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コン・ファンク・シャン 来日記念特集~数々のダンス・クラシックを生んだスーパー・グループの軌跡
「Ffun」や「Got To Be Enough」、そして「Too Tight」の文字通りタイトで軽快なファンク・ビート。往年のファンク・ブームを代表するグループであるコン・ファンク・シャンのサウンドは、いつだって聴く者の心を熱くさせてくれる。70年代だけでなく、ザップやリック・ジェームスらと並んで80年代以降のファンク・シーンを活性化させた彼らが今年も来日し、東京では盛り上がり必死のカウントダウン・ショーを行う。ここでは、数々のダンス・クラシックを生み出したスーパー・グループの軌跡を紐解いてみよう。
来日を間近に控える彼らのギターとヴォーカルを務めるマイケル・クーパーから、ビデオメッセージも到着したので、こちらも要チェック。
コン・ファンク・シャンの歴史は、1969年まで遡る。米国カリフォルニア州ヴァレーホのハイスクールの同級生だった、ヴォーカリストのマイケル・クーパーとドラマーのルイス・マッコールを中心に結成。当初は、プロジェクト・ソウルというグループ名を名乗っており、1971年までには、ベースのセドリック・マーティン、キーボードのダニー・トーマス、トランペットのカール・フラー、サックスのポール・ハレルといったオリジナル・メンバーが揃っていた。そして、その後トロンボーンやキーボードもプレイするヴォーカリスト、フェルトン・パイレーツが加入したことで、彼らのサウンドが完成した。
1973年にメンフィスに移ったプロジェクト・ソウルは、スタックス・レコードの看板グループだったソウル・チルドレンのバック・バンドに起用される。その活躍ぶりが注目され、同年にインディ・レーベルからアルバム『Organized Con Funk Shun』をリリース。その翌年には、正式にバンド名をコン・ファンク・シャンに変更した。地道に活動を続けていたコン・ファンク・シャンは、ファンク・ブームの流れに乗って1976年にマーキュリーと契約。アルバム『Con Funk Shun』で華々しくメジャー・デビューを飾った。翌1977年には、シングル「Ffun」が大ヒット。ビルボードのR&Bチャートで1位を獲得し、Hot100でも23位にまで上昇。彼らの最大のヒットとなり、一躍人気ファンク・バンドとしての地位を固めた。
▲ 「Ffun」(Live)
▲ 「Too Tight」(Live)
その後も、「Shake And Dance With Me」(1978年)、「Chase Me」(1979年)、「Got To Be Enough」(1980年)、「Too Tight」(1981年)、「Baby I'm Hooked」(1983年)、「Electric Lady」(1985年)といったスマッシュヒットをコンスタントに連発。アルバムも『Secrets』(1977年)、『Candy』(1979年)、『Spirit Of Love』(1980年)、『To The Max』(1982年)、『Electric Lady』(1985年)など、いわゆるファンク・マニアにはおなじみの傑作を残した。しかし、1986年のアルバム『Burning Love』はヒットしたものの、メイン・ヴォーカリストだったフェルトン・パイレーツ抜きで制作され、あっという間に失速。活動休止となった。
コン・ファンク・シャンのサウンドの特徴は、軽快なファンク・ビートとポップなメロディの融合だろう。70年代末から80年代にかけてのディスコ・ブームにリンクし、とにかく踊りたくなるダンサブルなビートを多数生み出した。いわゆるディスコ・クラシックといわれるナンバーは、1980年前後に数多く作られている。その一方で、ミディアムやスローなバラードを得意としたのも彼らの持ち味だ。当時のディスコ・ビートを取り入れた旬のサウンドとは違って、往年のソウル・マナーを汲んだメロディやハーモニーこそ、ソウル・ファンにも高く評価されている要因である。
また、彼らの活動休止以降の90年代からは、盛んにヒップホップのサンプリング・ネタとして取り上げられていったことも、非常に重要である。ウィル・スミスの「Y'all Know」(1997年)、トレイ・ソングスの「Cheat On You」(2005年)、ドレイクの「AM 2 PM」(2006年)、リル・ウェインの「Kush」(2008年)、トロ・イ・モワの「Sweet」(2011年)など、挙げていくときりがないが、現代のヒップホップやR&Bのシーンにおいても、コン・ファンク・シャンのサウンドは有効であることの証拠である。
こういったある種のリバイバルも手伝って、2015年にはなんと29年ぶりのスタジオ録音アルバム『More Than Love』を発表し、復活してファンを狂喜させた。そして、ライヴもコンスタントに行い、日本でも定番となりつつある。この冬もビルボードライブ公演が決定しており、会場をホットに盛り上げてくれるはず。ぜひこの機会に、ファンクのレジェンドを堪能していただきたい。
マイケル・クーパー from コン・ファンク・シャンから来日公演へ向けたビデオメッセージ
公演情報
コン・ファンク・シャン
DISCO & FUNK PARTY featuring Con Funk Shun
ビルボードライブ大阪:2017/12/29(金)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2017/12/31(日)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30 / 2nd Stage Open 21:00 Start 22:30
※2ndステージはカウントダウン公演、全席グラスシャンパン付き
>>公演詳細はこちら
【BAND MEMBERS】
マイケル・クーパー / Michael Cooper (Guitar, Vocals)
フェルトン・パイレート / Felton C. Pilat e(Trombone, Keyboards, Vocals)
ゼドリック・クレイトン / Zedric Clayton (Keyboards)
エリック・ヤング / Eric M. Young (Bass, Vocals)
ロナルド・モトン / Ronald G. Moton (Saxophone, Vocals)
カール・フラー / Karl Fuller (Trumpet, Flugelhorn)
ブライアン・コリアー / Brian Collier (Drums)
レネ・エスコヴィード / Rene Escovedo (Percussions)
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Text: 栗本斉
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