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バックストリート・ボーイズ来日&『DNA』発売記念インタビュー
バックストリート・ボーイズの5年ぶりのニュー・アルバム『DNA』が2019年1月23日に発売を迎えた。日本以外の国々では、その2日後の1月25日に発売されるということから、本国アメリカで爆発的な人気が出る前から彼らをサポートしてきた日本のファンへの特別な愛が感じられることだろう。2018年4月に結成25周年を迎え、本格的に活動をスタートさせたバックストリート・ボーイズは、カイゴやアフロジャックといったEDMアーティストを手掛けてきたスチュアート・クライトンとステファン・ラベルによる「ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート」を2018年5月にリリース。本作のファースト・シングルである本曲が現地時間2019年2月10日に開催される【第61回グラミー賞】の<最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス>にノミネートされるというホットなニュースで世界中のファンを沸かせている。
その結果発表まで1カ月を切る中、バックストリート・ボーイズが5人揃って5年ぶりに来日。『DNA』やアルバム制作の苦悩、そしてグループを語る上で外せない音楽プロデューサー、マックス・マーティンについてたっぷり語ってもらった。
僕らがポップ・ミュージックの原型の一部であることは間違いない
−−5年ぶりの来日ですね! 久々の東京はどうですか? 前回と比べて変わった感じはしますか?
ケヴィン・リチャードソン:この都市はまだまだ成長しているね。そうだ、オリンピックのこと聞いたよ。おめでとう!
−−ありがとうございます。さて、今日は最新アルバム『DNA』のことについて教えてください。
A.J.マクリーン:10枚目のスタジオ・アルバムで、僕らのルーツである様々な音楽が組み合わさった作品に仕上がっているんだ。R&B、カントリー、ポップ、EDM、ダンス、ヒップヒップ、ゴスペル……僕らが大好きな音楽だよ。早く世界中に聞いてもらいたいね。
ブライアン・リトレル:そして、どの国より先に日本で発売されるよ!
−−タイトルの『DNA』は誰のアイデアなのでしょうか?
ケヴィン:アルバムの方向性をみんなで話していた時にA.J.が思い付いたんだ。ナッシュビル・サウンドのようなアコースティックのものと、いわゆる近代的なEDMっぽいエレクトリック・ミュージックの両方をレコーディングしていて、アコースティックはオールド・スクール・アナログで、EDMはデジタルだから、この作品はデジタル・アンド・アナログだって話していた時に、A.J.がDNA(Digital & Analog)って!
A.J.:雷のようにピカッと閃いたんだ!
−−アルバムのアートワークもDNAを意識してデザインされていますね。
ケヴィン:タイトルを『DNA』に決めてから、DNAにまつわる画像をウェブでいっぱい探したんだ。DNAと聞いて一番最初に思い浮かべるのが二重らせんだし、階段を使ってその二重らせんとそっくりに見せるのがクールなんじゃないかってカメラマンと相談して決めたんだ。
−−最高にかっこいいです。さて、デビュー当時からグループの音楽を作ってきたマックス・マーティンは今作にも参加しているのでしょうか?
ケヴィン:残念ながら、このアルバムには参加していないんだ。大勢のアーティストの作品を手掛けていて多忙だからね。
A.J.:電話も無視されちゃってさ。なんちゃって(笑)。
ブライアン:マックスが参加していないアルバムは今回が初めてなんじゃないかな。
−−アルバムに取り掛かる前は、マックスと一緒に曲を作ることは考えていたんですよね?
ケヴィン:もちろん! 毎回アルバムを作るたびに彼と仕事したいって思うし、一緒にやろうっていつも話してるんだから!
ニック・カーター:【グラミー賞】のノミネート発表がされた時に「おめでとう」ってメールを送ってくれたんだ。マックスはいつも俺たちのことを気にかけてくれて、俺たちも彼のことを気にしてる。
ブライアン:タイミングが合えばまた一緒にやりたいね。
ニック:間違いなく。俺たちはいつでも大賛成だよ。
A.J.:それにマックスは俺たちの家族みたいな存在だしね。
−−マックスと言えば、先日ブリトニー・スピアーズの「ベイビー・ワン・モア・タイム」がリリースから20年が経ったことで話題になりましたね。
ブライアン:彼が手掛けたトップ10入りの曲は100~150曲くらいあるんじゃない? 挙げたらキリがないよ。1993年くらいから現在まで、彼の曲はヒット曲しかないよね。
−−マックスの魅力ってなんだと思いますか?
ケヴィン:正直言うと、そこそこって感じかな。うそ、冗談だよ(笑)!
ブライアン:瞳がキレイだね(笑)。
ニック:真面目に言うと、俺たち全員、彼の大ファンなんだよ。初期の俺たちの音楽を作ってくれたのが彼で、他にもデニス・ポップやハービー(・クリックロウ)、クリスチャン(・ランディン)、アンドレアス(・カールソン)といったスウェーデンのシェイロン・スタジオの人たちと一緒に音楽を作れたことは、俺たちにとってもかけがえのない出来事なんだ。あの時代に今のポップ・ミュージックの原型が出来上がって、僕らがその原型の一部であることも間違いないと思っている。とにかく俺たちはマックスの音楽を愛しているし、彼も俺たちの音楽を愛してくれているんだよね。
▲Backstreet Boys - I Want It That Way
リリース情報
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Text: Mariko Ikitake//Photos: Ayaka Matsui
こうして25年も続けてこられたのも、音楽への追求をやめなかったから
−−5年ぶりのニュー・アルバムの制作過程についても詳しく教えてくれますか?
ハウイー・D:3年前に取り掛かり始めたんだ。アルバムを作る時はいつもそうなんだけど、実験をする感じでスタジオに通ったんだ。作品ごとに自分たちの限界に挑戦したいと思っていて、どんなことが起こるか大きな期待はせず、「とにかくやってみて、出来を見てから考えよう」っていう感じ。レコーディングが進んでいくうちに、ダンスやポップのサウンドが欲しくなって、色んなことを試したものの、アイデアが尽きちゃってさ。そんな時に、レーベルのRCAが手を貸してくれて、彼らから色んな曲を紹介してもらった。そしてフロリダ・ジョージア・ラインと「God, Your Mama, And Me」というカントリー・ソングでコラボする機会に恵まれたんだ。俺たちはカントリーとは畑違いだけど、カントリー音楽に対して愛情を持っているから、カントリー寄りにするのもいいんじゃないかって思い始めたんだ。で、制作を続けていくうちに、自分たちにリミットをかけるのはやめようっていう結論にたどり着いた。全部入れてしまうという選択肢もあっていいんじゃないかって。A.J.がさっき言った通り、俺たちのルーツはポップやカントリー、R&Bなど様々な音楽ジャンルにあるし、それが俺たちのDNAだから。日を追うごとにいい曲が出来上がってきて、作成期間の3/4のところで「チャンシズ」と「ノー・プレイス」という最高の曲に出会うことができた。レコーディングの初期に作った「ブリーズ」と「ドゥー・ユー・リメンバー」の2曲以外の曲は、この1~2年で作られたもの。時間をかけた甲斐があったし、かけたことでベストな作品に仕上がったという自負心を持っているよ。
▲Florida Georgia Line - "God, Your Mama, And Me feat. Backstreet Boys"
▲Backstreet Boys - No Place
−−それだけ情熱を込めた『DNA』はバックストリート・ボーイズの新たな始まりという感じでしょうか?
ブライアン:そうだね。
ニック:(2012年に)ケヴィンが復帰した時、正直グループとしての大幅な再構築や今後の方向性に不安があったんだ。グループとしての自分たちを再発見した『イン・ア・ワールド・ライク・ディス』は、作品としては悪くないが、個人的にはグループの潜在力を十分に発揮できた作品ではなかったと思ってる。もっと一緒の時間を重ねて、昔のあの原動力を復活させなければいけないと思ったんだ。それを追求した結果がこのアルバムになっているんだよ。全員が同じ一つの方向に目を向けていて、サウンドも今の俺たちを奏でている。言うなら、俺たちの第一章は『ミレニアム』で、このアルバムが第二章って感じ。
ブライアン:3年費やしたこのアルバムが、やっと今、世界に発信されるわけだけど、新作を出すたびに僕たちはある意味、再出発をしてきた。すべてを注いだ作品を世界に披露するたびに、僕たちはすべてのスタートラインに戻るということさ。アルバムを出せば、そのツアーを行うというサイクルに戻るしね。ニックの言う復活や再生という意味も正しいと思うし、僕たちがこうして25年も続けてこられたのも、毎回音楽への追求をやめなかったからだとも思うよ。売上枚数じゃなく作品の質が一番大事だからね。
ハウイー:このアルバムは3年身ごもって、やっと生まれてくる待望の赤ちゃんなのさ(笑)。
−−(笑)そして今作のファースト・シングルの「ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート」が見事【グラミー賞】にノミネートされましたね。これは2002年の「シェイプ・オブ・マイ・ハート」以来、実に17年ぶりのノミネートになるのですが、当日は授賞式に出席されますか?
ケヴィン:もちろん! パフォーマンスの予定はないけれど、式には出席するよ。
−−あなたたちの言葉で説明すると、どんな曲でしょうか?
A.J.:スチュアート・クライトンとステファン・ラベルが書いてくれた曲で、レコーディングが終わって瞬時に「これがファースト・シングルだな! 絶対ヒットする!」って確信したんだ。ちょうどレコーディングが1年半ほど続いていた頃で、パンチを食らうほどいい曲がなかなか生まれてなかったんだけど、この曲は5人全員が満場一致で「オーマイゴッド、これはいい!」って感じたんだよ。久々にラジオでトップ40に入るヒット曲で、ミュージック・ビデオは長年のパートナーであるリッチ+トーンが監督してくれた。昔、俺たちのバックダンサーだったリッチ+トーンは、今では監督もしていて、【DNAワールド・ツアー】の監修をしてくれるんだ。
ニック:色々と実験を繰り返して完成した曲なんだ。他にもスチュアートが書いてくれた曲があって、レコーディングまでしたんだけど、何となくピッタリ合わなくてさ。その後、ベガス公演を見に来てくれたスチュアートがショーからインスパイアされてこの曲を書いたくれたんだけど、彼がショーから感じ取った“何か”が、2018年そして2019年の俺たちの姿を説明するのに一番いい例だと思うんだ。まだ知られていない俺たちの本来の姿が映し出されてる。俺たちの形に合わせてあつらわれたオーダーメイドの曲だから、より一層特別な一曲なんだよ。俺たちはずっと奇跡の一曲を探し求めていたんだけど、そういう曲は滅多に見つからないよね。実を言うと、多くのプロデューサーやライターに曲の提供を断られてたんだ。でもスチュアートは俺たちを信じてくれて、俺たちに賭けてくれた。こういった背景と【グラミー】ノミネートもあって彼には特別な思いがあるんだ。
▲Backstreet Boys - "Don't Go Breaking My Heart"
−−「チャンシズ」もショーン・メンデスとライアン・テダーが手掛けたということで話題の一曲ですね。
A.J.:この曲はテネシーとカリフォルニアでレコーディングしたんだ。アルバムに収録されている楽曲の中でも、最後のほうに完成した曲で、これまでのバックストリート・ボーイズのラブソングよりもはるかに落ち着いた大人のラブソングに仕上がっている。LAで撮影されたこのミュージック・ビデオは俺が監督を務めたんだよ。俺たち、ライアンもショーンも大好きだし、この曲もかなり気に入っている。ここまで全てが順調に行き過ぎてる!
▲Backstreet Boys - "Chances"
−−先ほどブライアンが言った通り、結成してから25年が経ちますが、デビュー前の皆さんは、ショッピングモールや学校を回ってファン層を獲得していったんですよね。 今では信じられませんが……。
ニック:今の時代、SNSのほうがずっと楽だよね。俺たちが得たファンとのコネクションがSNS発信のアーティストも得られるかは不明だけど。でも、自分たちで町に出向いてファンと直接話をしたり握手をしたりして築いたあのコネクションこそ、今でも俺たちが生き残っている理由だと思うんだよ。あの時から時代は変わったし、俺たちと違った方法を取る若手アーティストの将来に俺は興味があるんだ。体を動かして丁寧に水をやらないと、花は育たないからさ。
バックストリート・ボーイズ サイン入りポラロイド写真を抽選で1名様にプレゼント!
応募〆切:2019年2月3日(日)23:59までに、Billboard JAPANの公式twitterアカウント(@Billboard_JAPAN)と洋楽専用アカウント(@BillboardJP_INT)を両方フォロー&ハッシュタグ#BSBDNA_BillboardJPでツイートした読者の中から抽選で1名様に取材時に撮影したサイン入りポラロイド写真をプレゼント!なんとブライアンが来日中にInstagramに投稿してくれた世界に一枚だけの貴重なポラロイドです。下記注意事項を必ず確認の上、ふるってご応募下さい!
・応募締め切りは、2019年2月3日(日)23時59分となります。
・当選者の方には、@Billboard_JAPANよりDMを送ります。当選時に@Billboard_JAPANと@BillboardJP_INTをフォローされていない場合、当選は無効となります。
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Text: Mariko Ikitake//Photos: Ayaka Matsui
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