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FM COCOLO『J-POP レジェンドフォーラム』9月は桑田佳祐『がらくた』特集! 宮治淳一をゲストに迎えた番組トークvol.2を公開



J-POP レジェンドフォーラム

FM COCOLOで毎週月曜日21:00~22:00に放送されている、音楽評論家「田家秀樹」が案内人を務める『J-POP レジェンドフォーラム』。伝説のアーティスト、伝説のアルバム、伝説のライブ、そして伝説のムーブメント。一つのアーティストを1ヶ月にわたって特集する番組で、9月の特集は桑田佳祐『がらくた』だ。2回目の放送では、桑田の小・中学校の同級生であり、9月16日に公開がスタートした映画『茅ヶ崎物語~MY LITTLE HOMETOWN~』の発起人でもある、宮治淳一がゲスト出演。映画や『がらくた』の話題を交えながら、桑田佳祐の原点がクローズアップされる内容となった。

番組トーク vol.1: キーボード片山敦夫 / ギター斎藤誠

「これって映画として成立するんだろうか」って疑いを持ってたんですよ

田家秀樹:9月16日に公開された映画『茅ヶ崎物語~MY LITTLE HOMETOWN~』では主演もされていますね。

宮治淳一:そういうつもりでは全然なかったんですけど、確かに見てみると、出演している時間は長いなって思いますね。

田家:ご本人じゃなくても名前がずっと出ている。

宮治:そうそう。そういう意味では主演かもしれない。

田家:そもそも桑田さんにプレゼントした映像があって、その映像がこの映画の発端になったそうですね?

宮治:はい。桑田さんが1956年2月生まれなので、2016年2月に還暦を迎えるというので。そのちょっと前に、桑田さんのスタッフの方に呼ばれて、「還暦祝いをしようと思っているんだけど」って話をされたんです。桑田さんからは「60歳の誕生日は盛大なパーティーとかはやらずにスーっと60になりたい」という牽制球がすでに入っていたらしいんですけどね。とはいえ、やっぱり何かしらをしてお祝いしたいと。それで桑田さんが恋してやまない“茅ヶ崎”と“音楽”に関する映画を桑田さんのために作ろうということになったんです。



▲ 映画『茅ヶ崎物語~MY LITTLE HOMETOWN~』 予告編


田家:宮治さんや桑田さんの周りの人たちによって出てきたアイディアだったんですね。

宮治:サプライズで作ろうということになったので、桑田さんには茅ヶ崎の話を訊けない。そこで、「宮治さんなら当時のこと、よく知ってるでしょ?」ということもあり。そして、音楽と茅ヶ崎と桑田さんの幼少期の話を知る限りの友人に訊いて、話が進んでいったわけですね。桑田さんが見たら懐かしくなるような小学校、中学校のグラウンドとか、『ブラタモリ』的な感覚で茅ヶ崎の名所を練り歩くというような映像も撮ったり。で、実際に誕生日当日の2016年2月26日に簡単な食事会を(スタッフが)したらしくて、その食事会の前に「実は見てもらいたいものがあるんで」って言って、ファミリーヒストリーかのように、桑田さんと原由子さんと2人だけで座ってもらって映像を見せたらしいんですよ。

田家:へぇー。

宮治:それで僕はね、最初は30分くらいのショート・ムービーだと思ってたんですよ。普通そう思いますよね?ところが1時間半超えの…。

田家:その時からそんなに長いものがあったんだ!

宮治:気合いの入りぶりに驚きましたよ。

田家:その時点でタイトルは決まっていたんですか?

宮治:たしかね、『茅ヶ崎物語』ってタイトルはついていたような気がするんですけど、このサブタイトルはなかったですね。その映画を見た桑田さんが「非常に良かった。ありがとう」と。で、「これってちょっと作り替えれば一般に公開できる映画になるんじゃない?」って。

田家:あ、それは桑田さんが言われたんですか?

宮治:そうらしいんですよ。それで、そこから第2幕のスタートですよ。やっぱりプライベートで作ったものと一般的に作ったものが同じなはずがないわけで、スピリットは継承するにしても、ひとつひとつのディテールは変えていかなきゃならない。それから私が再度登板しまして。

田家:そのプライベートのものはどんな感じだったんですか?

宮治:いや、一般公開されているものとそんなに構成は変わっていないんですよ。ただ少しずつディテールを撮り直したりだとか、茅ヶ崎のお祭りである【浜降祭】のフッテージを撮ったりだとか。

田家:監督・脚本が熊坂出さんですが、その時は熊坂さんは関わっていない?

宮治:いや、関わってますよ。

田家:最初から熊坂さんにお願いしていたんですね。

宮治:でも熊坂さん、初めて茅ヶ崎に行ったって言うんですよ。最初は「映画として成り立つものなんですかね?」って本当に思いましたもん。ところが試写会のようなものが茅ヶ崎でありましてね。僕は(途中段階では見ず)その時いきなり客席で見たんですよ。そのくらいギリギリまでやってたんですけど、「これって映画として成立するんだろうか」って疑いを持ちながら見に行ったんですけど、あっという間に見れてしまいまして、熊坂さんの構成能力には舌を巻きましたね。やっぱりプロってすごいなと。

茅ヶ崎に60年くらい住んでますけど、初めて知ることばっかりでした

田家:この映画にはいくつかの要素がありまして、その1つの柱となっているのが再現映像です。高校時代の桑田さんを野村周平さん、宮治さんを神木隆之介さんが演じている。

宮治:いやー本当にね。神木さんには申し訳ない。

田家:また、中沢新一さんがとても重要な役割ですが、中沢さんを起用されたのはどなただったんですか?

宮治:プロデューサーの方だと思うんですけどね。僕は近代に入ってからの、自分が生きてた時代のことしか分からないわけですよ。あとは歴史的な事実っていうのはまぁ調べりゃ分かるんですけど、それを展開するだけのダイナミズムは僕には全然なかったんですね。中沢さんが来られて、地形とか土地の成り立ちとか、神社、仏閣、祭り、その他諸々の具象的なことをああやって展開して…。僕は茅ヶ崎に60年くらい住んでますけど、初めて知ることばっかりでした。本当にね、びっくりしました。



▲ 映画『茅ヶ崎物語~MY LITTLE HOMETOWN~』 第二弾予告編


田家:で、インタビュー・コメントで萩原健太さんと加山雄三さんがお出になってる。

宮治:加山さんに関してはもう、自分の小学校の時からのヒーローですからね。同じ茅ヶ崎に住んでた時代も何年かあるんです。いつか街をぶらついてたら会えるかなと思ったんですけど、会えなかったんですね。今回初めて会うことができて、もう緊張しまくりですよね…。

田家:インタビュアーも宮治さんがおやりになってるわけですからね。

宮治:声が出ないですもん。

田家:萩原健太さんはアマチュア時代のバンドのメンバーだったとか。

宮治:そうです。桑田さんに萩原さんを紹介したのは僕だったんですよね。

田家:そうなんですか!

宮治:桑田さんが新しいバンドをやってて、すごくイイなぁと思って。やっぱりプレイヤーという意味では彼がナンバーワンだったんですよね。で、僕は大学に入って放送研究会ってところに入って、そこで1年先輩に萩原さんがいた。まぁ年は僕が浪人したんで一緒なんですけど。彼は聴くプロっていうかね、実際にギターも弾くけど、ものすごく音楽をよく知ってるんですよ。僕は高校にいる時は自分が一番音楽を知ってるなと思ってたんですよ。ところが大学に入ったら違うなと。やっぱりすごい人がいるわと。

田家:なるほどねぇ。

宮治:音楽に対してこれだけ造詣が深い人って世の中にいるんだなぁと思ってね。やはり自分は井の中の蛙だったんだなと思い知ったんですよ。その時にふと閃いたのが、プレイヤーとして最高だと思う人と聴き手として最高だと思う人を会わせようと。で、藤沢のアマチュアコンサートみたいなのを僕が主催してたんですけど、それに萩原さんをわざわざ東京から呼んで、桑田さんに会わせて、そしたら意気投合して、数か月ですけど一緒にバンドやってましたよ。

田家:なるほどね~。今日はこういう話がいろいろ飛び出します。

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桑田佳祐「がらくた」

がらくた

2017/08/23 RELEASE
VIZL-1700 ¥ 5,280(税込)

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