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サイダーガール、【NOW PLAYING JAPAN LIVE vol.4】出演インタビュー

インタビュー

 2014年5月、動画サイトを中心に活動していたYurin(Vo&Gt)、VOCALOIDを使用して音楽活動していた知(Gt)、フジムラ(B)で結成されたサイダーガール。2017年7月にメジャーデビューを果たし、2018年に開催された【NOW PLAYING JAPAN LIVE】の記念すべき第1回目で、最もストリーミングされたアーティストが出演できる<STARTERS MATCH>にKing Gnuらとともにノミネートされるも、惜しくも出演が叶わなかったが、2018年11月にリリースした『SODA POP FANCLUB 2』はBillboard JAPAN総合アルバムチャート<HOT Albums>にチャートイン、そして2019年【サイダーガールTOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER-】では全国各地でソールドアウトとなるなど快進撃を続け、この度【NOW PLAYING JAPAN LIVE vol.4】にメインアクトとして出演することが決定した。ストリーミングからヒットを生むことをテーマにした本イベントに出演する彼らが、一体どのようにストリーミングサービスを使っているのか、ライブへの意気込みともにインタビューを行った。


Yurin「ストリーミングは、気になったらどんどん掘っていけるし、便利ですよね」

−−皆さんは、普段どのように音楽を聴かれていますか?

フジムラ:ストリーミングやYouTubeが多いですね。

Yurin:僕はCDとストリーミングの両方ですね。ライブ音源とか、CDだけに特典として音源が付いていることってあるじゃないですか。そういう時はCDを買いますし、ストリーミングに解禁されていればストリーミングで聴くので、リリースされた内容によって様々です。

:僕は、自分が本当に好きなアーティストの場合はCDを買うようにしています。ただ聴く時は、ストリーミングで聴くことが多いので、「自分たちもCDを作っているので買う」という気持ちと、「コレクションしたい」という気持ちで買っています。ストリーミングって、知らない音楽を共有しやすいですし、便利ですもんね。

−−メンバー同士で、プレイリストを共有し合うことってありますか?

全員:それはないかなー。

:メンバー同士で共有することは、ないんですけど、知り合いの美容師さんからオススメのプレイリストを紹介してもらうことはあります。あと、ちょうど最近、知り合いのデザイナーさんと好きな音楽を共有したいよねって話になり、プレイリストを共有しようって話していました。

−−フジムラさんと、Yurinさんは、プレイリストはどのように使っていますか?

フジムラ:「こんな曲を作りたいな」って思う曲に近いジャンルとか、似ている曲を集めて1つのプレイリストに集めて聴いたりしています。なので、誰かと共有するためというより、自分のためにプレイリストを作ることはあります。

Yurin:僕は、自分がこれまであまり聴いてこなかったジャンルの曲を聴く時に、オススメのプレイリストを教えてもらうことはありますね。ストリーミングは気になったらすぐに教えてもらえるし、どんどん掘っていけるし、便利ですよね。

−−「もっと、こんな機能があれば便利だな」と思うことはありますか?

Yurin:めちゃくちゃ細かくジャンル分けをしてもらえると、探しやすくなるんじゃないかな。ロックの中でも、オルタナとか、メタルとか、メロスピとか。

フジムラ:たしかに、「ロック」だけだと自分の好きな曲を探しづらいよね。

Yurin:音楽のジャンル分けって人によって捉え方が違いますし、同じアーティストでも曲によってジャンルが違っているので、なかなか難しいとは思いますが、「この曲っぽい曲が聴きたいな」って思った時に、もっと細分化されていると、面白いんじゃないかなって。

フジムラ:あとは、ストリーミング向きの鼻歌検索とか付いていたら良いよね。今って曲名を思い出せない時は音声検索ができるアプリで調べてから、そのタイトルをコピーして、ストリーミングで検索して…っていうことをやっているので、それが1つのアプリでできたら便利だなって思います。他には、歌詞のワンフレーズだけ入れると探せたりとか。アーティスト名も曲名も思い出せない時に、見つけられる何かがあれば嬉しいですね。

−−サイダーガールは2014年に結成し、2017年にメジャーデビューされています。日本でAWAがスタートしたのが2015年なので、メジャーデビューされた時には日本で、ストリーミングが浸透し始めてきた頃ですね。

:最初は、すごい抵抗があったので、全曲解禁はしていませんでした。でも、時代の変化とともに考え方が変わってきましたね。

−−音楽の作り方は、変化してきましたか?

Yurin:曲を作る時には、特にストリーミングを意識したり、何かを変えたりすることはないですね。エンジニアの方は、ストリーミングが主流になったことで、マスタリングの仕方が変わってきたっておっしゃっていました。サービスによって音質も、最大の音圧も違うので、一番低音質なサービスに合わせて平均値を取りながら、音を作っていかないといけないのが難しいって。なので、今は僕らよりもエンジニアさんの方が大変なのかなって思います。



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知「ストリーミングもCDもどちらも良さがある」

−−音楽を聴き始めた頃は、CDかダウンロードか、どちらですか。

全員:僕が初めてCDを買った頃は、8cmのシングル盤も売られていたのでCD世代ですね。あれ?年齢がバレちゃうかな…(笑)。

フジムラ:僕も、子供の頃はCDを買ってMDに録音していました。でも、8cmのシングルは買ったことがないかな。小さい時は、父親が1970年~1980年代の音楽が好きで家にレコードがあったので、家族でレコードを聴くことが多かったですね。なので、初めてCDを買ったのは、もう12cmのサイズになってからだったと思います。

:昔、CDを使って遊ぶ「モンスターファーム」っていうゲームがあったんですけど、それで父親が持っているCDを段ボール箱から、片っ端から開けて借りていました(笑)。ゲームがきっかけではありましたが、父親が持っているCDをきっかけに、新しい音楽を知ったりしていました。僕の場合は、実家が田舎なのでCDショップで買うというより、インターネットでCDを買っていました。あとはTSUTAYAで借りたりとか。カップリングに好きな曲が入っていることが多かったので、そのためにシングル盤をお小遣いで買ったりしていましたね。

フジムラ:たしかに、中学生の頃だとCDを何枚も買えないもんね。買えないけど、色々聞きたいから、レコード会社のホームページで、片っ端から試聴したりしていました(笑)。今になって、その時にめっちゃ試聴していた曲を買うこともあります。

−−冒頭で、知さんが「僕たちもCDを作っているので」とおっしゃっていました。このようにリリース方法が多様化してきた今、CDを作る意味とはなんでしょうか。

Yurin:音質ですかね。ストリーミングの場合は、どうしても音質が下がってしまうので、音楽が好きで耳が肥えている人のためにはCDやアナログも必要だなって。学生の頃とかは分かりませんでしたが、今はCDの音源とストリーミングでの音源を聴き比べると、全然違うのが分かります。こんなに違うんだっていうのを、今の若い人たちにも知ってもらえたらなとも思います。あとは、ジャケットとか歌詞カードですよね。僕は、アルバムに付いているCDの帯も好きで。ジップロックに、乾燥剤と一緒に入れて保存していて。

−−え!そこまで、なさるんですね。

Yurin:学生の頃からやっていて(笑)なので、そういうマニアックな楽しみ方とか、それぞれの楽しみ方がCDにはある人と思うので、そういう人たちを淘汰したくないなって思います。

フジムラ:CDって、買うことも借りることもできますけど、借りた曲ってちゃんと聴かなかったり、あまり印象に残らないことが多くて。やっぱり、自分で買うと歌詞を見ながら何度も聴くので、そこはストリーミングとの違いかなって思います。

:ストリーミングもCDもどちらも良さがあるので、どちらも否定したくないなと思います。やっぱり、CDを聴いて育ってきたからこそ、CDを出すことへのロマンみたいなものはあって。でも、音楽という文化を育てていくためには、手軽に聴けるべきだとも思います。今は、高音質なデジタル音源も増えてきているので、高音質なストリーミングが主流になれば、もしかしたらCDの存在を考え直す日が来るかもしれません。いずれにしても、せっかく色んな形態でリリースするのであれば、ちゃんと違うものを表現したいなと思います。パッケージやメディアが違うだけで、全く同じものを出すのであれば意味がないので。なので音質が違うとか、違うものが見れるといった内容が異なるものを、いくつか出して、ファンの方が選んでもらえるようにしたいなと思っています。逆に今って音楽を聴けるサービスがいっぱいあって、サービスによってできることが違うので、もっと1本化されれば良いのになと思うことがあります。

−−音楽の聴き方の多様化にあわせて、ビルボードでは今は8種類のデータを合算したチャートを作っています。今、ストリーミングチャートや、ダウンロードチャートなど、様々なランキングやヒットがありますが、どういう時に「この曲はヒットしているな」と感じますか。

フジムラ:母や姉が知っていた時ですね。母や姉は、特にYouTubeで検索して音楽を聴いたりするわけではなく、テレビを通じて音楽を知ることが多いので、この間「Lemonって、すごい良い曲だよね」って言われて、ヒットを実感しました。

Yurin:たしかに、普段音楽を聴いていない人までもが知っていると、「あー、ヒットしているな」って体感しますね。

:僕は色んなことを調べすぎて、何がヒットしているのか逆によく分からなくなってきちゃっているんですが、バンドだとライブでじわじわ話題になっている感じがSNSから知ることが多いですね。あとは、ビルボードのチャートは毎週チェックしているので、チャートに何週間も入り続けていると、ヒットしているんだなって思います。最近だと、Official髭男dismさんの「Pretender」が、じわじわチャートを上がってきて、今ずっとチャートの上位にいますよね。他にも、米津玄師さん、King Gnuさん、あいみょんさんとか…、最近はロングヒットしている曲が多くなってきましたね。



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フジムラ「今回はまた今までと違った豊かさが出ている」

−−皆さんの活動についてもお伺いしたいのですが、2019年はバンド史上最大規模のツアーからスタートしました。どんな1年でしたか。

フジムラ:年始から、ずっと駆け抜けてきたような1年でしたね。

Yurin:ツアー中にも曲を作っていたので、「ライブ」→「制作」→「ライブ」→「制作」みたいな感じで、隙間のない1年でしたね。本当に、あっという間でした。

:本当にこなすだけの毎日になりそうで。与えられたものをやることに必死な毎日にならないように、なるべく隙間の時間を作って、色んなものをインプットしたり、自分自身を見つめなおす時間を作るようにはしていましたが、目まぐるしい1年でしたね。

−−サイダーガールの場合は、メンバー全員が作詞/作曲をされますが、こうやって忙しい合間に作るときは、新曲を作ることが決まったタイミングで、担当を割り振るんですか?

フジムラ:新しくタイアップのお話をいただいた時とかは、まず皆それぞれ作ってみて、どれが良いかを相談して決めるようにしています。そこで、その時のタイアップとは合わなくても、この曲も良いよねっていう曲があった時は、次のアルバムまでとっておいたりしています。

Yurin:決め打ちで作るのではなくて、常に選択しがあった方が良いなって思っていて。それに、その瞬間に一番合う曲を複数の中から選んでいく方が建設的だなとも思うので、そういうスタンスは続けていますね。

−−メンバーそれぞれが作りながらも、サイダーガールらしさとは、どのように作り上げていくのでしょうか。

Yurin:結成当時から、「サイダーガールらしさとは」って聞かれることが多くて。3人とも曲の色が違うので、「まとまりがないよね」って言われることもあって。なので最初の頃は、「僕が歌って、みんなが演奏しているスタイルがサイダーらしさだよね」って話していたんですが、「まとまりがない」って一見、ネガティブな意味に聞こえますけど、それを突き詰めていけば強みになるんじゃないかなって最近は思っています。L'Arc〜en〜Cielさんも、KEYTALKさんも、それぞれが作るけどL'Arc〜en〜Cielらしさも、KEYTALKらしさもありますよね。なので、バンドを続けていけば、きっと目的地は一緒なので、サイダーガールらしさが無意識に作られていくんじゃないかなって。

:僕はサイダーガールらしさって、なくても良いんじゃないかなと思っています。今まで続けてきて、色んなことが自分たちの中で変わってきていますし、好きなものだって、明日変わるかもしれないし。むしろ最初に決めたことに縛られる方が、カッコ悪いなって。もちろん、アーティストとして守りたいものはそれぞれあると思うんですけど、他人が思う自分たちのアイデンティティはどんどん壊していけるバンドでありたいなと思います。なので、もしかしたら明日、顔を出しているかもしれないですし…。

Yurinフジムラ:え?!

:人って、慣れちゃうじゃないですか。「こういう人たちだよね」って思われちゃうのも嫌だし。なので、アルバムを出すごとに、毎回新しいバンドの1stアルバムのようになれば良いなって思います。

Yurin:良い意味で裏切っていきたいよね。最初の頃から変幻自在って言われていましたけど、最近はそれをよりできるようになってきました。どこまで自由にやれるかっていうのは、すごく悩むんですけど、結局は曲が良ければOKだと思うので。2020年1月15日に発売する3rdフルアルバム『SODA POP FANCLUB 3』は、今までやってこなかったことを、たくさんやっているので、そういうところも受け入れてもらえたら嬉しいなと思います。



▲ 「クローバー」サイダーガール

−−前回の2ndアルバムでも、色んなチャレンジが詰まっていましたが、今回も色んなチャレンジが詰まっているんですね。

Yurin:前回は、みんなそれぞれ自分が好きなことや、メンバーそれぞれの趣味を反映させることができた作品でした。でも、今回はアルバムのタイトルにし続けている「SODA POP」とは何なのかということから、曲を集め始めて。なので、ラップっぽいアプローチをしたり、ツインボーカルをやってみたり、これまでで一番賑やかなアルバムになっていると思います。「SODA POP」の持つ、明るくて爽やかなイメージや原点に返った作品になっていると思います。

フジムラ:フルアルバムを作る時は、いつもバラエティ豊かなものにしようと思って作っているんですが、今回はまた今までと違った豊かさが出ているんじゃないかなと思います。



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−−2020年は、自身最大規模をさらに更新したツアーからスタートします。どんな1年にしたいですか。

Yurin:とりあえず健康にツアーを終えたいですね。結構、長いツアーになるので、最後まで気を抜かずにやりたいなって。夏はオリンピックがあるので、たぶんライブがあまりできなくなるので、その分 曲をたくさん作りたいですね。今回はツアーをしながらのアルバム制作で大変だったので、次はもう少し余裕をもって作りたいです。

フジムラ:2020年の抱負ですよね…。

−−個人的な抱負でも。

フジムラ:…。釣りがしたいです。あと2020年はオリンピックがありますけど、日本がオリンピックムードになっても、僕たちも同じくらい盛り上げていきたいですね。音源もですし、ライブもですし、あとは釣りもしながら(笑)。

:僕は地元が北海道なので、上京したばかりの時って電車の乗り換えとかも全然分からなくて、「いちから覚えていかなきゃな」って思った時のことを、今も覚えていて。初心に返るというか、そういう気持ちに、またなりたいなと思っていて。なので、パスポートも取っていないんですけど、2020年はアメリカに行きます。

Yurinフジムラ:おぉっ。

:カリフォルニアに行きたいなって。自然に触れたり、星を見たり…。もちろんライブにも行って、アメリカの文化に触れてみたいです。アメリカに行って、持って帰ってきたことで自分の価値観も変わると思うので、またそこから新しい曲を作りたいです。これまで、ずっと「行く行く」って言い続けていて、「行く行く詐欺」みたいになりかけてたんですけど、2020年こそは行きます!

−−お2人から、個人的な目標が出ましたけど、Yurinさんは個人的に行きたい場所はありますか。

Yurin:行きたい場所ですか?んー。僕はずっとギリシャに行きたくて。音楽と全然関係ないんですけど、美味しいものを食べて、綺麗な景色を見たくて…。

−−じゃあ、4作目のアルバムは、皆さん色んな文化を取り入れられて、全然違う作品が出来上がるかもしれませんね。

Yurin:僕は、すごいシンフォニックな曲になるかも。

フジムラ:笑。

−−最後に、【NOW PLAYING JAPAN Live】はストリーミングからヒットを生むというテーマのイベントなので、今までご一緒されたことのないアーティストとの組み合わせになると思います。どんなライブになりそうでしょうか。

:新曲ができたら良いよね

フジムラ:もしかしたら、ライブ自体に行くのが初めてっていう方もいるかもしれないですよね。初めて行くライブって、すごい身構えちゃうじゃないですか。でもストリーミングでも何でも良いので、一度聴いてみて、面白いなと思ったら、ぜひライブを体験しに来てもらいたいですよね。

:逆もあってほしいよね。ライブを見たあと、ストリーミングを聞くみたいな。

−−ライブ終了に合わせて全12サービスで一斉にセットリストをアップするので、そういう楽しみ方もありますね。

Yurin:なおさらMCで滑らないように気を付けないといけないですね…。

:MCもストリーミングで配信されちゃうのかな。

Yurin:(笑)僕らの和やかな雰囲気を伝えられたら良いなと思います。



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