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バート・バカラック その甘美な音楽世界の名盤達
約50年の長きにわたって、世代もジャンルも超えたクリエイターたちに常に愛され、絶大な影響を与え続ける、世界でもっとも洒脱なソングライター/アレンジャー/プロデューサーであるバート・バカラック。ディオンヌ・ワーウィック、カーペンターズ、アレサ・フランクリン、B.J.トーマス、ダスティ・スプリングフィールド、ジェリー・バトラー、スタイリスティックスなど数々のミュージシャンに楽曲を提供し、映画音楽でも手腕を発揮し、アカデミー賞やグラミー賞に輝いてきた。彼の産み落としてきた名曲達は時代を越えて多くのミュージシャン達にカバーされ、ビルボードチャートにも膨大な数の楽曲を送り込み、その曲数は枚挙に暇がない。そして、ポップス界の頂点は今年9月に東京JAZZとビルボードライブでのプレミアム公演で来日を果たす。彼の魅力をすべて語りつくすことは難しいが、今回は彼の名曲達に触れていきたい。ファンの方達にはおさらい程度に、初めて触れる方達には入門編として…
世代/ジャンルを超えたアーティスト達が歌い続ける珠玉の名作達
誰もがどこかで聴いたことがあるであろう名曲10曲をセレクト。ディオンヌ・ワーウィックのオリジナル版から宇多田ヒカルのカバー版までバカラック・サウンドが収録された名盤達。「遥かなる影/(They Long to Be) Close to You」
カーペンターズ(1970年)
『遥かなる影』
オリジナルはカーペンターズだと思われがちだが、実は1963年にリチャード・チェンバレンが先にリリースしている。この曲でカーペンターズは全米1位を獲得し、世界中に兄妹の名前を知らしめた。サウンド・アレンジはリチャード・カーペンターによるもの。
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Cubic U(1998)
『プレシャス』
宇多田ヒカルが日本デビュー前にCubic Uとして米国で活動していた際にシングルとしてリリースされたもの。アルバム『Precious』にも収録され、その後、日本デビューし、大成功するのはご存じの通り。1stアルバムの大成功で『Precious』もヒットした。
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noon(2011)
『FOR YOU noon's best』
トヨタホームのCMに起用された、ここ最近の日本では一番なじみの深いバージョン。やさしさとあたたかさの溢れる彼女の歌声とシンプルなアレンジで聴きやすい優秀作。収録されているこのアルバムも親しみのある楽曲でまとめられている。
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「小さな願い/I Say a Little Prayer」
ディオンヌ・ワーウィック(1967)
『グレイテスト・ヒッツ 1962-1987』
バカラックといえばこの人を外して語ることのできない歌姫ディオンヌ・ワーウィック。1967年にリリースされ全米で大ヒットしたこの曲。ディオンヌで聴くバカラックならこちらのベスト盤もオススメ。
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アレサ・フランクリン(1968)
『アレサ・ナウ』
"クイーン・オブ・ソウル"ことアレサ。もしかすると前述のディオンヌのオリジナルより有名かもしれないヴァージョン。こちらも1968年のリリース後、全米チャートで大活躍し、彼女の代表曲となっていく。
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ダイアナ・キング(1997)
『ザ・ベスト・オブ・ダイアナ・キング』
今度は"クイーン・オブ・レゲエ"のダイアナ・キングのカバー・バージョン。オリジナルよりもビートの利いたアレンジで映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』で使用され大ヒット。ライブでもハイライトで披露され盛り上がる。
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「サン・ホセへの道/Do You Know The Way To San Jose」
ディオンヌ・ワーウィック(1968)
『グレイテスト・ヒッツ 1962-1987』
こちらもオリジナルを歌うディオンヌ・ワーウィックのベスト盤から。1968年度のグラミー賞に輝いたまさに代表作。サンホセ(San Jose)とはスペイン語で地名を意味するもので、ここではアメリカ合衆国カリフォルニア州のサンノゼ(San Jose)を指す。
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ボサ・リオ(1969)
『サン・ホセへの道』
セルジオ・メンデスのプロデュースでデビューを飾った弟分的バンド、ボサ・リオ。この楽曲の跳ねたメロディーは実にボサノヴァ・アレンジにマッチし、日本でもヒット。グループは後に解散するが、メンバーのグラシーニャ・レポラーセは後にセルジオ・メンデスと結婚。ブラジル'77のヴォーカルとしても活躍。
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ラムゼイ・ルイス(1968)
『処女航海』
こちらはジャズ・ピアニスト、ラムゼイ・ルイスのバージョン。ジャズ・アレンジの定番であるピアノ・トリオ作品ではなく、ストリングスとコーラスが入っており、独特の世界観に。ジャズといってもかなりポップス寄りのジャズなので幅広い層に受け入れやすい。ドラムにはモーリス・ホワイトが参加。
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「ウォーク・オン・バイ/Walk On By」
ディオンヌ・ワーウィック(1967)
『グレイテスト・ヒッツ 1962-1987』
やはりこちらもオリジナルは彼女。トレード・マークであるシルキーでマイルドな歌声が花開花開き、全米チャートで6位記録。このヒットで脚光を浴び、スターとなっていく。
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ボビー・コールドウェル(1995)
『ソウル・サヴァイヴァー』
"ミスター・AOR"ボビー・コールドウェルだってバカラック・ナンバーをカバー。95年リリースのアルバム『ソウル・サヴァイヴァー』の幕開けとして流れてくるバカラックのメロディーはAORにもぴったりフィットする。
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アリシア・キーズ(2003)
『ダイアリー・オブ・アリシア・キーズ』
圧倒的なデビュー・アルバム『ソングス・イン・A・マイナー』で一躍人気者となったアリシア・キーズの通算二作目。原曲からのカバーというよりもアイザック・ヘイズのバージョンを引用した内容で展開される要注目曲。
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「雨にぬれても/Raindrops Keep Fallin' On My Head」」
B.J.トーマス(1969)
『雨にぬれても』
1969年に公開された、ジョージ・ロイ・ヒル監督の西部劇映画『明日に向って撃て!』の挿入歌として起用され、全米で大ヒット。これこそバカラック・サウンドとして一番メジャーな楽曲かもしれない。日本でも何度もCMやBGMとして使用されている。
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マニック・ストリート・プリーチャーズ(1995)
『リップスティック・トレイス』
マニックスの愛称でおなじみイギリス、ウェールズのロックバンド、マニック・ストリート・プリーチャーズ。ボスニア戦災孤児救済のためのチャリティ・アルバムに提供した音源は彼らの未発表曲とレア・トラックを集めた『リップスティック・トレイス』で楽しめる。
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山崎まさよし
『COVER ALL YO!』
フォークとブルースをより親しみやすくし、根強い人気を持つ山崎まさよし。彼も洋楽カバー・アルバムの中で本楽曲をセレクト。?南国風プレート乗せ?とサブタイトルが付いているが、あまり関係ないと思われるホーン・セクションを前面に打ち出したアレンジは秀逸。
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「世界は愛を求めている/What The World Needs Now Is Love」
ジャッキー・デ・シャノン(1965)
『コンプリート・リバティ&インペリアル・シングルズVol.2』
本来デオンヌが歌う予定だったが、あまり気に入らなかったということでパスされ、ジャッキー・デ・シャノンが歌うことに。リリース後は全米5位を記録する大ヒットに。その後、ディオンヌも歌うが彼女ほどの成功には繋がらず…。
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サラ・ヴォーン(1967)
『ラヴァーズ・コンチェルト』
女性ジャズボーカリストの御三家、サラ・ヴォーンのバージョン。ジャズ歌手の域を超えた深い表現力で聴かせてくれる。本アルバムでは60年代の素晴らしいポップ・ソングたちが収められ、ビートルズからバカラックまでヒット曲が満載。
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ウェイ・ウェイ・ウー(2004年)
『ウェイウェイ・ウー プレイズ・バカラック』
バカラック・サウンドは中国、上海出身の二胡奏者までも虜にする。中国の伝統楽器である二胡でバカラックの旋律をなぞる風景は独特と思いがちだが、ストリングスやバンドが贅沢に彩り、非常に聴きやすい印象。中盤に中国語のセリフが入っているのは、突然で驚く。
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「恋の面影/Look of Love」
ダスティ・スプリングフィールド(1967)
『この胸のときめきを~ダスティ・スプリングフィールド』
映画『007 カジノ・ロワイヤル』の挿入歌として使用されたオリジナル・バージョン。全米で大ヒットを記録し、彼女を代表する楽曲となった。官能的なサウンドでバカラックは"大人の音楽"というイメージを色濃く表している楽曲。
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セルジオ・メンデス(1968)
『セレブレーション! ~アニヴァーサリー・ベスト』
「マシュ・ケ・ナダ」で知られる大人気のブラジルのピアニスト、セルジオ・メンデス。これは彼が当時結成していた"セルジオ・メンデス&ブラジル'66"のバージョンで日本ではこちらの方がメジャーだと思われる。彼の作り出すボサノヴァ・アレンジはその後、世界的なブームになっていく。
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ブラックベルベッツ(2004)
『ブラックベルベッツの世界』
実力派のミュージシャンが集まり、なぜか今どき"魅惑のムード音楽"を演奏するグループ。前述した本楽曲の官能的な部分を最大限に引き出したこのバージョンではセンベロ名義でも活動する田中邦和の素晴らしいサックス・プレイを堪能できる。
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「アルフィー/Alfie」
ディオンヌ・ワーウィック(1966)
『グレイテスト・ヒッツ 1962-1987』
マイケル・ケイン主演の映画『アルフィー』の主題歌。イギリスのオリジナル版ではシラ・ブラックが歌い、アメリカ版ではシェールが歌い、どちらも大ヒットを記録。当然、ディオンヌも歌ってヒットしている。今回はこちらを紹介。若い人だと椎名林檎が歌ったことで知っている人も多いはず。
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ヴァネッサ・ウィリアムス(1991)
『ヴェリー・ベスト・オブ・ヴァネッサ・ウィリアムス』
田村正和、木村拓哉、宮沢りえの豪華共演で話題となったTVドラマ『協奏曲』の主題歌として使用され、日本ではこちらのバージョンの方がなじみが深いと思われる。流石はミスアメリカ。その美貌だけでなく、色気たっぷりに伸びやかでハリのある歌声を聴かせてくれる。因みにこのドラマの音楽はすべてバカラックの楽曲を使用している。
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コニー・フランシス(1968)
『シングス・バート・バカラック』
「ヴァケイション」で知られる魅惑の女性ヴォーカル、コニー・フランシス。彼女もバカラックを歌った作品をリリースしている。ゴージャズなオーケストラをバックに巧みに歌いこなし、メロディの魅力を個性的に聴かせる。
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「恋するメキシカン/Mexican Divorce」
ライ・クーダー(1974)
『パラダイス・アンド・ランチ』
1962年にザ・ドリフターズがリリースするもあまりヒットせず、このライ・クーダーが取り上げたことでヒット。職人の域に達する彼のギターとバックのミュージシャンたちが彩るアメリカ南部と中南米がミックスしたようなアレンジが洒落ている。
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ザ・ピーナッツ(1972)
『世界の女たち/ザ・ピーナッツ』
和製ポップスの開拓者、宮川泰が編曲し、ザ・ピーナッツが歌うバカラックへの愛を感じる1曲。このアルバムを制作していた頃には現役活動を引退しようと考えていたとあるが、そうとは思えない完璧なハーモニーは驚愕の一言。
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ニコレット・ラーソン(1978)
『愛しのニコレット』
ウエストコーストのキュートな歌姫、ニコレット・ラーソン。彼女のデビュー作にもバカラック・メロディが収録。ニール・ヤングやドゥービー・ブラザーズといった一流のアーティストたちが参加したことでも有名な名盤。本楽曲では関係ないが、このアルバムの4曲目に一見程遠いエディ・ヴァン・ヘイレンが参加していることはあまり知られていない。
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「ニューヨーク・シティ・セレナーデ/Arthur's Theme (Best That You Can Do)」
Paris Match(2007)
『Our Favourite Pop』
これまで紹介してきた楽曲からは随分新しくなってしまう本楽曲。あまりにも有名すぎるクリストファー・クロスのバージョンは置いておき、日本のアーティストからParis Matchを紹介。爽やかなミズノマリの歌声と落ち着いたアレンジは楽しく聴ける。
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佐藤竹善(2004)
『THE HITS -CORNERSTONES 3-』
Sing Like Talkingのフロントマンが歌う「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」は「ニューヨーク」を「トーキョー」に代えて歌われている。原曲の雰囲気をを壊さない高度なアレンジが施されており、アーバンなグルーヴと甘い歌声で東京の夜の魅力を満喫した気分にさせる。
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河村隆一(2011)
『THE VOICE』
日本を代表するロック・バンドLUNA SEAのヴォーカルとして知られる河村隆一。彼の歌うバカラック・ナンバーは今回の紹介で初めての日本語カバー楽曲。バカラック・サウンドを彼の魅力タップリの歌声で楽しめる。
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映画音楽で聴くバカラック
数々の栄誉ある賞に輝いてきたバカラックの映画音楽。バカラックの世界を知るには避けて通れないサウンド・トラック3作を紹介。
『007 カジノロワイヤル』(1967)
ジェームス・ボンド作品というよりも出演陣の豪華さや、娯楽的な内容で話題となったが、コメディ大作映画としてカルト的人気を誇る名作。音楽も「恋の面影」がグラミー賞にノミネートされるなど非常に評価が高く、いまだに売れ続ける名盤の一つ。どこかで聞いたことのある最高にスウィートなバカラック・サウンドを楽しめる。
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『何かいいことないか子猫チャン』(1965)
ウディ・アレンが脚本、出演を務める上質コメディー映画。トム・ジョーンズの歌う主題歌からディオンヌ・ワーウィック、マンフレッド・マンまで参加。バカラックのポップ・サウンドの洪水が映画の世界感を一層盛り上げ、トム・ジョーンズのソウルフルな歌唱が絶品。
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『明日に向って撃て!』(1969)
ジョージ・ロイ・ヒル監督のアメリカ映画の傑作。名曲の記事内でも紹介したB.J.トーマスの「雨にぬれても」が主題歌として起用。クオリティの高い楽曲たちが紡ぐ世界は映画を観ていなくても十分楽しめる。これぞポピュラー・ミュージックの歴史的名盤。
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ビートルズもバカラックを歌っていた
「ベイビー・イッツ・ユー/Baby It's You」(1963)
商品購入はこちらから→あまりにも有名かもしれないが、ビートルズもバカラックを歌っている。1963年に発売された彼らの最初アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』に収録された「ベイビー・イッツ・ユー」がそれだ。全米チャートであるHot 100に入った始めての黒人女性ヴォーカル・グループとして1960年代に活躍し、キャロル・キングもエリー・グリニッチも大ファンだったザ・シュレルズがオリジナルである。ある意味一番世界で知られているバカラックの楽曲かもしれない。また、同アルバム収録の「ボーイズ」もザ・シュレルズのカバー。
バカラックで聴くバカラック
『リーチ・アウト』(1967)
商品購入はこちらから→これまで彼が提供してきた楽曲についてばかり紹介してきたが、バカラック自身も一流のプレイヤーで、ソロ作品も多数発表している。その中でも名盤は自作自演アーティストとして1967年に発表された最初の作品『リーチ・アウト』だろう。バラードの名曲である「アルフィー」ではブラシで16分を刻ませて独特のノリを生み出し期待を良い意味で裏切ってくるなど、自身のヒット曲を茶目っ気たっぷりに演奏している本作。聴き易さが重視されたライト・タッチな作品と見せかけて、非常に中身が濃い。
バート・バカラック 来日情報
- 東京JAZZ(東京国際フォーラム ホールA):2012年9月8日(土)
- ビルボードライブ東京公演:2012年9月10日(月) ~ 11日(火)
INFO: http://www.tokyo-jazz.com
バート・バカラック +1
2012/09/05 RELEASE
UICY-75214 ¥ 2,934(税込)
Disc01
- 01.メキシカン・ディヴォース
- 02.遙かなる影
- 03.ニッキ
- 04.ワイヴス&ラヴァーズ
- 05.オール・カインズ・オブ・ピープル
- 06.アンド・ザ・ピープル・ワー・ウィズ・ハー(オーケストラのための組曲)
- 07.エイプリル・フール(幸せはパリで)
- 08.ハズブルック・ハイツ
- 09.フリーフォール
- 10.悲しみは鐘の音とともに
- 11.オール・カインズ・オブ・ピープル (モノ・シングル・ヴァージョン) (Bonus track)
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