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吉澤嘉代子『女優姉妹』インタビュー



吉澤嘉代子『女優姉妹』インタビュー

自分が「好きだな」と想うものを評価して頂けたから、
背伸びもしないし、目線を下げなくてもいい。

 ちょうど1年前『残ってる』発売タイミングでのインタビュー(https://bit.ly/2Ov0P11)。その続編とも言える今回は、子供編と大人編に分けて開催されたスペシャルコンサート【吉澤嘉代子の発表会】の話を皮切りに、徐々に外に向いて開かれていった彼女と彼女が創り上げた物語『女優姉妹』について語ってもらった。

子供だけが持つ……孤独感みたいなもの。その時の自分にやられちゃいました。

吉澤嘉代子『女優姉妹』インタビュー

--こうしてお話を伺うのは『残ってる』発売時インタビュー以来約1年ぶりになりますが、前回語って頂いた内容とリンクする出来事がこの間にいろいろ起きていった。と、先程読み返してみたら感じました。

吉澤嘉代子:あのインタビュー、すごく好きで。私も何回も読み返しました。

--良いインタビューでしたよね。形式ばっていないけど……

吉澤嘉代子:そうそう、変化球来てるけど、軸を突かれている感じ。

--そのインタビューの続きというか、あの日の続きについて今回はお話を伺っていきたいのですが、この1年の象徴とも言えるスペシャルコンサート【吉澤嘉代子の発表会】が今年6月16日と17日、子供編と大人編に分けてそれぞれ開催されました。

吉澤嘉代子「女優姉妹」初回盤 LIVE DVD「吉澤嘉代子の発表会」ダイジェスト
吉澤嘉代子「女優姉妹」初回盤 LIVE DVD「吉澤嘉代子の発表会」ダイジェスト

吉澤嘉代子:ある日「東京国際フォーラムを2日間押さえた」と言われて……

--あ、まず2daysで何かやらなきゃいけない状況が先にあったんですね。

吉澤嘉代子:そうなんです。でもそれを聞いた時点では、まだ自分がその時期に何をやっているのか予測できない状況だったんですよ。シングルが出ているのか、アルバムが出ているのか、その辺がちょっと分からなくて。だから「2日間か……どうしよう?」と思ったんですけど、次のアルバムに関しては元々“性”をテーマに書こうと思っていたので、そこで次のモードに入ってしまうと、これまでの自分の初期衝動みたいなものを描くタイミングを失うなと。なので「子供から大人まで」っていうところを前回のアルバム『屋根裏獣』までの曲でひとつまとめたいなと思ったんです。で、これまで曲を作っていく上で主人公の年齢は設けてきていたので、例えば「この子は中学生」とかそういうところに拘ってきたから「この曲は子供が主人公、この曲は大人が主人公」って分けることが出来た。それで「子供編と大人編の2日間で伝わるものを作りたいな」と思って作りました。

--いろんな物語の子供たちや大人たちをひとつのコンサート作品に落とし込んでいく。その作業にはどんな感覚で臨んでいったんでしょうか?

吉澤嘉代子:再構築っていう感じですよね。元々ある物語を組み合わせて、そこに新たな物語を付け加えてライブをするので……例えば、子供編は、1枚目のフルアルバム『箒星図鑑』の曲がすごく多かったりもして、ポップな感じだったんですよね。でもその中でも子供編にはすごくエグみを感じて、ちょっとやられちゃいました。自分で歌ってて「こんなに暗い曲をたくさん歌ってたのか」みたいな(笑)。

--かつて自分が生み出した曲とその中で生きている子供たちに当てられてしまったと。

吉澤嘉代子『女優姉妹』インタビュー

吉澤嘉代子:そう! 当てられちゃって、結構やられましたね。大人編のほうがちょっとドロドロしていたり、ドスが効いている曲が多かったんですけど、子供編より全然軽く感じました。

--具体的には、どの辺に当てられちゃったんですかね?

吉澤嘉代子:子供だけが持つ……孤独感みたいなものですかね。自分が創って、自分で設定したから、どの曲をどういう風な位置にしたかったか。っていうのも分かっていたんですけど、その時の自分にやられちゃいました。

--それは自分の中では思いもよらぬ出来事だったんですか?

吉澤嘉代子:そうですね。時間が経って歌ってみるからそうなったんだと思いますね。

--コンサート中には愛犬(人形操演)も登場したりとか、吉澤さん自身の幼い頃から大人になるまでの物語も重ねて観ている人たちもいたと思うんですけど、ひとりの女の子の成長物語のように描いていこうと思ったのは、どういった理由からだったんでしょう?

吉澤嘉代子『女優姉妹』インタビュー

吉澤嘉代子:昔飼っていた犬に登場してもらったんですけど、ずっと「人形劇を含めた演出をしたいな」と思っていて。それは人形操演の山田はるかさんという方との出逢いが大きくて、初めて山田さんの操演を観たときに、そこに命が吹き込まれていたんですよ。すごく感動して!「私のライブでもこういう風なことやりたいな」と思って。で、すごく大事な犬だったんですけど、子供編と大人編を繋ぐ架け橋になるものがあってほしいと思って。曲をカタログ的にやるのではなくて、1日だけ来ても楽しめるけど、2日来るとさらに楽しめるライブにしたいと思ったときに……15年の時が経って、今の自分と子供の自分が出逢うようなものにしたくて。それで私が飼っていた犬の人形操演を入れ込むことにしたんです。

--人形を取り入れた演出は、ひとつ間違えるとチープな印象を与えたり、夢から覚ましちゃう要因になったりしかねないと思うんですけど、世界観を壊さずにしっかりと役割を果たしていましたよね。あの犬があの世界でちゃんと暮らしていた。ただ、現実世界ではすでに亡くなっている存在を創作上で蘇らせるというのは、結果的に自身の過去と鮮明に対峙する作業にもなる。それが犬に限らず各所にあったゆえに「当てられてしまった」のかなと。

吉澤嘉代子:そうだと思いますね。お話的には不良を好きになったりとか、家出したりとかしていて、私は実際にそういう経験はしていないんですけど、曲を創るときに物語として描いていても、どこか真実を描かないと曲って生きていかないので、自分の大事な部分を忍ばせて書いているんですよね。そういうものが集まったときに……さすがに当てられちゃいますね。

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吉澤嘉代子「女優姉妹」

女優姉妹

2018/11/07 RELEASE
CRCP-40563 ¥ 7,109(税込)

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Disc01
  1. 01.鏡
  2. 02.月曜日戦争
  3. 03.怪盗メタモルフォーゼ
  4. 04.女優
  5. 05.ミューズ
  6. 06.洋梨
  7. 07.恥ずかしい
  8. 08.よるの向日葵
  9. 09.残ってる
  10. 10.最終回

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