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<インタビュー>清水翔太に訊く“ヒットの仕掛け方” 新曲「Breathe Again」の手応えは?
清水翔太が新曲「Breathe Again」をリリースした。陽炎のように儚く、だからこそ尊いひと夏の恋模様をトロピカル・ハウス調のトラックに描き出した同曲は、今年2月に30歳の誕生日を迎えた清水による最新型サマー・ソング。かつてInstagramにデモ音源をアップして以降、リリースを熱望する声も多かった、ファン待望のニュー・シングルだ。
ヴォーカリストとしてもクリエイターとしても国内トップクラスのスキル&センスを持ち、近年は外部アーティストのプロデュースや楽曲提供にも積極的な彼が、この新曲で感じる手応えとは? 「夏の情緒」「サウンドと詞の関係性」「My Booの大ヒット」「ストリーミング・サービス」「国内ヒップホップ・シーン」「アジア進出」などのキーワードから、本人へのインタビューを通して、清水翔太というアーティストの今を紐解く。
夏の情緒みたいなものに対する憧れがすごく強い
――今作「Breathe Again」は、夏にぴったりなトロピカル・ハウス調のナンバーですね。サウンドとしては、アルバム『WHITE』(2018年)収録曲の「Good Life」や「Friday」も思い出させるようなプロダクションですが、制作はいつ頃からスタートしたのでしょう?
清水翔太:トラック自体は2年ぐらい前にできてたかな。僕自身はEDMも好きだし、トラップも好きだし、なんでも好きなので、なんでも作ってみるんですよ。
――なぜこのタイミングでリリースすることに?
清水翔太:トラックを完成させたあと、「こんな曲を作ったんだ」ってインスタに上げたんですよ。僕そういうことよくやるんですけど、この曲は特に評判が良くて、コメントでも「あの曲を出してほしい」って言ってもらうことが多かったんです。だから自分としても、「いつかは向き合わなきゃいけないんだろうな」とは思っていた曲で。ただ鮮度の問題もあるし、「今更やっても…」っていう気持ちもちょっとあって、迷ってはいたんですけど、かと言って新しければイイってわけでもないし、何より周りからの声があったから、そんなに求めてもらえるならってことで。ちょうど季節も夏だったし、「Sorry」のリリース直後くらいから急ピッチで制作を進めました。
――手応えはいかがでしょう?
清水翔太:僕としては歌詞がすごく気に入っているんですよ。これは色んなところで言ってるんですけど、自分が好きなアメリカのR&Bやソウル、ダンス・ミュージックの音って、日本語と相性が良くないと思っていて。日本ならではの情緒とか日本語の響きの美しさを、いかに欧米のサウンドと違和感なく合わせるか、っていう部分は自分がずっと試行錯誤しながら闘ってきたところだったんです。その点で言うと、この「Breathe Again」に関しては、こういうサウンドをやりつつ、歌詞にも手応えを感じることができていて、けっこう満足度があるんです。
――両者の相性の悪さという課題に対して、清水さんはどんな解決策を見出したのですか?
清水翔太:何が難しいかって、語感と歌詞の内容を両立させることなんですよ。語感だけで合わせにいけばなんとでもなる。でも、どうしても内容が伴わないというか。詞だけ見ても「良い歌詞だよね」って思えるようなものは常に目指していきたいし。でも、具体的に何をどうしたからクリアできたかなんて、自分でもよく分かってないんです。ずっとトライ&エラーを繰り返して、ようやく『WHITE』あたりから納得できるようなものを作れるようになったんですよね。
――わりと最近ではあるんですね。
清水翔太:メロディと譜割りが重要なのかなとは思っていて。『WHITE』の時に光明を一つ見つけた気がしたんですよ。普通に良い詞を書いて、それを違和感ないメロディや譜割りで乗せることができるようになったのは大きい気がします。2年前に「Breathe Again」のトラックを作った時はそれができなかったんですよね。どうしてもダサくなるっていうか。
▲清水翔太『Breathe Again』Music Video
――作詞のインスピレーションをどういったどころから沸いてきましたか?
清水翔太:僕、季節の中で夏が一番好きだし、特にちょっと切ない夏模様みたいなものが好きで。ひと夏の恋みたいなシチュエーションも好みだし。だから僕が夏をテーマにして書いた曲って、ほとんどそのエッセンスが入ってるんですよ。「ナツノオワリ」とか「さよならこの夏に」とか。
――清水さんの夏の原体験として、そういったシチュエーションがあるのでしょうか?
清水翔太:自分の経験っていうわけではない気がするんですけど、なんか憧れとしてずっとあるんですよね。これは10代の頃から自覚していて。お祭りも毎年必ず行きますし、浴衣も好きだし、夏の情緒みたいなものに対する憧れがすごく強いんですよ。逆に太陽ギラギラみたいな方向性ではない(笑)。
――ちなみに先日、お祭りで盆踊りをされている動画をインスタに上げていましたね。そういったイベントには積極的に参加されていくタイプですか?
清水翔太:参加したいですね。BBQとかもやってみたいですけど、やっぱり夜の夏祭りとか花火とか、そっちのほうが好きで。
――その夏の情緒がトロピカル・ハウスの心地いいサウンドと絶妙にマッチしています。
清水翔太:そこがこの曲の最大の推しポイントですね。「そのサウンドでこの歌詞か」って思ってもらえるような。
――内容としては儚い夏の恋模様を描いたものになっていますが、作詞の時に思い描いた女性像のようなものがあれば教えてください。
清水翔太:ちょっと記憶が曖昧なんですけど、北野武さん監督の『ソナチネ』っていう映画からのインスピレーションがあった気がします。僻地で刹那的に出会った女性に惹かれてしまうようなイメージ。
――「Breathe Again」というタイトルの発想はどこから?
清水翔太:「戻らないその瞬間が最高だった」ということがこの曲の最大のテーマなんです。それはつまり、今はもうその瞬間の中にいないわけで、「もう一度あの瞬間に戻りたい」っていう願望を表現したかったんです。
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リリース情報
清水翔太「Breathe Again」
- 2019/8/21 RELEASE
ツアー情報
2019年清水翔太全国ツアー
- 09月02日(月)大阪・Zepp Namba
- 09月03日(火)大阪・Zepp Namba
- 09月06日(金)北海道・Zepp Sapporo
- 09月10日(火)愛知・Zepp Nagoya
- 09月17日(火)東京・Zepp Tokyo
- 09月18日(水)東京・Zepp Tokyo
- 09月26日(木)福岡・Zepp Fukuoka
- 09月27日(金)福岡・Zepp Fukuoka
- 09月30日(月) 鹿児島・鹿児島市民文化ホール第一
- 10月07日(月) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
- 10月12日(土)岐阜・岐阜市民会館
- 10月25日(金)石川・本多の森ホール
- 11月01日(金) 福島・けんしん郡山文化センター
- 11月04日(月祝)広島・広島文化学園HBGホール
- 11月05日(火)岡山・倉敷市民会館
- 11月08日(金)福岡・福岡サンパレス
- 11月09日(土)福岡・福岡サンパレス
- 11月17日(日)愛媛・松山市民会館
- 11月23日(土)三重・桑名市民会館
- 11月24日(日)静岡・静岡市民文化会館 大ホール
- 11月29日(金)宮城・仙台サンプラザホール
- 11月30日(土)岩手・岩手県民会館
- 12月15日(日)大阪・大阪城ホール
- 12月17日(火)東京・東京国際フォーラムホールA
- 12月18日(水)東京・東京国際フォーラムホールA
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