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androp『cocoon』インタビュー



インタビュー

 2018年3月7日、andropが約3年ぶりとなるオリジナル・アルバムをリリースする。

 “cocoon(繭)”と名付けられたこの新作は、彼らがユニバーサルミュージックからリリースした第一弾作品「Prism」で幕を開け、刺激的なエレクトロ・ロック「Joker」、ユーフォニアムやバンジョーといった新アイテムを取り入れた「Sleepwalker」「Kitakaze san」、androp×Creepy Nutsの衝撃コラボによる「SOS! feat. Creepy Nuts」などを経て、内澤崇仁がandrop結成以前より構想していたという壮大なアンセム・ナンバー「Memento mori with Aimer」で締めくくられる。また、通常盤のボーナス・トラックには、昨年9月に発表された配信シングル「Tokei」の“album ver.”も収録。

 今回のインタビューで語られたのは、「andropという造語に色をつけることができた」と語る彼らが新作に込めた想いや実験的要素、切迫した状況の中で進められた制作過程、さらには4月よりスタートするホール・ツアーとの関係性など。ぜひともご一読いただきたい。andropの総力が発揮されたと言っても過言ではない昨年の日比谷野外音楽堂ワンマン以降、彼らの音楽やライブとの向き合い方に見られる変化が浮かび上がってくるはずだ。

体力的にも精神的にも追い込まれている状況ではありました

――1stアルバム『anew』から3rdフルアルバム『period』までのアルバム・タイトルの頭文字を並べると“androp”となるわけですが、前作アルバムが『blue』、そして今作が『cocoon』ということで、これにも何かしらの法則性があるのでしょうか?

内澤崇仁:いや、特に意識はしてないですね。

――そもそも、その頭文字の法則性の意図は?

内澤:andropって造語なんですけど、意味のないものに自分たちの音楽活動で意味をつけていきたいという想いから、そういったタイトルのつけ方をしてました。2015年に『androp』というセルフ・タイトルのフルアルバムを出したんですけど、そこからはタイトルに縛りは設けず、自由に、そのアルバムに一番相応しいものをつけようと。

――つまりandropというバンドを確立できたな、という自信が生まれた?

内澤:そうですね。andropという造語に色をつけることができたと思うし、土台を作ることができた気がしているので、そこからはその土台の上に積み上げていくものを作っていこうという想いはあります。

――『cocoon』は直訳すると“繭”ですが…。

内澤:繭ってカイコが糸を出して作っていくものじゃないですか。カイコが細い糸を紡いで一つの繭になるように、自分たちも一音一音を紡いでいって曲を作って、その曲たちが集まってアルバムになったっていう感覚なので、それが繭に似ているなと。さらには、曲がその繭を破って聴き手に羽ばたいていけばいいなっていう想いもあったり。『cocoon』以外にも候補はあったんですけど。

佐藤拓也:候補は色々あったよね。

内澤:30~40個あったよね。

――普段からタイトルはアルバムが完成した後につけます?

佐藤:最後の最後ですね。収録曲とそのタイトルも出揃ってから。

――そんな繭を構成する糸、つまり収録曲が今回は特に多彩な印象を受けました。中でもコラボ・ソングは目を引きますが、ゲスト・アーティストを迎えての制作を考え出したのはいつ頃からでしょうか?

内澤:「SOS! feat. Creepy Nuts」でコラボしたCreepy Nutsの名前は前作『blue』の頃から挙がってましたね。

佐藤:あの曲をリリースする2年くらい前からですかね。コラボを考え始めたのは。



▲androp -「SOS! feat. Creepy Nuts」Music Video


――今作の制作期間はどのくらいでしたか?

佐藤:制作期間の頭をどことするかが難しいんですけど、曲自体は2017年頭からずっと溜めてはいましたね。でも、いざどの曲をレコーディングするかを決めたのは2017年の年末、野音が終わった後くらいからゆっくりと。

前田恭介:シングル曲以外の録りは12月からだよね。

――少し話にも出ましたが、日比谷野音でのライブは照明を中心に実験的な試みが多く、これは偶然的な要素でしたけど、雨っていう特殊な環境のもと行われました。あの公演以降、バンド内での変化を感じる部分があれば教えてください。

佐藤:野音って椅子がある、パーソナル・スペースがあるライブ会場で、セットリストを組む時も、ここのセクションは座って聴いてもらおうっていうところを作ったんですよね。まぁ結局雨が降ったんで座るのが難しかったんですけど、ライブハウスではない場所だからこそのライブの作り方を意識してました。今年はホール・ツアーが決まってるんですけど、そういった場所を意識した選曲になると思います。それは野音からの流れもあって。

――今作の曲もホールで鳴らすことを意識している?

佐藤:そうですね。

――制作過程で特に苦労した部分はありますか?

内澤:アルバム完成直前にメンバー全員体調を崩すとか。あ、全員ではないか。佐藤くん以外だね。風邪やらインフルエンザやらで。体力的にギリギリな状態で少しずつ作っていった感じです。僕はビルボードライブ公演をやってる途中に声が出なくなって、その状態のまま制作を続けるっていう時があったりしましたね。デモの段階で歌えなかったり、ギリギリの状態でレコーディングしたり、スタジオで朝まで歌詞を書いて、そのままレコーディングして、終わったらまた歌詞を書いて、みたいな体力的にも精神的にも追い込まれている状況ではありました。

――楽器のレコーディングで手応えを感じた部分などは?

佐藤:12曲目の「Memento mori with Aimer」という曲は一番時間もかけたし、実験的な要素も非常に詰まってますね。内澤くんがandropを結成する前から構想していた、想いの強い楽曲なので、そこに下手なものはできないなっていう。

――ゲスト・ヴォーカルにAimerさんが迎えられていますが、これまで内澤さんは彼女に2曲の楽曲提供を行っていますね。この「Memento mori with Aimer」は、その2曲に続く曲なのか、それとも「Memento mori」という曲を歌うならAimerさんだという後乗せのような形なのか、どちらでしょう?

内澤:あぁー、半分半分というか…。andropを結成する前からずっと完成させたかった曲だけど、Aimerさんだからこの歌詞、この曲になったとも思うし、その両方ですね。

――「カタオモイ」「twoface」とはまたタイプの違った曲ですね。

内澤:そうですね。でも、Aimerさんだったらこの歌詞がいいなって思いながら作っていったので、僕の中では繋がってる部分はありますね。

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