゲームの劇伴というか、戦闘シーンを彷彿させます。

KAMIJO:まさに戦闘シーンですね。ワーテルローの戦いでは、ナポレオンはどんな状況だったのか? そういった部分も史実を確認して参考にしながら、楽曲のイメージを作っていきました。


――タイトルにある「ドラゴン」は、空想の生き物ですよね。ファンタジー的なイメージもあるのでしょうか?

KAMIJO:そうではなく、このドラゴンが意味するのは「叫び」なんです。人それぞれ、なにかを発散する場所、自分が生きる世界が必ずあって、そこでは叫ぶことができる。ライブに行くことも、「叫び」のひとつだと思うんですよ。人は皆ドラゴンなのではないかと。自分の曲の中でも、かなりヘビーな曲になって、これからのライブ……。ちょうど4月からツアーが始まりますけれども、今後ずっと欠かせない、ライブの定番曲になるんじゃないかな。


――三部作のジャケットを手掛ける小島文美氏は『悪魔城ドラキュラX・月下の夜想曲』などでも知られています。KAMIJOさんのソロは、ヴァンパイアが重要なモチーフになっています。何故KAMIJOさんは、ヴァンパイアに惹かれたのでしょう?

KAMIJO:そうですね、一見しただけではわからないもの、危険そうなものに惹かれるんですよね。僕が何故ヴァンパイアに惹かれたのか? 美しいのに危険だからなんですよね。小島先生のタッチにしても、とても美しいなかに、とてつもない闇を感じるじゃないですか。

――相反する要素があると。

KAMIJO:すごく軽い言葉を使わせてもらうと、よく「光と闇が共存する」っていうじゃないですか。むしろ光よりも闇の方が強いぐらいのものに惹かれます。ソロ活動を初めてから、アーティスト写真の撮影でも、とにかく暗く撮るようにしているんです。「Louis〜艶血のラヴィアンローズ〜」の時からずっとそう。光よりも影こそが「綺麗」なんですよね。

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