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noovy 念願の日本メジャーデビュー『Garage』インタビュー
台湾最大手のマネジメント会社 Eelin主催で、“日本・台湾で活躍できるスター”を発掘すべく大型オーディションで選ばれた面々たちによる、台湾発 平均年齢19歳のイケメン4人組バンド noovyがいよいよ日本でメジャーデビューを果たす。
……のだが、そのシングル『Garage』には、“負け組だった4人の逆転ソング” “挫折しかけた若者へ送る”といった言葉が並ぶ。台湾と日本の音楽事情の違いから、現代の若者が今バンドを選ぶ理由、基礎を築いたひとりという鴇崎さとし(ex. serial TV drama)との関係性や、なぜ負け組だったのか、まで。
Shawn(ショーン:vo、g)、Hank(ハンク:g、cho)、JK(ジェーケー:b、cho)、Mark(マーク:dr、cho)の4人に訊いた。
メロディや歌詞は僕らのストーリーになっています
▲YouTube「noovy 念願の日本メジャーデビューシングル「Garage」・CM」
--今年の1月から半年間、日本に移住して活動してきたそうですが、平均年齢19歳の若者が異国での活動を中心にしていくには不安やプレッシャーもあったと思います。まだ知名度もゼロに等しかった中で、なぜそのような決意を?
Shawn:台湾と比べると日本の音楽活動をする上での環境は圧倒的に優れていますし、元々契約したレコード会社もソニー・ミュージック・ジャパンだったので、バンド経験が少なかった僕らが基礎を築くために日本に来ました。--また、そのタイミングでバンド名を「LOOKINGFOR」から「noovy」に変更しています。
Hank:日本で本格的に活動する上で新しいスタートを切ろうと思ったことと、LOOKINGFORだとネット上での検索にあまり引っかからないんですよね(笑)。noovyは造語になりますが、初心者を意味する「newbie」とノリノリを意味する「groovy」の2つを合わせたバンド名にしました。--今年の7月には台湾で1stフルアルバム『ONE』をリリースしましたが、プロフィールや写真から感じるアイドル的なアプローチに対して、サウンドはオーセンティックなロックにチャレンジしていると感じました。
Shawn:4人の音楽性はバラバラで、いまはまだどこに向かうのか決めているわけではないんですけど、一番大切にしているのがわかりやすさ。聴きやすくて、人の心にスッと入れるようなサウンドを作りたいと思います。--皆さんはそれぞれ現代の若者らしく、ジャスティン・ビーバーやディプロをフェイバリットに挙げたりもしています。そういう4人が今の音楽性にチャレンジする理由は?
Shawn:もちろん今、若者の中で流行っているEDMなどとは違いますが、メロディや歌詞は僕らのストーリーになっていますから、noovyは自分たちにピッタリなサウンドだと思っています。 Mark:JKはEDMが好きで、僕はJAZZ。Shawnはパンクやポップ・ロックが好きで、Hankは渋いハードロックが好き。将来的にはそういう音楽性も取り入れて、noovyらしいサウンドにできればと思っていますね。 JK:ただ、人は常に新しいものを受け入れているので、さらに新しい音楽に出会えることもあると思います。常に今の自分たちに挑戦していきたいと思いますし、新しい音楽に臨んでいければと思います。やっぱり日本での活動が様々なきっかけ
--そうして半年間、日本で行ってきた活動は台湾のファンの間でも話題となり、逆輸入という形で評価されているそうですね。
Hank:日本に来る前、台湾で活動していた頃の僕らのコア・ファンの方の数は、20人弱くらいだったと思うんですね(笑)。でも、今年の夏に台湾に戻ってアルバム『ONE』のプロモーションで2か月ほど回って、最後にワンマンをやった時は200人くらい来てくれた。その時に実感しましたね、少しずつですが認知され始めているんだなって。 Shawn:日本のファンの方々は一体感が凄いと思うんですよ。日本のバンドが生み出すステージと客席との一体感にはとても刺激されたので、台湾に持ち帰ってファンにも伝えていっています。 JK:それに日本好きの台湾人の方もnoovyのライブに来てくれるようになったりと、やっぱり日本での活動が様々なきっかけになりましたね。--台湾の近年のヒット・ソングは、欧米のサウンドを踏襲した先進的なサウンドも多いように感じました。
Shawn:たしかに昔よりも多様性が増していて、ラップ・ミュージックなども出てきているのですが、メジャーではまだバンドが少なくて、やっぱりまず名が挙がるのはMaydayやソーダグリーンなど大先輩の方々になると思います。僕たちのような若いバンドがあまりいなくて、K-POPやラップをやっている人たちが多い印象ですね。- 僕らは普通の人ですし、悩みもあれば落ち込む時もある
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Interviewer&Photo:杉岡祐樹
僕らは普通の人ですし、悩みもあれば落ち込む時もある
--そんな中でのnoovyのサウンドですが、アイドル性が売りと思いきや、ライブを見ると4人の演奏力に驚かされました。
Shawn:正直、アイドルで行こうとかバンドで行こうとか、そういう決まりや縛りはまったく無くて、自分がやりたいことをやる。今やっていることを集中して楽しむのが一番大切なんじゃないかって思います。 JK:今はライブハウスでやれることが本当に楽しくて、その気持ちがお客さんに伝わっているんじゃないかなって思います。--そして9月27日には日本でのメジャーデビューシングル『Garage』をリリースします。日本ではこれまでインディーズで2作品リリースしてきましたが、メジャーで感じる一番の違いは?
JK:正直、今のところはまだそんなに実感していないですね。 Hank:ただ、昨日今日で7本も取材してもらっているんですよ!(笑) Shawn:あとはちゃんとした衣装とか(笑)。--最初のシングル曲ですから、たとえば「Bye Bye Darling」のようにキラキラしたポップな楽曲をセレクトすると思っていました。ロック性の強い「Garage」を選んだ理由は?
Shawn:「Garage」は結成当初からあった曲で、2~3年の活動を共にしてくれた、第5のメンバーみたいなところがあるんですよ。バンドの歴史のようなものですので、デビューを代表する1曲になるんじゃないかなって。あと、最初はやっぱり“アイドル”っていう印象を持つと思いますけど、僕らは普通の人ですし、悩みもあれば落ち込む時もある。「Garage」は僕らの実体験がもとになっている歌詞なので、聴いてもらった方に勇気を与えられたらなって思います。
先が見えない中でただひたすらに練習していた
▲YouTube「負け組だった4人の逆転ソング!noovy《Garage》MV・挫折しかけた若者へ送る、自らも鼓舞する夢応援ソング」
--そういえばYouTubeにアップされている「Garage」のMVには、”負け組だった4人の逆転ソング”というキャッチフレーズがありますよね。
Mark:そもそもは台湾の大きな事務所とSony Musicが組んでの大型オーディションで勝ち抜いた3人で結成されたのが始まりで、僕は後から誘われた形で加入したんですよ。ただ、当時は僕だけバンド経験があって、他の3人は経験がゼロだった。バンドのやり方がわからない3人と一緒にやるのは僕も初めてだったので、どうしていけばいいのかわからなくなってしまったんです。普通はある程度、各楽器を練習してからバンドを組むことが多いですよね。周囲の大人からは「バンドは自分たちで模索してやっていくものだ」と言われて、先が見えない中でただひたすらに練習していた。その時からあったのが「Garage」なんですよ。 JK:しかもその頃、僕とMarkはまだ地方に住んでいましたし、学校もありましたから毎週往復5時間かけて移動して、バンド練習をひたすらやって……。外から見れば大きな会社に選ばれた人間で、明るい未来が待っているように思えるかもしれないですけど、フタを開けてみたら先は真っ暗で、誰にも相談できずに過ごした1年でした。
--それは焦りますね。
JK:たとえば同期のモデルが、ドラマなど大きな仕事をつかみ取っていく。そうなると事務所の大人たちもそちら側に行ってしまいますよね? そうやって目を向けられなくなっていくことを目の当たりにして、さらに落ち込んでいくんです。そうなると徐々に「もう会社は僕らのこと、どうでもいいと思ってるんでしょ? 誰も見てくれない!」って思い始めるようになって(笑)。そうして1年以上経ってから、トレーニングがてら日本に行ける話が来て、ようやく光が見えてきて……。そして大きな転機になったのが、今年の1月から日本に移住して活動できた半年間で、本当に濃かったですし逆転のきっかけになったと思います。 Shawn:オーディションから2年も経ったのにデビューできず、結果を出さないと先に進めない中、インディーズの時にCDで1000枚、3000枚を売りきらなければいけないミッションを課せられた。ここでがんばらないと将来がないので、精一杯やりましたね。 JK:日本で活動してきた半年は、僕らをバンドにしてくれた期間でした。日本では4人で一緒に共同生活をしているので、その間はすごい数のライブをやってきましたけど、ライブが終われば同じ部屋に帰って、その日の問題点を話し合うことができる。そうやって大きく成長できたと思っています。 Shawn:僕は15歳の頃にオーディションに受かったこともあって、学校では先生から「神の子だ!」なんて言われたこともありますし、クラスメイトからイジメられたこともありました。そんな僕らの実体験を歌詞にしてもらったのが「Garage」なんです。
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Interviewer&Photo:杉岡祐樹
半年間の日本での生活におけるエピソードが詰まっている
▲YouTube「感動と涙の日本滞在!noovy《イチバンボシ》Lyric Video・実話に基づいた歌詞をプライベート写真で綴ったMV(日本語 & 中国語)」
--また、「Garage」の作曲は、serial TV dramaのボーカルだった鴇崎さとしさんです。
4人:トツさんを知ってるんですか?
--以前インタビューさせてもらったこともありますよ。
Shawn:結成当初から1年間は、たった5曲をひたすらに練習し続ける日々だったのですが、それらを書いてくださったのが鴇崎さんでした。noovyの初めての先生のような存在です。今回のシングルの3曲目「Hey! Ho!」も鴇崎さんが作曲してくださった楽曲ですし、僕らのベースを作ってくださった方ですね!--では、皆さんは日本のバンドシーンというのはどのように見ていますか?
JK:台湾にいる頃は、日本の音楽と言えばアニメの主題歌になっているものがほとんどでしたね。『ワンピース』のような少年漫画とか、『頭文字D』とか。昔ほどJ-POPを聴いている台湾人は多くないのですが、アニメは凄い人気で、僕らも含めてアニメから日本の音楽に触れ始めることが多いと思います。--ちなみに言うと、serial TV dramaも「桃源郷エイリアン」という曲で、アニメ『銀魂』のオープニングに起用されていたんですよ。
Shawn:え、そうだったんですか!? Hank:最近はお会いできてないんですけど、前回来日した時に日本橋でばったり会って、びっくりしました(笑)。--また、2曲目の「イチバンボシ」は、カーペンターズを思わせるイントロから始まるキュートなポップソングになっています。
Mark:温かみがあって寄り添うようなメロディラインになっていますし、歌詞については半年間の日本での生活におけるエピソードが詰まっていますから、noovyを知らない方にも「台湾から来てがんばっている男の子たちなんだな」と伝わりやすい1曲だと思います。 Shawn:今回のシングルはすべて夢を追いかける楽曲になっていて、「イチバンボシ」はたとえるなら末っ子で、ちょっと弱虫でかわいらしい弟みたいな感じ。「Garage」は次男で、色んな挫折や悩みを抱えながらも諦めずに挑戦していく。そして「Hey! Ho!」は長男で、下のふたりを引っ張っていくような強い意志を表明する歌になっています。--そんな長男の「Hey! Ho!」は、90年代のアメリカン・ロックを思わせるアプローチになっています。
Shawn:この曲は、鴇崎さんからいただいた楽曲ほぼそのままになっています。「Garage」はシンセを足したり、より爽やかにアレンジしたところもあるのですが、「Hey! Ho!」のパンクテイストはそのまま残しましたね。 Hank:今回のシングルに選ばれた3曲は、前に押す感じが強いサウンドが特徴になっていたので、今後は「Lily」のようなバラードなども出していければと思いますね。ルールに縛られずに色んなことができるバンド
▲YouTube「noovy(ex.LOOKINGFOR) - 《Lily》Official Music Video(1080P)」
--では、これからnoovyは日本でどのような活動をしていきたいと思っていますか?
Shawn:まずは色んな方に知ってもらうことが大事だと思います。 JK:もちろん音楽好きの方には聴いてもらえると思いますし、一般の方でも楽しめるようなライブを目指したいと思っています。 Mark:だからこれからも演奏を練習したいですね。 Hank:ライブでは体操や芝居を取り入れたりもしていたのですが(笑)、noovyらしい楽しいコンテンツはどんどん取り入れて、ルールに縛られずに色んなことができるバンドになりたいと思っています。アイドルだからとかバンドだからっていう縛りでは無く、4人が一番やりたいことを集中してできたらなって。 Shawn:あと、日本のミュージシャンと数多くご一緒したいと思っています。ライブだけじゃなく、作品でも色々できたらなって。--では、現状での目標などはあるのでしょうか?
Shawn:ブドウカンです! Mark:僕らにとって大きなターニングポイントになっているのですが、今年2月に開催されたMaydayの武道館の時、会場外でビラ配りをしたんですよ。Maydayのライブに行かれるお客さんは台湾好きの方が多いと思いますので、そこで無名の僕らがビラ配りをしたらたくさんの方が受け取ってくださいましたし、後日行ったフリーライブなどにも来てくださるようになったんです。 JK:いつか僕らも武道館に恩返ししたいので、実現できたらステージ上から「外で配ってるチラシは全部もらってね」って言いたいです(笑)。 Shawn:「Garage」のような初心を忘れずにやっていきたいですね。リリース情報
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Interviewer&Photo:杉岡祐樹
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