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ドナルドダック スクリーンデビュー85周年『スーパー・フレンドシップ! ~ディズニー・ミュージック・コレクション』特集
ディズニー作品を彩る楽曲をテーマごとにコンパイルした大人気シリーズ<ディズニー・ミュージック・コレクション>。その最新作『スーパー・フレンドシップ! ~ディズニー・ミュージック・コレクション』が2019年6月5日に発売される。ミッキーマウスの生誕90年を記念した第1弾、ミッキーマウスの永遠のガールフレンド、ミニーマウスと“愛”をフィーチャーした第2弾に続くこの第3弾は、タイトルにもあるように、主人公をサポートする親友や相棒による楽曲、そして“友情”にフォーカスした楽曲が収録される。今作のジャケットを飾るのが、ミッキーマウスの親友ドナルドダックだ。6月9日に誕生日を迎えるドナルドダックと本作の発売を記念して、収録されている楽曲の中から、いくつかピックアップしてご紹介しよう。
スクリーンデビュー85周年! ミッキーマウスの親友ドナルドダック
ドナルドダックの本名はドナルド・フォントルロイ・ダック。1934年6月9日公開のアニメーション短編映画『かしこいメンドリ』でデビューしたドナルドダックは、今年でスクリーンデビュー85周年を迎える。短気で負けず嫌いな性格のドナルドダックは、いつもミッキーマウスやミニーマウスたちを困らせるが、少し天然でおっちょこちょいなキャラクターが大人から子供まで幅広い人気を得ている。実はドナルドダック、ディズニー最多の出演作品数を誇るキャラクターでもあるのだ。ドナルドダックには3人の甥のヒューイ、デューイ、ルーイや、伯父で大富豪のスクルージ・マクダックなど、ドナルドダックに負けない魅力的な親族もたくさん。ドナルドダックと、ドナルドダックが初共演した時から首ったけの恋人デイジーダックは、ミッキーマウス&ミニーマウスと肩を比べる永遠のディズニー・ベストカップルと言えるだろう。
本作は、『ミッキーマウス・ クラブ』よりドナルドダックをテーマにした「クワッ!クワッ!クワッ!ドナルドダック」からスタート。スクルージおじさんや3人の甥っ子たちの冒険を描いたTVアニメ『ダックテイルズ』より、1987年放送開始当時の主題歌「ダックテイルズのテーマ」と、ドナルドダック好きにはたまらない楽曲が2曲収録されている。
シンバ、ヘラクレス、アリエル… 悩める主人公を支える“ベスト・バディー”が登場
1994年に公開された『ライオン・キング』。サバンナの王の跡継ぎとして、雄大なアフリカの大地に生を受けた主人公シンバは、陰謀により国を追われてしまう。広大なサバンナをひとりで放浪する幼いシンバが出会うのがミーアキャットのティモンと、イボイノシシのプンバァ。心を閉ざしたシンバに2人が歌うのが「ハクナ・マタタ」で、<ハクナ・マタタ>はスワヒリ語で心配無用という意味。起きたことをくよくよ考えず、今を第一に考えようという2人の人生哲学によって、すっかり元気を取り戻したシンバは、立派なライオンへと成長していく。
『ライオン・キング』の音楽を手掛けたのが、エルトン・ジョン。1971年の英映画『フレンズ〜ポールとミシェル』で初めて映画音楽を手掛けたエルトンは、その後、1972~1975年の間に、米ビルボード・アルバム・チャートで7作連続No.1を獲得するという偉業を成し遂げる。そんな彼が『フレンズ』から約20年後の『ライオン・キング』で再び映画音楽を手掛けることになったのだが、大物作詞家ティム・ライスと制作したサウンドトラックはアメリカ国内だけで1000万枚以上の大ヒットセールスを記録。本作から「ハクナ・マタタ」や「愛を感じて」、「サークル・オブ・ライフ」といった名曲が誕生し、「愛を感じて」は【第67回アカデミー賞】で<歌曲賞>を受賞。他2曲も同賞ノミネートと、輝かしい功績を残している。
2019年8月9日には、チャイルディッシュ・ガンビーノとして音楽活動を行うドナルド・グローヴァーとビヨンセを声優に迎えた実写版の国内公開が控えている。いまだ劇中音楽について詳細は明らかになっていないが、この2大アーティストの共演に、2人の劇中デュエットを期待してしまうのは筆者だけではないだろう。実写版のティモンとプンバァの声をコメディ俳優のビリー・アイクナーとセス・ローゲンが務めることから、アニメーション版に劣らないコメディ要素が加わっていることも明らかだ。果たして劇中で新しい「ハクナ・マタタ」が聴けるのか。それについては、もう少し詳細を待ってみよう。
▲『ライオン・キング』予告映像
どんな時でもいつもそばにいてくれる相棒の名曲は他にもある。1989年に公開された映画『リトル・マーメイド』の主人公アリエルは人間の世界に強い憧れを持ち、危険な人間の世界からアリエルの興味を引き離そうと彼女のお目付け役であるカニのセバスチャンは大奮闘。<海の世界はこんなにも素敵>と説いたり、海の魔女アースラによって声を失ったアリエルの呪文を解こうと、エリック王子とキスさせようと奔走したりする。宮廷音楽家の顔を持つセバスチャンが歌う人気曲「アンダー・ザ・シー」を手掛けたのが、数々のディズニーの名曲を作ってきたアラン・メンケンとハワード・アシュマンだ。海が舞台ということもあり、カリビアン・サウンドを前面に打ち出したこの曲は、【第62回アカデミー賞】で<最優秀歌曲賞>、【第33回グラミー賞】で<最優秀楽曲賞映画、テレビ、その他映像部門>を受賞した。
▲「アンダー・ザ・シー」from『リトル・マーメイド』
リリース情報
『スーパー・フレンドシップ! ~ディズニー・ミュージック・コレクション』
- ヴァリアス・アーティスト
- 2019/6/5 RELEASE
- UWCD-1032
- [定価:¥ 2,500(tax out.)]
- 詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
- ディズニー公式オフィシャルサイト
- ユニバーサルミュージック公式サイト
- 『Songs from Imagination ~Disney Music Collection Celebrating Mickey Mouse』特集
- 『キャント・ストップ・ラヴィング!~ディズニー・ミュージック・コレクション』特集
Text: Mariko Ikitake
ベスト・バディーが歌う楽曲をさらに紹介
アラン・メンケンとハワード・アシュマンは1991年公開の『美女と野獣』の楽曲も手掛けており、本作には「ひとりぼっちの晩餐会」が収録されている。この曲は、父親と引き換えに、野獣の館に残ることになり落ち込むベルをルミエールやポット夫人が最高のパフォーマンスと料理で歓迎する曲で、サービス精神たっぷりのルミエールと、生真面目なコグスワースのやり取りが笑いを誘う。
▲「ひとりぼっちの晩餐会」from『美女と野獣』
また、アラン・メンケンは、1997年に公開された『ヘラクレス』の楽曲も手掛けている。ギリシャ神話をテーマにした本作は、“神様”つながりで、God Spell(福音)を語源とするゴスペルを用いているが、本作に収録される「ワン・ラスト・ホープ」は、オーケストラを用いた従来のディズニー音楽に近い。この曲を歌う英雄専門トレーナーのフィルは、当初ヘラクレスを鍛えることに前向きではなかったが、生まれ持った才能を開花し、段々とヒーローに近づいていくヘラクレスを見て、彼に対する期待が高まっていくのがこの曲から分かる。様々な誘惑や陰謀に巻き込まれるヘラクレスを支える相棒フィルの声を担当したダニー・デヴィートは1992年の『バットマン リターンズ』の悪役ペンギンや、今年公開された実写映画『ダンボ』でコリン・ファレル演じるホルトが所属するサーカス団の団長メディチを演じた俳優。フィルの動きはダニー本人の動きを参考にしたとされ、風貌もどこか本人に似てるではないか。
世界を救うヒーローは、ヘラクレスのように筋肉隆々で恐れ知らずの男性キャラクターが多く描かれていたが、近年はそれに負けない知性とパワーを持った女性ヒーローも主流となってきた。1998年の『ムーラン』は、その先駆けと言えるであろう。当時では(今でも)珍しい東洋キャラクターを主人公にした本作は、足の悪い父親を守るため男装して戦地に向かうムーランが主人公だ。本作に収録される「愛しい女よ」は、ムーランの仲間たちがキツイ訓練や戦争に耐えるのは、<戦に勝てばどんな娘にもモテる>とどこかで待っている“愛しい女”のためだと歌う曲。いつの世も女性が男性の心の支えになっていることは確かだ。
また、2016年の『モアナと伝説の海』で主人公モアナが出会い、冒険をともにするのが、半神半人のマウイ。人間があって当たり前と思う火や大地、海が存在するのは、実はマウイのおかげ(?)という、全人類の“隠れ相棒”的存在のマウイ。恩恵を与えた人間から感謝されて当然と考えるマウイが<どういたしまして>と「俺のおかげさ」を歌うのは、元WWEプロレスラーでトップ俳優のドウェイン・ジョンソンだ。ブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』のプロデュース/主演/作詞作曲で名を馳せたリン=マニュエル・ミランダが音楽を手掛け、ディズニー作品では珍しいラップ・サウンドを取り入れたサウンドトラックは米ビルボード・アルバム・チャートで最高2位を記録。主題歌「どこまでも ~How Far I’ll Go〜」は【第89回アカデミー賞】で<主題歌賞>にノミネートされた。リン=マニュエルは『メリー・ポピンズ リターンズ』でメリー・ポピンズの相棒ジャックを演じた俳優でもある。
▲「俺のおかげさ」from『モアナと伝説の海』
本作には1999年にリリースされたTHE ALFEEの「D.D.D! ~Happy 65th Anniversary for Donald Duck」も収録。本曲はドナルドダックのスクリーンデビュー65周年を記念したドナルドダック公式イメージソングで、作詞・作曲を高見沢俊彦、編曲をTHE ALFEEと河野圭が担当、そしてドナルドダックがゲスト参加している。<D.D.Dance!!>と、パラパラや『DanceDanceRevolution』といったユーロビートがブームだった当時のサウンドを思わせるダンスソングで、彼らの最新ツアー【THE ALFEE 45th Anniversary Best Hit Alfee 2019 春の乱】でも披露されているという情報もチラホラ。お互いにアニバーサリーイヤーを迎えているTHE ALFEEとドナルドダックのこのコラボレーションは見逃せない。
ここで紹介した楽曲以外にも、『スーパー・フレンドシップ! ~ディズニー・ミュージック・コレクション』には、『白雪姫』の7人のこびとが歌う「ハイ・ホー」や、『メリー・ポピンズ』の「チム・チム・チェリー」、『アナと雪の女王』の「雪だるまつくろう」など有名な楽曲や、『ジャングル・ブック』の「ザ・ベアー・ネセシティ」、『きつねと猟犬』の「君は最高だ」など、知る人ぞ知る希少な楽曲も収録されている。いつもお世話になっている大切な仲間や友人にプレゼントとして贈るのもいいかもしれない。
リリース情報
『スーパー・フレンドシップ! ~ディズニー・ミュージック・コレクション』
- ヴァリアス・アーティスト
- 2019/6/5 RELEASE
- UWCD-1032
- [定価:¥ 2,500(tax out.)]
- 詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
- ディズニー公式オフィシャルサイト
- ユニバーサルミュージック公式サイト
- 『Songs from Imagination ~Disney Music Collection Celebrating Mickey Mouse』特集
- 『キャント・ストップ・ラヴィング!~ディズニー・ミュージック・コレクション』特集
Text: Mariko Ikitake