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ブライアン・マックナイト来日記念特集 ~27年間、ソロでキャリアを積むR&Bシンガーの「いま」
ビルボードライブではおなじみとなったヴェテランR&Bシンガー、ブライアン・マックナイト。4月の来日公演を前に、時代に流されない彼の「安定の歌声」に込められたその意味を、音楽ライターの池城美菜子氏に探ってもらった。
時の流れは不思議で、ときに残酷だ。10年以上前。「僕らの世代で、ずっとソロで活躍している男性R&BシンガーはR.ケリーと僕くらいで‥」と電話インタビューでブライアン・マックナイトに言われたことがある。当時、ブライアンも安定した活動をしていたとはいえ、R.ケリーはビッグヒットを続けて放っていた時期で、正直、私は「大きく出たなぁ」と電話口で思った。それが、いまとなっては。熱心なR&BファンならR.ケリーの現状を知っているだろうから字数は割かないが、本稿の主役、ブライアンは「信頼できるR&Bシンガー」としてあいかわらず安定して、自身のレーベル、The Sono Recording Groupを運営し、ベテラン・プロデューサーのティム&ボブのティムと組んだ最新作『Genesis』では、年輪を重ねて艶を増した歌声を聴かせている。
おまけに、2017年の暮れには3年越しのガールフレンド、お医者様のライラーニさんと再婚。実は、昨年末に東京のカナダ大使館という珍しい場所で奥様連れのブライアンに会ったのだが、いつも以上に安定した、幸せオーラを放っていた。この原稿を書くために彼のインスタグラムを覗いたところ、わかりやすく奥さん自慢をしていて、クールな印象が吹き飛んだ。ちなみに、前妻との息子ふたり、ニコとブライアン・ジュニアとの関係は良好で、いっしょに音楽作りをしている。
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終わったばかりのグラミー賞にまつわる話を少し。実は、ブライアン・マックナイトは16回もノミネートされているものの、無冠なのだ。これを超えるのは同世代のスヌープ・ドッグで、こちらは17回ノミネートで無冠。もうふたりでグラミー賞を獲るためだけに、グラミー賞の審査員受けだけを狙いまくった曲を作っても面白いのでは、と少し失礼なジョークを思いついたが、ノミネートされるだけでも大ごとであるのも事実。ブライアンもスヌープも、長い活動期間中、ずっと第一線にいることを意味している。
ブライアン・マックナイトは、歌声と同じくらい話し声もすてきな人で、日本ではあまり知られていないが、かなりの話し上手。テレビ番組やラジオホストもときおり、務めている。R&Bシンガーにとって、「安定している」はかならずしもほめ言葉にならない面もあるだろう。だが、ラッパーに負けないくらいスキャンダルを起こすR&Bシンガーが多いなか、ブライアンのように黒人男性のイメージを高い水準でキープできるスターは絶対に必要なのだ。その証拠に、数年前、彼が「いまどきのR&Bの歌詞をからかうために」ふざけて女性の局部を歌詞に入れた曲をネットで流したときは予想以上に大炎上したし、ベッドシーンを織り込んだセクシーな曲を作ったときは「クリスチャンなのに」とまじめなファンに叱られたりした。長年のファンが彼になにを求めているか、よくわかるエピソードだ。「One Last Cry」、 「Anytime」、「Back At One」、「Shouda Wouda Coulda」などの27年のキャリアで作った代表曲が、アメリカのテレビやアーバンラジオで流れない日はないし、やはり、ブライアン・マックナイトの「いま」を語るキーワードは「安定」で、それはとても尊く、彼の歌声のように味わい深いのだ。
三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの今市隆二よりコメントが到着!
BrianのLIVEを初めて観たのがこのビルボード東京。10年以上前のLIVEでアカペラで登場していました。その時に受けた衝撃は今でも忘れません。今はご縁があり一緒に作品作りをさせてもらったり、ホームステイをしてファミリーになれました。そんなファミリーのBrianは世界一のミュージシャンだと思っています。誰も真似することができないスキル、天性の歌声、ミュージカリティ。いつも自分の活動に力を与えてくれます。そんなBrianの圧巻のパフォーマンス、そして優しさ、愛で溢れるステージを是非楽しんで下さい!
三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE/今市隆二
▲RYUJI IMAICHI feat. Brian McKnight / LOVE HURTS (MUSIC VIDEO)
公演情報
ブライアン・マックナイト
ビルボードライブ大阪:2019/4/23(火)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2019/4/24(水)- 4/26(金)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
Text: 池城美菜子/Minako Ikeshiro
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