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マーカス・キング・バンド来日直前インタビュー ~若き天才ギタリスト=マーカス・キングの音楽観に迫る「なによりも大切なのがリズム」
2017年の「FUJI ROCK FESTIVAL」で初来日した“マーカス・キング・バンド”の単独来日公演が来週に迫る中、バンドのフロントマンで米国のロック&ソウル音楽のDNAを受け継ぐ若き天才ギタリスト、マーカス・キングに来日直前インタビューを敢行。マーカス自身の音楽観や昨年リリースされた最新アルバム『カロライナ・コンフェッションズ』、そして今回の来日公演、更にはギター・バトルをしてみたいアーティストについてまで、様々な質問を投げかけた。
様々な面で成長するとともに、新たなアプローチを試みたり…
自分たちはまだまだ成長過程にある
−−【ウッドストック50】への出演が発表されたばかりですね。
マーカス・キング:そうなんだ、信じられないよ!
−−楽しみにしている出演者はいますか?
マーカス:ものすごく多彩なラインアップだし、大勢いるよ。願わくば金曜日から行きたいんだけど、僕らの出演は日曜日だからな。でも同じ日にも素晴らしいアクトが出演するし、何と言ってもヘッドライナーがジェイ・Zだから、彼のパフォーマンスを観るのは楽しみにしている。
−−ちなみに、1969年に初開催された際のパフォーマンスでお気に入りはありますか?
マーカス:選ぶのがタフだな~。でも、最初に浮かんだのは、やはりサンタナのセットだね。あとはジョン・セバスチャンかな。
▲ 「Soul Sacrifice (Live at Woodstock 1969)」Santana
−−今日のインタビューはツアー先から応じてくれていますが、最新作『Carolina Confessions』をひっさげたツアーの反響はいかがですか?
マーカス:すごくいい感じだよ。みんなものすごく好意的だし、観客からもいいヴァイブをたくさん貰ってる。これまでのツアーに比べて、観客のエネルギーのレベルが高まったという感触もあるから、今後の活動に関しても明るい兆しが見えているように思うよ。
−−新作は2ndアルバムに続き、米ビルボードのブルース・アルバム・チャートで2位を記録していますが、この知らせを受けたときどんな気持ちでしたか?
マーカス:満足が行く結果が出て嬉しかったよ。努力が報われた感じがするし、とても誇らしい。同時に活動を続けていくモチベーションにもなるし、さらなる高みを目指すとともに、常にベストを尽くすことを後押ししてくれた。
−−若いアクトですし、伸びしろは無限大にあるように感じますね。
マーカス:うん、本当にそうなんだ。様々な面で成長するとともに、新たなアプローチを試みたり…自分たちはまだまだ成長過程にあるという意識だから。あとは着実なファンベースを築くことも重要だと思っている。僕らの現在のファンたちは、より実験的な作品をリリースしても、ちゃんと聴いてきてくれるようなソリッドで、良心的な人々なんだ。
−−3rdアルバムの曲は、全てひとつの中心的なテーマに基づいていて、『関係性(relationship)が終わるときに避難の余地がない人なんて存在しないということ』とコメントしているそうですが、このようなテーマを掲げるキッカケはなんだったんでしょうか?
マーカス:テーマは自然と辿り着いたもので、2重の意味を持っている。1つ目は、壊れてしまった関係が上手くいかなかった理由の責任を取るということ。一方で、自分の地元を離れ、人間として成長することを選んだ理由について説明するチャンスでもある思った。それが今作の目的だったんだ。
−−3rdアルバムに収録されている曲「Goodbye Carolina」の歌詞にある「So, Goodbye Carolina, searched my whole life to find you」は田舎から都会に移ってきた経験のある人とって共感できる歌詞だと思います。あなたもナッシュヴィルへと活動の拠点を移しましたが、やはり故郷(サウスカロライナ)は特別ですか?
マーカス:もちろん。地元へ戻ることが、新たな意味を持つようになった。ナッシュヴィルも地元のように居心地がいいけれど、グリーンヴィルには家族や旧友もいる。地元に戻ってくると、そういった人々が大勢迎えてくれるのは、本当にありがたいと思っている。
「Goodbye Carolina」ついて話すと、この曲は数年前に亡くなってしまった親友でソングライターの目線から書いた曲なんだ。ほぼ彼の目線と言っていいと思う。彼が経験した恋愛関係のもつれ、その後カロライナから去ったことについての曲なんだけど、彼の目線から書こうと思ったのは自分もその当時カロライナから出たいと思っていて、その方法は異なるにしろ、実際に2人ともカロライナを後にすることとなったから。
▲ 「Goodbye Carolina」音源
−−「Goodbye Carolina」を筆頭に、今作の内容はかなりパーソナルなものになっていますが、その故ソングライティングを行う上でなにか変化などありましたか?
マーカス:前作とプロセスは違ったね。いくつかのノートに書き留めていたメモやテープに吹き込んでいたものを、まるでタペストリーやキルトを作るように織っていかなければならなかった。映画『あの頃ペニー・レインと』で、主人公の記者がバスタブでたくさんのメモを見返しているシーンがあるでしょ?まさに、あんな感じだったよ。ツアーと並行して行っていて、その後もクリス・ロビンソンとのツアーも控えていたから、同時にブラック・クロウズの曲も学ばなければならなかった。スタジオに入る時期は決まっていて、締め切りも迫っていた。最終的には時間までに完成させることができたけれど、その締め切りがあったことで、自分の感情を惜しみなくすべて楽曲に注ぐことができた部分もあると思う。
−−ナッシュヴィルへ引っ越したことは、あなたのクリエイティビティをどのように刺激しましたか?グリーンヴィルに比べてシーンも大きいですし、同志もたくさんいると思いますが。
マーカス:ナッシュヴィルには、音楽仲間や馬が合う人々がたくさんいるし、一緒に仕事をしている人々も多く住んでるからいいハブだと感じているよ。空気からエネルギーと昂揚感が感じられる反面、ちゃんと帰ってゆっくり休めるようなレイドバックさもある。そこに惹かれたんだ。
−−ナッシュヴィルと言えば、商業的なカントリー・ミュージックを輩出しているというイメージが定着していますが、それ以外にも色々なシーンが存在しているのですか?
マーカス:そうだね。今結構ビッグなカウンター・カルチャー的な動きが始まっていて、徐々に大きくなっていく…というかもうすでに大きくなっているんだ、正しい場所に目を向ければ。メインストリームを通じて人々に音楽を届けるチャンネルが確立されているから、その道を辿る人はたくさんいるし、クロスオーヴァーすることが悪いことだとは思わないけれど、僕のトーンや音楽はそれとは違うから、自分に合ったやり方を探っているところ。人柄を変えなくても活動を続けられると知ることで、個人的に何となく安心できる。ここに来て、気の合う仲間とクールなプロジェクトも進めてるから、近々発表できたらいいなと思っているんだ。
▲ 「Live In Studio」
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演奏している側としては中々緊張した(笑) - Next >
リリース情報
公演情報
The Marcus King Band
ビルボードライブ東京:2019/4/9(火) >>公演詳細はこちら
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
ビルボードライブ東京:2019/4/11(木)-12(金) >>公演詳細はこちら
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
BAND MEMBERS
マーカス・キング / Marcus King (Vocals, Guitar)
ディーン・ミッチェル / Dean Mitchell (Saxophone)
ジャスティン・ジョンソン / Justin Johnson (Trumpet, Trombone, BGVs, Tambourine)
デショーン・アレクサンダー / Deshawn Alexander (Organ, Keyboards)
スティーブン・キャンベル / Stephen Campbell (Bass)
ジャック・ライアン / Jack Ryan (Drums)
関連リンク
カロライナ・コンフェッションズ
2018/10/17 RELEASE
UCCO-1199 ¥ 2,750(税込)
Disc01
- 01.コンフェッションズ
- 02.ホエア・アイム・ヘデッド
- 03.ホームシック
- 04.8 a.m.
- 05.ハウ・ロング
- 06.リメンバー
- 07.サイド・ドア
- 08.オータム・レインズ
- 09.ウェルカム・ラウンド・ヒア
- 10.グッドバイ・カロライナ
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