Special
山田裕貴×Thinking Dogs 映画『あの頃、君を追いかけた』対談インタビュー
「少しでも世界を変えられる人間になりたいなぁ」と思っていた
10月5日より全国ロードショーとなる山田裕貴&齋藤飛鳥(乃木坂46)主演映画『あの頃、君を追いかけた』。この公開とThinking Dogsによる主題歌「言えなかったこと」のリリースを記念し、山田裕貴×Thinking Dogs(TSUBASA(vo)、わちゅ~(b)、Jun(g)、大輝(dr))のスペシャル対談を敢行した。同映画への想いについてはもちろん、この作品で重なった双方の表現者としての在り方。ぜひ感じてもらいたい。
主題歌が流れる前にみんな泣いちゃって(笑)。それぐらい感情を動かされた。
--空前のヒットとなった台湾映画『あの頃、君を追いかけた』。その舞台を日本に移したリメイク版が今回公開されることになりました。主演を務めた身として、本作の仕上がりを観てどんな感想や印象を抱かれましたか?
山田裕貴:分かんなかったんですよ。--というのは?
山田裕貴:「良いのかなぁ? 悪いのかなぁ?」それが分かんなくて。ただ、僕が『あゝ、荒野』という映画に出演させてもらったときに、共演者の菅田将暉と一緒に試写を観ていたんですけど、そこでアイツも「あぁー、分かんねーや」と言っていたんですよ。だから『あゝ、荒野』の法則でいけば「良い」ってことになる(笑)。一同:(笑)
山田裕貴:「分かんない」=「良い」と思ってポジティブに捉えました。みんなとたまたまスケジュールが合って一斉に観たんですけど、みんなも「正直、分かんなかった」と言っていて。でも僕らが分かんなくてもよくて、観てもらう人にどう感じてもらうかなので。なので、公開までソワソワが止まらないんですけど、先日、家でもう1回観直してみたときは「良いモノが出来たんだろうな」とやっと冷静に思えましたね。--最初観た時点で「分かんなかった」と思ったのは、自分たちの想定を超える作品になっていたからなんですかね?
山田裕貴:そこまで言えないですけど、台湾版が「人口の10分の1の人が観た」と言われる作品なんですよね。その設計図はもらっているんですけど、もちろんその雰囲気のまんま日本で出来る訳ではないし、それが良いモノになっているのか?と考える訳です。で、文化の違いで、ちょっと奥ゆかしい感じになっているので、そういったところがどう影響を及ぼすのか。正直、それは流れてみないと分からないので。だからこそ逆に楽しみでもあるんですよね。どういう反応があるのか。--主題歌を担当されたThinking Dogsの皆さんは、映画『あの頃、君を追いかけた』をご覧になってどんな印象を持たれましたか?
TSUBASA:僕らは自分たちで作った主題歌がどんな風に流れてくるのか、やっぱりそこを気にしながら観たんですけど、主題歌が流れる前にみんな泣いちゃって(笑)。それぐらい感情を動かされた。なので、こういう作品に携われたことが本当に嬉しいなと思いましたね。 山田裕貴:めちゃくちゃピッタリな曲ですよね。僕、台湾版が頭から離れなさ過ぎて、音楽も台湾版のエンディングテーマしか頭に流れていなかったんですけど、試写でThinking Dogsさんの主題歌「言えなかったこと」を聴いたあとに「すっげぇピッタリ。俺、絶対にカラオケで歌うわ」と思って。一同:(笑)
山田裕貴:タイトルからしてピッタリだし……本当にありがとうございます。 TSUBASA:いえいえ、こちらこそありがとうございます!--せっかくなので、メンバーひとりずつに映画の感想をお伺いしたいのですが、大輝さんはご覧になってどんな感想を持たれましたか?
大輝:僕、元々こういう青春映画を観てこなかったんですけど、今回初めて観させて頂いて「なるほど。これはみんな観るわ」と思って。僕は今年で27歳になるんですけど、「あ、青春ってこれだったなぁ!」みたいな。胸がすごく締め付けられて……今、この年代の僕が観てもそう思うわけだから、主人公たちと同じ年代の方たちが観たときにどういう風に思うのか、すごく気になりますね。悲しい感じもあり、懐かしくて「あ、戻りたいな」と思う感じもあるし、すごくいろんな感情をこの映画からもらったなと思います。 山田裕貴:浩介(※山田裕貴演じる主人公)と絶対仲良くなれるタイプですよね? 大輝:かなぁ(笑)? 山田裕貴:僕、結構まんまなんですよ。 大輝:あ、そうなんですか? 山田裕貴:学生時代、あんな感じだったんです。だから仲良くなれます。 大輝:あと、映画の中で坊主にされていたじゃないですか。「坊主でこんなに格好良いってどういうことだ?」と思って(笑)。 山田裕貴:ありがとうございます(笑)。- 浩介の言葉を歌っているような感覚になってもらえたら良いですね
- Next >
Thinking Dogsライブ情報
『言えなかったこと』リリースイベント
09月29日 愛知・サンシャインサカエB1F グランドキャニオン広場
09月30日 東京・渋谷マルイ屋上イベントスペース
Eggs presents FM802 MINAMI WHEEL 2018 ~20th Anniversary~
10月07日 大阪・FootRock&BEERS
リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
浩介の言葉を歌っているような感覚になってもらえたら良いですね
--わちゅ~さんはいかがでした?
わちゅ~:……めちゃめちゃ号泣しちゃいました。 山田裕貴:ハハハハ! わちゅ~:元々切ないモノがすごく好きなんですけど、この映画には本当に泣かされました。そんな号泣させられた一方で、観る前の予想を超える形でめっちゃ笑っちゃって。山田さんが教室で齋藤飛鳥さんと絡むシーンがあるじゃないですか。振り向いて笑わせるシーンとか大爆笑しちゃって。あれって…… 山田裕貴:アドリブです。 わちゅ~:そうなんですね(笑)! 山田裕貴:テスト勉強していたりプリント渡すくだりは、絶対に飛鳥ちゃんの素の笑顔がないとキュンと出来ない。男の子がキュンと出来ないといけないんで、指示が「笑わせてください」だったんですよ。結構そういうことが多くて、ポスター撮影のときも「明日、笑わせてくださいね」みたいな指示が来て。一同:(笑)
山田裕貴:どっちの顔でも良いんですよ。飛鳥ちゃんの顔でも良いし、真愛(※齋藤飛鳥演じるヒロイン)の顔でも良いし。真愛が飛鳥ちゃんであって、飛鳥ちゃんが真愛なので。その笑顔を見たい人も多分多いだろうし、お芝居じゃない笑顔を見れることによって「真愛が心を開いてくれた」というところを表現できる時間だったんで、「めちゃくちゃハードル高いな!」と思いながらも(笑)アドリブでやっていましたね。かなりの数を撃ちました。--あらゆる手法を用いて笑わせようとしたんですね。
わちゅ~:もちろん切なくて号泣もしたんですけど、その笑いのシーンも衝撃的過ぎて。その両極端ですごく楽しませてもらいました。--Junさんはいかがでした?
Jun:「たかが10年の片想い」というキャッチコピーが物凄く心に残っていて、実際に映画を観てとてもノスタルジックな気持ちになって、すごく余韻に浸らせて頂きましたね。あと、ご実家のシーンで……全裸というか、山田裕貴さんの筋肉美が素晴らしくて。こちらもステージに立つ者としてトレーニング事情というか、筋肉事情について伺いたくて。 TSUBASA:筋肉事情(笑)。 山田裕貴:今回は逆にトレーニングしなかったんですよ。「こいつ、映画に出るから鍛えてるな」と思われるのがイヤだったんですよね。あと、高校生なりのリアルなほっそり感みたいな。だからあんまり鍛えないようにしました。浩介は独学で拳法をやっている子だったから、上手く鍛えられていない、そういうリアル感を求めていたので、逆に何もせずに体重だけ落とすようにしました。本当はもうちょっと落としたかったんですけどね。前の年にボクシングの映画をやっていて、プロのメニューをこなすガチなやつだったんで、それで筋肉を落としきれなかったんですよ。でも普通に日々を過ごしている子になりたかったので、変に鍛えていない、自然な感覚で見れる体を目指しました。--そして、先程「すっげぇピッタリ。俺、絶対にカラオケで歌う」と山田さんも絶賛されていた主題歌「言えなかったこと」なんですが、表現していく上で重要視したことなどありましたら聞かせて下さい。
Thinking Dogs 『言えなかったこと』×映画『あの頃、君を追いかけた』映画バージョン
--この曲自体がもうひとつの『あの頃、君を追いかけた』になっている感じがします。
山田裕貴:あ、そうですね! TSUBASA:映画の内容と歌詞の内容にリンクするところがたくさんあったので、だから「浩介の言葉として響かせる」というのがキーポイントになったんですよね。それのおかげでこの曲の世界にここまで入り込むことが出来たのかなと思います。あと、今回の歌詞を書いてくれた秋元康先生の言葉って共感できるポイントがすごく多くて、それって聴いている人ももちろんそうだと思いますし、歌詞を見たときの僕の印象もそうなんですよ。「この行は自分のあの経験といっしょだな」と思うところが多々あったりするんで、そういった面ではスッとこの世界観の中に入っていけた。Thinking Dogsライブ情報
『言えなかったこと』リリースイベント
09月29日 愛知・サンシャインサカエB1F グランドキャニオン広場
09月30日 東京・渋谷マルイ屋上イベントスペース
Eggs presents FM802 MINAMI WHEEL 2018 ~20th Anniversary~
10月07日 大阪・FootRock&BEERS
リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
「少しでも世界を変えられる人間になりたいなぁ」と思っていた
--今のTSUBASAさんの話は、脚本を渡されたときの俳優さんともシンクロする話だと思うのですが、いかがでしょう?
山田裕貴:僕もいちばん分かろうとしますね。その作品の中の人のことを。だからこそ普段から人の気持ちを考えることをやめないというか、それは友達もそうだし、関わる人すべてに対して。それが役を掘り下げることに繋がっていく。そこで自分の心が動いた瞬間を役に投影できるときがあるんですよ。「あ、こんなこと思ったことあるかも」みたいな感じで経験が重なっていくときがある。なので、日常を大切にしながら、本をもらったときに、今回であれば「自分が浩介だったら」と思いながら読んでいくというやり方かもしれない。--その上で、今回の浩介は自分を重ねやすかった?
山田裕貴:めちゃくちゃシンクロ率が高くて。自分の中で似たような思い出がいっぱいあったりとか「高校時代、実際にチャリ乗りながら好きな女の子の名前叫んでたなぁ」とか……一同:(笑)
山田裕貴:なんか似ているところがいっぱいあったんですよね。いちばんシンクロしていたというか、自分がやれると思えた決め手が「すごい人間になりたい」というセリフがあるんですけど、昔からめっちゃ思ってて! 別に「お金持ちになりたい」とか「モテたい」とかそんなんじゃなくて、今でも思っていることが「すごい人間になりたい」なんですよ。俺が何かすることで「少しでも世界を変えられる人間になりたいなぁ」と思っていたんですよね。それを浩介は台湾版でも言ってて「あ、俺、これを持っていたんだ!」と気付いて、なんとなく「僕はいちばん浩介が思っていることを思えるし、僕は浩介になれるんだな」とそのときに思えたんです。--「少しでも世界を変えられる人間になりたい」というのは、俳優として活動していく中で「観てくれた人の何かを変えられたら」という意味合いでもある?
山田裕貴:もちろんそれもあります。自分でも「綺麗事だな」とか「結局、自分は自分が見えている世界を変えることぐらいしか出来ないんじゃないか」とも思っちゃうんですけど、それがちょっとでも人に影響を与える……少しで良いんですよ。少しというのはすごく重要で、「観てちょっと元気になった」とか「観て感動した」とか「泣けた」とかそういうことで関わっていけたら……だからそんな大層なことを言うつもりはないんです。ただ単に僕といて「現場が楽しかった」と思ってくれることなのか、監督が「やってよかった」と思ってくれることなのか、その一言だけで良いというか。それがちょっとずつ「世界を変える」ことになればいいなと思って生きてます。--Thinking Dogsの皆さんも音楽活動をしていく中で、今の話とシンクロする想いは持っているんじゃないでしょうか。
大輝:そうですね。ライブをやって、それを観に来てくれるファンの方がいる中で、そのライブを観てくれた方が「あ、楽しかったなぁ。明日も学校頑張ろう。仕事頑張ろう」で良いんですよ。ほんのちょっと背中を押すことが出来るんだったらそれで本望というか、その為にこの活動をしていると言っても過言ではないです。バンドを始めた時って「目立ちたい」とか「モテたい」とか「お金持ちになりたい」と思っている人もいるかもしれないんですけど、やっていくうちに考えが変わっていくんですよね。やっぱりファンあってのバンドだし、その応援してくれる方たちの背中をちょっとでも押せるような存在になりたいなと思っています。--今、お互いにお話頂いた想いが『あの頃、君を追いかけた』を純度の高い映画にしているんだろうなと感じました。では、最後に、この映画をご覧に頂きたい皆さんへのメッセージをお願いします。
TSUBASA:映画もその主題歌も皆さんに共感して頂けるポイントが多いと思うので、自分の経験から「こんな片想いしたなぁ、こんな青春だったなぁ」とかそういうことを想いながら観て聴いてもらえたら嬉しいなと思います。 山田裕貴:人生経験を重ねた方こそグッと来るモノがあったり、あの頃を思い出す瞬間がいっぱいあったりして共感できると思いますし、まだ高校生に達していない、年齢をそこまで重ねていない子たちも「あ、こんなに素敵なことが待ってるのかな?」って。でも「言いたいことは言っておこう」みたいな。「言えなかったことにならないようにしよう」っていう風に思ってもらえれば、歌も救われるし、映画も救われるんじゃないかなと思います。Thinking Dogsライブ情報
『言えなかったこと』リリースイベント
09月29日 愛知・サンシャインサカエB1F グランドキャニオン広場
09月30日 東京・渋谷マルイ屋上イベントスペース
Eggs presents FM802 MINAMI WHEEL 2018 ~20th Anniversary~
10月07日 大阪・FootRock&BEERS
リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
関連商品