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演奏曲一挙公開!結成10周年、矢野顕子トリオを徹底解剖<NYよりビデオコメントあり>
日本を代表するシンガーソングライター&ピアニスト矢野顕子と一流ベーシスト、ウィル・リー、凄腕ドラマー、クリス・パーカーの3人=[矢野顕子トリオ]が2018年で結成10周年を迎える。彼女らは、矢野の70年代からの親しいニューヨーカーフレンズだ。3人のシンパシーは底知れない絆で結ばれており、パフォーマンス、グルーヴは毎年どんどん厚みを増して登場してくれる。そんな最強トリオが過去に演奏してきた楽曲をまとめた。
10年を振り返ると、Billboard JAPANでは2013年に矢野本人へトリオについてのインタビューも遂行しており、こちらも是非一読いただきたい。矢野顕子トリオ インタビュー
AKIKO YANO TRIO 演奏曲索引 | |||||
1, 2, 3 / Will Lee | 2013 | - | - | - | - |
愛があれば?[LOVE CAN'T BE BLIND] | 2011 | - | - | - | - |
Ain't No Mountain High Enough / マーヴィン・ゲイ & タミー・テレル | 2013 | - | - | - | - |
All the Bones are White | 2010 | 2011 | 2012 | 2014 | 2017 |
あたまがわるい | 2015 |
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Bakabon | 2009 |
2013 | - | - | - |
Bamboo Music / デイヴィッド・シルヴィアン & 坂本龍一 | 2015 |
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A Beautiful Morning / ラスカルズ | 2010 | - | - | - | - |
Children in the Summer | 2015 |
2016 | - | - | - |
てぃんさぐぬ花 | 2010 | 2012 | 2017 | - | - |
David | 2010 | 2015 |
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Don't be Literary | 2010 | - | - | - | - |
Dreaming Girl | 2012 | - | - | - | - |
Evacuation Plan | 2009 |
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Full Moon Tommorow(〜多摩蘭坂) / (RCサクセション) | 2012 | - | - | - | - |
Gasoline And Matches / バディ&ジュリー・ミラー | 2011 | 2012 | 2015 |
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Georgy Porgy / TOTO | 2016 | - | - | - | - |
ごはんができたよ | 2009 |
2013 | - | - | - |
ごはんとおかず | 2014 | - | - | - | - |
ゴジラ vs モスラ /(サウンド・トラック) | 2016 | 2017 | - | - | - |
Happiness | 2011 | - | - | - | - |
ひとつだけ | 2016 | 2017 | - | - | - |
I've been lonley too long〜あたしンち / ヤング・ラスカルズ | 2009 |
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家路 | 2011 | 2012 | - | - | - |
いいこ いいこ | 2009 |
2011 | 2012 | - | - |
Isetan-Tan | 2010 | - | - | - | - |
ISETAN-TAN TAN | 2014 | - | - | - | - |
自転車でおいで | 2016 | - | - | - | - |
Just the Two of Us / グローバー・ワシントンJr feat.ビル・ウィザース | 2010 | 2011 | - | - | - |
変わるし | 2009 |
2010 | 2011 | 2013 | - |
こんなところにいてはいけない | 2011 | 2012 | - | - | - |
クマ | 2009 |
2015 |
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京都慕情 / 渚ゆう子 | 2010 | - | - | - | - |
The Letter(あの娘のレター) / ボックス・トップス ジョー・コッカー | 2009 |
2010 | - | - | - |
Long Distance Love / リトル・フィート | 2014 | - | - | - | - |
学べよ | 2013 | - | - | - | - |
湖のふもとでねこと暮らしている | 2011 | - | - | - | - |
Never Give Up on You | 2014 | - | - | - | - |
Never My Love / アソシエイション | 2009 |
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People Got To Be Free / ラスカルズ | 2009 |
2010 | 2012 | - | - |
ポケットいっぱいの秘密 / アグネス・チャン | 2012 | - | - | - | - |
Prayer | 2012 | - | - | - | - |
Reach Out | 2012 | - | - | - | - |
ラーメンたべたい | 2014 | 2016 | 2017 | - | - |
リラックマのわたし | 2013 | - | - | - | - |
Rockin' Pneumonia and the Boogie Woogie Flu〜Fire Cracker / ヒューイ・スミス〜マーティン・デニー | 2016 | - | - | - | - |
Rose Garden | 2009 |
2010 | 2012 | 2017 | - |
Rubberband Man / スピナーズ | 2011 | - | - | - | - |
SHENANDOAH〜てぃんさぐぬ花 / (P.D.) | 2016 | - | - | - | - |
Soft Landing | 2017 | - | - | - | - |
Someday We'll All Be Free / ダニー・ハザウェイ | 2017 | - | - | - | - |
そりゃムリだ | 2016 | - | - | - | - |
Spring Spring Spring / From "Seven Brides for Seven Brothers" | 2012 | - | - | - | - |
Time / ジョナサ・ブルック | 2015 |
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飛ばしていくよ | 2014 | 2015 | 2016 | - | - |
海のものでも、山のものでも | 2013 | - | - | - | - |
Welcome to Jupiter | 2017 | - | - | - | - |
Whole Lotta Love / レッド・ツェッペリン | 2017 | - | - | - | - |
With You In Mind / アラン・トゥーサン | 2013 | - | - | - | - |
やめるわけにゃいかないわ | 2015 |
2016 | - | - | - |
Yes, Yes, Yes / オフコース | 2014 | 2015 | - | - | - |
You Really Got Me / キンクス | 2010 | 2011 | - | - | - |
在広東少年 | 2013 | 2014 | 2016 | - | - |
※ソロは除く
矢野自身の楽曲が中心ではあるが、ステージで披露されるのは、完全にトリオ色へと変貌していた。さらにウィル・リーが2013年にリリースしたソロアルバム『Love, Gratitude and Other Distractions』から「1, 2, 3」では矢野がヴォーカルを務め、ライブに留まらずリリースに至った。当時このアルバムは店頭販売で完売になるなど、トリオファンの多さが示された。
演奏曲の中には、カヴァー曲も多く、レッド・ツェッペリン「Whole Lotta Love」やラスカルズ「People Got to be Free」、アラン・トゥーサン「With You in Mind」など成熟世代の心に響くカバー曲にも注目してほしい。
実力と豊富なレパートリーを兼ね備えた“スーパー・トリオ”を徹底解剖
一昨年の2016年にはデビュー40周年を迎え、代表曲の数々を3CDにわたって収録したオールタイム・ベスト・アルバム『矢野山脈』も大きな話題を集めた矢野顕子。ジャズからフォークやミニマル音楽に至るまで、あらゆる音楽的語法を縦横無尽に駆け抜けるピアノと、童謡のような親しみやすさとすべてを大きく包み込むような母性、鋭い言語感覚がクロスする天衣無縫な歌声で、いつの時代にもエバーグリーンな輝きを放つ名曲を世に送り出してきた彼女だが、その歩みは常にジャンルや洋楽/邦楽の壁をしなやかに超越したもの。今回はウィル・リー(b)、クリス・パーカー(ds)との矢野顕子トリオが今年で結成10周年を迎えたのを機に、改めてそのグレイトな足跡を振り返ってみよう。
当時のアナログ盤ではA面を米国のリトル・フィート、B面をティン・パン・アレーやムーンライダーズの面々がバックを務めた1976年発表のデビュー作『Japanese Girl』から、才人ぞろいの“矢野人脈”は国境を越えたものだった。2作目の『いろはにこんぺいとう』(77年)から長年の共演者となるウィル・リーがベースで参加するようになり、その後のテクノ・ポップ色を強めた時期には坂本龍一を含むYMOの面々やデヴィッド・シルヴィアン、ジャズ回帰色を強めた『峠のわが家』(86年)ではのちに矢野顕子グループ(1996~2007年)の一員ともなるアンソニー・ジャクソン(b)や超絶ドラマーのスティーヴ・ガッド、育児休暇を経ての『Welcome Back』(89年)にもパット・メセニー(g)やチャーリー・ヘイデン(b)らが参加。70年代米国ロックの代表格、ジャズ~フュージョン界の世界的なトップ・プレイヤーを迎えながらも、単なるその模倣ではないオリジナリティに溢れた日本ならではのポップスを奏でてきた彼女の楽曲は、時を経た今もなお斬新に響く。
そんな真の意味でボーダーレスなスタンスの一方で、常に時代の流れを変える才気に溢れた日本の音楽家たちと共演や交友関係を持ってきたことも、彼女の音楽的なアンテナの鋭さを証明している。先に挙げた面々はもちろんのこと、90年代以降も『Love Life』(91年)で「釣りに行こう」を取り上げたのを契機に数多くの楽曲をカバーで取り上げてきたザ・ブームの宮沢和史をはじめ、奥田民生、高野寛、槇原敬之、『ホントのきもち』(04年)で多くの曲を共作したくるりの岸田繁やyamokami名義でのアルバムも発表したレイ・ハラカミに、デュオとしてのライブも行うピアニストの上原ひろみ、『矢野山脈』に収録された「春咲小紅」の新バージョンでトラックメイカーに起用したSeihoに至るまで。ロックやポップスからジャズ、エレクトロニカに至るまでと、こちらもジャンルは様々ながら、デビュー前から交流のあった日本のロック/ポップスの先駆者たちの遺伝子を継承・発展させる才人たちと、常にコネクションを築き続けてきた。矢野顕子と関わった歴代ミュージシャンを時系列的に並べていけば、70年代以降の日本の最良の音楽家リストが完成すると言ってもいいかもしれない。
そんな洋楽目線でも邦楽目線でも興味が尽きないキャリアを誇る彼女が2009年から率いる矢野顕子トリオは、どちらの音楽ファンをも分け隔てなく満足させる実力と豊富なレパートリーを兼ね備えた“スーパー・トリオ”といえるだろう。今回の結成10周年ツアーを前に公開された過去の演奏曲目リスト(※リンク参照)を見てみても、改めてその幅広さとユニークさに驚かされる。新旧の代表曲が含まれた矢野のオリジナル曲だけでも相当な振れ幅の広さだが、そこにデビュー作で共演した原点ともいえるリトル・フィート「Long Distance Love」や、AOR系サウンドの大定番であるTOTO「Georgy Porgy」にグローバー・ワシントンJr. Feat. ビル・ウィザース「Just The Two Of Us」、ダニー・ハザウェイやマーヴィン・ゲイといった70年代ニューソウルの偉人たち、ピアノ・トリオで取り上げてしまうのが大胆なレッド・ツェッぺリン「Whole Lotta Love」やキンクス「You Really Got Me」といったロック・クラシックスに、初期のYMOでお馴染みなマーティン・デニー、沖縄民謡の「てぃんさぐぬ花」、果ては映画『ゴジラvsモスラ』のサントラ曲まで。邦楽でも、デビュー前にセッション・ミュージシャンとしてバックを務めながら楽曲提供もしたアグネス・チャンやオフコース、忌野清志郎が在籍したRCサクセションの楽曲などが過去に取り上げられ、毎回何が飛び出してくるか予測が付かないが、どこかしら彼女の音楽との繋がりを感じさせる唯一無二なプレイリストとなっている。
70年代からブレッカー・ブラザーズ、スティーリー・ダン、リンゴ・スターらの大物のツアーや録音で活躍しながら、数多くの矢野作品に参加してきたウィル・リーと、こちらも70年代フュージョンの代表格グループであるスタッフにも在籍しながら名セッション・ドラマーとして数多くの録音に参加し、矢野とも『Love Life』発表後のツアーから共演を重ねてきたドラムのクリス・パーカーは、実力/キャリアともに世界屈指のリズム・セクション。トリオという最もミニマムなバンド編成ゆえに、三者が持つプレイヤーとしてのポテンシャルが最大限に発揮される点も大きな見どころだろう。日本のロック~ポップスも以前と比べて飛躍的に多様化し、ジャズも様々なジャンルと融合してより自由な世界を示すものが増えてきている今、矢野顕子トリオが繰り広げる奔放にして確かなテクニックに裏打ちされた音世界は、あらゆるリスナーにとって改めてフレッシュなものとして響くに違いない。(文/吉本秀純)
公演情報
矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー&クリス・パーカー
ビルボードライブ大阪:2018/8/21(火)、22(水)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
MEMBERS
矢野 顕子(Vocals, Piano)
Will Lee(Bass)
Chris Parker(Drums)
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