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<インタビュー>“飴と鞭”を掲げるロイ-RoE- 新曲「VIOLATION*」で垣間見えた真髄を紐解く



インタビュー

 誉田哲也による小説“姫川玲子シリーズ”を原作とし、二階堂ふみと亀梨和也をダブル主演に迎え、現在フジテレビ系にて放送されているドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』。そのオープニング・テーマを務めているのが、2018年10月にあいみょん、きゃりーぱみゅぱみゅらを擁するワーナーミュージック・ジャパン内レーベル<unBORDE>からデビューしたシンガー・ソングライター、ロイ-RoE-(※)だ。

 主人公・姫川玲子の心情とロイ自身を重ね合わせて作詞したという新曲「VIOLATION*」は、『ストロベリーナイト・サーガ』の重く、生々しい世界観をしっかりと表現しつつ、様々な芸術やエンターテインメントからの影響を公言する彼女らしい、聴き手を底知れぬ奥行きに誘い込むような魔力を感じさせる。作曲は音楽プロデューサー・ユニット“Face 2 fAKE”と共同で行われ、アートワークは前作から引き続き、コラージュ作家のQ-TAが手掛けた。

 「VIOLATION*」には、真っ白なヴィジュアルが印象的だった前作『ウカ*』以降の変化はもちろん、彼女がずっと抱え潜ませていた“色”が表出し、ようやくその真髄が見えてきたような感覚がある。今回のインタビューでは、その要因となったものを紐解いていった。それは明らかに前作から変化した制作スタイルであり、幼少期から現在にかけて続いているアート・センスの蓄積であり、彼女自身が敬愛を捧げる作家たち、作品の数々だ。音楽に留まらない彼女の表現世界、その真髄の一端が垣間見える最新作「VIOLATION*」について、話を訊いた。

※oの正式表記はウムラウト付き

まだ白でいく? もう黒い部分出しちゃう?

――ワーナーミュージック・ジャパン内レーベル<unBORDE>からデビューEP『ウカ*』をリリースしたのが2018年10月。それからの約7か月間、音楽との向かい方に変化などはありましたか?

ロイ-RoE-(以下ロイ):音楽を作ることに対する気持ちや意欲はまったく変わっていないんですけど、「どうやったら自分の音楽がもっと伝わるかな」というようなことは考えるようになりました。特に前作はデビュー作品だったので迷いもあって。一番最初のイメージって大事じゃないですか。初めて発表した作品のイメージがその後も自分のイメージとして付き纏うんじゃないかとも思ったりして。だから、この7か月間もそういうことはずっと考えながら活動していました。

――『ウカ*』ではむしろ“何色にも染まっていない自分”というのを打ち出していましたよね。

ロイ:『ウカ*』に収録されている「泡と鎖*」はワーナーに入って一番最初に作った曲なんですけど、あの曲は意図的に“何色にも染まっていない曲”っていうのをテーマにしていて、本当に無垢なんです。誰が聴いても真っ白なイメージが浮かぶような曲にしたかった。だから自分の要素を詰め込むだけじゃなく、抜く作業もいっぱいしたし。



▲ロイ -RoE−「泡と鎖*」Music Video


――対する今作は詩曲もアートワークも“黒”が基調となっているように思います。

ロイ:私は“飴と鞭”を自分のアーティスト・テーマにしていて、それは言い換えれば“裏と表”なんです。その中でもドロドロとした部分とキラキラとした部分みたいな、女性の2面性みたいなものを書きたかった。だから今回、特に新しい自分を出したっていうわけじゃなくて、ずっと根本にはあったけど控えていたものを出したような感覚なんですよね。

――オープニング・テーマとして起用されているドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』の世界観にも見事にハマりましたね。

ロイ:嬉しいです。『ウカ*』の次はどんなものを出そうか、ずっと迷っていて。「まだ白でいく? もう黒い部分出しちゃう?」みたいな(笑)。そしたらちょうど『ストロベリーナイト・サーガ』のタイアップが決まって「出せるやん!」と思って。

――そうやってロイさんの中から表出してきた黒い部分について、より具体的にお聞かせいただければと思います。

ロイ:「VIOLATION*」の歌詞はヒロインの姫川玲子(二階堂ふみ)の気持ちになって書いたんですけど、やり方としてはまず、自分と姫川でリンクする部分を探したんですよ。姫川の言動で理解できないこともあったし、逆に共感することもあって。その中でも一番共感したのが、誰かにかわいそうだと思われたくないことだったんです。悲しいことを恥じるというか。弱い部分はあるけど、か弱い部分は絶対に人に見せたくない。そういう部分を違反(violation)っていう言葉で表現しました。

――ロイさんの人格の中にもそういった一面があったわけですね。

ロイ:昔からそうでしたね。「かわいそう」って言葉をかけられるのが一番嫌いでした。そういう風に思われるんじゃなくて、羨ましいと思われたい。恨まれるのはイヤやけど。学生時代は周りが恵まれている人たちばかりで、自分はそうじゃない側の人だと思っていたからっていうのもあると思います。

――他に『ストロベリーナイト・サーガ』から得た着想などは?

ロイ:『ストロベリーナイト・サーガ』ってけっこう描写がグロテスクな部分があって。私はグロい表現があまり得意ではなくて、でも『ストロベリーナイト・サーガ』という作品に惹き込まれたのは、そのグロさを美しく表現しているから。私はそういう芸術が好きなんです。私が影響を受けている三島由紀夫とか中原中也は、戦時中の暴力的な出来事とかも美しく描写するのが上手な作家さんで。自分もそういうものを作りたいと思っているし、どうやったらこの『ストロベリーナイト・サーガ』のドロドロした部分を美しく見せることができるのかなって、かなり考えながら制作にあたりましたね。

――やはり前作と比べると、ある種の生々しさみたいなものがより際立って伝わってきますし、ロイさんが公言している作家たちから受けた影響も、かなり色濃く浮かび上がってきたように感じます。

ロイ:昔は言葉の使い方が上手くなかったんです。でも、曲作りを始めてからはそれまで以上に本を読むようになって、本を読むようになって、そこで言葉を学んでいった。だから、人によっては私の歌詞って小難しく思えるかもしれない。私も最初は辞書を引きながら読んでいたし。でも、私にとって彼らの小説は教科書なんです。私は中原中也に言葉を教えてもらったようなものだから(笑)。

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