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【ビルボードライブ横浜開業記念】クレイジーケンバンド 横山剣 インタビュー ~ミュージック・タウン“ヨコハマ”絶唱伝
昨年、デビュー20周年を迎え、ますます脂が乗ってきたクレイジーケンバンド。今では横浜を象徴するバンドとなったCKBの横山剣さんに、"ヨコハマ"の音楽と、今年リリースした"港街"をテーマにしたニューアルバム『PACIFIC』についてインタビュー。2020年4月の『ビルボードライブ横浜』のオープンを控え、熱い注目が集まる横浜から魅力的なバンドや音楽が生まれる背景を剣さん独自の視点で語ってもらった。
ラフでタフでアバウトな空気
−−クレイジーケンバンド(CKB)が横浜で結成されたのは1997年。当時は5人のメンバーで活動をスタートされていますね。
横山剣:そうです。今、思えば横浜で結成されたのは必然的だった気がしますね。たまたま営業のライブが2本入って、本牧の「イタリアンガーデン」に集っていた僕、廣石恵一、小野瀬雅生、洞口信也、中西圭一、新宮虎児でヌルっと結成したんです。メンバーは横浜出身者だけではないんですが、みんな顔見知りで、何かしら一緒に活動していた音楽仲間でした。
−−CKB結成以前に活動していたCK’Sというバンドのメンバーが母体になったんですね。
横山剣:はい。CK’Sの頃は『イタリアンガーデン』を拠点に、『V.F.W』『アポロ・シアター本牧』『オフィサーズ・クラブ』など本牧を巡るクラブ・サーキットを開催したり、主に横浜で活動していました。大した宣伝もせず、ネットもない時代でしたから、お客さんは通りすがりか地元の人たち。それでも成り立ち、曖昧なうちに盛り上がるのが横浜ローカルの面白さなんです。CKBはそういうラフでタフでアバウトな空気の中で育まれてきたバンドなんです。
−−剣さんが子供の頃は1960年代は日本の高度成長期ですが、当時の横浜で思い出す音楽はありますか?
横山剣:歌謡曲の世界では、いしだあゆみさんの「ブルー・ライト・ヨコハマ」、青江三奈さんの「伊勢佐木町ブルース」、五木ひろしさんの「よこはま・たそがれ」など横浜を題材にした曲が大ヒットしていましたね。その一方では、ザ・ゴールデン・カップスやパワーハウスが若い世代に人気を集めていて、年上のいとこが本牧の『ゴールデン・カップ』という店にライブを観に行っていました。僕は小学生だったので間に合わなかったんですが、かつて太陽族の若者たちが二国(第二国道)をクルマで飛ばして横浜にやって来て、元町のダンスホール『クリフサイド』で遊んでいたなんて話を聞いて、子供心に「早く大人になりたい」と憧れたものでした。
−−そんな憧れが「葉山ツイスト」などのCKBの音楽に反映されているんですね。
横山剣:そうですね。子供時代にかなわなかった昭和のカッコいい大人の世界をコスプレしながら再現してみたとも言えますね。それをノスタルジーだけではなく、最新仕様にしてスペイシーに聴かせたいと思っていました。CKBの場合は、リアルとファンタジーが混在しているんです。
−−音楽に目覚めてからの横浜の音楽シーンはどんな風でしたか?
横山剣:70年代は、今のハマスタ(横浜スタジアム)の場所にあった横浜野外音楽堂で色んなライブを観ましたが、出ているバンドのほとんどが英語で歌っていましたね。
ブルース・ロック、アメリカン・ロック、R&Bのカヴァーや、ほとんどカヴァーにしか聴こえないオリジナルとか。バンドを組むと国際色が豊かになるのも横浜の特長だったんですよ。僕も柳ジョージさんやCHIBOWさんのような上の世代のミュージシャンの方々の抜群のセンスを肌で感じて、おおいに影響を受けました。そういう洋楽のエッセンスの取り入れ方はCKBの音楽の骨子になっているんじゃないかと思いますね。
−−東京とは異なるテイストは、横浜の歴史や環境から生まれたものだと?
横山剣:やはり、港町ならではの自由で進取の気性が大きいのかもしれないですね。本牧にベースがあったという歴史的背景もあると思いますし、そういう環境が東京とは異なる独自のカルチャーを育む土壌になったんだと思います。それはザ・ゴールデン・カップスの頃から、CKBに限らず、レゲエ・クルーのMIGHTY CROWNやFIRE BALL、Suchmosに至るまで連綿と引き継がれているように思いますね。僕は東京に2年ほど住んでみて、横浜の良さを再発見したところがあったんです。横浜に戻ったのは東京がイヤになったからではなく、自分のIDに横浜があるとむしろ東京も楽しめるようになるんです。
−−今年8月にリリースした新作『PACIFIC』のテーマは"港街"。CKB の"ヨコハマ" が濃厚に味わえるアルバムになりましたね。
横山剣:きっかけは、クルマでベイブリッジを通るときに目に入る埠頭のコンテナだったんです。台湾のエバーグリーン、デンマークのマースクライン、シンガポールのAPL……かつてコンテナを積み込む貿易検査の仕事をしていたことも関係しているのかもしれないですが、コンテナに特別な親しみを感じるんですよ。その後にLAのレドンド・ビーチで海を眺めていたら、「この海は"ヨコハマ"に繋がっているんだな」と思って、『PACIFIC』というタイトルが閃いたんです。
▲クレイジーケンバンド -「Tampopo」MUSIC VIDEO
−−コンテナから着想を得るのも、剣さんらしい。
横山剣:世界中の貨物船から運び込まれるコンテナの越境感に惹かれるんですよ。それで、ふっとCKBを結成した頃の気分が甦ってきたんです。アルバムでいうとちょうど20年前、1999年の2枚目の『goldfish bowl』の頃ですね。
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公演情報
クレイジーケンバンド
ビルボードライブ大阪のクレイジーケンバンド
ビルボードライブ大阪:2019年12月18日(水)- 19日(木)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
クレイジーケンバンド
ビルボードライブ東京のクレイジーケンバンド
ビルボードライブ東京:2019年12月21日(土)- 22日(日)
1st Stage Open 16:00 Start 17:00
2nd Stage Open 19:00 Start 20:00
>>公演詳細はこちら
リリース情報
店舗情報
ビルボードライブ横浜
Billboard Live YOKOHAMA
神奈川県横浜市中区北仲通5丁目57番2
みなとみらい線「馬車道駅」直結、JR「桜木町駅」徒歩8分
営業時間:17:30~23:30(予定。公演によって変更となる可能性あり)
開業予定日:2020年春
詳細:http://www.billboard-live.com/yokohama/
関連リンク
Interview & Text:佐野郷子
Photo:Yuma Totsuka
撮影協力:BOOGIE CAFE
PACIFIC
2019/08/07 RELEASE
UMCK-1633 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.Night Table
- 02.Tampopo
- 03.クレイジーの中華街大作戦!
- 04.ひとり
- 05.Disc Jockey (Part1&2)
- 06.KARAOKE International
- 07.何もいらない
- 08.GET
- 09.北京
- 10.Stay At Bund Hotel -シェルルームの夜は更けて-
- 11.場末の天使
- 12.風洞実験
- 13.車と女
- 14.エルヴィス顔のタイムトラベラー
- 15.さざえ
- 16.南国列車
- 17.南国列車 (VIDEOTAPEMUSIC Remix)
- 18.Stay AT Bund Hotel -夜明けのチェックアウト-
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