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My Little Lover インタビュー ~Now and Then~
2019年の新春、「ビルボードライブ」のステージを飾るMy Little Loverのakko。1995年の鮮烈なデビュー以降、多くのビッグヒットを放ってきた彼女がここ10年続けているのが、アコースティック編成で歌をじっくり聴かせる好評のシリーズ“acoakko”。2年ぶりとなる「ビルボードライブ」では、編成も新たに、彼女の充実した今を伝えるステージが期待されている。デビューから20年を超え、エヴァーグリーンな輝きを保ちながら、凛とした佇まいで歌い続けるakkoに訊く、彼女の歌の現在地。
取材・文/佐野郷子
「akkoは何を考えているか分からない」と思っていた人もいたかもしれない
――来年の1月に2年ぶりに「ビルボードライブ」で、「My Little Lover ☆ acoakko party 2019」が開催されます。すでに恒例となったアコースティックライブ“acoakko”を始められたきっかけは?
akko:2007年にバンドとアコースティックの2形態でライブハウスツアーを行ったのが最初でしたね。私のセルフプロデュースによるプロジェクトとしてスタートしたんですが、キーボードの森俊之さんとギターの古川昌義と私の3人だけでどこまで出来るかという挑戦でもあったんです。それがとてもやり甲斐があって楽しかったし、おかげさまで好評だったので、継続することになりました。
――2008年にはiTunes Store限定で『acoakko』を、2010年のCD『acoakko debut』をリリースされていますね。
akko:acoakkoライブでこれまでのマイラバの楽曲をリアレンジすることで新鮮に聞いていただけたと思うので、自然と音源もつくろうという話になりました。私の声の質がアコースティックに合うというか、楽器のように聞こえる時があって、そのアンサンブルにも面白さを感じたんです。森さんと古川さんの3人でスタジオに入って作業するのもとても楽しかった。
――しっとりしたバラードから軽快なポップチューンまで、バラエティ豊かなMy Little Loverの曲をアコースティックにリアレンジすることで発見したことはありますか?
akko:リアレンジに関しては、今の自分が歌うならこういう雰囲気が似合うかな? というのをいつも意識します。ライブでは鍵盤を弾いたりギターを弾いたりグロッケンを叩いたりといろいろなことをやるので、楽しくてたまらないです。「Hello, Again~昔からある場所~」は、余計なことを考えずに無心で歌った時の方が聴いてくださる方に響くというか届くというか…最近はそう感じてますね。
――曲によってオーディエンスの反応が違う?
akko:そうなんです。曲が終わって客席をふっと見たら、泣いてくれる人がたくさんいる時があって。そういう時は自分がまっさらな気持ちで無心に歌っている時だったような気がしてます。あらためて音楽の奥深さ、歌の難しさを感じますね。
――My Little Lover は90年代はライブ活動がほとんどなかったので、近年ライブが増えたのは、ファンには嬉しいことでもあったと思いますが?
▲2016年11月28日@Billboard Live TOKYO
akko:そうですね。私は子育てもありましたし、一時は海外に住んでいたので、ライブをやりたい気持ちはあったんですが、現実的には難しかったんです。その頃は「akkoは何を考えているか分からない」と思っていた人もいたかもしれないですね。この10年ほどはライブを通してファンの方と接することも増えたので嬉しいですね。学ぶこともたくさんありますよ。
公演情報
【My Little Lover ☆ acoakko party 2019】
ビルボードライブ大阪:2019/1/7(月)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2019/1/10(木)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
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「私がやりたいことをやらせてもらいます」
――デビュー20周年の2015年にはリプロデュースされた『evergreen+』とニューアルバム『re:evergreen』の2枚組『re:evergreen』をリリースされましたが、その節目で感じたことは?
akko:私自身はアニヴァーサリーはひとつの通過点だと感じています。でも、20年もMy Little Loverを続けられたことは有り難いことです。『re:evergreen』は小林武史さんが監督で進められたプロジェクトだったので、私は一選手として監督の指示に従って球を打ち返すという意識でしたね。自分を俯瞰で見るような感覚で取り組みました。
――1995年の1stアルバム『evergreen』はダブルミリオンを超えるセールスを記録しました。その影響力は計り知れないものがあったと思うのですが?
akko:デビューしたばかりの頃は何にも分かってなくて…私はバンドをやったり、シンガーを目指していた人ではなかったから。ただ音楽に携わる仕事だけは絶対にしようと心に決めていたんですよね。音楽大学に通っていた頃たまたま小林さんに出会ってデビューしたので、当時はどこか他人事のような感覚でした。ただ、その後に出会った人たちに「アルバム持っています」「名盤ですね」と言われたりするうちに、最近やっとですが「あれはすごいことだったのかもしれない」と思うようになりました。1stで完成度の高いアルバムが出来たので、小林さんは「もうマイラバをやめてもいい」と当時思ったみたいですけど、「ちょっと待って!私はまだ何も始まってないんですけど」って(笑)。
――その間には一女性としても結婚や子育てがあり、音楽と共に人生を歩んでこられた。
akko:そうですね。忙しくて、過去を振り返ることもあまりしなかったんですが、音楽を続けることや子育てを苦労だと感じたことはなかった気がします。子供の成長をずっと見ていられたことは自分の財産になっていますし、そこには当たり前のように音楽があったんです。キッチンで歌詞を書いたり、料理しながらアイデアを練ったり、子供のちょっとした一言で気づきがあったり。日々の暮らしと音楽が密着していたんです。最近は自分がこうしたいという前に、自分には何を求められているのか、と考えたりするようになりました。
――akkoさん自身と音楽が結実してきたのが、この10年の歩みであり、“acoakko”なのかもしれないですね。
▲2016年11月28日@Billboard Live TOKYO
akko:そうだと思います。一時期、「マイラバはバラードで泣きたいんですよ」と曲を作る時に求められて、自分ではアップテンポが似合うと思ってたから、考えさせられましたね。それでも自分なりに分析すると理解出来るようになって、今はどちらも納得しながらやれるようになりました。聴く方々のそれぞれの人生に寄り添った曲があると思うのですが、それを聴いて心が動かされたり、癒されたりしてもらえたら、作り手側としては本望だなと。この前も「ビルボードライブ」で大貫妙子さんのステージを観ましたが、偉大な大先輩の素晴らしい歌声を聴くと、改めて私もまだまだ通過点に過ぎないんだと思います。どこまで追いつけるか分からないですが、ひたすら頑張っていきたいですね。
――昨年は「acoakko live tour 'restage' FANTASY plus」として、2004年のアルバム『FANTASY』の楽曲を軸に“acoakko”のアレンジで再現するライブシリーズ‘restage’の第1弾を開催されましたね。
akko:“acoakko”を10年続けてきて、この辺りでちょっと趣向を変えて、アルバムの再現ライブをやってみたいなと思ったんです。“acoakko”でのリアレンジも、いろいろと試行錯誤しながら練っていく過程がけっこう楽しくて。全曲再現となると、ライブではなかなかやらない曲も歌えることが嬉しいんです。どの楽曲も私には大事な曲なので、日の目を当てたいという思いもあって。第二弾もそう遠くない将来、実現したいと思っています。
――来年1月の「My Little Lover ☆ acoakko party 2019」は、どんなステージになりそうですか?
akko:今回は大好きなドラマーの沼澤尚さん、磯貝サイモンさん(ピアノ/ギター)、山口寛雄さん(ベース)というメンバーと一緒にステージに立ちます。沼澤さんは、前回の“acoakko”の「ビルボードライブ」にお客さんとして観に来てくれたのですが、サプライズでステージに登場して、即興でダンボールを叩いて一緒にステージを盛り上げてくれました。今回はバンド編成でのacoakkoになるので、アレンジもかなり違ってくると思いますが、私のバースデイ・ライブでもあるので、「私がやりたいことをやらせてもらいます」とすでにお伝えしてあるんです(笑)。だから、いつも以上に、マニアックになるかもしれませんね(笑)。
――“acoakko”は冬の恒例ライブになっていますね。
akko:私、ホントは寒い季節は苦手なんですけど(笑)、ライブで私が奏でるグロッケンが冬の街のイルミネーションのキラキラした感じとマッチするし、「“acoakko”は冬が絶対似合う!」と説得されて。「ビルボードライブ」の背景や雰囲気はその点でも、すごく相性がいいと思います。
――akkoさんの「ビルボードライブ」ならではの楽しみ方などありますか?
▲2016年11月28日@Billboard Live TOKYO
akko:「ビルボードライブ」のあの空間は気持ちよくて大好きです。おいしいシャンパンもいただけるし(笑)、坐ってじっくり音楽に浸ることができるのはいいですよね。お仕事でライブの時間になかなか間に合わない人も2ndステージなら行けるという声も聞きます。お客さまとの距離が近いので、リアクションがステージに立つ私たちに直に伝わってくるのはやっぱり気持ちが高まります。今回もここだけでしか味わえないライブになるようにしたいと思っているので、是非楽しみにして下さい。
公演情報
【My Little Lover ☆ acoakko party 2019】
ビルボードライブ大阪:2019/1/7(月)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2019/1/10(木)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
関連リンク
re:evergreen
2015/11/25 RELEASE
TFCC-86537 ¥ 3,520(税込)
Disc01
- 01.wintersong が聴こえる
- 02.pastel
- 03.星空の軌道
- 04.今日が雨降りでも
- 05.バランス
- 06.夏からの手紙
- 07.舞台芝居
- 08.送る想い
- 09.ターミナル
- 10.re:evergreen
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