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【バックストリート・ボーイズ/ジ・エクスペリエンス】展 現地レポート
現在、ロサンゼルスのグラミー・ミュージアムで開催されている【バックストリート・ボーイズ/ジ・エクスペリエンス】展。25年以上にわたる彼らのキャリアを総括しながら、プライベートな素顔のBSBにも触れられるファン垂涎の展示となっているようだ。日本初公開の情報も多数あるファン必読のレポートをお楽しみください。(文・写真:鈴木美穂)
最新アルバム『DNA』が全米アルバム・チャート1位を達成し、現在は全米アリーナ・ツアー真っ最中のバックストリート・ボーイズ(以下BSB)。結成26年目にして第2の黄金期に突入した彼らだが、これまでのキャリアと現在を総括する初の展覧会【バックストリート・ボーイズ/ジ・エクスペリエンス】が、ロサンゼルスのグラミー・ミュージアムにて4月10日から9日2日まで開催されている。
彼らが8月に完売公演を行なったステープルズ・センターの隣のビルにあるグラミー・ミュージアムは、【グラミー賞】関連のメモラビリアや、受賞者達のビデオアーカイブなどが見られる常設の展示以外に、毎年異なるテーマで特別展覧会を行なっている。入り口でチケット(大人15ドル/学生・シニア13ドル/5歳以下の子供は無料)を購入し、女性スタッフにBSB展を見に来たことを告げると、場内のガチャガチャに使えるトークンを1枚渡された。スタッフによると週末は平均して400人以上の入館者がいるそうで、「BSBの展示が目当ての人は、400人中、100人から200人ぐらいでしょうか。これまでの特別展示の中でも、特に人気なんですよ」。
【バックストリート・ボーイズ/ジ・エクスペリエンス】展はミュージアムの2階に設置されている。エレベーターが開いた途端、目の前に「クィット・プレイング・ゲームズ」のミュージックビデオで着用していた衣装が現れた。そしてエレベーターの右側の壁には、メンバー達の貴重な私物(AJが赤ちゃんの時の服や、ブライアンの高校卒業証書や、グループの名刺など)とギネスブックの賞状や雑誌の切り抜きが並んだガラス張りの展示。さらに右に進むと、バックストリート・ボーイズを知らない人達にも分かるように、展覧会についての説明書きがあった。順を追って、見どころを紹介しよう。
5人がツアーやミュージックビデオで着用した衣装の数々
部屋の中央にはガラスで囲まれた3つの大きな台があり、一つの台につき7、8着の衣装が並ぶ。「クィット・プレイング・ゲームズ」の衣装の他には、1996年の【Backstreet Boys Live In Concert】ツアー、2001年の【ブラック&ブルー】ツアー、2009年の【ディス・イズ・アス】ツアー、2013年の【イン・ア・ワールド・ライク・ディス】ツアーの衣装、1999年の【ミレニアム】ツアーからは衣装の他にも彼らが空を飛んだ際のホバーボードも飾ってある。また、それぞれのメンバーが個人的に提供した様々なイベント時の思い出の服が見られるのも貴重だ。
世界中のBSBファンを取り込んだファン思いの展示
「AJ・マクリーン、ブライアン・リトレル、ハウイー・ドロー、ケヴィン・リチャードソン、そしてニック・カーターが、BSBだ。彼らの功績は限りない。8つの【グラミー賞】ノミネート、多くのヒット曲を放った10枚のスタジオ・アルバム、計1億3000万枚を超えるアルバムセールス、10回の世界ツアー、ラスベガスでのレジデンシー公演、その他諸々の功績――BSBは音楽史上、最も成功しているグループの一つだ。30年近く、彼らの曲の数々は世界中の何百万、何千万ものファンを歌わせ、躍らせ、笑わせ、泣かせ、祝わせて、お互いを愛するように影響を与えてきた。受賞した数々のアワードも、アルバムのセールスも、ストリーミング回数も、完売ツアーも、BSBが長年の間に築き上げた永続的な成功は、彼らと彼らのファンとの消すことのできない絆による部分が大きいのである」
これは展覧会の説明の一部だ。この言葉を証明するかのように、展覧会はBSBとファンとの強い絆を伝える内容になっている。このフロアに併設された約百人収容のシアタールームでは、4月8日にこの会場で開催されたファン向けのオープニング・イベントの映像が繰り返し流されており、司会を務めたKISS FMのDJジョジョが、これまでに語られたことがなかったような裏話を引き出す面白いインタビューが見られる。
部屋の外壁には、過去のプラチナム/ゴールド・ディスクと並んでファンの写真がびっしりと並び、ハウイーが撮影したグループのホームビデオ映像が流れている反対側の壁の大スクリーンの両脇には、ファンからの手作りのプレゼントやファンレターを陳列するテーブルがあった。その中には日本に住む6歳の少女、エマちゃんからの英語のお手紙も。また、プリクラのブースほどの小部屋があり、中に入るとカメラの前でBSBへのビデオメッセージを録画できる。ブースの外に掲げられたスクリーンでは、すでにメッセージを録画したファンの映像が流れていた。
ファンの子ども心をくすぐるガチャガチャも楽しい企画。入り口で渡されたコインを入れてハンドルを回すと、メンバーのステッカーが出てくる(どのメンバーが出てくるかはお楽しみ)。
インタラクティブな体験型の展示が画期的
【ジ・エクスペリエンス】展という名前が付いているのは、他の展覧会にはない体験ができるため。一番の見どころは、グラミー・ミュージアム初の試みとなったインタラクティブのホログラム映像マシーンだ。近づいてみると、画面の中に立つメンバー5人が、「こっちにおいでよ! 僕たちに加わって!」と呼びかけてくる。まずマシーンの隣にあるiPadに名前とメールアドレスを入力し、「歌う」または「写真を撮る」(歌いたくない人用)を選択。それからカーペットに印がついた指定の位置に立つと、5人の映像の隣に自分の姿が映り込む。そして曲「クィット・プレイング・ゲームズ」を一緒に歌うとその様子が録画され、直後に映像がメールで送られてくるという仕組みだ。写真を選択した人は、ホログラムの彼らとの記念写真が送られてくる。
SNS時代に対応した新しい展示は、もう一つある。その場で撮影したセルフィーか、すでに持っているBSB関連の写真に「#BSBMOSAIC」とハッシュタグをつけてインスタグラムにアップすると、その写真が2枚の小さなステッカーとなって箱型のプリンターから出てくるというもの。1枚は保存用、もう一枚は壁面一杯のメンバーの写真の上に貼り、最終的には巨大なモザイク画をファンの協力で作り上げるようになっていた。これらの工夫によって、展覧会に積極的に参加している気分になれるところが魅力的だ。
劇場ですべての展示と映像をじっくり見て回ると、たっぷり90分は楽しめる。1階のミュージアム・ショップにはBSBのコーナーもあり、DNAツアー・グッズや最新作『DNA』のLPも購入可能。さまざま展示物を日本にもそのまま持って行って欲しいと思うほど満足度の高い“体験”だった。
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