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FM COCOLO『J-POP レジェンドフォーラム』9月は桑田佳祐『がらくた』特集! 片山敦夫と斎藤誠をゲストに迎えた番組トークvol.1を公開
FM COCOLOで毎週月曜日21:00〜22:00に放送されている、音楽評論家「田家秀樹」が案内人を務める『J-POP レジェンドフォーラム』。伝説のアーティスト、伝説のアルバム、伝説のライブ、そして伝説のムーブメント。一つのアーティストを1ヶ月にわたって特集する番組で、9月の特集は桑田佳祐『がらくた』だ。1回目の放送では、キーボードの片山敦夫と、ギターの斎藤誠をゲストに迎え、アルバムの中からそれぞれ好きな曲をピックアップ。番組では、制作秘話や曲への思いが語られた。
「若い広場」は、まとまるのがすごく早かったですね
田家秀樹:片山さんはアルバム『がらくた』の中で15曲中11曲を桑田さんと一緒にアレンジされており、斎藤さんは7曲にギターで参加しています。お2人も参加されたこのアルバム『がらくた』を、じっくりと楽しむ番組になればと思っています。斎藤さんは、青山学院大学で桑田さんの後輩ですよね。片山さんは、桑田さんが「敦夫ちゃん、敦夫ちゃん」って呼んでいて、キャリアはとっても長いです。斎藤さんの84年の九段会館のデビューコンサートに片山さんが一緒にお出になっていたとか。
斎藤誠:そう、長いんですよ片山とは。もう2人でこうやって横にいるのが飽きちゃっているんじゃないかと思うくらい。
田家:今、アルバムの一曲目「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」が流れていますが、ベースを弾いている角田さんも斎藤誠さんのデビューコンサートにいらしたとか。
斎藤:そうですね。ずーっと長い間一緒にやっていますね。
田家:そういう方たちがこのアルバムには参加されているわけですね。アルバムができあがって思うことは、どんなことですか?
斎藤:発売前に、ビクター(スタジオ)で全曲の試聴会があったんですよ。その時に、初めて全貌を聴きました。こんなに様々な楽しい曲が散りばめられていて、しかも曲順がとても素敵で。そんなことにワクワクしながら、驚きの連続だったんですよね。自分でレコーディングやっている時とまた違う印象でしたね。
田家:片山さんは、この「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」のアレンジをされましたけど、この曲で思い出されるのはどんなことですか?
片山敦夫:みんなでリズム取りをして、スワンプ・ロックのような雰囲気だったんですけど、ミックスも含めて出来上がると、すごく新しいロックサウンドになったような気がします。
斎藤:この曲を試聴会で初めて聴いた時に、「これでスタートだ!」って思って、「どうなるんだろう」というワクワク感がありましたね。
田家:今日は、お2人から3曲ずつ選んでいただいていますが片山さんが選ばれた曲をまずお聞きいただきます。アルバムの2曲目「若い広場」。片山さんが、この曲を選ばれたのは?
片山:好きなんです、この曲が。単純に(笑)
田家:時代的にも、世代的にも?
片山:ええ、そうですね。
田家:こういう昭和歌謡っぽさというのは、桑田さんのベースにもありますしね。
斎藤:間違いなくあります。僕らにもありますけど、桑田さんはそれをするっと表現することができるというすごさがありますね。
田家:「若い広場」を作る時というのは、デモテープがあるんですか?
片山:えーっと、たしか、前の日に軽く作りましたね。でも、これはスタジオでみんなで、せーので録ったよね。
斎藤:そうだね。
片山:ものすごく、出来上がるのが早かったんですよ。桑田さんも、手ごたえがあったんでしょうね。 まとまるのが本当に早かったです。
▲ 桑田佳祐「若い広場」
田家:続いて選ばれたのは、アルバムの3曲目「大河の一滴」。去年の6月に売れたシングル「ヨシ子さん」のカップリングでした。これもアレンジは片山さんですが思い出されることはありますか?
片山:そうですね。最初、「中島みゆきさんみたいな曲はどうかな」なんていう、桑田さんのいつものキーワードが出ました。そのあと、「デジタルっぽい感じにしたらどうかな」って言って作りはじめたら、いきなりベクトルがそっちに向いたんですよ。それで、あっという間にできました。
田家:その時には、詞はまだないんですか?
片山:まだなかったですね。
田家:この曲は舞台が渋谷です。斎藤誠さんが桑田さんと初めてお会いになったのが1977年の青山学院。その時のことを思い出すと胸が熱くなると、(桑田さんが)答えられていましたね。
斎藤:調べが付いてるんですね(笑)。そうなんですよ。今年で、出会って40年なんです。この間、スタジオで桑田さんに「出会ってから、もう40年なんですね」って言ったんですよ。「そっかー。昨日のことのようだけどなあ」って素朴に答えられて、それで会話は終わりましたけど(笑)。渋谷って、ものすごく変化しているんですよ。今も、すごく変わりつつあります。この曲の歌詞を読むと、桑田さんはこんな風に面白く渋谷という街を見つめているんだなって、初めて分かりました。僕もですが、桑田さんも長年お世話になってきた街だと思うんですよ。それを、こんな風に言葉に変えられるんだなって思いました。
田家:片山さんも40年近いでしょう?
片山:40年…そこまではいっていないかなあ。僕、ずっと若いですから(笑)。
田家:でも、白井貴子さんのクレイジーボーイズのメンバーでしたよね?
片山:全部、調べはついているんですね(笑)。
田家:この「大河の一滴」も、時の流れがテーマですしね。
リリース情報
がらくた
- 桑田佳祐
- 2017/08/23 RELEASE
- 初回生産限定盤A<CD+Blu-ray+特製ブックレット>
[VIZL-1700 / 定価:¥ 4,800(plus tax)] - 詳細・購入はこちらから>>
- 初回生産限定盤B<CD+DVD+特製ブックレット>
[VIZL-1701 / 定価:¥ 4,500(plus tax)] - 詳細・購入はこちらから>>
- 初回生産限定盤C<CD+特製ブックレット>
[VIZL-1702 / 定価:¥ 3,500(plus tax)] - 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤 [VICL-65000 / 定価:¥ 3,300(plus tax)]
- 詳細・購入はこちらから>>
- アナログ盤<重量盤2LP> [VIJL-61800~1 / 定価:¥ 4,300(plus tax)]
- オリジナル特典「オリジナルB2ジャケットポスター」付 / 完全生産限定
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繊細に音を加えながら作った「簪 / かんざし」
田家:それでは、次はこれも片山さんが選ばれた忘れられない曲。アルバムの4曲目「簪 / かんざし」です。この曲は、アルバムの中でも聴きどころの1曲ですね。
片山:弾き語りのような雰囲気ですよね。
田家:この和モダンという…。なんでしょう、洋風なんだけど和風のみたいな。フリューゲルホルンが入ったり、ウッドベースが入ったりしているのは、片山さんの(アイディアですか)?
片山:これは桑田さんと相談しながら徐々に楽器を加えていったんですけど、本当に繊細に加えていったというか。リズム隊のようなものを、たくさん使わずに「何が合うかな」と思いながら、作り始めていきました。基本的には最初に桑田さんの歌とピアノだけで作った曲が、そのまま残っているような一曲です。
田家:原型はそうなんですね。
片山:メロディが本当に綺麗なので、変わらずに仕上げられたと思います。
田家:初めて聴かれた時には、どう思われましたか?
片山:いやあ、良い曲だと思いました。
田家:桑田さんの歴代の曲の中でも?
片山:ええ、桑田さんも、「自分の中でも、こういったタイプの曲はあまりない」って言っていて。「なるほど」って思いましたね。あと、歌詞がものすごく文学的というか。
田家:「簪」を「かんざし」とは、読めないですもんね。
片山:「赤い雨の子守唄」っていう出だしから入って。惹きこまれますよね。
田家:そして、次はアルバムの5曲目「愛のプレリュード」。JTBのCMソングですね。桑田さんのアルバムのエッセイ(初回限定盤に付属の桑田佳祐によるエッセイ集「がらくたノート」)には、「2015年11月にこの曲でレコーディングがスタートした」と書かれています。 この曲は、片山さん、マニピュレーターの角谷仁宜さん、エンジニアの中山佳敬さんという4人でスタートしたんですよね。エッセイにも、「4人のユニットのような形でやろうとした」と書かれています。
片山:そうだったんですね。なんつって(笑)。わりといつも、そういう形でやることが多いので、改まったような気持ちは僕の中ではありませんでした。
田家:いつもそういう形で始まるんですね。企画書の中にも、そういうことは書かれていたんですか。
片山:(企画書の)内容に関しては、どうだったかな…。あんまり覚えてないんですよね。
斎藤:2年以上前のことだもんね。
田家:桑田さんは、制作する前に企画書をいつも作られる方なんですか?
斎藤:俺は初めて(の経験)だよ。
片山:僕も初めてだった。
斎藤:最初は「歌謡曲の方向にいこうかな」なんて話もありました。『THE ROOTS ~偉大なる歌謡曲に感謝〜』という映像作品を2016年にリリースされていますが、それと同時進行で作っていた時期もあったので。よく切り替えながら作れるなって思っていましたね。
田家:『THE ROOTS ~偉大なる歌謡曲に感謝〜』のおかげで、アルバム『がらくた』も整備され、より路線が明確になったということも、あったのでしょうか。
斎藤:そうかもしれませんね。
「愛のささくれ」のはじまりは、3人の夜中のセッション
田家:桑田佳祐作品として、今回のソロアルバムの前に出した作品はサザンオールスターズとしてリリースした『葡萄』です。『がらくた』と対照的な、バンドの総力を結集したような作品ですが、これもそんな始まり方だったのですか?
片山:『葡萄』はバンドサウンドですよね、サザンオールスターズですから。スタジオの中で桑田さんが、自分の頭の中でどんどん広げていくという作業だけは一緒ですが、それ以外のバンドサウンドを作り上げていく感じは、全然違いますね。『がらくた』の場合は、「この曲だったら誠君が必要だ」という風に、少しずつ人を増やしていくようなやり方でしたね。
斎藤:最初は、人数が少ない方が設計図を書きやすいのだと思います。
田家:なるほど。そして、片山さんが最後に選ばれたのは「愛のささくれ」。この曲も印象的ですね。
片山:個人的には、この曲大好きなんですよ。
斎藤:いいですよね。最高です。
片山:どういったところが好きですか?
田家:この揺れ方というか。
斎藤:歌詞もすごいですよね。
田家:これは、桑田さん、片山さん、角谷仁宣さんの3人がクレジットされています。どのように作られたのですか?
片山:この曲は、たしか夜遅くにセッションを始めたんです。桑田さんがギターを持って歌って。そうやっているうちにリフができたんです。そして、リフができたことによって、曲が転がっていきました。
斎藤:イントロのリフのこと? これが先にできたんだ。
片山:そう。
斎藤:へー。
片山:それから、「サビをユニゾンにしたら面白いかな」とか色んなアイディアを出し合って。そうしたら、 角谷がハネループ(リズムがはねたループ)を出してきたんです。そこから、一気にできましてね。
田家:横揺れが気持ち良い曲ですもんね。
斎藤:桑田さんって、こういうリフ作りの名手なんです。ロックンロールって、リフが一番大事だと思うんですが、桑田さんは湯水のようにいくらでも出てきて。かっこいいですよね。
田家:で、そこにこういう不埒な歌詞が付いているんですね。でも、夜遅くに3人でセッションした時には歌詞は付いていないですよね?
片山:もちろん、ついていません。びっくりですよ。まあ、びっくりというか最高ですよね(笑)。
田家:そして、次に流れているのはアルバムの8曲目「サイテーのワル」。この曲のメンバーは、片山さん、斎藤誠さん、角谷仁宜さん、そしてドラムが河村“カースケ”智康さん、パーカッション成田昭彦さん、コーラスはTIGERさんです。カースケさんは、片山さんが白井貴子&クレイジーボーイズで一緒で、成田さんは斎藤誠さんのバンドだったんですよね?
斎藤:ずっと一緒です(笑)。
田家:そうやって考えてみると、このバンドのメンツというのは色んな意味がありそうですね(笑)。
斎藤:80年代の音楽もやってきましたし、時代を感じますよね。桑田さんから振られた時に、どう消化するかということについては、それなりに応えられる意識はありますね。バンドサウンドのように聴こえますが、はじめドラムは入っていませんでした。「明日、カースケ呼ぶか?」という感じで加わってもらうことになり。
片山:ダビングで作ったんですよね。ベースもシンセで作っていますし。
斎藤:頭の中で積木細工のように組み上げていくみたいな作業でしたね。
片山:あと、歌詞は本当にすごいですね。
田家:前作『MUSICMAN』の「現代人諸君(イマジン オール ザ ピープル)!!」の歌詞もですが、桑田さんのアルバムには、いつもこういうジャーナルなテーマが少しずつ入っていますよね。少し話が逸れますが、『MUSICMAN』の制作について、今思い出されることはありますか。
斎藤:『MUSICMAN』の時は、桑田さんが途中で病気になられたので制作を中断しました。桑田さんは、そんな中で残りの歌詞を書きあげたりされていたので、僕らも緊張しながらレコーディングをした時期もありました。なので、そういう意味では他の作品とは印象が違いますね。
片山:病気の前と後だと、歌詞も変化した感じがします。
田家:やはり、今回の6年半ぶりのソロアルバムは内容や、桑田さんのアルバムに臨む姿勢は全く違うんでしょうね。
斎藤:だいぶ、のびのびしている印象を受けますね。
片山:等身大の桑田さんという感じがしますよね。
リリース情報
がらくた
- 桑田佳祐
- 2017/08/23 RELEASE
- 初回生産限定盤A<CD+Blu-ray+特製ブックレット>
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- 初回生産限定盤B<CD+DVD+特製ブックレット>
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「オアシスと果樹園」は先に歌詞ができていた珍しい1曲
田家:それではここからは斎藤さんが選ばれた曲が続きます。アルバムの9曲目「百万本の赤い薔薇」。斎藤さん、これを選ばれた理由は?
斎藤:この曲のパーッと花が咲いたようなハッピーな雰囲気が大好きで。そういや、今日ここまで『がらくた』のアルバムを聴きながら、車で来たんです。そうしたら、ちょうど横断歩道のところで女子高生が、笑顔で少し小走りに走ってたの。ちょうど「百万本の赤い薔薇」を聞いている時で、「なんて、この曲に合うんだ」って思いました。しかも、「サイテーのワル」の次にこの曲でしょ?少し気持ちが重たくなったあとに、これを聴くと本当に花が開いたような感じで。見事な曲順ですよね。
片山:そうだね。
斎藤:細かいことを言うと、「サイテーのワル」と「百万本の赤い薔薇」の間は、長めの無音があるんです。気分を変えるために、あえて長くしてるんだと思うんです。そういうところも、「さすがだなあ」って思います。
▲ 桑田佳祐「オアシスと果樹園」
田家:この曲順はもちろん桑田さんが?
片山:桑田さんが決められましたね。
田家:これは、アレンジが原由子さんと曽我淳一さんですよね。そして斎藤誠さんがギターで、原由子さんのピアノと、曽我淳一さんのベース、そしてヴァイオリンはグレート栄田さんです。やっぱり、とてもハッピーなレコーディングだったんですか?
斎藤:そうですね。こじんまりしたスタジオの中でも、ハッピーな青空が見えるような雰囲気になるんです。
片山:「Da-Doo-Ron-Ron」ですもんね。
田家:60年代ポップス好きの人にはたまりませんね。そして、次に選ばれたのはアルバムの10曲目「ほととぎす[杜鵑草]」。これは、鳥のホトトギスではなく、植物なんですね。
片山:可愛い花なんですよね。
斎藤:知ってた?
片山:知ってましたよ。だって調べたもん。
斎藤:調べたのか(笑)。
田家:これは桑田さんと、角谷仁宜さんと、片山さんと、原由子さん。そして、アレンジが片山さん。
片山:これもやっぱり弾き語りのような形から作り始めました。ピアノで仮のコードを弾きながら徐々に重ねていくという、いつものやり方です。桑田さんは、普通のバラードにしたくないという思いがあったようで、繊細に色を重ねていくように作っていきました。歌詞も、すごく惹きこまれるものがあるのですが、歌詞の中に「ほととぎす」という言葉は1度も出てこないんです。
田家:歌い方も、あまり思い入れを込めすぎていなくて…。
斎藤:すごくナチュラルですよね。
田家:「バラード」については、桑田さんがエッセイの中でも、「自分にとってのバラード」について、延々と色んな形で書かれています。結局、答えはでないままなんですが。このバラードはちょっとテイストが違う感じがしますね。
片山:桑田さんの作品には、たくさんバラードがありますもんね。これは、特に静かな作品だと思います。
田家:このアルバムならではの1曲かもしれません。そして、もう1曲選ばれたのが「オアシスと果樹園」。これも片山さんのアレンジで、斎藤誠さんも参加されています。これを選ばれたのは?
斎藤:この曲をデモの状態で聴いた時に、「なんという構成力なんだ」と思いました。AメロがあってBメロがあってサビがあって、だんだん盛り上がっていく感じが。こんなにも人に訴えかけるポップロックというのは、桑田さんならではですよね。そしてサビになると原さんのコーラスも入るんです。「これがサビですー!」っていう雰囲気で…。これが大好きで。ギターを弾いていると、どういう風にギターを入れていけば良いのかが明確に見えてきます。なので、すごく楽しくレコーディングしたのを覚えていますね。
田家:しかも、この曲は歌詞から書いたという珍しい例だそうですね。
斎藤:そうなんです。「遥か旅路へ国際航路は」という歌詞を聴きながらレコーディングをしたのを覚えています。
田家:歌詞を見てからレコーディングするのは、やはり違いますか?
斎藤:そうですね。「そういうことなんだ」って、はっきりと分かってきますから。あとCMタイアップも決まっていたので、ビジョンがハッキリ見えているのが僕らにも伝わってきたし、それがプレイにも繋がっていると思います。
田家:歌詞が先にあるというのは、そんなに珍しいことでなんですか?
片山:桑田さんの作品の中では少ないかもしれないですね。
斎藤:オケが終わったあとに、どんな歌詞が付くのかいつも楽しみなんです。
斎藤:最後の桑田さんの一人作業が、作詞なんですね。
「ヨシ子さん」のきっかけは、スタッフが見せたインド映画
田家:そして、アルバムの11曲目「オアシスと果樹園」の次は、「ヨシ子さん」です。これは2016年6月に発売されたシングルです。60代になってからの第一弾シングルがこの曲だったことについて、改めていかがでしたか?
片山:攻めましたよね。最初に桑田さんから「シングルになる」って聞いた時は信じられなかったですもん。
斎藤:僕らだけじゃなく、スタッフの人もびっくりしたでしょうね。
田家:これは仮タイトルが「夢の島」だったそうですね。
片山:そうなんですよ。(江東区に)夢の島ってあるじゃないですか。桑田さんは、そこに風が吹いてゴミが舞っている映像が浮かぶとおっしゃっていました。結局、全然違う曲になっていまいましたけど。
▲ 桑田佳祐「ヨシ子さん」
田家:これは作っていくうちに、中近東風にしようという話になったのですか?
片山:この曲を作っている時に、スタッフがYouTubeでインドの映画を見せてくれたんです。インド映画って、みんながダンスするシーンがありますよね?その映像に、「ヨシ子さん」のオケがぴったりハマって。音を消してインド映画の映像を見ながら、「ヨシ子さん」を聴いたら、すごくシンクロして。それで、どんどん中近東の雰囲気になっていったんです。そういう、遊び心溢れる1曲ですね。
田家:この曲のメンバーを見てみると、ビクターのスタッフの方がコーラスで参加しているんですね。
斎藤:そうなんです(笑)。
田家:「ヨシ子さん」の仮タイトルが「夢の島」だということを知った時に、『がらくた』というアルバムタイトルは、そこに繋がるのかなとも思ったんですが。邪推でしょうか?
斎藤:深読みかもしれないですけど、邪推ではないと思います。
田家:アルバムのタイトルを『がらくた』にするというアイディアは、いつ頃でたのですか?
片山:ほとんど曲が出来上がってからだと思います。ナイスなタイトルですよね。
田家:桑田さんは、自分の詩集に「やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん」というタイトルを付けた人ですからね。「ヨシ子さん」は、【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017】など、この夏のフェスでも演奏したんですよね。やはりライブでは盛り上がりますか?
斎藤:盛り上がりますね。6万人が「ヨシ子さん」で揺れるんですよ。ぐんにゃりと。ステージから見ると、すごくて。
田家:秋のアリーナ&ドームツアーでも、見ることができるでしょうね。それでは斎藤誠さんが選んだもう一曲は、アルバムの13曲目「Yin Yang(イヤン)」です。この曲を選ばれたのは?
斎藤:この曲を入れて、あと3曲なのでアルバムがいよいよ佳境だなと思う1曲です。それに、これは2013年のシングルでアルバムの中では一番古い曲です。その曲を、ここに持ってきたというのもすごいなあと思います。ロックでありR&Bであり、ちょっと70年代歌謡。どこかに、和田アキ子さんが見え隠れする感じもして。たまらない桑田さんの世界だと思います。
田家:これは桑田さん、片山さん、角谷仁宜さん、斎藤誠さん、河村“カースケ”智康さん、西村浩二さんというメンバーです。この曲をレコーディングした時は、アルバムを作る話はまだなかったですよね?
片山:なかったですね。桑田さんが作ったリフを元に作っていきました。
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がらくた
- 桑田佳祐
- 2017/08/23 RELEASE
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「こんなにも、ふり幅のある人っているのかって思います。」
田家:これでアルバムが完成しました。先週発売にされた6年半ぶりのソロアルバム『がらくた』の特集、一週目。ゲストはキーボードの片山敦夫さん、そしてギターの斎藤誠をお招きしました。この13曲目「Yin Yang(イヤン)」のあとに、「あなたの夢を見ています」、「春まだ遠く」という2曲が続いて終わるわけですがこの2曲については?
片山:「あなたの夢を見ています」は歌詞のすごさとスピード感がすごいですよね。80年代の雰囲気も残していて…。
田家:歌詞は本当にパーソナルな内容になっていますよね。「あなたの夢を見ています」は、お2人とも参加されていますよね。
斎藤:この曲に合うギターはどれだろうって、前の晩に「こっちの方が良いかな?」、「やっぱりこっちかな?」って考えて、ストラドキャスターを持っていきました。細かい話になりますが、普段はテレキャスターを使っていて。「お、誠がストラトキャスターを持ってきたっていうことは、気合が入っているな」って言われたことを覚えています。
田家:ストラトキャスターを選ぶ理由があったんですね。
斎藤:ちょっと軽やかな、ドライブ感を出すためにストラトキャスターの方が良いんじゃないかなと思って。
片山:桑田さんのスライドのソロも良いですよね。このメロディは、本当にぐっときます。
斎藤:桑田さんはスライドの名手ですから。
田家:とても温かくて、スピード感のある歌になりました。最後は「春まだ遠く」。これは島健さんのオーケストラで、お2人とも関わってらっしゃいません。
片山:クロージングにぴったりですよね。ディズニーサウンドのようで、島さんの素敵な曲だなあと思います。
斎藤:3拍子というのが良いよね。こんなにも、ふり幅のある人っているのかって思います。
田家:曲順も、桑田さんは相当悩まれたんでしょうね?
片山:そうだと思います。
田家:10月からは、アリーナ&ドームツアーが始まります。このアルバムを聴いて、ライブをこうやって楽しんでくれという話で終わりましょう。
斎藤:そうですね。でも、今の時点ではまだリハにも入っていなくて。桑田さんから、どんなアイディアが出てくるのかヒヤヒヤしながら、あ、ヒヤヒヤじゃないか(笑)
片山:「楽しみに」でしょう?
斎藤:ドキドキしながら(笑)待っているんですけどね。
片山:楽しみですよね。これから、どうなるんだろう。
斎藤:この時期の我らは、一番緊張感が漂っています(笑)。
田家:それでは、ステージでいっぱい弾けてください。楽しみにしています。
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