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ビルボードジャパン 年間ランキング2019発表~【Hot 100】は日米初の2年連続米津玄師「Lemon」、【Hot Albums】は嵐『5×20 All the BEST!! 1999-2019』



年間ランキング2019


 【ビルボードジャパン 年間ランキング2019】が決定。総合ソングチャート【Hot 100】、総合アルバム・チャート【Hot Albums】、さらに【Hot 100】と【Hot Albums】のポイントを合算したアーティスト・ランキング【TOP Artists】など、各種チャートを解説とともに発表する。嵐や星野源、スピッツ、BUMP OF CHICKENなど多くのアーティストがストリーミングを解禁したことが話題となった2019年。オーディオ、ビデオともにストリーミングでのヒットが大きなカギを握る1年となった。

 

※集計期間:2018年11月26日(月)~2019年11月24日(日)

HOT 100

米津玄師「Lemon」計5冠で
日米ソング・チャート初の
2年連続制覇達成

 昨年4冠でイヤーエンド首位を獲得した米津玄師「Lemon」(18年3月14日発売)だったが、『紅白歌合戦』での初パフォーマンスが話題となり、放映直後の週以降ダウンロード、動画再生が牽引して高ポイントを維持、19年度イヤーエンドでは、18年同様ダウンロード、ルックアップ、Twitter、動画再生で1位、そして新たに新指標として加わったカラオケ指標で1位と、計5冠を獲得、【Hot 100】イヤーエンド・チャート連覇を成し遂げた。これは、アメリカの60年、日本の10年を超える総合チャート【Hot 100】の歴史でも類の無いトピックで、しかもオーディオ・ストリーミングを解禁していない現状であってもなお、いかに「Lemon」が長くそして広く愛されている楽曲であるか、よく分かる結果といえる。また、米津玄師は、100位以内に8曲を送り込み、19年9月11日にリリースされた「馬と鹿」も5位と、その勢いはまだまだ衰えを見せておらず、次年度以降もチャートを賑わせることは確実だ。



▲ 「Lemon」MV / 米津玄師


 続く2位には、あいみょん「マリーゴールド」(18年8月8日リリース)。昨年の同チャート48位からのジャンプ・アップの後押しとなったのは18年12月の複数の音楽特番でのパフォーマンスにより、大きくファン層を広げたこと、アルバムを始めとする今年の他楽曲の連続リリース(2月、4月、7月、10月)により注目を維持したことや、度々話題となったツアーでのライブ・パフォーマンスなどのニュース・トピックの高い閲覧数などにより、ストリーミングの高頻度再生を維持したことが大きく、年間でもストリーミング1位を獲得、“ストリーミング発の最初のヒット・メーカー”に相応しい結果となった。100位以内には、8曲がチャート・インしているが、19年にリリースされた「ハルノヒ」が13位、「空の青さを知る人よ」は73位と、前出の米津玄師に比べると19年度後半には落ち着きを見せる展開となっている。

 次いで今年躍進著しいアーティストによる2曲が続き、Official髭男dism「Pretender」が3位、King Gnu「白日」が4位となった。「Pretender」を筆頭に、100位圏内に6曲を送り込んだOfficial髭男dism。ラジオ・フレンドリーな楽曲も多く、ラジオ1位が「Pretender」、2位が「宿命」と並ぶ。ラジオに加え、ストリーミング、動画再生、ダウンロード、カラオケの計5指標が牽引しての躍進だ。一方のKing Gnuは、100位以内に「白日」と「飛行艇」の2曲がチャート・インと、ヒゲダンに比べるとアーティスト認知よりも楽曲認知が先行していて、ストリーミング、動画、ダウンロードが牽引。両アーティストともNHK『紅白歌合戦』出演が決定しており、米津やあいみょん同様『紅白』を始めとする年末音楽特番での露出がステッピング・ボードとなり20年度の一層の躍進となるか、今後の展開が注目される。



▲ 「Pretender」MV / Official髭男dism>


▲ 「白日」MV / King Gnu


 また、18年のトップ20では、欅坂2曲、乃木坂2曲、AKB1曲、TWICE3曲がチャート・インしていたが、19年では乃木坂2曲、欅坂1曲、日向坂1曲と、ガールズ・グループが8曲から4曲へ減となった。複数指標を合算する総合ソング・チャートでも、シングルによる販売数で他を圧倒、ランキング上位を独占することでアーティスト・バリューを上げるという、10年代前半で一般的だった勝ちパターンが19年ではいよいよ通じなくなってきた。

 そして、19年の【Hot 100】イヤーエンドでは、トップ20でストリーミングが未解禁のアーティストは米津玄師のみで、動画再生未解禁はゼロとなった。オーディオ、ビデオ両方のストリーミング・サービスがユーザーの聴取方法として広く浸透、ヒットのカギを握る2指標として大きくクローズ・アップされることとなった。19年にオーディオ・ストリーミングを解禁したアーティストも、嵐、星野源、スピッツ、BUMP OF CHICKEN、WANIMA、Perfume、平井堅、小田和正、ゆず、YUKIなど数多く、これがユーザーの大量流入を招き、特にランキング上位の楽曲の再生回数を押し上げることとなった。この傾向は20年度も続くとみられ、今後はストリーミング自体を押し上げるためのトリガーを各々のアーティストがどう見つけ出すかが注目のポイントとなるだろう。

#1


「Lemon」
米津玄師



#2


「マリーゴールド」
あいみょん



#3


「Pretender」
Official髭男dism

1

#4「白日」
King Gnu

1

#5「馬と鹿」
米津玄師

1

#6「まちがいさがし」
菅田将暉

1

#7「パプリカ」
Foorin


1

#8「今夜このまま」
あいみょん

1

#9「U.S.A.」
DA PUMP

1

#10「宿命」
Official髭男dism

米津玄師 インタビュー抜粋

「とても光栄です。この曲を作ったのが遠い昔のことのような気分でいます。これからも続くであろう長い人生の中で、このような得難い経験をさせてもらったことに感謝の気持ちでいっぱいです」―米津玄師


Official髭男dism
インタビュー抜粋

「ランキングももちろん嬉しいですが、まずそれだけたくさん曲を聞いてくれているリスナーがいてくれている事が本当に嬉しいです」―藤原聡

▲ TOP


HOT ALBUMS

2010年代最多売上を記録、
嵐の20周年ベストが総合首位に

 2019年の年間総合アルバム・チャート【Billboard JAPAN Hot Albums of the Year 2019】は、嵐の最新ベスト・アルバム『5×20 All the BEST!! 1999-2019』が総合首位を獲得した。

 2020年12月31日をもって活動休止することが決まっている嵐は、自身2作目となるオールタイム・ベストアルバム『5×20 All the BEST!! 1999-2019』を6月26日にリリース。初週136万枚を売り上げた同作は、以降も順調にCDセールスを伸ばし、頭12週間は売上1万枚以上をキープ、これまでに通算4度のCDセールス1位をマークして、年間集計では累計215万枚を突破し、同部門年間1位の座を手堅く獲得した。またルックアップは年間6位となっており、週間ではこれまでに6度の1位をマークしている。ソフト市場の縮小が叫ばれ始めてから久しく、音楽メディアのデジタル化がますます進行し、ついに嵐も先日、ジャニーズ所属アーティストとしては異例の施策として、全シングル表題曲の配信を解禁することになったが、一方で従来の圧倒的なフィジカル販売力も健在。アルバムの初週CD売上によるミリオン突破は安室奈美恵『Finally』以来であるうえ、同作の数字を超えて2010年代最多の初週売上記録を更新する形となった。



▲ 「A・RA・SHI」MV / 嵐


 総合2位は、星野源の3年ぶり、通算5作目となるオリジナル・アルバム『POP VIRUS』が獲得した。総合ソング・チャート【Hot 100】において、2017年の年間首位を獲得した「恋」、そしてCDリリースされていない作品としては、ピコ太郎「PPAP」以来となる週間総合首位を獲得した「アイデア」など、ヒット曲も多数収録した同作は、年間77,071DLを売り上げてダウンロード1位、そしてルックアップでも1位となり、2冠を達成。また、CDセールスも年間売上43.9万枚で4位と好調だった。また、10月14日に配信リリースされた最新EP『Same Thing』は、年間38,555DLを売り上げてダウンロード8位、総合順位は48位をマークしている。



▲ 「Pop Virus」MV / 星野源


 地上波テレビ番組等のマスメディア露出も多い前述2組に対し、その活動の大半をツアーやフェスに費やすONE OK ROCKは、約2年ぶりの通算9作目となるオリジナル・アルバム『Eye of the Storm』が、デジタル指標での強さを見せて総合3位にエントリー。年間CDセールスは30.8万枚で6位と、総合4位に続いたback number『MAGIC』と同等の数字となったが、ダウンロードが64,732DLを記録して3位となっており、これがトップ3入りの決め手となった。back number『MAGIC』は、年間でCDセールス7位、ダウンロード7位となったほか、2016年の年間チャートで総合3位を獲得したベスト・アルバム『アンコール』同様、ルックアップが頭一つ抜ける形で3位にエントリー。この指標におけるback numberの強さは白眉で、これまでに週間で9度の1位をマークしている。そして総合5位には、CDセールスで2位となったKing & Princeの1stアルバム『King & Prince』が入った。



▲ 「Stand Out Fit In」MV / ONE OK ROCK


 計52週の集計となった2019年の年間チャート。その全ての週で100位内にチャートインしたのは、米津玄師『BOOTLEG』(総合9位)、安室奈美恵『Finally』(総合22位)、back number『アンコール』(総合26位)、米津玄師『YANKEE』(総合42位)、松任谷由実『松任谷由実 40周年記念ベストアルバム日本の恋と、ユーミンと。』(総合65位)の5作品だ。とりわけ上位4作品については、同じく計52週からなる2018年チャートにおいてもトップ100から漏れることなく、この2年間を通してチャートを“完走”していることから、2010年代後半を代表するロング・ヒット作品の一角と言ってもいいだろう。

#1


『5×20 All the BEST!!
1999-2019』



#2


『POP VIRUS』
星野源



#3


『Eye of the Storm』
ONE OK ROCK

1

#4『MAGIC』
back number

1

#5『King & Prince』
King & Prince

1

#6『今が思い出になるまで』
乃木坂46

1

#7『瞬間的シックスセンス』
あいみょん


1

#8『ボヘミアン・ラプソディ』
オリジナル・サウンドトラック
クイーン

1

#9『BOOTLEG』
米津玄師

1

#10『aurora arc』
BUMP OF CHICKEN

▲ TOP


TOP ARTISTS

上半期に続き
あいみょんが米津玄師を抑え
総合1位に

 「マリーゴールド」、「Lemon」と、年をまたいでのロング・ヒット曲を持つ2アーティストによるデッド・ヒートを制したのは、ストリーミングで圧倒的な強さを誇るあいみょんだ。18年の年間16位から、19年度上半期首位、続いてイヤーエンド首位の獲得となった。あいみょんは、ストリーミングに加えてラジオでも1位と2冠だったが、一方の米津はダウンロードとルックアップ、動画再生、カラオケの4冠を獲得、最終的にストリーミングの有無が明暗を分けた。とはいえ、ラジオ指標でもあいみょんは盤石とはいかず、当年躍進したOfficial髭男dismが曲単位では1位と2位と、あいみょんを抑えたものの、あいみょんは6曲、ヒゲダンは3曲を同指標100位圏内に送り込み、チャート・イン楽曲の合計ポイントで1位を守った。総合2位の米津もまた盤石ではなく、ダウンロード、ルックアップ、カラオケではあいみょんが急追、ラジオでは4位と、ラジオ・フレンドリーなあいみょんやヒゲダン、星野源に後れをとる結果となり、11月まで二転三転するチャート・アクションだった。



▲ 「マリーゴールド」MV / あいみょん


 19年度の【TOP Artists】で目立つのは、ストリーミングを解禁したback numberと嵐。2月にストリーミングを解禁したback numberは、「高嶺の花子さん」「ハッピーエンド」「クリスマスソング」など5曲を同指標100位圏内に送り込み、【TOP Artists】ストリーミング指標では4位にジャンプ・アップ、同指標を追い風に18年11位から総合6位へ。また、10月11月と段階的にストリーミングとSNSを解禁した嵐は、国民的アイドルらしくベスト盤『5×20 All the BEST!! 1999-2019』によるフィジカル・ポイントが牽引する一方で、昨年までブランクだったダウンロードとストリーミング、動画再生でもポイントを積み上げ、18年15位から総合4位へ大きく順位を上げた。ランキングの死角が無くなった嵐のラスト・イヤーとなる次年度は18年の安室奈美恵を超える、まさに台風の目となるか、注目したい。



▲ 「HAPPY BIRTHDAY」MV / back number


 女性アイドル・グループのランク・ダウンも目を引く。乃木坂46は18年4位から9位に、欅坂46は5位から19位に、、AKB48は8位から22位に順位を落とした。乃木坂のみフィジカルは18年に続き2位を守ったが、欅坂とAKBは18年よりも順位を落とし、デジタルでも苦戦。新作リリースが少なかったことが大きな要因だが、【TOP Artists】で上位を守るためには、リリースに左右されることなくコンスタントにポイントを積み上げることが出来るストリーミングやダウンロードでも存在感を示すことが年々重要度を増しており、20年度以降ではフィジカルとデジタルの両面でポイントを稼がないと、この傾向を覆すことは難しく、デジタル領域に対する積極的なアプローチが一層求められることになるだろう。

 19年度より【Hot 100】8つめの指標として新たに加えたカラオケ指標は、解禁やリリースと同じように順位を上げることはないが、週ごとに見ればヒゲダンやKing Gnuといった、19年に躍進したアーティストによる楽曲も着実にランク・アップするなど、トレンドを反映したアクティブ・ユーザーも多いことが分かるチャート・アクションもあることが明らかになった。ダウンロード、ストリーミングで上位となった楽曲は、タイム・ラグを置いて最終的にカラオケでも上位となることが多いことから、【TOP Artists】でカラオケ指標上位のアーティスト、米津玄師、あいみょん、back number、Official髭男dism、菅田将暉が、最も世代を横断して存在感を発揮した“今年の顔”と言えるのかもしれない。

#1


あいみょん



#2


米津玄師



#3


Official髭男dism

#4 
#5 TWICE
#6 back number
#7 ONE OK ROCK
#8 クイーン
#9 乃木坂46
#10 BTS
#11 RADWIMPS
#12 King Gnu
#13 星野源
#14 菅田将暉
#15 Mrs.GREEN APPLE
#16 King & Prince
#17 WANIMA
#18 DA PUMP
#19 欅坂46
#20 日向坂46

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