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かなわない恋『ふたりなら』デビュー記念&人生初インタビュー
「いつか絶対に追い越してやる!」
映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』ヒロイン最終候補に残るほどの魅力を持ちながらも、合格まであと一歩及ばず。それでも諦めるわけにはいかなかったデビューへの道。積年の夢を叶え、かなわない恋という一風変わったアーティスト名で動き始めたシンガーソングライター・miekoへの人生初インタビューを公開!
誰もが音楽に夢中となり、ヒット曲が次々生み出された時代の匂いが漂うメロディーと、歌いながら涙してしまうほどの純粋さを持つ歌詞、そして人懐っこい愛らしいキャラクター。恋する人々すべてが共感し得る可能性にぜひ注目して頂きたい。
歌うことへの憧れを抱きつつの『カノ嘘』との出逢い
--かなわない恋。こちらはアーティスト名という認識で良いんですよね?
mieko:アーティスト名です。--では、かなわない恋のmiekoさんは、コーネリアスの小山田圭吾さん的な?
mieko:あ、そうです(笑)。別名みたいなイメージですね。miekoという名前だとそこに情報が何もないじゃないですか。覚えてもらいづらいし。だったらどんな曲を歌っているのか想像しやすい名前にしたほうがキャッチーだし、人目につくし、それこそ「かなわない恋って何なんだろう?」と気になってもらえるかなと思いまして。--そういう考えがあってのネーミングなんですね。
mieko:最初は英語の名前とか考えて、もう2,3ヶ月ぐらい会議に会議を重ねて、それでも全然定まらなくて。で、スタッフにアーティスト名候補がたくさんある中から「この中でどれが一番イヤ?」って聞かれて、それで「これはイヤです」と選んだのが「かなわない恋」だったんです(笑)。--あ、最初はイヤだったんですね。
mieko:「かなわない恋のmiekoです」って言うのがイヤだったんです。失恋ばっかりしてそうじゃないですか!--たしかに、一生しあわせになれなそう(笑)。
mieko:しあわせになったら終わっちゃいそうだと思って(笑)。イメージも縛られちゃうからリスクがあると思ったし。でも漢字の「叶わない恋」じゃなく平仮名の「かなわない恋」にすればフォルムも可愛くなるし、意味合いとして「叶わない恋」だけじゃなく「敵わない恋」にも出来るなと。--報われない恋だけじゃなく「この恋には勝てない」的な意味合いも持たせたと。
mieko:あと、相手への尊敬の念だったり、尊敬する人と共に歩むことで良い方向へ進んで行けるイメージだったり。失恋の曲だけを書いていきたい訳ではないので、そういうポジティブなイメージも持たせたかったんですよね。--ちなみに、かなわない恋になる前のmiekoさんは何者だったんですか?
mieko:そもそもは超絶普通のJKから始まりまして(笑)、当時はおばあちゃんが美容師だったから「私も美容師になるんだ」と思い込んでいたんですけど、あるとき『カノジョは嘘を愛しすぎてる』というマンガに出逢いまして。--通称『カノ嘘』ですね。大原櫻子主演で映画化もされた大ヒット作。
mieko:めちゃくちゃ大好きなマンガなんです! で、元々カラオケで歌うのも大好きだったので、高校生の頃は友達と週3,4回フリータイムで歌ったりしていたんですね。そしたら『カノ嘘』が映画化されることになり、公募でヒロイン役を募集しますと。--あ、受けたんですね?
mieko:そうなんです! ちょっと話が前後するんですけど、私は中学時代は吹奏楽部に入っていて、でもSCANDALとかガールズバンドへの憧れもあったから、高校に入ったらバンドを組みたいとずっと思っていたんです。でもいざ入学してみたら私の高校には軽音部がなくって……--事前に調べなかったんですか(笑)?
mieko:あるもんだと思い込んでいたんですよ! それで諦めがつかなかったから「部活がないなら同好会を作ろう」と仲が良かった女の子と仲間を集め始めたんです。でもなかなか音楽好きがいなくて。だからひとつずつ教室まわって「やりたい人、いませんかー!?」みたいな。手書きでポスター描いて、職員室でコピーさせてもらって、廊下にバァーと貼り出したりもしていたんすけど、全然連絡が来なくって……5人集まらないと顧問の先生が付いてくれなくて、それだと同好会も出来ない。だから最終的に何とか5人集めたんです!--おー!それこそマンガみたいなストーリーですね。
mieko:でも結局「防音施設が足りないからダメだ」となり、顧問の先生も付いてくれなくて、職員会議で却下されたんです。--現実はマンガのように甘くはなかったと(笑)。
mieko:同好会すら組めなかったんです。それがずっと自分の中でわだかまりとして残っていて。だから高3になったときにそのメンバーでバンドを組んで、卒業ライブをやることにしたんです。それがそのバンドでの最初で最後のステージだったんですけど。--それが人生初ステージ?
mieko:そうですね。上木彩矢さんの、B'zさんが作った「ピエロ」をカバーさせてもらったんですけど、あのイントロをエレキギターで演奏するのがめちゃくちゃ難しくて!どうやって弾いているのかも分からないまま(笑)自己流でめっちゃ練習したんですけど、本番で失敗してしまって。でもそこで歌うことに関していろいろ勉強できたのは大きかったです。同級生がみんな観に来ていて超満員のライブだったから、人前で歌うことの気持ちよさも知りましたし、もっと大きいところで歌いたいなと思いましたね。--なるほど。
mieko:それぐらい歌うことへの憧れを抱きつつの『カノ嘘』との出逢いで、しかもヒロイン役の一般公募オーディションがあるという流れだったんで、私からしたら夢のような話だったんですよ。まさしくシンデレラストーリー。で、そのヒロインの女の子の考え方とかキャラクターが「私みたいだなぁ」と勝手に思っていたので……--私こそがヒロイン小枝理子だと思った訳ですね。
mieko:これはもう応募するしかないなと。そしたらド素人で唯一最終オーディションの6人まで残って。そこでいろんなワークショップとか歌のレッスンとか受けさせて頂いて、その中で「本格的にこの道を目指したい」という想いが芽生えていったんです。オーディション自体は最終的に大原櫻子ちゃんに負けてしまうんですけど。- 人生で初めて書いた歌詞「それは浮気相手だったときに……」
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人生で初めて書いた歌詞「それは浮気相手だったときに……」
--でも結構良いところまで行った訳ですよね。
MUSH&Co. - 明日も【デビューライブver.】(short ver.)
--大原櫻子の理子ちゃん、完璧でしたもんね(笑)。
mieko:だから私も諦めがつきました(笑)。納得いく内容でしたし、むしろ「櫻子ちゃんだからあの映画は成り立った」と思いましたし。でもやっぱりそのあとの櫻子ちゃんの活動を見ていると、アーティストとしても女優さんとしても大活躍されているので、目にする度に「いつか絶対に追い越してやる!」って泣きそうになって。それが決定打になって美容師じゃなく音楽の道を進んでいくことになったんです。--そこから今回のデビューに至るまでどんなストーリーがあったんですか?
mieko:大学に入ってから、通っていたボイトレの先生がライブできる場所を教えてくれて。徐々にライブイベントとかに出るようになって、大学との両立でのライブ活動を3年ぐらいやって。MUSIC PLANETというボーカリストオーディションに合格して、卒業後自分なりに活動していく中で今の事務所と出会い、今回のデビューに至りました。--結構長い歳月を要したんですね。
mieko:4,5年はかかりましたね。事務所の探し方も全然分からなかったですし、オーディションに受かっても結局養成所に通わなきゃいけないパターンだったり、それで方向性を変えて女優のオーディションとかも受けてみたんですけど、それも最終的には稽古を受けなきゃいけなかったり……まぁそりゃそうなんですけど、最初に『カノ嘘』オーディションから大原櫻子ちゃんが一気にデビューしていく流れを見ていたから。だったらフリーのままでチャンスが来るのを待とうと。それで4,5年かかってはしまったんですけど、辛抱強く待った結果、MUSIC PLANETをきっかけにとても良い事務所と巡り会えたので「これで良かった」と思っています。--なんでそれだけ辛抱強く頑張れたんですかね?
mieko:恩師のボイトレの先生が「オリジナル曲作ってみなよ」とか「ちょっとライブ出てみない?」って背中を押してくれて、それでいろいろ始められたんですよ。アコギもいっしょに選んでくれましたし。その先生が「miekoは絶対に売れるから大丈夫」って言ってくれていたんですよね。何の根拠も理由もなかったと思うんですけど、ずっとそういう風に言い聞かせてくれていて。それが心の支えでもあったから、ちゃんと恩返ししたいと思っていたんですよね。家族もすごく応援してくれていて「親戚一同、CD出たら買いに行くよ!」みたいな(笑)。だから「売れるまでは終われないな」と思っていた。それがいちばん大きいですね。あとはもう単純に「大きいステージで歌いたい」という想い。--そうしてシンガーソングライターとしてデビューを飾った訳ですが、ちなみに人生で初めて書いた歌詞はどんな内容だったんでしょう?
mieko:それは浮気相手だったときに……--人生初の歌詞は、浮気相手だったときに書いた(笑)。
mieko:そうなんです(笑)。最終的に本命の彼女に戻っていってしまって。--ということは、浮気相手だと分かっていながら付き合っていたと?
mieko:最初は知らなくて、「最終的にこっちに来るだろ!」と思っていたんです。--戦っている感じだったんですね。
mieko:でも「本当にまんまと騙されていたんだな」と後から思いました(笑)。でもそのときの気持ちを歌詞にして。それは「この街で」という曲で世に出しているんですけど、めちゃくちゃ泣きながら書いたんです。でもネガティブな気持ちじゃなく、めちゃくちゃ純粋だったんで「前を向かなきゃ」という気持ちで書いていて。それが人生初の作詞作曲。--それが書けたことで実際に前を向けたの?
mieko:スッキリしました! でもそれをステージで歌うことになったときに、ライブ中なのに泣いちゃって。完成して間もないうちに歌ってしまったから。--でもそれぐらい嘘偽りのない、純粋な想いを歌にしたということですよね。
mieko:そうですね。私はそういう歌が多いので、あんまり曲を書くペースは早くないんです。気持ちが揺れ動く時期に生み出しているから、書かないときは全く書いていなかったりして。あと、私自身が邦楽ばかり聴いて育ったので、詞に重点を置いて書いているんですよね。だから詞を届けることが自分の中では大事なんです。なので、分かりやすいメロディー、日本人が聴きなれているポップスで表現したい。いわゆる懐メロって歌詞とメロディーがいっしょになって耳に残るし、それでいつまでも思い出の中で生きていたりするじゃないですか。私もそういう歌を作っていきたいなと思っていますね。「恋愛の曲と言えば、西野カナさん」そういうイメージを私も持ってもらえるように頑張りたい
--その想いは今回のデビュー作『ふたりなら』に200%反映されていますよね。いわゆるJ-POPのど真ん中感がこのバラードにはある。耳にすれば振り向いてしまう。
mieko:サビとかすごく印象的だなって自分でも歌っていて思います。歌詞にもどんどん入り込んでいけるし。くりかえしがないから歌詞がすごくボリューミーではあるんですけど、でもだからこそ飽きずに最後まで聴ける。MusicVideoも渋谷のビジョンやTVなどで流してもらったりもしているんですけど、それが2,30秒の短い時間であっても耳に入ってくる曲だと思うんです。なので、これをいちばん最初にリリースできて良かったなと思っています。--リスナーの中でどんな曲になっていってほしい?
mieko:隣にいる人を「大事にしたいな」って思える、そういう曲になってくれたら嬉しいですね。その相手が恋人じゃなかったとしても、自分を支えてくれている人やいちばん近い存在の人を「大事にしたいな」って。ありきたりかもしれないですけど、でも本当にそう思いますね。--そんな『ふたりなら』から本格始動するかなわない恋、リスナーにどんな歌を届けていきたいか語ってもらってもいいですか?
mieko:恋愛テーマの曲が多くなっていくと思うんですけど、例えば、女性って恋愛において被害者ぶりたがるじゃないですか(笑)。自分も含め。わりと「男の人が悪い」って言いがちじゃないですか。恋愛相談でも大体男性を悪く言う。--全面的に男性が悪いことになりがちですね(笑)。
mieko:でも実際はそんなことないし、男性が悪かったとしてもそれを見極められなかった自分も悪いし。自分はそういうナイーブなところまで掘り下げて曲を書いていきたいですね。恋愛ってナイーブな部分があからさまに出るじゃないですか。喜怒哀楽も生まれやすいし、時には「世界の終わりか」と思うぐらい落ち込んだりもするし、時にはめちゃくちゃハッピーになれたりもするし。そのひとつひとつをしっかり表現した上で共感してもらえるような歌を届けていきたいですね。同世代の20代、30代の女性の気持ちに寄り添えるような歌を歌いたいです。--これは個人的なリクエストでもあるんですけど、例えば、恋に悩んでいる人たちが「かなわない恋」というお店を求めて、そこで取り扱っているラブソングを聴いて救われたり背中押されたりして「この店、来てよかったな」と日常に帰っていく。そういう存在になってほしいなと思うのですが、いかがですか?
mieko:ライブがそうありたいですね! 恋愛の曲となるとバラードのイメージが強いと思うんですけど、そこのレパートリーは多種多様にしたい。どんなお客さんが来ても飽きさせない、それこそ「来てよかった」と思ってもらえるように頑張りたいです。--なので、やがてはあらゆる層の人が共感するラブソングを歌っていってほしいんですけど、例えば、自分のような「恋がしたい」と口にするのも躊躇われるようになった40代独身男性に恋の歌を届けるとしたら……
mieko:アハハハ!--あくまで題材例です(笑)。
mieko:であれば……独身で二次元に恋しちゃった曲とか!--なんかリアル(笑)。でも面白い!
mieko:面白いですよね!?--賛否両論起きそうだけど(笑)。あと、シンプルに「恋をするのに遅いも何もない」的な題材でもいけそうですよね。
mieko:あと、最近、料理コンとかもあるらしいんですよ。男女みんなでワイワイ料理するんですけど、それが合コンみたいな。--ちょっと待って。なんかもう単純に俺に勧めてない?
mieko:アリじゃないですか?--いや、もう歌の話じゃなくなってるから(笑)。
mieko:すみません(笑)!--でもそれぐらいレンジ広く恋の歌を歌えたら良いですよね。恋愛適齢期を過ぎてしまった世代に向けたラブソングは悪くないと思います。現実的な話、音楽に今いちばんお金使ってる年齢層って30代とか40代だし。
mieko:そう考えると幅が広がりますね!--ラブソングは誰もが歌いますけど、まだ誰も歌っていないラブソングは意外とたくさんあると思いますよ。そう捉えると、かなわない恋は夢のあるプロジェクトだなって。実際、今回の『ふたりなら』は僕らの層にも響く音楽性ですし。それこそ具体名を出してしまうと、the brilliant greenやDo As Infinityが90年代後半~00年代前半に鳴らしていたラブソングの質感じゃないですか?
mieko:その通りです!--あ、やっぱりそうなんだね。なおさら面白いじゃないですか。
mieko:そう感じてもらえると嬉しいです。この話、楽しい!--3月22日には【ONE-MAN LIVE「eve the holiday」】@下北沢ReGの開催も決まっていますが、デビューイヤーとなる2019年はどんな1年にしたいですか?
mieko:まず今年の目標は人間味のあるライブをすることなので、例えば「良く見られるようにする」とか「失敗しないようにする」とかそういうことばかりに気を取られないで、ちゃんと「人の心を動かせる」ライブがしたいですね。その為にも自分としっかり向き合っていく。あと、アリーナツアーがやれるぐらいの存在になることが夢なんですけど、例えば「恋愛の曲と言えば、西野カナさん」みたいな、そういうイメージを私もみんなに持ってもらえるように頑張りたいですね。--では、最後に、かなわない恋を知ってほしい皆さんへメッセージを。
mieko:かなわない恋をしているそこのあなた……違うな!(笑)--(笑)
mieko:「かなわない恋」の歌を聴いてくれた人達の気持ちが少しでも軽くなったり、日常に寄り添える曲になれたら嬉しいです。関連商品