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Billboard JAPAN 上半期 HOT100 首位記念インタビュー 米津玄師「たくさんの人に届くものになるように、と願いながら作った」
Billboard JAPAN 総合チャート【HOT100】の2018年上半期は、米津玄師「Lemon」が首位を獲得した。半年間にわたりヒットし続けた「Lemon」への思いや、チャートの存在、そしてヒットについてどう捉えているのか、米津玄師に首位記念インタビューを行った。
Billboard JAPAN 2018上半期チャート集計期間:2017年11月27日(月)~2018年5月27日(日)
―2018年上半期チャートで「Lemon」が首位を獲得しました。おめでとうございます。
米津玄師:たくさんの人に届くものになるように、と願いながら作ったので、それが叶うところまで来たのかと感無量です。ありがたさでいっぱいです。
――昨年から今年にかけてはアルバム『BOOTLEG』がリリース以降28週連続チャートイン、DAOKO×米津玄師「打上花火」も2017年8月以降40週連続チャートインするなど、大きくチャートを賑わせた上半期となりました。ご自身の楽曲が世の中に浸透してきているという実感はありますか。実感された瞬間があれば、いつでしょうか。
米津玄師:あまり繁華街を歩くことがないので、街中でどういう流れ方をしているのかはわかりません。YouTubeの再生回数が一番実感するところかもしれません。
――「Lemon」はリリース前のドラマ主題歌決定の段階でTwitterで話題となり、現在もダウンロード、YouTubeを中心に高いポイントを獲得し続けています。楽曲を伝える上で、ミュージックビデオの役割は何だと思われますか。
米津玄師:楽曲を補完してくれる重要なものだと思います。音だけでは伝わりきらない部分を補ってくれたり、新たな一面を担ってくれるものとしてなくてはならないものだと思います。
▲米津玄師 MV「Lemon」
――Billboard JAPANでは、楽曲の浸透度を正確に測るため、シングルのセールス枚数、ダウンロード数、ストリーミング数、ツイート数(楽曲とアーティスト名を両方ツイートした数)、ルックアップ数(PCへCDを読み込んだ回数)、YouTubeの再生数、GYAO!の再生数を合算したチャートを制作しています。日頃、どのように音楽を聴くことが多いですか。
米津玄師:最近はYouTubeで映像を見ながら音楽を聴くことが多いです。街中を歩いたりしながら音楽を聴くことがほとんどなくなりました。
――最近、よく聴いてらっしゃる音楽はなんですか。
米津玄師:最近はダーティー・プロジェクターズの「Break-Thru」が好きです。チャイルディッシュ・ガンビーノの「This Is America」はすごいと思いました。ドレイクの「Nice For What」も好きです。
――日頃、ヒットチャートはご覧になりますか。
米津玄師:普通に生きてるとその情報が耳に入ってくる環境にいるので、嫌でも目にします(ネガティブな意味ではありません)。そういうものに疲れた時は意識的に距離を取るようにします。
――Billboard JAPANの複数のデータを合算した複合チャートについて、どう思われますか。
米津玄師:視点が多角的になるのはとてもよいことだと思います。自身の活動を踏まえた上でも、CDをどう売るか?という指針から少しずつ変化していってほしいです。
――チャートは世の中に必要だと思いますか。
米津玄師:それが全てになってしまうとつまらない世の中になってしまうと思いますが、チャートのようなわかりやすいものは必要だと思います。それが大きく音楽に潜り込んでいくきっかけになると考えています。
――楽曲を制作する際、その曲がヒットするかどうか意識されますか。
米津玄師:メジャーレコード会社や事務所に所属して活動している以上、ヒットするかどうかという視点を無視して音楽を作るのは浅はかだと思います。リリースの時々によって程度は違えど、根底にはいつもその考えがあります。僕はそもそもポップソングが好きで、そのためにいろんなスタッフと共に音楽を作り、届けるところまで道を作っていくことが自分の音楽活動だと思っています。
――ヒットするとは、どういうことだと思われますか。
米津玄師:時代の空気やタイミングと上手く合致したときに生まれる現象だと思います。Lemonはヒットしましたが、これもいろんな要因が重なったたまたまという感覚が、リリース以降日に日に増していっています。
――これから、どんな人たちに音楽を届けていきたいですか。
米津玄師:今まで通り自分の音楽を好きでいてくれている人にはもちろん、まだ出会っていない人たちに向けても目を向けていきたいと思っています。開かれた音楽を作っていきたいです。
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