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ポール・スタンレー来日記念インタビュー~KISSのフロントマンはなぜソウルを歌うのか



インタビュー

 KISSのフロントマン、ポール・スタンレーが自身のソウル/R&Bプロジェクト「Soul Station」で、2018年1月に待望の来日公演を開催する。ハードロックの重鎮は、なぜこのプロジェクトをスタートし、ここまで力を注いでいるのだろうか。1月の来日を目前にポール・スタンレー本人にインタビューを敢行し、自身のルーツだと語るソウルミュージック、そして来日メンバーなど色々と語ってもらった。また現在、Billboard JAPANのApple Musicアカウントでは、「ポール・スタンレーに影響を与えたソウルの楽曲」プレイリストを公開中。こちらも合わせてチェックしてほしい。

来日記念特集:KISSのフロントマンによる渾身のソウル/R&Bプロジェクト、ポール・スタンレーズ・ソウル・ステーション来日記念特集&ポール本人が選ぶソウル・ミュージックのプレイリストも公開!

ハードロックと同じくらい大切なもの

−−まず、ソウル/R&Bプロジェクト “Soul Station”について教えてください。この名前の意味はなんですか?

ポール・スタンレー:“Soul Station”は、モータウン、フィリーソウル、そしてメンフィスの音楽を謳う、いわば息をしたラジオ局のようなもので、13人の素晴らしいミュージシャンからなる十字軍とも言える。最高のメンバーが集まっていて、私たち全員、このソウルミュージックを愛しているんだ。テンプテーションズ、フォー・トップス、マーサ&ザ・ヴァンデラス、スタイリスティックスなど、私たちを“Soul Station”という一つの形にしてくれている全てのアーティスト/楽曲に対して誠実に、そして尊敬の意を示したいと思っているよ。


▲Paul Stanley's Soul Station "Tracks of my Tears" Live at The Roxy


−−このプロジェクトは2015年に始まりましたが、“Soul Station”を始めるきっかけとなった出来事はなんだったのでしょうか?(2015年はジャパンツアーで、ももいろクローバーZとコラボレーションした年でもありますね。)

ポール:ももクロとのコラボレーションは最高だったよ。一緒に曲を作れたことを誇りに思う。素晴らしい経験だった。

 実は、このバンドを始めた目的はチャリティーのためだったんだ。それにソウルミュージックを聴いて育ってきたこともあって、昔からソウルが大好きだったんだよ。レッド・ツェッペリンやザ・フーを聴き始める前に、オーティス・レディングやテンプテーションズの音楽に出会った。だから私のルーツはソウル・ミュージックと言えるね。多くの人は、一つのジャンルだけを聴く傾向にあると思うんだけど、私はいつも様々な音楽を聞くようにしていて、その中でもモータウンは私にとって凄く大切なんだ。

−−KISSファンにとっては、あなたがモータウン、フィリー・ソウルなどのソウルミュージックをカバーするプロジェクトを始めたことは驚きだと思います。ソウルミュージックはあなたにとってどんなものですか?

ポール:自分のルーツに関わりのあるプロジェクトをやりたいと前々から思っていた。ファンにとっても私の違った一面を見れるチャンスだと思うよ。こうして、Soul Stationという形でバンドのメンバー全員とモータウン、フィリー・ソウル、メンフィス・ソウルといったソウルミュージックの深い愛を共有することができて、とても幸運に思っている。クラシックなソウルミュージックは、音楽のジャンルとしてほとんど瀕死の状態で、部分的に切り取られてサンプリングされたりしているが、正直言ってサンプリングすることが正当なことだとも思わないし、今はクラシックなソウルを演奏しているバンドは多くないと思う。だから私たちにとって、このソウルミュージックを演奏できるチャンスがあることは、物凄く嬉しいことでもあり、このメンバーで演奏できることに感謝している。本当の意味で十字軍としての家族なんだ。

−−幼少期はどんな音楽を聴いていたのでしょうか?また、どんなアーティストまたは楽曲に一番影響を受けましたか?

ポール:モータウンを聴くようになるずっと前は、ジャッキー・ウィルソンやサム・クックを聴いていたことを覚えているよ。それに、オペラからロックといったあらゆる音楽が流れている家庭で育ったことも幸運だった。私にとって初めてのモータウンの思い出の一曲はスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ「You've Really Got A Hold On Me」だ。しかし、影響を受けたアーティストや楽曲は何かと聞かれても、一つに絞るのは不可能だね。マーヴィン・ゲイ、デイビット・ラフィン、リーヴァイ・スタッブスなど、たくさんいるよ。その全てのアーティストが、それぞれ違った形で私にインスピレーションを与えてくれたからね。


▲Smokey Robinson & The Miracles - You Really Got A Hold On Me


−−“Soul Station”としてステージに立つために、どんな準備をしていますか?セットリストはどう決めるのでしょうか?また、他のアーティストの曲をマスターするにはどのくらい時間がかかりましたか?

ポール:私たちにとって必要なのことは、音楽的にきちんと形になっているか確かめることで、実際には4,5日のリハーサルで済んでしまう。実力のあるバンドメンバーが揃っていれば、そんなに心配する必要がないのさ。このバンドにいるメンバーたちは、スティーヴィー・ワンダー、スモーキー・ロビンソン、クリスティーナ・アギレラ、ピンク、ジョン・メイヤーといったアーティストと仕事をしてきた本物の中の本物のミュージシャンなんだ。リハーサルはもちろんするが、最高のメンバーが集まっているから、実際にステージではリハーサル以上の素晴らしいものが生まれるよ。

 セットリストについては、ソウルミュージックの定番曲だけでなく、すぐに思い出せないが聴いているうちに、「ああ、この曲も聴きたかったんだ!」というような曲も多くカバーしようと思っている。

 他人の曲を歌うことについては、特別何かをしなければいけないということはない。この音楽を聴いて育ってきたし、ハードロックと同じくらい私にとっては大切なんだ。Soul Stationとして私の歌を聴いたら驚くかもしれないが、ソウルミュージックが私を構成する一部であるということをわかってもらえるんじゃないかな。ただマネしようとしているのではなく、それを正当に扱おうとしているということが分かると思うよ。


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