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西野カナ 『Love Place』インタビュー

西野カナ 『Love Place』 インタビュー

西野カナの新作は、耳で楽しめる曲がいっぱい!

正しい発声法などに捕われすぎない
言葉がはっきり聴こえるような滑舌に気をつける
今回の並びは耳が決め手になっている

これらは全て、今回の取材で西野カナの口から発せられた言葉だ。年頃の女の子の代弁者とされることの多い彼女だが、何より秀でている歌の巧さ。普遍的でしなやかな歌唱力については、これまでどれだけ語られてきたのか。

加えて美麗な容姿や人懐っこいキャラまで合わせ持つ彼女ほど、パフォーマーとしての才を兼ね揃えたシンガーはなかなかいない。……という訳で今回は、ニューアルバム『Love Place』をリリースした彼女に、歌い手としての意識や想いを改めて訊いた。

耳だけでちゃんと伝わるように

インタビュー写真
▲MV「たとえ どんなに…」

--今年の1月に台湾の紅白歌合戦といわれる『超級巨星紅白芸能大賞』へ出演しました。言語の通じない国の象徴的な舞台に選ばれることは、シンガーとしての資質や単純な歌の巧さが問われた所も大きいと思うのですが。

西野カナ:最初は本当に想像がつかなかったし、日本語の歌だからすぐには分かってもらえないだろうと思ってました。以前に台湾盤のタイトルとして自分の曲が全部漢字になっているのを見たことがあるんですけど、やっぱり細かい所までバッチリ通じていることはないというか。だからこそ歌詞以上に歌声が注目されるだろうなとは思っていました。

--西野さんは、しゃくりや特徴的な節回しを多用しない非常にスタンダードな歌い方をしますよね。変に巧っぽく歌わないというか。

西野カナ:自分の選んだ楽曲を自分で作詞していくと、自然とそういう風になっていくんです。逆に、他の人の曲をカラオケとかで歌うと、その人の癖を受け継いで歌ってることもあると思うし。

--自分の歌になると違う?

西野カナ:自分で歌詞を書いていると言葉の響き方や詰め方、譜割も決められるし、何ならリズムやメロディを変えることもできますよね。そういう意味では、歌いにくくないから巧っぽく歌う必要もないというか、そこも自分で操作しているのかなって思います。

--でも世間的には巧っぽく歌う方が主流ですよね。

西野カナ:日本語は響きが硬いからメロディに乗せにくい場合があって、抜けが悪い所には英語を使ったりもします。でも、これだけ歌詞に注目してもらえるんだったら、ちゃんと日本語で意味のあることを書きたい。それが一番大事なことですから、言葉がはっきり聴こえるような滑舌(かつぜつ)は凄く気をつけてレコーディングしています。……元々、あんまり滑舌がよくないんですよ(笑)。

--いやいやいや(笑)。

西野カナ:実際に良く言われるので、聴き取り難いかどうかは気にしますよ。歌詞カードを読みながら聴いてくれる人ばっかりじゃないから、耳だけでちゃんと伝わるように。よりカチッと聴こえるように録ってますね。

今回のアルバムは年齢層がバラバラ

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▲MV「GO FOR IT !!」

--西野さんのライブは知らない曲でも歌詞が聴き取りやすいし、脳での咀嚼を必要とせずに心まで伝わってきます。かつては民謡なども習っていたそうですが、そうした経験は影響していますか?

西野カナ:逆に、民謡からは“発声法などに捕われすぎない”っていう考え方を学んだ気がしています。ボイトレには正しい発声法や歌唱法がいっぱいあると思うんですけど、あんまりそういうこだわりに捕われすぎない。“民謡の発声法はあるけど私が好きなのは歌謡曲だし……”みたいにラフな考え方ができるようになりました。

--となると、滑舌などの意識はデビューしてから?

西野カナ:そうですね。私は洋楽が好きだし、日本語でも英語に聴こえるような歌詞が好きだったりして、趣味としてはあんまり意味を考えずに歌うことが多かったんです。でも、デビューするタイミングでレコーディングした自分の声を聴いてみた時、歌詞が全然聴こえてこないというか、これじゃ勿体無いですよね。初めて聴いた人にも“この曲は好きかも”って思ってもらいたい。ライブに来てくれるのは歌詞を覚えてきてくれる人だけではないですからね。

--最初のブレイクポイントを迎えた当初、西野さんは“着うた系シンガー”というカテゴライズに組されていました。

西野カナ:そうですね。

--やがてブームは翳っていきますが、それでも西野さんは大きな変化ではなく、シンガーとしての成長を実直に求め続けてきたように見えました。

西野カナ:私も年を重ねていくから成長とか感性とか価値観が変わっていくと思うんですよ。ただ、今は年齢的にちょうど子供と大人の間ぐらいで、10代の人の気持ちが分かるし、大人が言っていることも理解できる。そういう狭間にいるからこそ色んな気持ちで書けますよね。だから今回のアルバムとかは年齢層がバラバラで、色んな自分になりながら書けたと思っています。

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西野カナ「Love Place」

Love Place

2012/09/05 RELEASE
SECL-1178/9 ¥ 3,666(税込)

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Disc01
  1. 01.*Prologue* ~Welcome~
  2. 02.私たち
  3. 03.Day 7
  4. 04.GO FOR IT !!
  5. 05.Be Strong
  6. 06.Happy Half Year!
  7. 07.Love Song
  8. 08.FANTASY
  9. 09.Is this love?
  10. 10.Honey
  11. 11.SAKURA, I love you?
  12. 12.たとえ どんなに…
  13. 13.kiss & hug
  14. 14.My Place
  15. 15.*Epilogue* ~Love Place~

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