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凛として時雨『#5』インタビュー
2018年2月14日、凛として時雨がニューアルバム『#5』をリリースした。前作『i'mperfect』から約5年ぶりとなる今作には、ラストを飾る表題曲「#5」をはじめ、テレビ東京系ドラマ24『下北沢ダイハード』のオープニングテーマに起用されたシングル曲「DIE meets HARD」、先駆けてミュージックビデオが公開された「Chocolate Passion」など計10曲が収録される。
デモ盤を『#1』『#2』『#3』と続け、2005年11月に鮮烈なインディーズ1stアルバム『#4』を世に放ってから約12年。いまバンドは再び「#」を冠したわけだが、単純な原点回帰というわけではなく、TK(vo,g)、345(b)、ピエール中野(dr)という3人だからこそ奏でられるバンドサウンドと、近年の幻想的な面がバランスよく織り交ぜられた作品に仕上がった。
今回のインタビューでは、ここ5年間のバンド活動や、すべての作詞・作曲・ミックスを手がけるTKの精神面にも触れつつ、結成15周年を経て人々に届けられた『#5』の内部に迫った。
5年ぶりっていうのを聞いて、そうなんだって
--去年12月30日に【COUNTDOWN JAPAN 17/18】のEARTH STAGEに出演されました。8年ぶりということもあって、Twitterでトレンド入りするなど話題になってましたけど、久しぶりのライブはいかがでしたか?
TK:あんまりフェスには出ないので、懐かしい感覚はありました。 ピエール中野:でもいつも通りでしたね。あんなに人が来てくれたことには驚きましたけど。一番大きなステージだったし、久しぶりの出演だったんで。ただステージに立ったらめちゃくちゃ人がいて、こんなに待っててくれてたんだと思ってすごい嬉しかったです。ちなみに僕、カウントダウンには出演で3日間も通ってたんですよ。 345:運営の人みたい(笑)。3日間はすごいね。--中野さんは31日にDJもやられましたね。最後に「Chocolate Passion」を流されたとか。新曲をバンドでやらずにDJでやるってサディスティックだなと思うんですけど。
ピエール中野:サービスのつもりだったんですけどね(笑)。前にもロッキンのDJで新曲解禁みたいなことをして、あとは自分のイベントでもやったり。DJで新曲をかけるっていうことはわりとします。今回は「Chocolate Passion」をかけて、そのまま袖にはけたので反応はわからなかったんですけど、SNS上で盛り上がってたのでよかったです。--ちなみに『#5』のリリース日はバレンタインデーですが、「Chocolate Passion」というタイトルは……?
TK:偶然なのでびっくりしました。あとから知って。 ピエール中野:いや、わかってやってるでしょ!--フルアルバムは5年ぶりですし、ファンの方にとっては思い出深いバレンタインデーになると思います。もともとリリースペースが早いバンドではないですが、ここまで長い期間は日本では珍しいですよね。
TK:あくまで結果的にですけどね。そのあいだに『Best of Tornado』というベストアルバムとか、シングルもミニアルバムもリリースしていたので。たまたまフルアルバムっていうプロダクトが5年空いちゃったという感じです。いつもは2年半くらいのタームになることが多いんですけど。 345:私もフルアルバムが5年ぶりっていうのを聞いて、そうなんだって思ったくらいで。びっくりしたよね。 ピエール中野:うん。特に意識はしてなかったので。マインドの部分は意外とちゃんと音に影響する
--制作はいつごろから始めたんですか?
TK:僕は2016年から制作していて、それを二人に渡し始めたのが2017年の頭くらい。ニューヨークでマスタリングしたのが11月末ですね。--TKさんは海外にはよく行かれてる印象がありますが、向こうで音を形にすることも増えていますよね。ベストアルバムのマスタリングはロンドンでしたし、バンドとしてもミニアルバム『es or s』はベルリンでレコーディングされてました。
TK:昔、一人でベルリンに行ってソロの「tokio」っていうピアノの曲を作って録ってきたんですけど、その録音データを日本で聴いたときに、空気感ってちゃんと音に入るんだって初めて感じて。だからベルリンにはバンドでも行きたいなとはずっと思ってたんです。--それが『es or s』で実現したわけですね。
TK:町並みを楽しめるのはスタジオとホテルの行き帰りくらいなんですけど(笑)、それだけでも音に向かう自分たちの意識っていうのは違いますし、鳴る音もぜんぜん違うんですよ。もちろんスタジオ自体が違うので、当たり前は当たり前なんですけど、この音好きだなっていう音が鳴ってくれる。特にベースとドラムに関しては、日本では出ない野太さだったりが出てくれたんで、全体の音像も変わっていく感じがありました。例えばドラムブースもすごい狭いところなんですけど、破裂するように響きながらも、ぜんぜん耳に痛くない音だったり。出てくる音が違うと演奏も自然と変わってくるんです。 ピエール中野:楽器のレンタル会社のメンテナンスも完璧だったんですよ。有名な会社らしいんですけど、手入れがちゃんとしてたから、叩いた瞬間にぜんぜん違う感覚がありましたね。 TK:つまり単純に海外がいいっていうか、そこのスタジオに自分たちが合ってたっていうのが正しいかもしれないし、ミックスする音が変わってくるのも、細かいところだと電圧とかいろいろ要因はあるんですよね。でも自分たちがそこの音とか景色に向き合うことによって、図らずとも意識に変化があるっていうのが一番大きいのかな。マインドの部分は意外とちゃんと音に影響するんですよ。- なにかに向かって走っていったわけでもない
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ツアー情報
【凛として時雨 Tour 2018 "Five For You"】
3月03日(土)石川 金沢 EIGHT HALL
3月04日(日)新潟 新潟LOTS
3月11日(日)東京 Zepp DiverCity TOKYO
3月17日(土)宮城 仙台GIGS
3月21日(水・祝)北海道 サッポロファクトリーホール
3月25日(日)大阪 Zepp Osaka Bayside
4月07日(土)広島 広島 CLUB QUATTRO
4月08日(日)香川 高松 festhalle
4月14日(土)福岡 DRUM LOGOS
4月15日(日)熊本 B.9 V1
4月21日(土)愛知 Zepp Nagoya
4月30日(月・祝)東京 Zepp Tokyo
▼追加公演
【凛として時雨 Tour 2018 “Five For You” ~Vacuum The Hall Edition~】
6月01日(金)大阪・フェスティバルホール
6月11日(月)東京・東京国際フォーラム ホールA
リリース情報
関連リンク
Interviewer:佐藤悠香
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