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FM COCOLO『J-POP レジェンドフォーラム』7月はサザンオールスターズを特集!3代目エンジニア今井邦彦をゲストに迎えた番組トークvol.3を公開



J-POP レジェンドフォーラム

FM COCOLOで毎週月曜日21:00~22:00に放送されている、音楽評論家「田家秀樹」が案内人を務める『J-POP レジェンドフォーラム』。伝説のアーティスト、伝説のアルバム、伝説のライブ、そして伝説のムーブメント、一組のアーティストを1ヶ月にわたって特集する番組で、2018年7月の特集はデビュー40周年を迎えたサザンオールスターズだ。歴代のレコーディング・エンジニアをゲストに迎え、これまでのオリジナル・アルバムを5週間に渡って辿っていく。第3回目の放送では、「真夏の果実」や「涙のキッス」など、8thアルバム『KAMAKURA』から11thアルバム『世に万葉の花が咲くなり』のレコーディングを担当した今井邦彦が登場。KUWATA BANDやソロデビューなど変化を遂げる桑田と、更なる音楽の追求を目指すサザンオールスターズとともに作り上げた作品について、当時の様子が振り返られた。

飽くなき追及をする人だなと思いました


▲サザンオールスターズ「壮年JUMP(Full ver.)」

――♪ 「壮年JUMP」

田家秀樹:今週は3代目のエンジニア、今井邦彦さんです。先週の話の中でアルバム『KAMAKURA』のアシスタントとしてお名前が出てきましたが、1986年のKUWATA BANDに始まって、1990年の『SOUTHERN ALL STARS』、1990年の『稲村ジェーン』、1992年の『世に万葉の花が咲くなり』を担当されました。その間には桑田さんや原(由子)さんのソロアルバムもありましたね。どんな時期だったのでしょうか?

今井邦彦:この時代はちょうどレコーディング技術が変化し、それとともにレコーディング手法の一番の変化期でもありました。アナログからデジタルに変わったのが『KAMAKURA』の頃で、さらにデジタルレコーディングやProtools(パソコンのレコーディングソフト)へと移行していくような時代でしたね。

田家:そんな今井さんが、どんなレコーディングをされていたのか掘り下げていきたいと思います。ではまず今井さんが担当されたアルバムの中で一番忘れられない曲をお聴きください。

――♪「女神達への情歌 (報道されないY型の彼方へ)」

田家:1989年4月に発売されたシングルで、1990年1月に発売されたアルバム『SOUTHERN ALL STARS』に収録されていますが、なぜ一番忘れられない曲なんですか?

今井:初めて桑田さんから「最高だね」って言われたのが、この曲だったんです。夜中に電話がかかってきて、「最高だよ、これ!」って言われて。感動しましたね。でも、ミックスが終わって2チャンネルのマスター音源が出来ているのに、その1~2日後に「(ミックス音源を)ダビングしたい」って言われて。「最高って言ったのに、まだやるの?」って思いました(笑)。自分としては、「やった! 素晴らしいのが出来たんだな」って思ってたんですけど、まだその先があって、飽くなき追及をする人だなと思いました。

田家:その「最高だね」までにも、色んな試行錯誤を経ておられたのでしょうか。

今井:大変でしたね。この曲はコーラスも複雑なんですが、それを桑田さんが一人でやられてたので、トラックもいっぱい必要で。毎回別のマルチで録って、まとめて、マスターに戻す作業を日々、行ったり来たり。まだProtoolsがない時代ですから作業がとても大変で、今も覚えています。

田家:一回「最高だね」って言われたのに、まだその先があったのですね。先週も先々週もゲストの皆さんがおっしゃるのは、“飽くなき追及”です。

――♪「スキップ・ビート (SKIPPED BEAT)」

田家:流れているのは、KUWATA BANDの2枚目のシングル「スキップ・ビート」です。今井さんがメイン・エンジニアになったのは、KUWATA BANDからなんですよね?

今井:そうです。サザンはいつも締め切りギリギリでレコーディングしていて『KAMAKURA』の最後は、2階のスタジオで歌って、4階でミックスをするという毎日でした。なので、毎朝、桑田さんが来て、詞を書いて、数時間後に完成して、歌っていて。僕はアシスタントから半分昇格するような感じで、歌を担当することになりました。その後、『KAMAKURA』が終了して、「次、どうする?」ってなった時に、KUWATA BANDはサザンとは違うものだから、「若いやつらでやってみよう」って思ってもらえたのか、僕が担当することになりました。

田家:この後、KUWATA BANDや『SOUTHERN ALL STARS』でもそうですが、ずっと共同で作業されていますよね。

今井:桑田さん、藤井(丈司)さん、小林(武史)さんという3人を中心に、技術面を僕が担っていましたね。

田家:そういう時期を経て、デビュー10周年の1988年6月25日に発売されたのが、このシングルです。サザンオールスターズで「みんなのうた」。

――♪「みんなのうた」

田家:僕らにとっては、この曲は、3年の空白があってのサザンオールスターズという感じがしますが、今井さんはその3年間、ずっと一緒にいらっしゃったんですよね?

今井:はい、ほぼ一緒でした。そして、この曲で初めて小林さんがアレンジサポートという形で、サザンに参加されました。

田家:編曲 小林武史&サザンオールスターズですね。

今井:よく出来ているというか、いい曲ですよね。サザンらしい魅力があって。久しぶりにやるみんなの気概もあったんでしょうね。

田家:桑田さんの中で、サザンとはどういうものなのかというのが、この時にはっきり見えたんだろうなと思いましたね。いまだにこの「みんなのうた」というスタンスは続いていますもんね。

今井:最初このタイトルを聴いた時はびっくりしましたけどね(笑)。

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