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AI 20周年記念インタビュー「力を合わせれば、ハッピーなパワーが生まれるというメッセージを伝えていきたい」
AIがデビュー20周年記念ベストアルバム『感謝!!!!! - Thank you for 20 years NEW & BEST -』をリリースした。彼女自身のルーツであるゴスペル音楽、そして、敬愛するアーティストへのリスペクトを表明することをテーマに掲げた本作には、ゴスペルのアレンジを取り入れた「Story」や「ハピネス」、「みんながみんな英雄」といったセルフカバーに加え、安室奈美恵の「Baby Don't Cry」をモチーフにサンプリングする形で制作された「Baby You Can Cry」などを収録。また初回限定盤には「Story」、「ハピネス」、「みんながみんな英雄」、「キラキラ」、「FAKE feat. 安室奈美恵」などのオリジナルバージョンを収めたボーナスディスクが同梱される。
現在、全国ツアー【AI 20周年記念プレミアムライブ with ゴスペル聖歌隊】を開催中のアニバーサリーを迎えたAIに、『感謝!!!!! - Thank you for 20 years NEW & BEST -』を軸にしながら、自身のルーツ、音楽観、将来のビジョンなどについて語ってもらった。
安室奈美恵さんにはすごくお世話になったので、その思いを込めた曲にしたいなと思い作りました
――デビュー20周年、おめでとうございます!
AI:ありがとうございます。周りの人に言われなかったら、気付いてなかったかもしれないですけどね(笑)。ずっと同じように頑張ってきただけなので……。すごい先輩たちがいらっしゃるし、「まだまだだな」って思ってます。
――20周年記念アルバム『感謝!!!!! - Thank you for 20 years NEW & BEST -』は、ゴスペル・アレンジを取り入れたセルフカバーと新曲を中心にした作品です。
AI:ベスト・アルバムは以前にも出しているし、今回は自分のルーツを感じてもらえる作品にしたくて。「ハピネス」や「Story」もそうですけど、みなさんが聴いたことがあるだろうなという曲をゴスペル・アレンジにして収録しています。R&Bやヒップホップも好きなので、(R&B、ヒップホップ系カルチャーの手法である)サンプリングを使った曲も作ろうということになって真っ先に思い付いたのが、安室奈美恵さんの「Baby Don't Cry」だったんです。もちろん曲も大好きだし、彼女にはすごくお世話になったので、その思いを込めた曲にしたいなと思い作りました。
――AIさんは安室奈美恵さんのプロジェクト『SUITE CHIC』(2003年)に参加されていましたね。『SUITE CHIC』は最先端のR&B、ヒップホップを取り入れた革新的なプロジェクトでした。
AI:私にとってもすごく大きかったですね。ちょうどレコード会社を移籍した時期で、初めてのテレビ出演、初めての海外でのライブ、初めての記者会見を奈美恵さんと一緒に体験させてもらったんです。あれほど大掛かりなミュージックビデオの撮影も初めてだったし、いろいろなことを教わったんです。なので、ぜひ彼女の曲をモチーフにした曲を作らせてもらいたいなと……。失礼があってはいけないし、ファンのみなさんに「私たちの奈美恵の曲にヘンなことしやがって!」と思われないように、すごく考えながら作りました。
――深いメッセージが込められた楽曲ですよね。
AI:(「Baby You Can Cry」の)<ずっと our music will never end...>という歌詞にもありますが、奈美恵さんは引退されましたけど、彼女の姿からインスパイアされたところも大きいですね。「ときには肩の力を抜いて、泣いてもいいんだよ」というメッセージも込められています。私自身は泣きたいときに泣くし、遠慮しないでやってるんですけど(笑)、ガマンしている人はいっぱいいると思うんですよ。この曲を聴いて、少しでもリラックスして、自分を解放してもらえたらいいな。そうすれば余裕も出来て、人にも優しく出来ると思うので。
――「LIFT ‘EM UP feat. B.SLADE」は、ゴスペルをルーツに持つB.SLADEさんをフィーチャーされていますね。
AI:B.SLADEさんは2013年にたまたま人から紹介してもらったんですけど、その歌声を聴いて、「天才だ!」と思いました。その後も時々、連絡を取り合っていたんですけど、彼の歌をみなさんに聴いてもらいたいし、ぜひ日本でもライブをやってほしいなと思ってます。歌が素晴らしいのはもちろん、彼もすごくポジティブで、一緒に制作していてもすごく意見が合うんですよ。
――もう一つの新曲「ラフィン・メディスン」も、前向きなメッセージに溢れていますね。
AI:この曲は『ドナルド・マクドナルド・ハウス』(病気と闘う子供とその家族のための滞在施設)のチャリティ活動のために制作した曲なんです。“笑顔がいちばんの薬”というポジティブな曲で、みんなが笑顔に、ハッピーになってほしいという思いを込めて作りました。
――「ハピネス」や「Story」、「みんながみんな英雄」などのゴスペル・バージョンもすごく聴き応えがありました。
AI:実は、かなり大変だったんですよ。原曲を超えたいという気持ちもあったし、聴いてくれた人に「原曲も好きだけど、こっちもいいな」と思ってもらいたかったのですが、歌い馴れた曲ばかりだから、上手く歌おうとしちゃって、感情が付いてこないこともあって、そのコントロールにだいぶ苦労しました。しっかり思いを込めて歌ったので、ぜひ聴いてほしいですね。
リリース情報
『感謝!!!!! - Thank you for 20 years NEW & BEST-』
- 2019/11/6 RELEASE
- <初回限定盤(Disc-1 & Disc-2)>
- UPCH-29346/7
- ¥ 3,500(plus tax)
- 詳細・購入はこちらから>>
- <通常盤(Disc-1のみ)>
- UPCH-20534
- ¥ 3,000(plus tax)
- 詳細・購入はこちらから>>
ツアー情報
【AI 20周年記念プレミアムライブ with ゴスペル聖歌隊】
2019年11月10日(日)築地本願寺
2019年11月15日(金)福岡 北九州ソレイユホール
2019年11月17日(日)兵庫 加古川市民会館
【AI 20周年記念 "クリスマスディナーショー with ゴスペル聖歌隊"】
2019年12月9日(月)帝国ホテル 大阪 孔雀の間
2019年12月11日(水)ANAクラウンプラザホテル金沢 大宴会場「鳳」
2019年12月15日(日)SHIROYAMA HOTEL kagoshima コンベンションホール エメラルド4F
2019年12月19日(木)グランドプリンスホテル新高輪 飛天
2019年12月22日(日)ホテル日航高知 旭ロイヤル 3Fゴールデンパシフィック
2019年12月24日(火)ホテル東日本宇都宮 3F大和
詳細はこちらへ: http://aimusic.tv/live
関連リンク
Photos by Yuma Totsuka
力を合わせれば、ハッピーなパワーが生まれるというメッセージを、私は音楽を通して、伝えていきたい
――AIさんがゴスペル音楽と出会ったのは、10代の頃ですか?
AI:そうですね。小さい頃から、アメリカの教会でゴスペルを聴いていて、その頃はあまり意識してなかったんですけど、高校生になってロサンゼルスに住んだときに生のゴスペルを聴いたら涙が出るほど感動したんですよ。そういう経験は初めてだったんですけど、訳も分からず、涙が止まらなくなって、「私もここで歌いたい!」と思って、牧師さんに話してみたら、ひと言、「ウェルカム!」って(笑)。「え、それだけ!? オーディションとかないの?」って思ったんですけど(笑)、それから3年間ゴスペル・クワイアで歌いました。私はアルトだったんですが、ハーモニーの勉強もできたし、大きな声で、気持ちを解放して歌うことの大切さも学べて、とてもいいトレーニングになりましたね。
――そのクワイアには、いろんな人種の方がいたんですか?
AI:ほとんどが黒人でした。白人の女の子が一人いたんですけど、彼女はソロを歌うほど歌が上手かったです。アジア人は私だけでした。ファーストAME教会という教会に通っていて、最初の頃は「私たちの合唱隊によそ者が入ってきた」みたいな雰囲気もあったんですけど、ディレクターがいつも「大丈夫か?」と気にかけてくれたし、ちょっとしたことで、だんだん周りの子たちと仲良くなっていきました。相手がどんな人で、どんな家族がいて、どんな生い立ちで……とお互いのことが分かれば、仲良くなれるんですよね。今も連絡を取っている子もいるし、本当にいい経験でした。
――その当時からR&Bやヒップホップも聴いてましたか?
AI:はい。高校生の時が一番ヒップホップにハマった時期で、それまではあまり興味なかったんですが、ラップだけじゃなくて、サビに歌が入っている曲が流行り始めてから、私も興味を持ちはじめました。当時はパフ・ダディがすごい人気で、昔のソウル・ミュージックをサンプリングした曲がヒットしてて。あとはフェイス・エヴァンス、メアリー・J・ブライジ、アッシャー、2パック、ドクター・ドレーとかも聴いてました。リッキー・マーティンとサンタナも流行っていましたね。今回のアルバムでカバーした「No Weapon」(フレッド・ハモンド)もその頃にゴスペル曲の中でヒットしてたんです。当時は、フレッド・ハモンドやカーク・フランクリンのようなR&Bのようなゴスペルの曲が流行っていて、R&B交じりのゴスペルで、聴きやすかったんですよね。いま振り返ってみても、いい時期だったと思います。
――日本でデビューしたときは、R&Bやヒップホップ、ゴスペルといったAIさんのルーツを日本の音楽シーンに持ち込もうとしていたんでしょうか?
AI:その気持ちが強かったんですが、ありすぎて、全然ダメだったんですよ(笑)。当時は「洋楽っぽい曲は売れない」、「2パックやスヌープ・ドッグなんて、日本では誰も知らない」と言われて、「え、ウソでしょ?」ってショックを受けましたね。私も生意気でプライドが高かったから、ぶつかることも多かったんです。ライブで、ホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」とかバラードをカバーすると聴いてもらえるんだけど、ちょっとマニアックなR&Bを歌うと反応が微妙で……、全然ダメだったんですよね(笑)。デビュー2年目の頃にドラマの曲を作ることになって、ラジオにもたくさん生出演する機会があったんですが、私、鹿児島弁だし、番組を盛り上げたい気持ちもあって、NGワードばかり言ってしまって、スタッフさんは冷や汗をかいてました。でも本当に、当時はどうしてやりたい音楽がダメと言われるのかが分からなかったんです。
――2002年にDef Jam Japanに移籍してから状況が変わったのでは?
AI:そうなんです。スタッフとのノリもすごく合って、制作も「え、カッコいいトラックを作っていいんですか?」っていう感じでした(笑)。奈美恵さんと出会ったのもその時期で、自分の中のLAの感覚を取り戻せていったんです。
――その後、「Story」や「Believe」などがヒットしていきましたね。
AI:やり続けていると、少しずつリスペクトが付いてくるんですよね。自分がいいと思っていることを続けることが大事だし、やめないで頑張っていれば、誰かがちゃんと見てくれているんだって思っています。そのことを学んだ20年でもありますね。最近は若いアーティストの相談に乗ることもあるんですけど、「おまえの気持ちは分かる!」という感じで話を聞けるし、「イヤだと思うこと、カッコよくないと思うことは絶対にやっちゃダメ」と言っているんです。昔と今の音楽業界の考え方も変わってきていて、今はストリーミングなどでいろんな国の音楽が聴けるので、どんどん流れが良くなっていくと思うんですよ。アジアや韓国のアーティストがアメリカのヒットチャートに入るなんて以前は考えられなかったですが、人種に関係なく、評価してもらえる時代になっていて、嬉しく思っています。
――11月からは全国ツアー【AI 20周年記念プレミアムライブ with ゴスペル聖歌隊】がスタートしますね。今後もキャリアは続いていくわけですが、今はどんなビジョンを掲げているんですか?
AI:世界中に友達を作って、みんなで仲良くしたいです。“世界”っていうとすごく大きいイメージがあるかもしれないけど、私たちは繋がっていると思ってるんですよ。台湾人アーティストのMJ116と一緒に作った「You Never Know feat. MJ116」を今年出したんですけど、“もっと助け合えたら、世界が一つになる”と歌っています。台湾でもいろいろと規制があるみたいなのですが、自由であるべきだし、やっぱり平和がいい。私たちが力を合わせれば、ハッピーなパワーが生まれるというメッセージを、私は音楽を通して、伝えていきたいですね。
リリース情報
『感謝!!!!! - Thank you for 20 years NEW & BEST-』
- 2019/11/6 RELEASE
- <初回限定盤(Disc-1 & Disc-2)>
- UPCH-29346/7
- ¥ 3,500(plus tax)
- 詳細・購入はこちらから>>
- <通常盤(Disc-1のみ)>
- UPCH-20534
- ¥ 3,000(plus tax)
- 詳細・購入はこちらから>>
ツアー情報
【AI 20周年記念プレミアムライブ with ゴスペル聖歌隊】
2019年11月10日(日)築地本願寺
2019年11月15日(金)福岡 北九州ソレイユホール
2019年11月17日(日)兵庫 加古川市民会館
【AI 20周年記念 "クリスマスディナーショー with ゴスペル聖歌隊"】
2019年12月9日(月)帝国ホテル 大阪 孔雀の間
2019年12月11日(水)ANAクラウンプラザホテル金沢 大宴会場「鳳」
2019年12月15日(日)SHIROYAMA HOTEL kagoshima コンベンションホール エメラルド4F
2019年12月19日(木)グランドプリンスホテル新高輪 飛天
2019年12月22日(日)ホテル日航高知 旭ロイヤル 3Fゴールデンパシフィック
2019年12月24日(火)ホテル東日本宇都宮 3F大和
詳細はこちらへ: http://aimusic.tv/live
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