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THE SIXTH LIE×『とある科学の一方通行』インタビュー ~ダーク・ヒーローの生き様描いた新曲「Shadow is the Light」について



THE SIXTH LIEインタビュー

 鎌池和馬によるライト・ノベル『とある魔術の禁書目録』のスピンオフ作品で、超能力開発のための特殊なカリキュラムを受けることができる“学園都市”の中でも、たった7人しかいない“超能力者(レベル5)”の頂点に立つ存在、一方通行(アクセラレータ)を主人公としたアニメ『とある科学の一方通行』。2019年7月からオンエアされている本作では、国内外で勢力的に活動している4人組バンド、THE SIXTH LIEがOPテーマを担当している。

 書き下ろされたのは新曲「Shadow is the Light」。メタルやポスト・ハードコアのエッセンスも含むロック・サウンドのエネルギー、ドラムンベース由来の硬質で疾走感溢れるビート、そしてアニメ・ファンにも訴求するキャッチーなメロディ・センスを備えたハイブリッド・ナンバーだ。いずれの要素もTHE SIXTH LIEが本来の強みとしているものであり、本アニメ作品の世界観や雰囲気にも絶妙にマッチしている。

 原作ノベル第1巻が発売された2007年以降、アニメやゲーム、マンガなど多岐にわたるメディア・ミックス展開を経て、巨大なファンダムを築いてきた“とある”シリーズの最新作に対し、新進気鋭のロック・バンドはいかに向き合ったのか。新たなベーシストとして昨年加入したRyuseiも含む、メンバー4人にインタビューを実施。新曲「Shadow is the Light」の制作過程からRyusei加入後の歩み、今後のバンドの方向性など、じっくりと語ってもらった。
(▲左から:Ryusei / Ray / Arata / Reiji)

“とある”シリーズ特有の音楽文化から逸脱しすぎず
THE SIXTH LIEとしての個性も出したかった

――ニュー・シングル『Shadow is the Light』表題曲は、現在放送中のTVアニメ『とある科学の一方通行』のOPテーマに起用されています。タイアップのオファーが届いた時、みなさんはどんな心境でしたか?

Reiji:“とある”シリーズって本当に長く続いてる作品だし、僕はバンドを始める前からファンだったので、過去最高に現実味がなかったです。

Ryusei:僕も学生の時にアニメ『とある科学の超電磁砲』を見ていたので、オファーをいただいた時は同じく実感がなかったです。でも、自分がファンだった作品にこういう形で関われたことはすごく嬉しいですね。

Arata:情報解禁したあと、地元の友達に「“とある”の主題歌決まった」って言ったら「ヤバ!!」って(笑)。

Ray:僕が通っていた大学では、学園祭で“とある○○の××牛串”みたいな店名の露店もいくつかあって(笑)。前作「Hibana」を起用していただいた『ゴールデンカムイ』に続き、そんなビッグ・タイトルとご一緒できることが決まって、率直にびっくりしました。

――OPテーマ「Shadow is the Light」は書き下ろしの新曲ですが、制作はどんなところからスタートしたのでしょうか?

Ray:歌詞は僕が書いたんですけど、“とある”シリーズってとにかく歴史が深いので、まずは何日も家に籠って過去作品のアニメを全部見たり、今作の原作である漫画を読んだりしました。今回はOPテーマということもあって、やっぱり主人公であるアクセラレータのキャラクター性を描きたいなと思って、彼のことを知る作業から始めましたね。

―― “とある”シリーズを徹底的に学んだRayさんは、アクセラレータをどんなキャラクターとして認識しましたか?

Ray:アクセラレータっていわゆるダーク・ヒーローだけど、同時にある種の脆さもある。鋭すぎて自分や大切な人すらも傷つけちゃうナイフのようなイメージがあったんですよ。そんな面も持ちつつ、学園都市に蔓延る色んな悪を凌駕する、最強の悪っていう部分がポイントになっていて、それが強く表れてるのがサビの歌詞ですね。

――アクセラレータは言動も強烈ですからね。

Ray:すでに放送済みの第2話のシーンで特に印象に残ったセリフがあるんですけど、それがすごくアクセラレータっぽいなと思って。原作の漫画を読んだ時も「ここは重要なテーマとして描こう」って思ったんです。あと、Reijiは昔からシリーズのファンなので、一度読んでもらって「ここはアクセラレータっぽくない」って感じる部分は指摘してもらったりしましたね。例えば2サビの最後に<すべて抱いて いっそまたこの手で>って歌詞があるんですけど、最初は<すべて抱いて きっとまたこの手で>って書いてたんです。でもReijiから「“きっと”だと希望がある感じがするからダメだ」って言われて(笑)。

Reiji:一筋の希望も見せたくなかったんですよ。

――そんなReijiさんから見た“とある”シリーズの魅力とは?

Reiji:うーん、本当に選べないぐらい魅力があって……。

――では好きなキャラクターは?

Reiji:そこまでメジャーなキャラクターではないかもしれないんですけど、青髪ピアスっていうキャラが好きすぎて、MV撮影の時、本当に“青髪ピアス”にしました。

――(笑)。Ryuseiさんも『とある科学の超電磁砲』を観ていたとのことですが。

Ryusei:高校生の時に深夜アニメがけっこう流行ってたんですよね。その時に『とある科学の超電磁砲』が放送されていて、見てたらシンプルに「御坂美琴(『とある科学の超電磁砲』主人公)かわいいじゃん」ってなって(笑)。しかもアクセラレータと同じレベル5で強いし。

Reiji:Ryuseiは好みの女性もそういう感じだよね。

Ryusei:ちょっと気が強くて……どうでもいいでしょ!(笑)

――では、作曲面で気をつけたことがあれば教えてください。

Reiji:“とある”シリーズって過去作品のテーマ・ソング全部ひっくるめて、特有の音楽文化みたいなものがある気がしていて。その文化圏から逸脱しすぎないようにしつつ、THE SIXTH LIEとしての個性も出したかったんです。どの曲にも根底に電子音楽があるんですよね。だから、今回はドラムンベースのビート感を意識して作りました。

――特にチャレンジングだった要素は?

Reiji:ここまでギターのリフを押し出したことはあまりなかったかもしれないですね。自分ギタリストなんですけど、「こんなにリフを意識したのは初めてかも」ってぐらい(笑)。例えば「Hibana」は、バッキングの中にリード・ギターを差し込むような形だったけど、「Shadow is the Light」に関しては、基本的にギター・リフ1本とシンセで上物のサウンドを作ったので、一つひとつの音をより大事にしました。

――アレンジも繊細な作業だったのでは?

Reiji:全体的に音数を増やしすぎると、一つひとつの音がぼやけちゃうんですよね。ただ、作品の雰囲気に合わせて金属感を出したいとも思っていたので、ちょっとしたSEの音にもこだわりました。

――ヴォーカルのレコーディングはいかがでしたか?

Arata:アクセラレータをそのまま描いたような歌詞なので、歌い方もアクセラレータっぽくというか、自分の中の黒い部分を出そうと思って歌ったんです。ただ、最初はあまりにも意識しすぎてしまって、Reijiに「ちょっとやりすぎかも」って言われて(笑)。そこから調整を重ねて今の形になりました。

――ヴォーカリストとしては、今回の楽曲をどのように受け止めましたか?

Arata:歌入れの前から「これはかっこいい曲になるな」って手応えを感じてました。

Ray:いつもの曲作りの流れとして、まず曲ができあがったあと、それにArataが一度、僕らが“Arata語”と呼んでいる英語っぽい何かで歌うんですよ。その“Arata語”から強弱のニュアンスとか言葉の響きを読み取って歌詞を書くんです。

――その制作スタイルは昔から?

Ray:ずっとですね。

Reiji:最近はちゃんとした英語も増えてきたよね。

Ray:このあいだリンカーンの名言とか入ってきて。

Arata:「これだ」っていうのが降りてきました。

Ray:意味が入っていると作詞する時に引っ張られちゃうから、若干集中できない時もあります(笑)。



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