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アース・ウインド & ファイアーとのコラボで再確認した、国外でも注目されるLittle Glee Monsterのポテンシャル



 2019年にデビュー5周年を迎えたLittle Glee Monsterが、キャリア40年以上の米ファンク・バンド、アース・ウインド & ファイアーを迎えた新曲「I Feel The Light featuring Earth, Wind & Fire」を2019年10月に発表した。片やJ-POPの未来を背負って立つ若き5人組、片やアメリカで一時代を築いたベテラン・グループ。国境も世代も大ジャンプで飛び越え、奇跡の出会いを果たした2組のコラボレーションを紐解く。

ワールド・ワイドな活躍

 2019年1月にリリースされた4thアルバム『FLAVA』がBillboard JAPAN総合アルバム・チャート“HOT ALBUMS”をはじめ、各チャートで1位を記録。8月からは自身最大規模となる全国ツアー【Little Glee Monster 5th Celebration Tour 2019 ~MONSTER GROOVE PARTY~】を開催し、11月1日~3日には国立代々木競技場 第一体育館3DAYS公演を成功させたLittle Glee Monster。さらに15thシングル『ECHO』の表題曲は“NHKラグビーテーマソング”に起用され、これまでのイメージと異なるパワフルかつエモーショナルなヴォーカルを体現し、年末には3年連続となる『NHK紅白歌合戦』出演、『第61回輝く!日本レコード大賞』では優秀作品賞に選出されるなど、デビュー5年目にして日本の音楽シーンにおける確固たるポジションを獲得した。(個人的には、細野晴臣の50周年記念公演【細野晴臣イエローマジックショー3】で彼女たちが歌った「風の谷のナウシカ」が印象に残っている。)

 ファンク、ソウル、R&Bなどのテイストを取り入れたポップスを基軸にしながら、メンバー5人(芹奈、アサヒ、MAYU、かれん、manaka)の個性と技術を活かしたヴォーカル/ハーモニーは、日本のみならず海外のシーンでも徐々に注目を集め始めている。2018年には海外プロモーターのオファーにより、台湾と香港で初の単独公演が実現。また、映画『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』ワールド・プレミアに出席し、ABBAのベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルバースの前で「Dancing Queen」をアカペラで披露し、その歌唱力を絶賛されたことも話題を集めた。

 ワールド・ワイドな活躍が現実味を帯びるなか、それをさらに加速させたのが、2019年12月にリリースされた5th Celebration E.P.『I Feel The Light』だ。昨年のツアーにおいてメドレー内の1曲として披露され、ファンの間で“謎の新曲”と話題を集めていた表題曲「I Feel The Light featuring Earth, Wind & Fire」は、なんとアース・ウインド & ファイアーとのコラボレーション楽曲。レコーディングはLAで行われ、中心メンバーのフィリップ・ベイリーが作詞するなど、全面的にプロデュースされた楽曲となっている。



Little Glee Monster 『I Feel The Light featuring Earth, Wind & Fire』Music Video Short Ver.

 アース・ウインド & ファイアーは、1970年代から第一線で活躍を続けているソウル/R&B/ディスコ系の伝説的バンド。モーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーのツイン・ヴォーカル、ブラック・ミュージックのエッセンスを色濃く反映したグルーヴ、華やかで派手なホーン・セクションを取り入れたアレンジがこのバンドの特徴だ。「宇宙のファンタジー」「セプテンバー」「レッツ・グルーヴ」などの代表曲は、現在もディスコ・クラシックとして世界中の音楽ファンを魅了し続け、数多くの後続アーティストたち――ブルーノ・マーズ、ザ・ウィークエンドから星野源まで――に影響を与えている。

 2016年2月にリーダーのモーリス・ホワイトが逝去。世界中のファン、著名人から追悼のコメントが寄せられ、訃報の直後に行われたグラミー賞では特別功労賞生涯業績賞を受賞した。その後もアース・ウインド & ファイアーは、フィリップ・ベイリー、ヴァーディン・ホワイト、ラルフ・ジョンソンらを中心に精力的にライブ活動を継続。国境、世代を超えて大きな支持を獲得している。今回のリトグリとのコラボレーションもまた、日本の若い世代のリスナーにこのバンドの偉大さを伝える絶好の機会になったはずだ。



Earth, Wind & Fire - September (Official Music Video)

ポテンシャルを大きく飛躍

 両者の最初の出会いは、2017年のアース・ウインド & ファイアーの来日公演。2017年5月の日本武道館公演でサポート・ゲストとして出演したリトグリは、アース・ウインド & ファイアーのステージでも代表曲「セプテンバー」で共演。伝説的バンドと日本の若きヴォーカル・グループのコラボは大きな話題を集めた。実はこの時、フィリップ・ベイリーはリトグリのメンバーに「一緒に曲をやれたらいいね」という話をしてたのだとか。それは単なるリップ・サービスではなく、おそらくフィリップは、リトグリのポテンシャルの高さに注目していたのだと思う。

 「I Feel The Light featuring Earth, Wind & Fire」は前述した通り、フィリップが作詞を担当。作曲は“Philip Bailey, KEN for 2SOUL Music, Inc. , Philip Woo, JUNE”とクレジットされており、日本とアメリカの世代を超えたコライトが実現している。

 メンバー5人の滑らかなハーモニーから始まるこの曲のベースにあるのは、70~80年代のディスコ&ファンク系のサウンド。しなやかにして濃密なグルーヴ、解放感に溢れたホーン・セクション、ブラック・ミュージックのテイストを色濃く反映したメロディ・ラインは、まさに“アース・ウインド & ファイアー節”だ。単にレイド・バックしているのではなく、10年代のネオ・ソウル、ファンク・リヴァイバルの流れを汲んだテイストがしっかりと加えられ、現代的なポップ・ミュージックに結びつけているところがこの曲の魅力だろう。

 リトグリのメンバー5人のヴォーカルも、これまで以上にパワフル、そして、ソウルフルだ。LAのレコーディングではアース・ウインド & ファイアーのスタッフがヴォーカル・ディレクションを担当。彼らのメソッドを直接的に体感したことでリトグリは、そのポテンシャルを大きく飛躍させている。“何もかもが不安で 涙してた日々 立ち上がって掴んだ今の光”というフレーズで始まる歌を、どこまでも自由に感情を解き放ちながら表現することで彼女たちは、シンガーとしてさらなる成長を果たしたはずだ。

 2月12日には5枚目となるニュー・アルバム『BRIGHT NEW WORLD』をリリース。さらに3月からは自身最多公演となる全国ツアー【Little Glee Monster Live Tour 2020 >BRIGHT NEW WORLD<】を開催するリトグリ。「I Feel The Light featuring Earth, Wind & Fire」で得た経験が、今後の音楽活動にどのような影響をもたらすのか、大いに注目していきたい。



Little Glee Monster 『SPIN』Music Video(5thアルバム『BRIGHT NEW WORLD』収録曲)



Text by 森朋之

Little Glee Monster「BRIGHT NEW WORLD」

BRIGHT NEW WORLD

2020/02/12 RELEASE
SRCL-11398/9 ¥ 3,300(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ECHO
  2. 02.I Feel The Light featuring Earth, Wind & Fire
  3. 03.Baby Baby
  4. 04.Love Yourself
  5. 05.君に届くまで
  6. 06.STARTING OVER
  7. 07.move on
  8. 08.SPIN
  9. 09.Classic
  10. 10.Symphony
  11. 11.夢がはじまる
  12. 12.In Your Calling

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