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THE CHARM PARK インタビュー:気鋭のシンガーソングライターが語る「ニューアルバム」とライブ
2019年7月3日にミニアルバム『Standing Tall』をリリースするTHE CHARM PARK。オーガニックで色彩豊かなサウンドと、緻密なソングライティング力が支持され、様々なCMソングなど楽曲提供を行ってきた、この半年間を集約したような1枚だ。アルバムに込めた思い、そしてリリースを記念して開催されるビルボードライブ公演(2019年7月3日大阪、2019年7月5日東京)、そしてTHE CHARM PARKにとってのライブとは。
完璧になりきれていない、未完成なところが自分の味
――1stアルバムから約半年ぶりのアルバムとなりました。どんな半年でしたか。
THE CHARM PARK:アルバムをリリースした後、1月はツアーをして、2月からは楽曲提供やMONKEY MAJIKさんとの共作曲を作り、4月からは大橋トリオさんの全国ツアーがあって、その合間に今回リリースした曲を作ったので、バタバタしていましたね。
――1曲目に収録されている「Don’t Let Me Fall」は、ユニークなイントロですね。
THE CHARM PARK:先月、韓国でマスタリングをしたんですが、前日までずっと作業をしていたので曲順が決まらなくて。前日になって、1曲目は「Don’t Let Me Fall」が良いなって思ったんです。それで空港に行く2時間前にイントロを作ろうって思いたって、急遽イントロの部分をレコーディングしました。
――では、あのイントロはもともとなかったのですね。
THE CHARM PARK:そうなんです。今回のアルバムは、本当の意味でのアットホームというか、ほぼ全て自宅のスタジオで録音したんです。その空気感を伝えたいなって思ったので、マイクを部屋の中央に置いて、ドアを閉めて、ギターを持って、歌いだすところまでを急遽録音しました。なので、あのイントロは自宅の音です。
――今回のアルバム『Standing Tall』は6曲全て、CMやアニメのエンディングで使用されるなどタイアップ曲になっています。
▲THE CHARM PARK / 「Standing Tall」全曲トレーラー映像
THE CHARM PARK:全て依頼された曲を1つのアルバムにまとめるのは今回の一番の課題でした。もし、合わないようであれば何曲か、新しく作ろうかなと思っていたんですが、依頼してくださる方が僕の音楽性を理解してくださっていたこともあって、うまくまとまりましたね。
――依頼されて曲を作る時に、意識されていることはなんですか。
THE CHARM PARK:いつも、依頼をいただく際は2曲ずつ作るようにしているんです。全く違う2曲というわけではなく、少しニュアンスやサウンドを変えたものを用意するようにしていて。そこで選ばれた方を作り上げていく…というようなやり方をしています。その中で、いただいたリクエストはなるべく自分の中で消化できるようにしているんですが、その通りにしすぎると自分の中で納得できないこともあって、いつもそのバランスが難しいなと思いますね。でも、今回のアルバムを作り終えて、自分のカラーを出そうと思いすぎるより、意識しすぎずに作った方が逆に自分の色が出るんだなって思いました。いただいたリクエストに応えきれていない部分に、自分のオーガニックな部分が出るというか。
去年のアルバムのテーマもそうだったんですが、人間は完璧ではないと思っていて。完璧になりきれていない、未完成なところが自分の味だと思っています。今回のアルバムもその通りで、演奏も歌もミックスも全部自分でやるからこそ、「もう少し、こうすれば良かった」って思う部分はあります。でも、それが素直な自分だし、それが僕のカラーなのかなって。なので、いつか真逆のこともやってみたいですね。依頼されて作るのではなく、何もない状態でアルバム全曲作ったら、どういう風に仕上がるのか自分でも興味がありますね。
――収録されている曲の中で、特に苦労された曲はありますか。
THE CHARM PARK:「Ordinary」は、もともと今回の依頼をいただく前から、「夏っぽい曲を作りたいな」と思って作りかけていた曲だったんです。で、トラックはできたんですが、メロディがうまく作れなくて。何度か聴き直しながら、「メロディが浮かばないな…」「歌詞、どうしようかな…」って思いながら、ずっと置いておいたんですが、今回のCASIOさんから依頼をいただいた時に、この曲を思い出して、再チャレンジして出来上がりました。
――半年間、浮かばなかったのに、作り上げることができたきっかけは何だったのでしょうか。
THE CHARM PARK:G-SHOCKのオフライン動画ですね。この動画は、プロサーファーの五十嵐カノアさんと石田ニコルさんが出演されています。僕は、インドア派でサーフィンをするようなタイプではないんですが(笑)、映像を見ていて、自分の日常から抜け出すことと、逆に日常の大切さの2つを感じたので、浮かんだものを1つずつメロディと言葉にしていきました。
▲2019 G-SHOCK×BABY-G summer pair collection : CASIO
――「Ordinary」は前半が日本語で、サビの部分は英語になっています。歌う上で、英語と日本語どちらの方が相性が良いと思いますか。
THE CHARM PARK:曲によって違いますね。僕は歌詞を最後につけることが多くて。まずメロディを作ったあと、でたらめな歌詞を付けて歌ってみるんです。その時に、ふっと浮かぶのが英語なのか、日本語なのかによって、どちらで作るかを決めています。歌詞の意味や言葉自体も、もちろん重要ですが、言葉の持つ響きとメロディとの相性もすごく重要ですよね。英語と日本語は、そもそも響きが全然違うので、この曲のメロディを一番活かす響きは、どんな言葉なのかを考えて選んでいます。ふわっとしたメロディは英語だと合いますが、日本語の場合は一つの文字を伸ばすか、伸ばさないかで意味が大きく変わってきます。日本語は奥深いなと思いますね。
公演情報
THE CHARM PARK
ビルボードライブ大阪:2019年7月3日(水)
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ビルボードライブ東京:2019年7月5日(金)
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INFO: www.billboard-live.com
Interview&Text:高嶋直子
“家”って呼べる場所を増やしていきたい
――7月には、リリースを記念したツアーが始まります。
THE CHARM PARK:最近、意識していることなんですが、なるべく来てくださっているお客さんと目が合うようにしたいなと思っていて。それがライブの意味なのかなって。僕は基本的に恥ずかしがり屋なので、目をつぶって歌うことが多いんですが、お客さんと繋がることができるのが、ライブの最も大切な瞬間ですよね。そのお客さんとは、いつ次に会えるかもわからないですし。何より自分の音楽を聴いて、このライブに来てくださっているわけですから、何か僕と通じるものがあると思うので。
――そういうお客さんの反応が、それからの演奏に影響することもありますか。
THE CHARM PARK:もちろんあります。英語の歌の時に一緒に口ずさんでくださっている方を見ると、「英語の歌詞の部分も一緒に歌ってくれるんだな」って思いますし、コール&レスポンスで聴こえる皆さんの声は、何と言うか…頭を真っ白にしてくれます。その声によって、僕も今までできなかったことができるようになる気がして。魔法みたいですね。むしろ、その瞬間のためにライブをしているような気がします。もともと僕は裏方というか、音楽を作る方が好きで、ここまでライブをするようになるとは思ってなくて。でも、こうやって続けることによって、新しい出会いがたくさんあって、今は自分の活動には欠かせない存在になってきています。
実は、5月にライブで初めて試してみたことがあって。札幌でライブをしたときに、セットリストを決めずにやってみたんです。新曲の「Stars Colliding」をやることだけは決めていたんですが、どのタイミングでやるかも、他に何を演奏するかもステージに立つまで決めないでおこうと思って。演奏はほぼ1人で、何曲かドラムの方にサポートしてもらったんですが、ドラムの方にも、いつどの曲をやるのかを言わなくて。ステージに立って、1曲ずつお客さんの顔を見てから決めました。その時に浮かんだ曲って、お客さんから何かを感じたからこそ浮かんだんだと思うんですよね。すごく新鮮な体験でしたし、なによりすごく流れの良いセットリストになりました。
▲THE CHARM PARK / Stars Colliding (Lyric Video)
――では、7月のビルボードライブの公演もセットリストを決めずに?
THE CHARM PARK:たしかに、それくらい信頼できるメンバーと一緒にやりますが、どうしようかな…(笑)。リハーサルをしながら組み立てていこうと思います。ビルボードライブは映像では見たことがありますが、行くのは初めてで。カーテンを開けるタイミングもどうしようかな。楽しみですね。
――4月から6月までは、大橋トリオの【ohashiTrio HALL TOUR 2019 ~THUNDERBIRD~】にも参加されていました。大橋トリオのツアーサポートは3年目ですが、サポートを通じて気付くことはありますか。
THE CHARM PARK:僕も大橋トリオさんも、バンドではないので立場がすごく似ていて。なので、リハーサルで何を優先して聴くようにしているのかとか、本番のステージで何を大事にしているのかなどは、とても勉強になります。あとサポートメンバーという立場でライブに参加することによって、自分のライブの時にもサポートメンバーの方が、どういう気持ちで演奏してくださっているのかも理解できる良い機会だなって思います。英語だと「empathy」って言うんでしょうか…。どちらの気持ちも理解できる、良い機会だなと思っています。
――ちなみに、THE CHARM PARKさんが人生で初めて聴いたライブはなんですか。
THE CHARM PARK:初めて自分がお金を払って行ったライブは、12歳の時だったんですが、ロサンゼルスのウィルターンシアターの【G3】っていう、早弾きギターリスト3人のライブですね。ジョー・サトリアーニと、スティーヴ・ヴァイと、ジョン・ペトルーシという組み合わせで。それぞれが1人ずつ演奏して、最後に3人みんなで演奏するっていう。【G3】自体は、色んな組み合わせで3回くらい聴きにいきました。僕は子供の頃、ギターキッズだったので一時期ギターリストしか聴いてなくって。
▲Steve Vai, John Petrucci and Joe Satriani(G3) Duel Guitars (live).
――それは友達と?
THE CHARM PARK:友達とですね。その当時の僕にとっては、とても高いチケットだったと思いますけど、今でも覚えていますね。その時の刺激というか、感動を自分もいつかお客さんに与えることができたらなって思ってます。
――最近だと、どんなライブに行きましたか。
THE CHARM PARK:さいたまスーパーアリーナで開催された[ALEXANDROS]ですね。ファイナルの前日に行ったんですが、バンドが1つになる瞬間と、さらにお客さんがその中に加わる瞬間ってありますよね。その瞬間を見れて嬉しかったです。あとは、ジョン・メイヤーの武道館公演にも行きましたが、音が素晴らしくて。どんなライブも、勉強にならないライブはならないですよね。音楽をやっているから、勉強っていう言い方になりますけど、何も感じないライブはないと思います。なので、これからもなるべくたくさん行きたいなと思います。音源では気付かなかったけど、ライブではすっと入ってくる歌詞もあったりして。帰りに、もう一回音源を聴くと、ライブに行く前とは違って聴こえたり。なので、自分のライブでも音源に忠実になりすぎないようにしたいなと思っています。クイーンって、違う曲に聴こえるくらい、音源とライブが全然違いますよね。歌い方が違うのかな。クイーンのそういうスタイルが好きで、僕もそういうライブをやりたいなと思っています。
――もうすぐ来日されて10年になります。日本に対して変わったこと、変わらないことってありますか。
THE CHARM PARK:アメリカにいたときは、日本の空を勝手に想像して、アメリカのロサンゼルスの空を見ながら曲を作ったりして。そして、日本にくると、何もかもが美しくて。空も想像以上に綺麗で。でも、4~5年経つとそれが日常になって、美しさにも慣れてきた自分がいるなって、最近気づきました。相変わらず良い場所だし、東京は大好きなんですが、また、ないものねだりが出てきちゃって、違う場所にも行ってみたいなとも思っています。
――ストリーミングが浸透したことで、色んな場所に音楽を届けやすくなってきましたもんね。
THE CHARM PARK:インターネットさえ繋がれば、どこにいても作れますからね。ここから、すごく出たいというより、他の国にも行ってみたいなって思っています。
――これからの10年間、どうしていきたいですか。
THE CHARM PARK:自分が、“家”って呼べる場所を増やしていきたいなと思います。今の自分にとっての家は、東京で住んでいる家と、ロサンゼルスの実家の2つですが、贅沢な話ですが、「ここは僕の家だ」って言えるような心地の良い場所を他にも増やしていきたいですね。
家って、自分が一番自由になれる場所じゃないですか。特に僕は、家が仕事場でもあるので、曲も家で作ることが多いし。なので、そういう場所がもっとあることで可能性が広がっていくんじゃないかなって。今の場所だけじゃないって決めずに活動していきたいなって思います。
公演情報
THE CHARM PARK
ビルボードライブ大阪:2019年7月3日(水)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2019年7月5日(金)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
Interview&Text:高嶋直子
Standing Tall
2019/07/03 RELEASE
RZCB-87003 ¥ 1,760(税込)
Disc01
- 01.Don’t Let Me Fall
- 02.Ordinary
- 03.Still in Love
- 04.Stars Colliding
- 05.花が咲く道
- 06.Standing Tall