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寿君メジャーセカンドアルバム『Life is Great』インタビュー
そんなに人生は悪いもんやなかった―――
ジャパニーズレゲエムーヴメントを再び巻き起こす使命感も抱きながら、メジャーシーンで大どんでん返しストーリーを繰り広げんとする期待の星、寿君(コトブキクン)。日本中の老若男女すべてをリスナーとして捉えるべく邁進する中、その人生のすべてを詰め込んだメジャーセカンドアルバム『Life is Great』を完成させた。楽しんでいる奴の象徴!キャプテンとして音楽を続けてきた男が初めて弱さも曝け出し、それも含めて「そんなに人生は悪いもんやなかった」と伝えたかった理由。そして、ここからどんな風にメジャーシーンで戦っていこうとしているのか。
アルバム『Life is Great』同様、読んでいてポジティブな力が漲ってくるインタビューとなっているので、ぜひご覧頂きたい。
「俺みたいに楽しもうぜぇぇ!」そこに対してキャプテンでいたいんです
--前回のインタビューで「今は老若男女問わず一億数千万人に向けて音楽を発信しなきゃアカン立場にいると思っているし、それがメジャーアーティストだと僕は認識していて」と仰っていましたが、それを実際に体現するライブを今年は各所で繰り広げていましたよね。
寿君:そうですね。いろんなアーティストのファンが集結するイベントだったり、老若男女が行き来する場所では、極力分かりやすい寿君入門編みたいなライブを意識していて、少しでも興味を持ってもらいたくて。もちろん内容を薄くするとかそんなんじゃなくて。--それは最近の活動を見ていると強く感じます。
寿君:なので、ラジオ番組とか、LINEミュージックでやっているレゲエ講座とかで、レゲエの名曲を紹介しつつ、自分の曲も紹介しつつ、友達のジャパレゲアーティストの曲も紹介したりして、間口を広げる作業は続けているんです。それで「この人ってこういう畑から来てんねや」と知ってもらえたらそれで良いんで、とにかく僕のことを知らない人の前にもっともっと出て行きたい。--なるほど。
寿君:最近は文化祭まわりとか、いわゆる夏祭りみたいなところでもめっちゃライブしてましたね。地域のお祭りからテレビ局主催のお祭りまで。そういうところへ行ったら、僕のことを知らん人たちも結構盛り上がってくれて。お祭りって楽しいじゃないですか。そういうところで寿君の音楽と出逢って聴いてくれたら、絶対に楽しい思い出として残ると思うし、その後も僕の曲を聴いてアノ楽しい日を思い出にしてもらえたら幸せなことやし、そういう存在になりたいと思っているので、いろんなところに行かせてもらっています。--お祭り男のイメージはたしかに強いです。
寿君:夏の歌を歌っている理由は、そもそも僕が暑苦しい男だからなので(笑)。ダンスホールレゲエは盛り上がることが大事やし、僕は説教をしたくて歌っている訳でもないので、楽しんでいる奴の象徴!みたいな感じで在りたい。「俺みたいに楽しもうぜぇぇ!」みたいな感じで行きたいんですよ。そこに対してキャプテンでいたいんですよね。監督とか先生じゃなくキャプテンとしてみんなを引っ張っていきたいですね。--そうした意識も含め、メジャーデビューする前と後では明確に変わっている?
寿君:はい! それによって客層も変わりましたね。僕のライブに来てくれる年齢層も変わりましたし、子連れの人とかも多いし、めっちゃ良い風に変わってきたなって。--クラブで活躍しているアーティストは夜のお客さんが相手になるじゃないですか。そこで基盤を作ってメジャーシーンに出て行くと、今度は昼のお客さんを相手することになる。その大きな変化に対して戸惑いはなかったんですか?
寿君:最初はめちゃくちゃありました! でも、僕、ゴリゴリのレゲエをやっていたときに、風営法とかの絡みでクラブの在り方が変わって、夜の活動から昼の活動へ変えていかざるを得なくなっていって……--特に大阪のクラブシーンは直撃的に影響ありましたよね。
寿君:そうなると、高校生や中学生を相手にするようになるじゃないですか。だからその時期ってリリックを少し優しくしたりとか、高校生や中学生に引っかかるような歌を結構出していたんですよ。それを聴いて育った人たちが今子供を連れて寿君のライブに来てくれたりしていて。「子育てでしばらく来れなかったんですけど、ようやく子供と一緒に来れるようになって嬉しいです」みたいな。そうなると、自然と子連れで来やすい現場になってくるから、お婆ちゃんも含めて三世代で来てくれるお客さんもいたりとかして、それって昔じゃ考えられなかったんですよ。「すげぇな、家族で寿君を楽しんでもらえるような状況になったんや」って思うし、だからこそレゲエ講座とか大切にしたいんですよね。--それによって、それこそ今回のメジャーセカンドアルバム『Life is Great』に収められた各楽曲のルーツも分かったりしますもんね。有意義。
寿君:そうですね。特に今回のアルバム『Life is Great』は“Life”を反映させたんで。ダンスホールレゲエから裏打ち強調したレゲエ、バラードも入っていますし、自分の人生やライフスタイルが反映されているので、僕のルーツも当然感じてもらえるアルバムだと思います。- ツラい時期さえ「めっちゃ良かった」と34歳の寿君が言いたかった
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Interviewer:平賀哲雄
ツラい時期さえ「めっちゃ良かった」と34歳の寿君が言いたかった
--そもそも『Life is Great』というコンセプトで作品を打ち出そうと思った理由は何だったんでしょう?
寿君 - 「Life is Great」 Music Video
--長い下積みがあったからこそ。という話ですよね。
寿君:『ミュージックステーション』や『CDTV』に出るのもあたりまえと思ったり、もしかしたら「俺歩くからセキュリティ付けろ!」みたいになっていたかもしれない(笑)。だけど、良い時も悪い時も含めて長いインディーズでの経験があるから、すべてのありがたみに気付ける。それで「あながち遠回りでもなかったんちゃうん? めっちゃ大事な時間を過ごしてたんちゃうん?」と思って、パンチラインに「振り返れば Life is Great」って持ってきたんです。で、それをアルバムタイトルにしようと思ったんです。例えば「ツラいなぁ、しんどいなぁ、毎日仕事行くのイヤだなぁ」と思っていた日々でさえ、歳を重ねて振り返れば「あのときの俺、めっちゃ良かったやん」って思うようになる。そういうことを34歳の寿君が言いたかったんです。--今だからこそ、そう思えるし、それを伝えたかったと。
寿君:コレでご飯食べ始めてからもうすぐ10年経つんですけど、10年って結構長いなとも思うんですけど、変わらず昔の曲を大好きでいてくれる人もいるし、新しく寿君の音楽を好きになってくれている人もいるし、「ほんまに続けてきてよかったなぁ」ってこの歳になってめっちゃ思う。しかも今メジャーフィールドに立たせてもらって、打席に立たせてもらって、そこでバットを振れる状態におれるって「めっちゃしあわせもんやなぁ」って思うし。そういうことを今回のアルバムでしっかり言いたかったんです。--しんどかったことも今振り返れば「めっちゃ良かった」と思えると仰っていましたけど、インディーズ時代はどんなことをしんどいと思っていたんでしょう?
寿君:勝手に好きになられて、勝手に嫌いになられる。それがすごく寂しくもあり、面倒くさくもあって。めっちゃワァー!って寄って来るのもええねんけど、それこそ20代のときは大阪で人気出て中学生からチャリンコで追いかけられたり(笑)それがめんどいからタクシー乗って逃げたり、ニトリとかで買い物しようと思ったら勝手に写真撮られたり。かと思えば、勝手に嫌いになられて「寿君とかないわ」みたいな。「おまえ、何も知らんやん!」みたいに思ったりするじゃないですか。そうやっていろんな人が寄ってくるし、いろんな人が去っていくし、僕は何にも変わらへんのに、音楽を一生懸命やってるだけなのに、勝手に好きになられて、勝手に嫌いになられる。それがツラかった時期もあったんです。--なるほど。
寿君:ただ、この歳になると……例えば「これぞ!」みたいなダンスホールレゲエをやったり、自分がやりたいことをまんまバン!とやるとします。そうすると、YouTubeのコメント欄とか褒め言葉ばかりで全く荒れない。ディスがない。でも再生回数もあんまり伸びない。でも「あー夏休み」みたいに攻めたことをやったりすると良くも悪くもコメント欄が盛り上がるんですよ。それで「あ、これなんや、騒がれるっていうことは!」と思って。賛否両論の否がないことの怖さに最近気付き始めて、そう考えると「ディスられることもあながち悪くないんちゃう?」と思える。相手にされないことがいちばん怖いですからね。なので、昔はディスられるのはツラかったけど、34歳になった今はそれすらもありがたく思えるし、あの頃もめっちゃしあわせな状況にあったんだなと思える。--価値観が変わったんですね。
寿君:視点が増えましたね。いろんな目線で物事が見られるように変わっていきました。そういう意味では、自分はまだ子供を作ったことがないんで、子供を持てたらまたリリックとかも今までと違ってくるんだろうなと思うし、自分と音楽だけの話じゃなくなってきたりしたらもっと視野も広がるし。そう考えると「まだまだ長いこと音楽できそうやな!」って。--その変化や感覚が『Life is Great』にはまんま反映されていますよね。増えた視点や価値観の数だけバラエティに富んだリリックが書かれているし、音楽性も幅広くなっている。
寿君:そうですね。今日話したようなことをぜんぶ含めて、楽しかったこともツラかったこともぜんぶ含めて『Life is Great』と呼ぼうと思ったし、それをいろんなリリックや楽曲で表現できたと思います。トータルで「そんなに人生は悪いもんやなかった」みたいな。これからそんなアルバムを携えてツアーもまわりますし、今は楽しみなことだらけ。あと、今回のアルバムでは「諦めたくないで」って気持ちも「Never」という曲に反映させていて。「こんなんで十分満たされてはないねんけど」という部分も歌っている。リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄
メジャーシーンでも上へ行ける気がするんですよ
--それも今打ち出すことが有意義だなと思いました。20代ではなく34歳の寿君が歌うことで説得力も期待感もドラマティックさも増すじゃないですか。
【寿君】メジャーセカンドアルバム「Life is Great」トレーラー映像
--いや、共感しましたよ!
寿君:だとしたら嬉しいんですけど、今まであんまりワガママ言ってなかったんで。強い自分がすごくポジティブな言葉を投げて、そのパワーを受け取ってもらう。そういうパターンが多かったんですけど、今回は自分の奥の部分を初めて出していこうと思いました。--なんでこのタイミングで出したいと思ったんですかね?
寿君:アルバム表題曲「Life is Great」が人生を振り返った上で「これから頑張ろう」っていう歌なんですけど、それと同時に「まだまだ満たされへんねん」という気持ちもアルバムに入れたくて。ちゃんとLifeを入れたくて。わりかし「Never」は最後のほうに書いた曲なんですけど、例えば、すごく流行った曲をリミックスした「SEASON IN SUMMER(YOUSLESS Remix)」があって、「大どんでん返し」みたいな曲もありつつ、昔からストリートで一緒に音楽をやっている地元の後輩・LIFE STYLEとやった「CLEAN & FRESH feat. 寿君 & RAY / LIFE STYLE」もあったりする中で、何が表現し足りないか考えたんですよ。それが弱い自分だったんです。愚痴臭くなく弱い部分をめっちゃ出したいなと思ったんです。泣きながら歌ってもええ曲を書きたかった。--寿君の人生を描いた『Life is Great』であるならば、そこを表現しないのはウソになりますもんね。
寿君:今までは結構強い自分でいてたんですよ。で、寿君が強い言葉を発信することによって、僕も寿君から力をもらっていた部分があったんですけど、この歳になって「悩んでない人なんかいないな」と思って。そこを歌わないと綺麗事で終わってしまうというか「悩んであたりまえや。そりゃ悩むやろ?」というところも歌っていったほうがええなと思って。この歳だからこそ。「え、寿君でも悩むことあるんですか?」「そりゃあるよ!」みたいな。音楽の幅もレゲエだけやっていたときより広がってきているので、いろんなモノを見て視野も広がってきているので、そのタイミングでこういうことを歌うのはナチュラルな流れだし、アルバム『Life is Great』を完成させる為に欠かせない1曲だったなと思いますね。--そんな明確な進化を遂げた寿君ですが、今作『Life is Great』以降はどんな風にメジャーシーンで戦っていこうと思っていますか?
SEASON IN SUMMER / 寿君 & GUN HYPE & BAD JUSTICE - SUMMER SONIC RIDDIM / RUDEBWOYFUNK RECORDS
--今が人生最大の頑張りどころ?
寿君:そうですね! 飯食われへんかった奴がレゲエで飯食えるようになったアノ馬力をここでもう一回使ったら、メジャーシーンでも上へ行ける気がするんですよ。そういう実感が湧いてる。だからもうひとふんばり頑張ります!リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄
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